税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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振り込め詐欺被害は雑損控除対象外

「災害または盗難もしくは横領」には該当しません!

 振り込め詐欺の被害状況として、警視庁は被害の状況を公表しており、2014年2月の時点ですでに「オレオレ詐欺被害」として232件、被害額5億8,790万円が発生しています。
 被害にあってしまった場合には、被害者への救済はどうなっているのでしょうか。

1.「振り込め詐欺救済法」に基づく「被害回復分配金」の請求
 「振り込め詐欺救済法」は、正式には「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」(平成十九年法律第百三十三号)といい、2007(平成19)年12月21日に公布され、平成20年6月21日に施工されました。
 この法律は、振り込め詐欺の被害者が現金を振り込んでしまった金融機関の預金口座を、その被害者等からの情報に基づき金融機関が凍結し、その預金口座に残っている預金を被害額の割合に応じて被害者に分配することを定めたものです。
 ただし、この法律も預金口座に残っている預金がなければ被害者を救済することはできません。また、最近は金融機関を通さず郵送や直接犯人に手渡す詐欺被害が増加してしますが、この法律は預金口座への振り込みが利用されたものが対象ですので郵送や手渡しによる詐欺被害は対象とはなりません
 では、税法上の救済はあるのでしょうか。

2.国税不服審判所 2011(平成23)年5月23日裁決
①所得税法第72条「雑損控除」の対象外
  国税不服審判所は、2011(平成23)年5月23日に、振り込め詐欺被害に遭いだまし取られた金額分の損失は、所得税法第72条「雑損控除」の対象とはならないという裁決をしています。
 この案件は、事業所得を有する審査請求人が、2007(平成20)年の確定申告及び修正申告をした後に、振り込め詐欺の被害に遭いだまし取られた金額分の損失が所得税法第72条「雑損控除」になるとして更正の請求をしたが、原処分庁が更正をすべき理由がない旨の通知処分に対して国税不服審判所に審査請求をしたものです。
 ②「災害または盗難もしくは横領」には該当しない理由
 ㋑ 震災、風水害、火災などの自然現象や生物による災害に該当せず、たとえだまされて錯誤に陥り振込みをしたのであっても、審査請求人の意思に基づく行為であるから人為による災害にも該当しないため、「災害」に該当しない。
 ㋺「盗難」は財物の占有者の意に反する第三者による当該財物の占有の移転であるが、審査請求人である占有者の意思により振込みが行われたため「盗難」に該当しない。
 ㋩「横領」は、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をすることと解されるが、所有権は審査請求人が振込みを終えた時点で占有とともに犯人側へ移転したと認められ、犯人が審査請求人の物の所有者ではないため「横領」には該当しない。

 以上のように、国税不服審判所は振り込め詐欺による被害は雑損控除に該当しないという裁決をしましたので税法上の救済はありません。ポイントは「被害者の意思に基づく」か否かということです。国税不服審判所が公表している裁決事例の中で、盗まれた通帳と印鑑により預金が引き出された被害が雑損控除に該当する理由として「被害者の意思に基づかない」事由によるため「盗難」に該当するためとしています。
 振り込め詐欺による被害額は昨年同時期より若干減少してはいますが、手口は年々巧妙になっていていつ自分が被害に遭うかわかりません。被害を未然に防ぐことがなによりです。税制上の救済がないので、自分の身は自分で守らなければならないのですから。

         参考資料  振り込め詐欺救済法の概要等 消費者庁
               国税不服審判所 公表裁決事例等の紹介
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| 所得税・所得控除及び税額控除 | 09:53 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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国税通則法第99条改正内容とは

     -国税通則法第99条改正内容とは-

 2014年2月28日戦後3番目に早い、平成26年度予算案が成立したことはご存知の通りです。そしてそれに伴い平成26年度税制改正案も3月20日に可決成立しました。
今回の税制改正のうち、国税に関する不服申立て制度の関係では、国税庁長官の法令解釈と異なる解釈等による裁決手続きが、改正になっています。これは行政不服審査法の抜本改正に伴い公正性を高める趣旨から改正が行われたものです。

