税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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「消費税の円滑かつ適正な転嫁の徹底について」要請文を発送

消費税転嫁拒否等の有無についての調査結果を踏まえて
 2013(平成25)年11月に公正取引委員会及び経済産業省が行った消費税の転嫁拒否等の有無についての調査について、2014(平成26)年1月14日に結果が公表されました。調査対象となったのは15万事業者で、回答内容について情報管理を徹底し、秘密を厳守する旨を調査票に記載した上で回答の依頼をしたところ10,209件の回答が寄せられました。
また、調査結果を踏まえ、建設業、製造業、卸売業、小売業に係る575の業界団体に対して、同日付で、消費税の円滑かつ適正な転嫁の徹底について「消費税の円滑かつ適正な転嫁の徹底について」という文書で要請しました。
(1)調査結果
①「既に転嫁拒否を受けている」または「今後転嫁拒否を受けることを懸念している」と回答した事業者(売り手側)は750社ありました。その事業種は次の通りです。
 ・建設業     :229社(30.5%)
 ・卸売業・小売業 :160社(21.3%)
 ・製造業     :109社(14.5%)
 ・その他     :194社(25.9%)
 ・業種等不明   : 58社( 7.7%)
②建設業229社についての拒否行為の内容については515件あり、その内訳は次の通りです。
 ・減額        :170件
 ・買いたたき     :159件
 ・利益提供要請    : 85件
 ・本体価格での交渉拒否:101件
③「既に転嫁拒否を行っている」とされる、または「今後転嫁拒否を行う」ことを懸念されている事業者(買い手側)は268社ありました。その事業種は次の通りです。
 ・建設業     :69社(25.7%)
 ・卸売業・小売業 :63社(23.5%)
 ・製造業     :60社(22.4%)
 ・その他     :76社(28.4%)
④建設業69社についての拒否行為の内容については128件あり、その内訳は次の通りです。
 ・減額        :45件
 ・買いたたき     :49件
 ・利益提供要請    :18件
 ・本体価格での交渉拒否:16件

(2)消費税の円滑かつ適正な転嫁の徹底について(重点要請)
経済産業大臣、国土交通大臣及び公正取引委員会委員長の3者の連盟により、消費税の円滑かつ適正な転嫁のために遵守すべき事項と違反行為に対する対処を示し、転嫁拒否等の違反行為を行うことがないよう要請をしています。
①特定事業者(転嫁拒否をする側)が遵守すべき事項
 特定事業者は、次の㋑~㋭までの行為を行ってはいけません
 ㋑減額
  商品又は役務について、合理的な理由なく既に取り決められた対価から事後的に減じて支払うこと
 ㋺買いたたき 
  商品又は役務の対価について、合理的な理由なく通常支払われる対価よりも低く定めること
 ㋩商品購入、役務利用又は利益提供の要請
  商品又は役務について、消費税率引上げ分の全部又は一部を上乗せする代わりに、商品を購入させ、役務を提供させまたは経済上の利益を提供させること
 ㋥本体価格での交渉の拒否
  商品又は役務の供給の対価に係る交渉において消費税を含まない価格を用いる旨の申出を拒むこと
 ㋭報復行為
  ㋑から㋥に掲げる行為があるとして、公正取引委員会、主務大臣又は中小企業庁長官に対しその事実を知らせたことを理由として、取引の数量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取扱いをすること
②違反行為に対する対処
転嫁対策特別措置法に違反するおそれのある事業者に対して
㋑帳簿書類その他の物件の調査を行う
㋺違反行為があれば迅速に対処する
㋥消費税の円滑かつ適正な転嫁を阻害する重大な事実があると認める場合には公正取引委員会が事業者に対して勧告を行い、その旨を公表する

公正取引委員会を中心に消費税転嫁拒否に対する断固とした国の姿勢を示しています。ただし、15万事業者に対する調査に対しても回答は10,209件であり、報復行為等恐れて声を挙げることの難しさがこの結果にも表れているようです。
公正取引委員会では、既に転嫁拒否の疑いのある事業者に対して立入調査を開始しており、調査の結果違反行為があれば消費税の転嫁拒否等に対する不利益の回復などの必要な改善指導を行っています。また、違反を未然に防ぐために説明会を行ったり、情報収集のための広報活動を今後も行うとしています。
こうした政策の効果がはっきり表れるのは4月以降の消費税増税後ということになりそうですが、鍵を握るのは国側の強い本気の姿勢ですのでお題目を掲げるだけに終わらないこと切に願うものです。

