税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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セカンドオピニオンの活用

セカンドオピニオンの活用 

 皆さんは「セカンドオピニオン」という言葉を知っているでしょう。医療業界などがよく使っている言葉です。しかし、税理士・会計士の業界でもこの言葉が近年使われ、実際に活用されてきています。
 現在の顧問契約を結んでいるが、他の税理士にも相談したい、という‘ニーズ’に応えてできたサービスなのです。
 税理士にも得意分野、不得意分野があります。そして、企業経営においても形態が多様化し、そのような中、一人の税理士が対応できる専門分野は限られています。
 そこで、特殊な分野、高度な専門知識を有する分野に関して、別の税理士に相談する、‘セカンドオピニオン’という形態が普及してきているのです。 

(1)こんなことから依頼を受けることがあります。
   *税務調査が入ったが、今の税理士さんではちょっと頼りない
   *現在の税理士も良いが、別の角度からアドバイスをもらいたい
   *いろいろな税理士から意見を聞きたい
   *顧問税理士には、ちょっと相談しにくい・・・
  など。
 もちろん、トータルの顧問料を節約できることが多いなど、企業すべてをひとりの税理士と契約するメリットもあるかと思います。しかし、自社の方向性について悩みが多ければ多いほど複数の専門家からそれぞれの視点での意見を聞くことで、自分では気がつかなかった問題点の整理のヒントを得ることが多くなるのではないでしょうか。

(2)税理士にもいろいろいる。
 税理士の契約には、顧問契約とスポット契約があります。
 顧問契約は、毎月巡回監査をして月次決算・年次決算申告を行うような業務であり、スポット契約は、相続、事業承継のコンサルティングなど通常の会計税務業務とは異なる事案に対して、その分野に特化した専門家にアドバイスを求める一時的な契約のことです。
 仕事を依頼する会社にはすでに顧問税理士がいます。そこで、セカンドオピニオンの税理士がお役に立てるにはどうしたらいいのか。現状のままでいいと思う会社では仕事になりません。つまり、‘このままではいずれは大変なことになりますよ’と思っている以上に問題があり、解決する必要があるとアピールできることが大事で、それに対して同意して頂けることなのです。
 一人の税理士しか接点がない場合、どうしても判断は保守的になりがちで、新しい提案などにはなかなか積極的にアドバイスをしないことが多いのです。

(3)具体的な相談事例
    ・毎月来てくれない、相談したいときにできない
    ・資金繰り改善のためのアプローチ
    ・説得力の高い融資折衝
    ・税務調査での指摘事項の反証法と対応
    ・節税対策のリスクの判断
    ・相続・事業承継を円滑にするための準備と実践  
  など。

(4)今の税理士とうまくできるのか。
 結論から言うと問題ありません。選ぶのは会社の意思決定であり、何人セカンドオピニオンがいてもいいのです。
 いわば、使い分けができるということです。うちは顧問税理士がいるから、とか何人もいらないとか、という声もあるかとおもいますが、これだけ税法が変わり、国の税制が変わり、その都度対応していくのは大変です。メインの税理士が忙しいときでも、セカンオピニオンがいる、という安心を買い、健全で正しい経営をし続けていくには、こういう体制もこれからは会社にとって必要な時代が来たと言えると思います。

 ぜひこの機会に相談をされたい方は、遠慮なく連絡をお待ちします。
 ホームページを参照してください。 (向山会計社)


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| 業種別特別情報 | 13:10 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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消費税価格転嫁対策