まず国税通則法第99条とはどのような条文なのでしょうか?  以下条文を見てみます。
<国税通則法第99条 国税庁長官の指示等>
「1 国税不服審判所長は、国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈と異なる解釈により裁決をするとき、又は他の国税に係る処分を行なう際における法令の解釈の重要な先例となると認められる裁決をするときは、あらかじめその意見を国税庁長官に申し出なければならない。
2 国税庁長官は、前項の申出があつた場合において、国税不服審判所長に対し指示をするときは、国税不服審判所長の意見が審査請求人の主張を認容するものであり、かつ、国税庁長官が当該意見を相当と認める場合を除き、国税審議会の議決に基づいてこれをしなければならない。」

即ち、現行法では国税不服審判所長から意見の申出があった場合には、国税庁長官は国税審議会の議決に基づき国税不服審判所長に対し指示等を行なっていますが、今回この指示等を廃止します。
改正後は国税庁長官の指示等に変わり、国税審判所長が異なる法令解釈による裁決又は重要な先例となる裁決をするときはその意見を国税庁長官に通知。国税不服審判所長の意見が審査請求人の主張を認容し、かつ国税庁長官が意見を相当と認める場合を除き、国税庁長官は国税不服審判所長と共同して意見を国税審議会に諮問し、国税審議会が議決する。その議決に基づき、国税不服審判所長は裁決する仕組みとしています。
そして施行予定日は、2014年4月1日からとされています。

次に、国税審議会とはどのような組織なのかも見ておきましょう。管轄は国税庁にあり、財務省設置法第21条に基づき、平成13年1月6日に設置されました。委員の定数は20人以内であり、学識経験者が委員となり、任期は2年です。
掌握事務としては、
1、 法令解釈により国税庁長官から意見を求められた事項の調査審議。
2、 税理士試験の執行及び税理士の懲戒処分等の審議
3、 酒税保全のための種類の製法・品質の表示基準や重要基準の審議   等です。

詳しくはHPがあるので以下参照してください。
http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/shingi-kenkyu/kenkyu.htm

 国税審議会は、従前まではそれほど活用されて来ませんでした。
今回の一連の行政不服審査制度の改正によって、国の行政処分の見直しに、国税審査会の活用が今後進むことを期待したいものです。

        文字色参照;「週刊税務通信N3304」 2014.3.24号

| 税制改正 | 09:16 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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平成26年度 税制改正

平成26年度の税制改正について消費税が大きく報じられていますが、相続税にも大きな改正がなされました。
今回は”消費税”と”相続税”の2つの税をピックアップしました。
下記画像をご参照ください。

H26税制改正
H26税制改正2

| 税制改正 | 18:18 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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理由付記に不備があるとした事例

         理由付記に不備があるとした事例
         ( 平成25年3月28日裁決事例)


今回は、裁決事例集の中から、理由付記に不備が認められた事例に関しての内容を紹介いたします。

青色申告の承認の取消処分に係る通知書に記載された理由からは、いかなる事実が取消事由に該当するのか了知し得るものとはいえないから、理由付記に不備があるとした事例

《要旨》
 原処分庁は、青色申告の承認の取消通知書(本件取消通知書)に、請求人が受領した中間金と仲介手数料を総勘定元帳の売上勘定に計上しなかった行為は、法人税法第127条《青色申告の承認の取消し》第1項第3号に規定する「帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し又は記録し、その他その記載又は記録をした事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があること」に該当する旨記載しており、請求人がこれにより不服申立ての便宜を損なうことのない程度に具体的事実を摘示していることから、法人税法第127条第2項の要件を充足している旨主張する。
 しかしながら、本件取消通知書の記載内容からは、いかなる事実が「隠ぺい」又は「仮装」であるとするのか具体的に特定して摘示しているとはいえないことに加え、原処分庁が中間金の額を売上げに計上すべきと判断した理由も何ら摘示されていないと認められるから、本件取消通知書の記載内容からは、中間金がいかなる事実関係により売上げに該当するとしているのか了知できないばかりか、中間金及び仲介手数料の額を売上勘定に計上しなかったことが、法人税法第127条第1項第3号に規定する「帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し又は記録し」たこと、又は「記載又は記録をした事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があること」のいずれに該当するのかについても了知することができないものと認められる。したがって、本件取消通知書は、いかなる事実が法人税法第127条第1項第3号に該当するとして青色取消処分がなされたかを請求人においてその記載自体から了知し得るものということはできないから、同条第2項の定める理由付記の要件を欠くものであるとするのが相当である。