      参考資料  消費税の円滑かつ適正な転嫁の要請等について
            消費税の円滑かつ適正な転嫁の徹底について(重点要請) 
                              (公正取引委員会)
            消費税の転嫁拒否に関する15万件調査結果
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| 消費税法 | 10:02 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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家事関連費

 厳格さが要求される「家事関連費」

1月も下旬になり、そろそろ確定申告の準備をされている方もいらっしゃるかと思います。
今回は確定申告を前にして、個人事業主の方への注目される判決が出ましたので、ご報告いたします。

東京地裁2013年(平成25年)10月17日付判決で、自宅で保険代理店を営む納税者が支払う家賃を必要経費とは認めないとした事案の判決が出ました。ただしその後、高等裁判所へ控訴しているかは不明です。

1.事実関係
今回の事案は、納税者が月17万円で賃借していた本件住宅において、生命保険の代理店を営んでいた。建物は居住用の2階建て3LDK住宅であり、建物の構造上「事業部分」と「居住用部分」とに区分は出来なかった。
1階はリビング・ダイニングキッチン25㎡部分を業務専用部分とし、トイレ・浴室は入れていない。2階は洋室が3部屋ありその内の1部屋(9㎡)を業務用部分とし、その他2部屋は業務用部分には入れていない。
納税者の主張は、「1階はビジネス専用の集会場であり、2階の洋室のうちの1部屋は業務専用のスペースとして常時使用していたため、それらの面積に対応する家賃は必要経費に該当する」としていた。

2.東京地方裁判所の判決
本件住宅について全体として居住の用に供されるべき3LDKの2階建て住宅であり、その構造上、本件住宅の一部を居住用部分と事業用部分とに明確に区分することが出来る状態にないことは明らかであると指摘した。また、リビングなどを業務専用スペースとして常時使用し、それ以外の用向きには使用していなかったとは考えられないと指摘している。そのうえで本件住宅のうちリビングなどが業務専用スペースとして使用されていたことを前提に、その面積に対応する家賃を業務の遂行上必要なものとして経費に算入することは出来ないとした。

3、考察
 今回の事案は「家事関連費」の内、必要経費がどこまで認められるかを争った事案である。
今回問題になったのは1階のリビングである。そして更に、ダイニングキッチン部分も業務上の必要経費部分に計上していたことである。
個人事業者が自宅兼事務所として使用し、その一部を必要経費として処理していることは珍しくない。ただし、この場合でも家事部分と業務部分の区分については業務の内容、経費の内容、家族及び使用人の構成、家屋内のその他資産の利用状況等を総合勘案して「合理的に区分」することを求めている。

家事関連費に関しての根拠条文としては次のものがある。
家事上の経費及び家事上の経費に関連する経費は、原則として必要経費に算入することはできない。(所得税法45条1-1)
ただし所得税法施行令96条において、家事上の経費に関連する経費のうち、次のものは必要経費に算入することが出来るとされている。
即ち、「その主たる部分が業務の遂行上必要であり、かつその必要である部分を明らかに区分できる場合のその部分に相当する経費」としている。
更に所得税基本通達45-2では、「主たる部分が業務の遂行上必要」であるかどうかは、支出する金額のうちその業務の遂行上必要な部分が50%をこえるかどうかにより判定する。ただし、その必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要ある部分を明らかに区分することが出来る場合には、その必要である部分に相当する金額を必要経費に算入しても差し支えないとしている。

以上のことから家事関連費は原則的には、
 主たる部分が業務の遂行上必要であること
②  その部分が明らかに出来ること。  
③  そして、合理的な区分と計算がされていること。  が必要と考えられる。  

今回の事案も上記のような具体性のある説明や区分計算が合理性を欠いていたものと考えられる。

今年の確定申告は2月17日(月)から3月17日(月)までである。皆さん慌てることなく正しい確定申告を早期に提出したいものです


             参考:T&A Master No531 2014.1.20号

| 所得税・所得控除及び税額控除 | 07:47 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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消費税増税後の景気対策

消費税増税後の景気対策
車体課税の見直し、でも駆け込み需要に歯止めが掛からず


 政府・与党は2013(平成25)年12月12日に26年度税制改正大綱を発表しました。
2014(平成26)年4月1日からの消費税の増税による景気の落ち込みを見越しての手当ても一部盛り込まれることになり、住宅関連については昨年紹介しました。
 現在、中古車市場が活気を帯びてきています。2014(平成26)年3月31日までに納車された場合に限り消費税は現行の5%となりますが、新車の場合3月31日までの納車は難しいことから、契約後2週間程度で納車が可能となる中古車に人気が集中しているのです。
 増税前の駆け込み需要の対策が十分ではないと判断された結果といえるのですが、その対策を確認してみましょう。