 ―「消費税の価格転嫁対策」その後―

 最近、公正取引委員会及び中小企業庁連名で「消費税転嫁拒否等に関する調査」なる書類が郵送で送られて来ている事業者が増えている。当事務所でも約5割の事業者に来ており、この記載方法と内容の確認に関しての問い合わせが来ている。
この調査の目的は取引事業者(買手事業者)から消費税の転嫁拒否等の法律上問題となる行為を受けていないかを把握し、問題となる行為の是正につなげるための調査資料であるとしている。
要するに取引先より消費税アップに伴う転嫁の拒否や買いたたきを受けている事業者はその相手先の事業者名を報告してほしいということである。
そして問題のある事業者には、改善の勧告や悪質な事業者は名前の公表等を行っていくということだ。
 増税が始まった今年4月からは、事業者名を公表する「勧告」措置を行っている。4月にはJR東日本の子会社、6月にはメガネ専門店の三城、7月に入りスポーツクラブ運営会社のルネサンスなどが会社名の公表及び是正勧告を受けており、この傾向は今後も増加しそうだ。
 公正取引委員会及び中小企業庁のホームページ(HP)では、「消費税を円滑に実施するための特別措置法」を施行した2013年10月より今年2014年4月までの事例を集計し公表している。それによると消費税の転嫁を拒否した疑いのある企業への指導件数が1218件に上っている。そのうち約8割が、大企業が中小企業などからの仕入れ価格に増税分を認めない「買いたたき」だという。
この現状からしてみて、冒頭の「消費税転嫁拒否等に関する調査」なる書類が中小企業を中心とした各事業者に送りつけられているのもうなずける。
ところで、この特別措置法の内容理解を広範囲に普及させるための、事業者へ向けた無料のセミナー(研修会)を行っているのをご存知だろうか?
 2013年7月1日には株式会社TKCが「消費税転嫁対策に関する研修会等実施事業」に係る業務委託事業を127,132,950円にて落札し、経営革新等支援機関を中心にその関係事業者に普及活動をおこなった。
今年2014年度は、5月15日に入札があり、株式会社朝日広告社が114,440,000円にて落札した。今後同社の予算付けで無料のセミナーが全国各地で昨年同様行われることとなる。まだ参加していない事業者の方がいらしたら、無料なので参加してみたらいかがだろうか。

 来年2015年10月からは消費税率が8%から10%に引き上げられる予定である。
日本経済新聞7月25日の記事によると、菅義偉官房長官が、記者会見で消費税率引き上げの判断時期を今年12月と明言している。これは今年7~9月期の国内総生産(GDP)の統計発表が12月8日なので、その数値を見て判断する言うことだ。従ってまだ消費税率が10%に確定したわけではない。
 ただしその一方で、自民党・公明党の両党は与党税制協議会を開き、10%になった場合の消費税の軽減税率の導入をめぐり、本年7月より各業界団体から意見聴取を始めている。経団連や連合、消費者団体など業界40団体以上を9月初旬までに意見聴取を行い、軽減税率の導入の是非について最終結論を出す方向でいる。
日本税理士会連合会は「書類作成などコストを積み上げると、従来コストの2~3倍になる」として、事務作業が煩雑になるとの理由により、導入反対の立場をとっている。逆に、全国消費者連合会団体連合会は「全ての飲食料品への軽減税率適用」を求めている。さらに単一税率適用を掲げている自民党と食料品を中心とした軽減税率適用を推進している公明党など、政界の思惑により意見が各自ばらけている。
 ちなみに来年2015年は全国統一地方選挙が行われる年でもある。選挙目当ての政治家の判断には、今後も注意深く見ていかなくてはならないだろう。

                             
                         参照: 日本経済新聞
                             中小企業庁HP
                             公正取引委員会HP

| 消費税法 | 09:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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土地・建物の取得費算定と不明な場合等の税務対応について

土地・建物の取得費算定と不明な場合等の税務対応について 

 土地・建物の取得費が不明な場合、収入金額の5%を取得費として計算することができる。ただし、概算取得費を取得費とする場合には、相続等に伴う名義書換に要した費用を概算取得費に加算することはできない。しかし、土地・建物の取得費が不明なものについては、必ず概算取得費を使用しなければならない、というものではない。したがって、取得費が不明な場合であっても、取得当初の取得価額として算定された金額が合理的であれば認められるケースもあるということです。  
 事例として、国税不服審判所平成12年11月16日裁決において税務署が提示し、かつ採用されたのが、建物は‘着工建築物構造別単価’により算定、土地は‘市街地価格指数’により算定とされました。着工建築物構造別単価表は、財団法人建設物価調査会が発行している建築統計年報で確認でき、市街地価格指数は、一般財団法人日本不動産研究所が公表しています。
 そこで、一般財団法人日本不動産研究所による平成26年3月末現在の市街地価格指数を掲載します。ご参考になれば、と思います。    
  (添付資料)
市街地価格指数表紙 市街地価格指数
(参考:税理2014.6、一般財団法人日本不動産研究所 「市街地価格指数」)

| 財政・税務 | 11:49 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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改正会社法が可決成立