《参照条文等》
 法人税法第127条
《参考判決・裁決》
 最高裁昭和49年4月25日第一小法廷判決(民集28巻3号405頁)

| 国税通則法 | 13:24 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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平成26年度税制改正 調査の事前通知は税理士のみでも可能に!

2014(平成26)年7月1日より実施

納税環境整備に関する国税通則法の改正を含む「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」(平成23年法律第114号)が、平成23年11月30日に成立し、同年12月2日に公布されました。
 この改正により、調査手続の透明性と納税者の方の予見可能性を高めるなどの観点から、税務調査手続について現行の運用上の取扱いが法令上明確化されるとともに、全ての処分(申請に対する拒否処分及び不利益処分)に対する理由附記の実施及び記帳義務の拡大等が定められ、税務調査手続の法定化及び理由附記の実施に係る規定については、平成25年1月1日から施行されています。(国税庁ホームページより)
 事前通知に関する規定については、次のように改正されました。
 
【事前通知に関する規定】
 ①誰に通知するか
 納税義務者
 税務代理権限を証する書面を提出している税務代理人がいる場合にはその代理人
②何を通知するか
 質問検査等を行うこと
 日時、場所、目的、対象税目等の10項目
③事前通知が行われない場合
 実地の調査以外の調査
 事前に通知をした場合の調査に支障が生じると認められる場合
④事前通知の書面で行われるとの要件が削除された

この改正により、調査の事前通知は原則納税義務者であり、税務代理権限を証する書面を提出している税務代理人がいる場合に限りその代理人にも通知することになりました。また、事前通知の書面で行われるという要件が削除されたため、電話により通知が行われることとなりました。このため、納税義務者にとっては調査に関する10項目の通知内容を電話にて理解しなければなりませんし、通知する国税側でも10項目のうち1つでも洩れがあれば事前通知が成立しないためご苦労されているようです。
そこで、現場の状況を勘案し、平成26年度税制改正大綱の「納税環境整備」の中で次のような規定を定めています。
4.その他
(国 税)
(5)税務代理人がある場合の調査の事前通知について、納税者本人の同意がある場合として税理士法第30条の規定による書面にその旨の記載がある場合には、当該納税者への通知に代えて、税務代理人への通知ができることとする。
(注) 上記の改正は、平成26年7月1日以後に行う事前通知について適用する。
(地方税)
(1)税務代理人がある場合の調査の事前通知について、納税者本人の同意がある場合として税理士法第30条の規定による書面にその旨の記載がある場合には、当該納税者への通知に代えて、税務代理人への通知ができることとする。
(注) 上記の改正は、平成26年7月1日以後に行う事前通知について適用する。

 つまり、税務代理権限証書(税理士法第30条の規定による書面)の中に、事前通知について「当該納税者への通知に代えて、税務代理人への通知すること」を納税義務者が同意する旨の記載があれば、税務代理人にみに通知ができることとなりました。
 この規定は本年(2014年)7月1日以後に行われる事前通知から適用され、地方税に関しても同規定が定められています。
 この改正により、納税義務者と国税側の双方での負担軽減に繋がるのではないかと思われます。今後は税務代理人と事前通知に関する確認を行い税務代理権限証書への同意する旨の記載をお忘れなく。

         参考資料  国税通則法 第7章の2 国税の調査
               平成26年度 税制改正大綱
               国税庁ホームページ
              「納税環境整備に関する国税通則法等の改正」について

| 税制改正 | 11:11 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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国民年金差し押さえ

いよいよ国民年金滞納者へ差し押さえ開始! 
   差し押さえ対象は、年収1,000万円超の高所得層!