(1)自動車重量税(国税)
①エコカー減税の拡充(減税)
 ㋑概要
 自動車重量税のエコカー減税について、2014(平成26)年4月1日以後に新車に係る新規検査の際に重量税を免除された自動車については、最初の継続検査の際に納付すべき自動車重量税が免税となります。(現行50%減税)
 ㋺対象車
 電気自動車、燃料電池自動車、プラグイン・ハイブリッド自動車、グリーンディーゼル自動車、天然ガス自動車
 2015年度燃費基準+20%超達成車
②経年車に対する課税の見直し(増税)
 2014(平成26)年4月1日以後に継続検査を受ける自家用車のうち新車登録から13年を経過したもの(新車登録から18年を経過したものを除く)に係る自動車重量税については、2014(平成26)年4月1日以後と2016(平成28)年4月1日以後との2段階により増税となります。

(2)自動車取得税(地方税)
①税率の引き下げ(減税)
 2014(平成26)年4月1日以後に取得される自動車に対する自動車取得税の税率が、次のように引き下げられます。
  自家用自動車 (軽自動車を除く)  5% ⇒ 3%
  営業用自動車          3% ⇒ 2%  
②エコカー減税の拡充(減税)
 2014(平成26)年4月1日以後に取得される自動車(新車に限る)については、自動車取得税のエコカー減税については、軽減割合が次のように拡充されます。
  2015年度燃費基準+20%超達成車  75% ⇒ 80%
  2015年度燃費基準車        50% ⇒ 60%
③消費税率10%への引き上げ時
 2015(平成27)年10月1日以後に取得する自動車については、自動車取得税は廃止される予定となっています。

(3)自動車税(地方税)
①概要
 「自動車税のグリーン化」について見直しを行った上で、2年間延長されます。
②環境負荷の小さい自動車に対する見直し(減税)
 2014(平成26)年度及び2015(平成27)年度に新車登録された自動車で、次に掲げる対象車については、登録の翌年度の税率が次の割合で軽減されます。
 ㋑(1)①㋺の対象車 ※         75%
※ 2015年度燃費基準+20%超達成車については、2020年度燃費基準を達するものに限られます
 ㋺2015年度燃費基準+10%超達成車    50%    
③環境負荷の大きい自動車に対する見直し(増税)
 2014(平成26)年度及び2015(平成27)年度に以下の年限を超えている自動車(電気自動車等一定のものを除く)について、その翌年度から次の割合で重課されます。
 ㋑11年を経過したディーゼル車(バス・トラック)       10%
 ㋺11年を経過したディーゼル車(バス・トラック以外)     15%
 ㋩13年を経過したガソリン車・LPG車(バス・トラック)   10%
 ㋥13年を経過したガソリン車・LPG車(バス・トラック以外) 15%
④参考 「自動車税のグリーン化」
 排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車は税率を軽減し、新車新規登録から一定年数を経過した環境負荷の大きい自動車は税率を重くする特例措置をいいます。

(4)軽自動車税(地方税)
①四輪以上及び三輪の軽自動車に係る軽自動車税の税率については、2015(平成27)年4月1日以後に新規取得する新車について次のように増税されます。
  ㋑四輪以上 乗用・自家用      7,200円 ⇒ 10,800円
        乗用・営業用      5,500円 ⇒  6,900円
        貨物用・自家用     4,000円 ⇒  5,000円
        貨物用・営業用     3,000円 ⇒  3,800円
  ㋺三輪               3,100円 ⇒  3,900円
②最初の新規検査から13年を経過した四輪以上及び三輪の軽自動車に係る軽自動車税の税率については、2016(平成28)年度分以後に次のように増税されます。
  ㋑四輪以上 乗用・自家用      7,200円 ⇒ 12,900円
        乗用・営業用      5,500円 ⇒  8,200円
        貨物用・自家用     4,000円 ⇒  6,000円
        貨物用・営業用     3,000円 ⇒  4,500円
  ㋺三輪               3,100円 ⇒  4,600円
③原動機付き自転車及び二輪車に係る軽自動車税の税率については、2015(平成27)年度分以後に次のように増税されます。
  ㋑原動機付き自転車  50cc以下       1,000円 ⇒ 2,000円 
             50cc超90cc以下   1,200円 ⇒ 2,000円
             90cc超125cc以下 1,600円 ⇒ 2,400円
             ミニカー       2,500円 ⇒ 3,700円
  ㋺二輪の軽自動車   125cc超250cc以下  2,400円 ⇒ 3,600円
  ㋩二輪の小型自動車  250cc超        4,000円 ⇒ 6,000円
             