         社外取締役の要件の厳格化・起用の促進を図る 
 改正会社法は、昨年11月に会社法の一部を改正する法律案として国会に提出されましたが、本年6月20日に可決成立しました。
 今回の改正会社法は、社外取締役等による株式会社の経営に対する監査等の強化、株式会社及びその属する企業集団の運営の一層の適正化を図ることを目的に、
 ①監査等委員会設置会社制度の創設
 ②社外取締役等の要件等と改める
 ③株式会社の完全親会社の株主による代表訴訟の制度の創設
 ④株主による組織再編等の差止請求制度の拡充等の措置
以上の4点を中心に改正が行われています。
 このうち、今回は社外取締役に関する改正を見ていきたいと思います。   

(1)社外取締役の要件
 今回の改正により、会社との利害関係についてはより厳格に規定するが、過去に取締役・使用人であった者でも離れてから長期間経過すれば社外取締役への就任を認めるものとなっています。
①社外取締役になれない者
 ㋑その会社の親会社等(自然人に限定)又は親会社等の取締役・執行役・支配人・その他使用人
 ㋺その会社の親会社等の子会社等(兄弟会社)の業務執行取締役等
 ㋩その会社の取締役、執行役、親会社等(自然人に限定)等の配偶者又は二親等内の親族
②社外取締役になれる者
 現在及び過去10年間、社外取締役になれない者の要件等を満たしていない者

(2)社外取締役を置いていない場合の理由の開示
 社外取締役の起用を促進する観点からの設置の義務化については、経済界から反対により見送られましたが、次の2点が盛り込まれました。
①社外取締役を置いていない場合の理由の開示
 ㋑対象者
   事業年度の末日において監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社)であってその発行する株式について  有価証券報告書を提出しなければならないもの
 ㋺理由の開示
  取締役は、定時株主総会において、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならないとしています。
②義務化の検討
  附則の中で、施行の2年後に社外取締役を置くことの義務付けについて検討することとしています。

(3)施行日
 公布の日(本年6月27日)から起算して1年6月以内

(4)ガイドラインの設置
  経済産業省は、6月20日の改正会社法可決成立を受け、企業が社外取締役の選任に向けた取組みを行う際や社外取締役が就任した者が職務を執行する際の参考となるように、「コーポレート・ガバナンス(企業統治)・システムの在り方に関する研究会」が策定した「社外役員を含み非業務執行役員の役割・サポート体制等に関する中間取りまとめ」及び「社外役員等に関するガイドライン」を本年6月30日に公表しました。
 「社外役員等に関するガイドライン」では、企業の情報発信、取締役等の役割、サポート体制といった項目が設けられています。
 
 会社法の改正により社外取締役の要件の厳格化と起用の促進が図られることで、利害関係者から隔離した外部取締役による客観的な意見が反映されやすくなることや、透明性が確保されることを期待したいものです。

                参考資料  法務省ホームページ
                      経済産業省ホームページ



| 民法・商法・会社法 | 13:21 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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「ふるさと納税制度」