 厚生労働省は、国民年金保険料の納付率を高めるための対策をとりまとめた。
所得400万円以上で保険料未納月数13ヶ月以上のすべての人を対象に財産の差し押さえを行う方針を決めた。

 厚労省によると、‘所得400万円以上で、保険料未納月数13ヶ月以上’である強制徴収の対象になる人は、推計で14万人になる見込みとしている。日本年金機構の職員は滞納者の財産を差し押さえる法的な権限をもっていたが、年金記録問題への対応に追われて人員が不足していることなどを理由に、滞納保険料全体の0.2%程度しか強制徴収を実施していなかった。一方で、保険料を払う余裕が乏しい低所得者向けに納付を猶予する制度を拡大する。現在は20代に限っては本人と配偶者の所得が2人とも57万円以下の場合、保険料の納付を猶予する制度がある。16年7月からは30~40代にも対象を広げる。猶予期間は年金受給額に反映されないが、受給に必要な加入期間(25年間)には算入できる。    
 所得が増えてから10年以内に保険料を追納すれば、将来の受給額も増やせる。納付機会も増やす。保険料を支払えるのは納付期限から原則2年間。15年9月までは特例として10年間分の納付を認めてきたが、同年10月以降も5年間分を納付できるようにする。国民年金法改正案を24日召集の通常国会に提出され、早期成立を目指す。 国民年金の納付率は12年度に59%と、目標の60%を下回った。07年に発覚した「消えた年金」問題で制度への不信感が広がったほか、非正規雇用が増えているためだ。納付率が低いことを理由に若年層を中心に公的年金制度への信頼が薄れていることも追い打ちをかけている。

 機構は2007年に発覚した年金記録問題以降、その対応に追われていたが、13年度で一区切りを迎えたことで、差し押さえを‘強化’することにしたのである。
 14年度からは機構の人員を滞納者への強制徴収に振り向け、また予算も拡充することで納付率上昇に本腰をいれる意向である。14年度予算案で、‘国民年金保険料の納付率向上策’92億6,000万円のうち‘督促の促進及び強制徴収体制の強化’への予算額を昨年度9.8億円から53.5億円に大幅に増加することにした。
厚労省の度重なる督促にも応じない滞納者への徴収対策のスキームは、第一に滞納者に対して、電話、戸別訪問などで納付を促す。それでも応じない場合は‘最終催告状’‘催促状’を送り、‘納付時効’を停止するという段階を踏む。そして最終手段として年金機構の職員が銀行口座や有価証券、自動車など財産を調査し、滞納者が処分できないように差し押さえる。12年度は最終催告状が6万8974件、督促状が3万4046件、財産差押が6208件だった。
また、保険料を払えるのは納付期限から原則2年間ですが、15年9月までは特例で10年間分の納付を認めている。さらに15年10月以降も5年間分を納付できるようにする。
 国民年金改正法案を今通常国会に提出している。財産の差押えは今年4月から実施する。
 厚労省事業管理課は、14万人が対象になるが、これまで年金記録問題の対応に追われてできなかったとしている。所得400万円以上の方々と聞くと、多くの人が対象になるかと思うが、所得400万円は収入から控除された金額となるので、年収が1,000万円を超える方々が対象となる。

(参考)
2010年度  2011年度  2012年度
文書・電話・戸別訪問(累計)  5475万件  7104万件  1億353万件
                         ↓
度重なる督促にも応じない
                     ↓
強制徴収の実施
最終催告状         2万4232件   3万45件  6万8974件
督促状            1万583件  1万7615件  3万4046件 
財産差押            3379件    5012件    6208件

          (参考:月刊 社長のミカタ 3月号、厚労省H・P)
 

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