 車体課税に関しては、日本自動車連盟や全日本トラック協会などから、自動車取得税・自動車重量税の廃止ないしは軽減を含めた要望書が出されていますが、今回の改正では消費税との2重課税に対する見直しが十分といえるものではないようです。また、増税という手段により新車への買換えを促すという手法や軽自動車に対する増税には批判があるようです。
消費税率10%引き上げ時には再度の見直しが考えられますが、消費税増税後の消費の落ち込みへの手当てに対する消費者の判定が今回の駆け込み需要であることを鑑み、なお一層の配慮が求められます。


参考資料  平成26年度 経済産業関係 税制改正について
(経済産業省)
  平成26年度税制改正大綱

| 税制改正 | 18:58 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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偽装献金と政治家の実態

偽装献金と政治家の実態!

 またまた偽装献金の問題が話題になった。1月12日(日)付けの読売新聞の朝刊に載っていた松木前議員の偽装献金の暴きの記事である。
 政治献金規制法違反の疑いが浮上したのだ。元農水政務官で前衆院議員の松木謙公の親族企業が、松本氏の3つの政治団体に対し、実際には企業の資金で献金したのに、取引先経営者らの個人名義に偽装していたことが分かったのである。 こうした名義借り献金は2011年までの6年間で約20人分、計約1億円に上る。他人名義の献金や資金管理団体への企業献金を禁止した政治資金規正法に違反する可能性が高い。札幌国税局が昨年1月から親族企業や個人献金の‘名義人’を一斉調査して判明したものである。名義借りの献金は過去にも、鳩山元首相の偽装献金事件などで問題となったが、もっと悪質なのは、今回は名義人約20人のうち約10人が、松本氏の政治団体が発行した領収書を使って所得税計約2,000万円の不正還付も受けていたことである。
 この親族企業は松本氏の父親が社長を務め、建設や教育関係の日刊紙を発行する北海道通信社グループである。松本氏も同社副社長に就いている。
 関係者によると、グループは役員らに支払った報酬の一部をバックさせ、松木氏の父親が現金や自分の口座などでプールしていた。その後、プール金を取引先経営者らの名義に分散し、松本氏の資金管理団体‘新世紀研究会’や、松本氏が11年まで代表を務めた‘民主党北海道第12区総支部’など3団体に献金していたものである。
 名義人の取引先経営者の中には、領収書を受け取って初めて献金を知った人もいて、グループ元役員は取材に‘社長から「個人の献金額に上限があって息子に金を出したくても出せない」と言われ、名義人を探すよう頼まれた’と証言したという。
 政治献金規正法は、資金管理団体に対する個人献金の上限を年間150万円、政党支部は2,000万円に制限されている。資金管理団体への企業献金を禁じ、政党支部の企業献金には資本金に応じた上限額を設けている。
札幌国税局は、グループが規正法を免れえるため約2億円をプールし、取引先経営者らの名義で献金していたと認定した。約2億円を役員らの報酬に仮装して損金計上していて所得隠しにあたると指摘し、重加算税を含め約5,000万円を追徴課税したのである。
 グループは指摘を受け入れ、修正申告した。不正還付を受けていた名義人も還付を返したという。プール金はグループ役員ら名義の献金にも充てられたが、役員の大半は税務調査に‘自分の意思で献金した’と答えたという。
 このようなことをしている政治家を野放しにしている国民の責任を痛感する。
 選挙のときはへりくだり、1票のために声をからす。しかし、一旦当選すると徐々に悪巧みを覚え、あの手この手で悪事を働く。今も昔も権力を持った人間の変わらない‘カネ’への執着があるのだろう。税務を業とするものとしてこのようなことを許してはいけないと思うし、まだまだ税金の不祥事に対する罰が甘いと考えざるを得ない。
 先ごろ、5,000万円を徳州会から借入を受けた元都知事の事件もあった。発覚すれば返せばいいという問題ではない。結局、‘カネ’を持っている人は、‘カネ’で解決すれば済むと思っているし、発覚しなければ儲けものと思っているとしか思えない。
 きちんと責任を取らせる法を作るのが大事ではないか。
今後、アベノミクスで経済は良くなるといっている政治家が多いが、1国民として騙されないように見守っていきたい。 

| 財政・税務 | 13:53 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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総合主義から帰属主義へ