 「ふるさと納税制度」を考える

「ふるさと納税制度」への関心が高まっている。
最近、テレビ・マネー雑誌・新聞等、いろいろマスメディアで紹介されています。
さらに、扶桑社発行の「100%得をする ふるさと納税生活」金森重樹著 が書店で売れているそうです。
当初、ふるさと納税の提唱者の一人に、秋田県出身の菅義偉官房長官がいる。
総務大臣当時、「故郷に恩返ししたいという要望者は多いのではないか」と言い、導入を提案した一人でもある。この制度の導入には都市と地方の税収格差を鳴らす狙いもあったようである。
このふるさと納税に関しては、私どもの顧問先の方々も最近関心を寄せているので、現状について少し調べてみました。
ふるさと納税制度に関しての情報は、総務省・自治税務局が集計発表しているものがホームページ(HP)上に掲載されています。
この制度を導入した2008年(平成20年)5月より各自治体別に統計数値が掲載されています。この統計資料を見ると2008年(平成20年)1~12月の寄付金者は33,149人、寄付金総額は7,259,958千円、一人当たりに換算すると219,914円になる。
2012年(平成24年)1~12月の統計では、寄付金者は106,446人、寄付金総額は13,011,278千円、一人当たり122,233円になっている。寄付金者は3.2倍に増え、寄付金額も1.8倍に増えたが、一人あたりの寄付金額が少なくなっている。いわゆる寄付金額の小口化傾向である。
なぜ、寄付金者はかなり伸びているのに1人当たりの金額が伸びないのだろうか?
その理由の一つが「特産品目当て」の寄付金者が多いためである。1万円以上寄付すれば5,000円程度の特産品で応える自治体が多く出現してきているからである。
ここで注意したいのは、ふるさと納税制度は、あくまでも寄付金控除制度の中の1つの選択肢であるということである。べつに地方自治体に寄付しなくても、赤十字・ユネスコなど寄付する団体はたくさんあるわけです。ただし、ふるさと納税制度に人気があるのは、寄付する自治体によっては特産品が送られてくること。また、寄付金控除制度は年間寄付金額から定額2000円の控除をひいた額に応じて、所得税及び個人住民税が控除される仕組みになっていることなどから、メリットがあると考えてる人が増えてきたからでしょう。

具体例で確認しましょう。
計算を簡単にするため給与収入500万円、独身、扶養無、その他の控除無 の簡単なケースで確認しましょう。

1.ふるさと納税 0円のケース
給与収入 5,000,000 所得金額3,460,000-380,000=3,080,000
所得税210,500+復興特別所得税4,420=214,900(百円以下切捨)
住民税 所得金額3,460,000-330,000=3,130,000
 道府県民税3,130,000×4%-調整控除1,000+均等割1,500=125,700
 市町村税 3,130,000×6%-調整控除1,500+均等割3,500=189,800
住民税合計125,700+189,800=315,500
所得税+住民税=530,400円
2.ふるさと納税寄付金30,000円支払のケース
所得金額3,460,000-(30,000-2,000)-380,000=3,052,000
所得税207,700+復興特別所得税4,361=212,000(百円以下切捨)
住民税 所得金額3,460,000-330,000=3,130,000
 道府県民税3,130,000×4%-調整控除1,000-寄付金税額控除10,057+均等割1,500
=115,600
 市町村税 3,130,000×6%-調整控除1,500+寄付金税額控除15,085+均等割3,500
=174,700
住民税合計115,600+174,700=290,300
所得税+住民税=502,300円

上記の結果30,000円のふるさと納税をすると1と2では、所得税・住民税合計で28,100の減額になります。更に地方自治体によっては特産品が送られてきますので30,000円以上のメリットがあるわけです。
ただし、税の控除を受けられる寄付額には上限があります。上記のケースでいうと年収500万円の独身者の場合34,000円を超えた分の寄付は対象外になる。総務省のHPでは、各所得別に寄付金額の上限の目安になる表が掲載されています。現行では住民税の1割程度が上限になっているようです。参考にしたらどうでしょうか。

ふるさと納税を受取る金額が多い県として、日本経済新聞2014年1月27日の紙面では上位5県として、鳥取県・岩手県・福島県・長野県・佐賀県があげられています。いずれもふるさと納税対応に積極的な自治体であり、海産物、米、果物など特産品も豊かな県でもあります。更に、マスコミなどで積極的にアピールしているからでしょう。
今後は他の自治体も追随してくるものと思われます。
こうした中で、地方自治体の特産品のメリットを受けて賢くふるさと納税をする人たちも増えてきています。冒頭の金森重樹氏などはその一人です。その著書の中で、ふるさと納税で送られてくる特産物をまとめ、年間計画を立て、その物産品で生活をしようと試みている人です。各自治体にどのような物産品があるのかが紹介されています。参考にしてみてはどうでしょうか。

最近ふるさと納税制度に「良報」が発表されました。
2014年7月5日の日本経済新聞によると、この制度の提唱者の1人である菅義偉官房長官が、「ふるさと納税」の控除額の上限を2倍に引き上げ、制度の仕組みを簡単にするなど拡充する方針だという。
そして安倍首相がトップの「地方創生本部」新設に向けての準備室を発足させ、その中で議論するようである。
いずれにせよ日本は、欧米諸国と比べ寄付金文化が育っていないと言われている。「ふるさと納税制度」を利用して、少しでも寄付と言うものに関心が出てくれば幸いである。ただし、寄付には見返りが無いのが普通であることも添え付けたい。

                                
         参照:総務省ホームページ
            日本経済新聞2014.1.24  2014.7.5 記事
          扶桑社発行「100%得をする ふるさと納税生活」金森重樹著

| 所得税・所得控除及び税額控除 | 14:47 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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増え続ける隠れ倒産の実態

増え続ける隠れ倒産の実態!

