税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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理由附記の制度の概要

今回は、理由附記の制度の概要について考えてみたい。

(1)特典としての理由附記について
 青色申告に対する更正は、納税義務者の帳簿書類の調査により所得金額等に誤りがある場合に行うことができ、その場合には理由附記をしなければならないとしている。
 法人税法130条②、所得税法第155条②等の各税法に理由附記をすることが規定されている処分については、従前のとおり当該規定に基づき適切に理由附記を行うこととなる。ただし、平成25年度の改正で、白色申告者も理由附記の対象となったことにも留意したい。
 これは、青色申告が、①一定の帳簿書類を備え、②漏れなく取引を記録し、③保存している者に認められ、青色申告の特典とされていたからである。
 更正通知書に理由を附記することは、税務署長の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服の申し立てに便宜を与えるためであると解されている。
 また、附記すべき理由は例文的・抽象的なものであってはならず、帳簿書類との関連において更正処分の具体的根拠をあきらかにするものでなければならないと考えられることから、理由附記は、単なる訓示規定ではなく、効力要件であり、理由を欠くあるいは具体的根拠が明らかでない場合にはその処分は違法となる。
 実際に、帳簿書類に記載された内容を否認する場合には、事実認定を争うことになり、税務官庁としては、否認の根拠を当該帳簿書類以上に信憑性のある資料を示すことで、理由を明らかにしなければならず、法解釈や適用を争う場合には、以上に示した理由附記制度の趣旨を充足する程度の更正の根拠を明らかにしなければならないと考えられている(最高裁判決 昭和38年5月31日)。
 
(2)理由附記の不備について
 処分の理由附記の記載の程度について争われた事例をあげて、更正通知書等にどの程度の理由を記載すべきかを確認してみたい。

①青色法人である請求人に係るH17年からH22年までの各事業年度について、法定申告期限までに確定申告を行っていたが、当該各事業年度に損金算入していた減価償却費に係る建物付属設備が架空資産であったことから、更正処分及び重加算税の賦課決定がおこなわれたことに対し、請求人は、同処分に係る更正通知書に附記された更正の理由に不備があるとして、処分の取り消しを求めたものである。

②請求人の主張
 請求人は、当該更正通知書には、「当該各建物付属設備が架空資産である」旨が記載されていますが、架空資産とする以上は、立証や論証によって、その判断を行った具体的な理由とすべきところ、それらの記載がない当該更正通知書は、青色申告法人に対する更正の理由附記の趣旨でもある不服申し立てに対する便宜を与えているとは言えないため、理由附記に不備があると主張したものです。 

③原処分庁の主張
 ②に対し、原処分庁は、請求人が架空の建物付属設備に係る減価償却費を計上していた事実を附記し、「架空資産に係る減価償却費は損金算入できない」という損金の額の範囲についての法的評価に対する見解を示しています。また、帳簿書類から架空資産であることが明確で、請求人においても、架空のものであることが認識できているのであり、本件更正処分は、帳簿書類を無視して行ったものではないことから、当該更正通知書に架空であることの理由を附記する必要に認められないと主張したのである。

④審判所の判断
 これについて審判所は、記載すべき理由附記程度について、「青色申告に対する更正処分の態様が①帳簿書類の記載事態を認めないで更正を行う場合、②事実に対する法的評価につき納税者と見解を異にして更正処分を行う場合、など様々であるところ、法人税法第130条第2項の規定の趣旨と更正処分の具体的な態様に照らして決定されるべき」であるとしたうえで、それぞれの場合について、次のように示したのである。
①の場合、単に更正に係る勘定科目とその金額を示すだけでなく、更正を行った根拠を帳簿記載以上に信憑性のある資料を提示することで具体的に明示する必要があるとし、
②の場合、それがどのような事実に対する法定評価であるかを明確に判別することができる程度に理由が捧持されていれば足り、それ以上に法定評価の根拠を示すことや資料を提示することは要しないと解するのが相当であるとする最高裁判決(昭和60年4月23日)を引用し、本事例に係る判断の根拠としたのである。
 つまり、本件に係る更正通知書には帳簿書類の記載内容から、「当該建物付属設備は架空の資産であり、これらに係る減価償却費は損金不算入となる」旨が記載されていることから、本件更正処分は、上記①の帳簿書類の記載自体を認めないとするものであり、そうであれば、原処分庁が更正するに至った根拠を明確にし、当該各建物付属設備が架空であるとの判断に係る資料が示されるべきであるとし、その判断過程の具体的な説明も記載されていないため、本件更正処分の理由附記は、違法なものであると判断されたのである。審判所は、本件更正処分の理由附記には不備があることから、違法であるとして、本件更正処分及び不可決定処分についてその全部を取り消したのである。
 