      国際課税の流れが日本にも
      -総合主義から帰属主義へ-

 2013年12月12、与党より公表された平成26年度税制改正大綱の中で特に注目されるのが「外国法人の国際課税原則の見直し」が図られたことである。
今回の改正内容は、外国法人に対する課税原則である「総合主義」から「帰属主義」文字色へ改められる事になったものである。
現在、日本の国内法である法人税法141条や所得税法164条の規定では日本で稼ぎ出されたすべての所得を恒久的施設(PE=Permanent Establishmentと言う)の所在地国において合算して課税するという総合主義(全所得主義)を採用している.
一方、我が国では租税条約においては、PEに帰属する利得についてのみ内国法人等と同様に総合課税にするという帰属主義を採用してきた。
今回これを国内源泉所得という枠ではなく、日本国内に所在するPEに帰属する所得の全てを課税対象とする帰属主義に改めるということである。
(改正の背景)
OECDは2010年に、従来のモデル租税条約7条が改正され、PEに帰属すべき利得の算定方法を定式化したモデル租税条約新7条ができた。この新7条の導入によって、我が国の国内法も帰属主義へ見直しの機運が高まったのである。そこで導入のため我が国の国内法である法人税法及び所得税法を今回改正するにいたったのである。

(改正内容)
1国内源泉所得の範囲
我国の国内法では、我が国にPEを有して事業活動を行う外国法人については、すべての国内源泉所得が総合課税の対象とされる。他方で現在、我が国が締結するすべての租税条約では、PE帰属所得についてのみ総合課税することが認められている。これは国内法に対し租税条約が法律的に上位優先(尚、最高法規は憲法である)することから、実際に我国が総合課税できるのは、国内源泉所得のうちPE帰属所得に該当するもののみとなる。このため、外国法人の本店がPEを通さずに我が国に直接投資して得る所得は、国内源泉所得であるが、PEに帰属する第三国源泉所得(第三国において課税されているもの)は、条約上PE帰属所得として我が国に課税権が認められるものの、国内源泉所得には該当しないため課税できてない。
今回の帰属主義への見直しにより、従来原則課税していなかったPEに帰属する国外源泉税(PEが第三国の国債に投資して得た利子等)について「PE帰属所得」として総合課税とし、またPE非帰属国内源泉税(外国本店がPEを通さずに直接我が国の株式に投資して得た譲渡利益等)については申告対象外となる。
2. PE帰属所得の算定
① PE帰属所得とは
 PE帰属所得は、外国法人のPEが本店等から分離・独立した企業であると擬制した場 合に当該PEに帰せられるべき所得とする。
② 内部取引とは
 PE帰属所得の算定においては、外国法人のPEと本店等との間の内部取引について、移転価格税制と同様に、独立企業間価格に基づく損益と認識する。
③ PEへの資本の配賦及びPEの支払利子控除制限
 外国法人のPEが本店等から分離・独立した企業であると擬制した場合に帰せられるべきPE帰属資本をPEに配賦する。また、外国法人のPEの自己資本相当額がPE帰属資本の額に満たない場合には、外国法人のPEにおける支払利子総額(外国法人のPEから本店等への内部支払利子及び本店等から外国法人のPEに費用配賦された利子を含む。)のうち、その満たない部分に対応する金額について、PE帰属所得の計算上、損金の額に算入しない。
3.外国法人に係る外国税額控除制度の創設
外国法人のPEのための外国税額控除制度を創設する。
4.内国法人の外国税額控除
内国法人が国外に有するPEに帰せられる国外PE帰属所得を国外源泉所得の一つとして定義し、内国法人の外国税額控除に関して国外PE帰属所得を算定する際には、上記に準じて内部取引等を勘案する。
5.その他の改正
① 文書化
 PEと本店等との間の内部取引の存否及び内容を明確にするための文書を作成し、税務当局からの求めがあった場合には遅滞なく提示し、又は提出しなければならないこととする。
② 個人課税
 非居住者である個人課税については、原則として、帰属主義に変更する外国法人に準じた取扱いとする。また、居住者である個人課税についても、原則として、帰属主義に変更する内国法人に準じた取扱いとする。
③国外関連者との取引に係る課税の特例(いわゆる移転価格税制)について、その対象となる非関連者を通じた取引の範囲に役務提供取引等を加える。

以上のような改正内容が含まれているが、今後まだまだ細かい内容の変更が加えられることになると思われる。
最後に、外国法人への所得算定に関する詳細な規定は租税条約ではなく、国内法(法人税・所得税)に依拠している為、今後の法令の解釈指針を進めるためにも早期の成立と詳しい内容の公表をしてもらいたいものである。なお、今回の改正の適用時期は2016年(平成28年)4月1日以後開始事業年度の法人税及び2017年(平成29年)度以後の所得税から適用になる。


           参考資料:T&AマスターNO529 2014.1.6号参照

| 税制改正 | 08:02 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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平成26年度税制改正大綱でNAISの使い勝手が改善