2014年版中小企業白書がまとめられた。そこには‘隠れ倒産’の実態が書かれている。それは、自発的に休廃業・解散を選ぶ中小規模事業者の増加が取り上げられている。中小企業の隠れ倒産が10年で倍増しているのである。
経営者の高齢化、中小企業の事業承継・事業存続問題は必至の課題と言えるのではないでしょうか。
実際は中小企業の‘休廃業・解散’の増加傾向が止まらないのである。2013年に休廃業・解散した企業は2万8943社で、過去10年で2倍に急増した。債務超過などで倒産に至る前に自主的に会社を整理するため、この‘隠れ倒産’と呼ばれる休廃業の急増は、景気回復の波に乗りきれない中小企業の経営の厳しさを浮き彫りにしている。
例として、中小企業が累積する東大阪市にあるビニール製造会社を営んでいた男性社長(77歳)が会社を閉じた事例がある。創業から80年余り、1963年父から社長を継いで踏ん張ってきたが、ここ3年間赤字が続き、廃業を決断したという。
また、大阪市にあるベアリングなど産業機械卸の70代の経営者はため息まじりに‘近所のうどん屋も酒屋も後継者不足で事業継続を諦めた’と語るという。
その背景は、社員も10人近くいたが、高齢化で相次いで退職することに。結局退職金を払って、無借金のまま事業停止したということだそうです。
中小企業の資金繰りを支援する中小企業金融円滑化法も2013年3月で終了し、経営改善支援化法が新たに創設されたが、活用している企業数は、まだわずかだという。
金融機関が融資姿勢を厳格化すれば、中小企業の資金繰りは一気に苦しくなりかねない。‘今後は資金が回らず倒産に追い込まれるケースが出てくるだろう(東京商工リサーチ)’との声もあり、中小企業の経営の先行きは予断を許さないのは事実である。
しかし、資金繰りや経営が苦しいといった現在の問題で消えてゆく中小企業よりも、後継者難や事業の先行き不安など将来を悲観して事業を畳む決断をした中小企業のほうが多いということが問題なのである。
現に後継者不足で将来廃業せざるを得ない関与先が、わが事務所にもあるのは事実である。
白書によると2014年度版では70歳以上の経営者がこれまでと比較してもっとも多くなっており、経営者の高齢化が進む中で後継者不足から休廃業を選ぶ傾向は今後さらに強まっていくものと思われるとしている。
このようなことから、経営者自身に承継準備に対する心構えが早期から必要であるとともに、‘早い段階からの事業承継の準備に着手してもらうよう、国からのきめ細やかな情報提供や意識付けが必要’としているのである。
さらに‘自分の代で廃業することもやむを得ない’と答えた経営者も、約30%は‘事業承継を検討した経験を有している’という。
白書によると、人口減少は今後ますます進展し、2040年には東京や大阪といった都市部を含むすべての都道府県で人口が減少するのは必至であり、東京では、1.5人の若者に対し1人の高齢者という、65~69歳を頂点とした高齢化社会になるのは周知のことである。つまり、人口減少は‘既にそうなることが確実視されている’のであり、いまだ景気回復を肌で実感できない中での消費税の増税等、それに加えて中小企業はきたる人口減社会という課題とも向き合っていかなければならないことになるのである。
東京商工リサーチによれば、銀行取引停止による倒産や民事再生法の適用申請などの倒産件数は2013年に5年連続で前年比減少し、10,855件となっており、22年ぶりに11,000件を下回ったというのに、‘隠れ倒産’の増加は現代社会の重要な改善問題なのである。

(参考・引用:2014年版中小企業白書、月間社長のミカタ7月号、東京商工リサーチ、エタウィル) 