NISAがスタートして半月経過、まだまだ混乱も
2013年12月12日に税制改正大綱が公表され、NISA(少額投資非課税制度)に関する改正も盛り込まれました。昨年5月に当ブログにおいてNISAについて紹介しましたが、その際に使い勝手の悪さという問題点を紹介しました。
このうち、以下の2点が平成26年度税制改正大綱において改善されることとなりました。
①勘定設定期間(2014~2017年、2018~2021年、2022~2023)の4年または2年については、更新の手続は不要でも口座開設金融機関の変更ができない
改善1:一年単位でNISAの口座を開設する金融機関の変更を認めること

②一度開設した口座を廃止した場合には、同一勘定設定期間中は再度開設出来ない
改善2:口座を廃止した場合には、翌年以降に再開設することができる

(1)NISAの口座を開設する金融機関の変更
①金融商品取引業者等変更届出書の提出
 非課税口座を開設している者が、新たな金融機関に非課税口座を設定しようとする場合には、新たに設定しようとする年の前年10月1日から同日以後1年を経過する日(新たな金融機関に口座を開設しようとする年の9月30日)までに現在口座を開設している金融機関の営業所の長に『金融商品取引業者等変更届出書』(以下「変更届出書」という)を提出しなければなりません。
②非課税管理勘定廃止通知書の交付
 「変更届出書」の提出を受けた金融機関の営業所の長は、所轄の税務署長に対し、「変更届出書」を提出した者の氏名等一定の事項を提供しなければなりません。
 また、「変更届出書」を提出した者に対して、非課税管理勘定の廃止年月日、非課税管理勘定の再設定できる年等を記載した『非課税管理勘定廃止通知書』を交付することとなります。

(2)NISAの口座の廃止
①非課税口座廃止届出書の提出
 非課税口座を開設している者が、その非課税口座を廃止しようとする場合には、現在口座を開設している金融機関の営業所の長に「非課税口座廃止届出書」(以下「廃止届出書」という。)を提出しなけらばなりません。
②非課税口座廃止通知書の交付
 そして、その「廃止届出書」の提出を受けた金融機関の営業所の長は、所轄の税務署長に対し、「廃止届出書」を提出した者の氏名等一定の事項を提供しなければなりません。
 また、「廃止届出書」を提出した者に対して、非課税口座の廃止年月日、非課税口座の再開設又は非課税管理勘定が再設定できる年等を記載した『非課税口座廃止通知書』を交付することとなります。

(3)非課税口座の再開設又は非課税管理勘定の再設定
①非課税口座の再開設
 非課税口座の再開設をしようとする者は、「非課税口座開設届出書」に『非課税管理勘定廃止通知書』又は『非課税口座廃止通知書』(以下「廃止通知書」と総称する。)を添付して、再開設しようとする年の前年10月1日から同日以後1年を経過する日(再開設しようとする年の9月30日)までに再開設しようとする金融機関の営業所の長に提出しなければならりません。
②非課税管理勘定の再設定
 既に非課税口座を開設している者が、その非課税口座に非課税管理勘定の再設定をしようとする場合は、「廃止通知書」を再設定しようとする年の前年10月1日から同日以後1年を経過する日(再設定しようとする年の9月30日)までにその金融機関の営業所の長に提出しなければなりません。
③税務署長への提供
 「廃止通知書」の提出を受けた金融機関の営業所の長は、所轄の税務署長に対し、「廃止通知書」を提出した者の氏名等一定の事項を提供しなければなりません。
 この提供を受けた税務署長は、(1)②の「変更届出書」又は(2)②の「廃止届出書」に係る一定の事項の提供の有無を確認するものとし、確認した後に「廃止通知書」の提出を受けた金融機関の営業所の長に対して、次の事項の提供をするものとします。
㋑これらの届出書に係る一定の事項の提供がある場合(㋺に掲げる場合に該当する場合を除く)
 非課税口座の再開設又は非課税管理勘定の再設定をすることができる旨その他の事項
㋺これらの届出書に係る一定の事項の提供がない場合又は既に「廃止通知書」を提出した者の氏名等一定の事項を提供があった場合(重複での提供)
 非課税口座の再開設又は非課税管理勘定の再設定ができない旨その他の事項
④非課税口座の再開設又は非課税管理勘定の再設定
 ③㋑の提供を受けた金融機関の営業所の長は、非課税口座の再開設又は非課税管理勘定の再設定をするものとします。

(4)適用
 2015(平成27)年1月1日以後に、変更届出書又は廃止届出書が提出される場合に適用されます。

 NISAがスタートして半月が経過しました。2013年12月で証券投資優遇税制が廃止となり、軽減税率の廃止で譲渡益課税の税率は20.315%(復興特別税考慮後)に引き上げられ投資家からの注目が集まっています。
ただし、専用口座を1つしか持てないという点が認知されておらず、重複して口座を開設している投資家がいるため、金融機関は複数の口座の開設者への対応に追われているようです。今回の改正の他検討事項ということで引き続き検討するという内容も記載されています。
今回の改正により、投資家は毎年より魅力的な金融機関へと変更すること可能になったことから、今後は証券会社も顧客の獲得合戦が過熱することでしょう。





| 税制改正 | 09:30 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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[障害者」と「税」について

「障害者」と「税」について

今回は「障害者」と「税」に関する内容です。
税の世界では障害者の方にはどのような配慮がなされているのか見ていきたいと思います。
まず、障害者本人が受けられる特例として以下のようなものがあります。

1. 所得税の障害者控除(所得税法79条)
納税者本人が障害者である時は、障害者控除として27万円、又特別障害者のときは40万円が所得金額から引かれます。
2. 相続税の障害者控除 (相続税法19-4)
相続人が障害者である時は、85歳に達するまでの年数1年につき6万円、又特別障害者のときは12万円が障害者控除として、相続税額から差し引かれます。
3. 心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の非課税
地方公共団体が条例によって実施する心身障害者扶養共済制度に基づいて支給される給付金(脱退一時金を除く)
この給付金を受ける権利を相続や贈与によって取得したときも、相続税や贈与税はかからない。
4.少額預金の利子所得等の非課税 (所得税法10 措置法3.3-4)
ア.障害者等のマル優
この制度を利用できる人は、国内に住所のある個人で、障害者等に該当する人に限られています。この障害者等とは、 遺族年金を受けることができる妻である人、身体障害者手帳の交付を受けている人など一定の要件に該当する人をいいます。
 非課税の対象となる貯蓄は、預貯金、合同運用信託、特定公募公社債等運用投資信託及び一定の有価証券です。非課税となるのは、上記4種類の貯蓄の元本の合計額が350万円までの利子です。
イ 少額公債の利子の非課税制度 (障害者等の特別マル優)
この制度を利用できる人は、上記の障害者等のマル優の場合と同じです。
 非課税の対象となる貯蓄は、国債及び地方債です。 非課税となるのは、国債及   び地方債の額面の合計額が350万円までの利子です。これは、障害者等のマル優と別枠になっています。


4. 特定障害者に対する贈与税の非課税 (相続税法21-4)
障害を持った方(受益者)の生活の安定を図ることを目的に、その親族等(委託者)が金銭や不動産を信託会社等(受託者)に託すものです。
受益者は託された財産を管理・運営し、受益者の生活費や医療費となる配当金と定期的に公布します。この仕組みを利用すると、特別障害者は6000万円、それ以外の特定障害者は3000万円を限度として委託者から受益者への贈与税が非課税になります。このメリットは非課税措置が受けられるだけでなく、信託された財産は信託会社等によって安全に管理されます。そのため、万が一親族等が亡くなった場合でも、ひきつづき障害者の方に生活費や医療費等が信託会社等から定期的に交付されます。障害を持った方の将来の安定した生活を生前に準備することが可能となります。

5. 身体障害者用物品の消費税非課税 (消費税法施行令14-4)
義肢、盲人安全つえ、特殊寝台、改造自動車等身体障害者の使用に供するための特殊な性状・構造又は機能を有する一定の身体障害者用物品の譲渡、貸付は非課税。

それでは次に、障害者を扶養している方が受けられる特例を見ましょう。

所得税法では次の3つの区分の障害者控除が受けられます。
(所得税租税特別措置法41条16第1項)

    区  分        控 除 額
  障害者           27万円
  特別障害者        40万円

 同居特別障害者       75万円



最後に障害者の定義を確認しておいてください。
障害者とは、次に掲げるような心身に障害がある人を言う。
イ 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人(特別障害者にあた
る)   
ロ 精神保健指定などにより知的障害者と判定された人(重度の知的障害者と判定さ
れた人は特別障害者になる)
ハ 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人((障害等級が1級と記載されてい
る人は特別障害者となる)
二 身体障害者手帳に身体障害者として記載されている人(障害の程度が1級又は2
級と記載されている人は特別障害者になる)
ホ 戦傷病者手帳の交付を受けている人(障害の程度が恩給法に定める特別項症から
第3項症までと記載されている人は特別障害者となる)
へ 原子爆弾被爆者で厚生労働大臣の認定を受けている人(特別障害者になる)
ト いつも病床についていて、複雑な介護を受けなければならない人(特別障害者に
なる)
チ 精神又は身体に障害のある65歳以上の人で、その障害の程度がイ・ロ又はハに
掲げる人に準ずるものとして市町村長や福祉事務所長の認定を受けている人
(イ・ロ又はハに掲げる人のうち特別障害者となる人に準ずるものとして市町村長
や福祉事務所長の認定を受けている人は特別障害者になる)

| 所得税・所得控除及び税額控除 | 08:18 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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景気回復が持続60%

   景気回復はなるのか? 消費税引き上げの影響はいかに! 