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行政不服審査法関連三法案が可決成立

      成立後52年ぶりの抜本的見直し

 1962(昭和37)年の行政不服審査法制定以来、50年以上実質的な法改正が行われていませんでしたが、第186回国会を可決成立し、本年6月13日行政不服審査法(平成26年法律第68号)、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成26年法律第69号)及び行政手続法の一部を改正する法律(平成26年法律第70号)として公布されました。
 
(1)改正の趣旨
 行政不服審査制度は、行政処分に関し国民がその見直しを求め、行政庁に不服を申し立てる手続きで、簡易迅速な手続きにより、手数料無料で国民の権利利益を救済する制度です。制定以来実質的な法改正が行われていませんでしたが、①公平性の向上、②使いやすさの向上、③国民の救済手段の充実・拡大の観点から、時代に即した見直しが必要と判断されました。

(2)行政不服審査法
①改正の内容
 ㋑審理員による審理手続の導入
 公平性の向上の観点から、審理において、職員のうち処分に関与しない者(審理員)が、審査請求人及び処分庁両者の主張を公平に審理することとなります。
 ㋺採決について、第三者機関への諮問手続の導入
 公平性の向上の観点から、有識者から成る第三者機関が審査庁の判断の妥当性チェックすることとなります。ただし、審査請求人が希望しない場合、第三者機関が不要と認めた場合等には諮問を不要とし、迅速な裁決を希望する国民にも配慮しています。
 ㋩不服申立ての手続を「審査請求」に一元化
 現行では処分をした行政庁(処分庁)に上級処分庁ある場合とない場合とで手続が異なり、上級処分庁がある場合には直近の上級処分庁に対して「審査請求」を行い、上級処分庁がない場合には処分庁に対して「異議申立て」を行うというように手続きが異なるという問題点がありました。使いやすさの向上の観点から、「異議申立て」を廃止し、「審査請求」に一元化することで問題点の解決を図ることとされました。 
 ㋥審査請求をすることができる期間を60日から3ヵ月に延長
②施行日
 公布後2年以内。

 (3)行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
①改正の内容
㋑不服申立前置の廃止・縮小
 行政の処分に不服がある場合に、不服申立てをするか、直ちに出訴するかは、国民が選択できることが原則ですが、現行では不服申立てに対する裁決を経た後でなければ出訴できない旨(不服申立前置)を定める個別法が96あります。不服申立て前置については、国民の裁判を受ける権利を不当に制限しているとの批判や、裁判所の負担等も勘案しこのほど見直しが行われました。
 96法律のうち、47法律については全部廃止(自由選択)となり、21法律については一部廃止・一部存置となりました。また、二重前置(21法律)については全廃又は一重化となり解消されました。
㋺行政不服審査法の特例等を定める約350の法律について改正
②施行日
 行政不服審査法の施行日。(公布後2年以内)

(4)行政手続法の一部を改正する法律
①改正の内容
 不服申立ては、行政処分により不利益を受けた場合に行政に不服を申し出る仕組みですが、国民の救済手段の充実・拡大の観点から、以下のような場合にも国民の権利利益の保護の充実のための手続きとして整備されました。
㋑法令違反の事実を発見すれば、是正のための処分を求めることができる
 国民が、法律違反の事実を発見した場合に、行政機関に対し適正な権限行使を求めることができるというものです。
㋺法律の要件に適合しない行政処分を受けたと思う場合に中止を求めることができる
 法律に基づく行政処分を受けた事業者が、行政指導が法律の要件に適合しないと思う場合に、行政に対して処分の再考を求める申出をすることができるというものです。
②施行日
 2015(平成27)年4月1日より施行されます。

 このたび、行政不服審査法の関連3法案が可決成立し、制定以来52年ぶりの改正が行われました。注目点は不服申立人の権利利益の救済の観点からの改正ということで、第三者の介入による公平性の確保や前置主義の見直し等による迅速な裁決、また、審査請求をすることができる期間を延長したことなどが挙げられます。施行まではまだ期間がりますが今後も注目していきたいと思います。
           参考資料  平成26年法律第68号、第69号、第70号
                 総務省ホームページ

| 国税通則法 | 10:14 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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