今回は、読売新聞社の主要企業の経営トップ30人を対象に新春の景気アンケートを実施した記事を紹介します。(2014.1.3)
 上記のアンケート調査の結果、景気の現状について、29人が「回復している」と応えている。その結果、今後、半年程度の景気の先行きに関しても6割強の19人が‘穏やかに回復する’と予想し、景気回復が持続するとの見方が多かった。一方、‘足踏み(踊り場)状態になる’が8人、‘急速に悪化する’は2人、‘穏やかに悪化する’は1人だった。 4月の消費税率の引き上げが自社の業績に与える影響については、‘ほとんどない’が12人、‘ある程度の影響がある’が7人、‘大きな悪影響がある’が3人だった。
‘安倍政権や日本銀行が優先的に取り組むべき政策’(複数回答)として、‘成長戦略の速やかな実行’が19人。‘法人税の実行税率引き下げ’が15人、‘規制・制度改革’が14人で、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の「第3の矢」とされる成長戦略への期待が高かった結果となった。
 2014年の物価変動の影響を除いた実質経済成長率については、「0.5~1.0%未満」と予想した経営者が12人で最も多かった。「1.0~1.5%未満」が9人、「1.5~2.0%未満」が8人で続き、景気は穏やかな成長を続けるとの見方が大勢を占めている。
 安倍政権が最優先課題に掲げる‘デフレ脱却’の時期は、‘14年後半’が12人で最も多く、‘14年前半’が2人となり、年内に実現するとの見方が計14人と半数近くを占めている。アンケートは昨年12月に実施し、インタビューや書面で回答を得たものである。
 次に以上のことをポイントで詳細に記述している。

➀為替 円安の好影響 17人 現在の為替水準に関する問いに対し、‘ある程度の好影響がある’が16人、‘大きな好影響がある’が1人だった。円安水準が輸出企業などを中心に業績の改善につながっていることがうかがえるとしている。‘影響はほとんどない’は、8人、‘ある程度の悪影響がある’は1人だった。
 日本銀行の‘量的・質的金融緩和’による影響についても‘円安が進んだ’ことを挙げたのが28人で最も多く、日銀総裁の舵取りを好意的に受け止める経営者が多いようだ。自社にとっての望ましい円相場は、‘100~104円台’が8人、‘105~109円台’が3人、‘95~99円台’が2人で、多くの企業が100円前後の水準が続くことを望んでいるのである。

➁賃上げ 本格検討はこれから
 今年の春闘での賃上げについては、‘ベースアップ’を行うは1人、‘ベースアップは行わず、一時金での還元は2人だった。いずれも検討中を含む。’未定‘が14人で最も多かった。’‘ベースアップを行わず、一時金での還元も見送り’はゼロだった。‘その他’を選んだ中には‘ベースアップは前向きに検討中’(製造業)、‘定期昇給は実施、一時金は業績を勘案して検討’(鹿島)など、賃上げに前向きな意見もあったという。ただ、本格的な検討はこれからという企業が多く、賃上げの動きが広がるかどうか注目されるところである。
 2014年度の設備投資計画について、‘増やす’と答えたのは5人にとどまり、‘変わらない’も5人、‘減らす’は3人だったという。‘未定’は9人で、今後の需要動向を慎重に見極めようとしている姿勢がうかがえるのである。
 以上が掲載されていたものであるが、主要企業30社のアンケートでは、本当の実態がわかりかねると思う。
 中小・零細企業が経済を支えていることを考えれば、もっと厳しいアンケート結果になったと思う。実際、日本という国は、何か起きてから慌てて修正するという慣習をもっていることからみれば、消費税の引き上げがどのような影響を与えるかは実施してみないとわからない。机上の計算ではわからないのである。すでに、物価の上昇で苦しんでいる企業も多い。タクシー料金も初乗り730円になるそうだが、果たしてどうなるのか?
 今後の経済情勢を本当に注目し、早めの資金対策が必要になるのではないかという懸念だけが残る。

| 財政・税務 | 10:35 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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