(週刊 税務通信 NO.3269 より)
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| 国税通則法 | 18:24 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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タックスワンポイント “海外出張・海外勤務の注意点”

その1.観光を兼ねて海外出張 「旅費」判定に注意
 グローバル化が進み、中小企業の間でも海外出張が一般化しつつあります。国内出張と比べると経費もそれなりにかかるものですが、業務上必要なものであり、かつ、通常必要と認められる金額である場合には「旅費」として損金算入がみとめられています。
 しかし、せっかく海外へ行くのだから観光も兼ねてというケースもあるでしょう。その場合の注意点については、法人税法基本通達に規定がありますので紹介します。

(1)海外渡航費の損金算入の注意 (法人税法基本通達9-7-6)
海外出張に業務遂行上必要とは認められない部分がある場合や必要な支出でも異常に高額な場合には、その認められない部分や高額な部分が、海外出張に行った役員や従業員への給与として取り扱われます。 

(2)観光を兼ねた海外出張の取り扱い (法人税法基本通達9-7-9)
 業務遂行上必要と認められる旅行と認められない旅行を併せて行った場合、その海外渡航にかかった旅費を。「業務上必要を認められる旅行の期間」と「認められない旅行の期間」との比等により按分し、業務上必要と認められない旅行について、渡航者である役員や従業員への給与として取り扱われます。
 ただし、海外渡航の直接の動機が特定の取引先との商談や契約締結などの業務遂行のためであり、その海外渡航を機会に観光を併せて行うものである場合には、その往復の旅費については「業務遂行上必要と認められるもの」とし、その海外渡航に際して支給する旅費の額から控除した残額について按分計算の対象とすることになります。

(3)業務遂行上必要な海外渡航に該当しないものの具体例(法人税法基本通達9-7-7)
①観光渡航の許可を得て行う旅行
②旅行あっせんを行う者等が行う団体旅行に応募してする旅行
③同業者団体その他これに準ずる団体が主催して行う団体旅行で主として観光目的と認められるもの

(3)同伴者の旅費(法人税法基本通達9-7-8)
 海外出張に親族またはその業務に常時従事していない者を同伴した場合には、その同伴者に係る旅費は、その海外渡航者の給与となります。ただし、次に掲げる場合のように、明らかに海外渡航の目的を達成するために必要な同伴と認められるときは、業務遂行上必要と認められるものについては、「旅費」として損金算入がみとめられます。
①常時補佐を必要とする身体障害者であるために保佐人を同伴する場合
②国際会議の出席等のために配偶者を同伴する必要がある場合
③その旅行の目的を遂行するために外国語に堪能な者又は高度の専門的知識を有する者を必要とするような場合に、適任者が法人の使用人のうちにいないため、親族又は臨時に委託した者を同伴する場合


その2.海外支店に勤務  居住者? 非居住者?
 経済取引の国際化に伴い、海外で働く日本人が増えてきました。日本企業の海外支店などで働く社員を抱える会社が注意しておきたいのが、こうした海外勤務者に支払う給与の課税関係です。その社員が税務上の「居住者」か「非居住者」とでは源泉徴収が違ってくるためです。

(1)非居住者の判定:海外勤務が1年以上か1年未満かがポイント
 所得税法では、国内に住所があり、または現在まで引き続き1年以上居所を有する個人を「居住者」とし、居住者以外の個人を「非居住者」と規定しています。
 また、住所とは個人の生活の本拠のことをいい、生活の本拠であるかの判定は客観的事実に基づき判定されます。
 従って、日本企業の海外支店などに1年以上の予定で勤務する人は、一般的には国内に住所がない者と推定されるため、出国日の翌日から所得税法上の「非居住者」ということとなります。

(2)海外勤務者の給与所得
 ①勤続期間が1年未満の場合
 居住者となりますので、その者への給与・賞与は一般の国内勤務者に支払われる給与・賞与と同様の課税を受けることとなります。
 ②役員以外の場合
 非居住者に該当するため、その給与が日本の本社から支払われていても、日本の所得税は課されず、勤務地での課税となります。
 ③役員の場合
 海外支店に勤務する役員に支払う給与は、日本国内で生じたものとみなされ、非居住者への国内源泉所得に該当します。従って、支払時に20.42%(所得税20%、復興特別税0.42%)の源泉徴収が発生し、課税関係は終了します。
 なお、この場合の役員には、例えば取締役支店長など使用人として常時勤務している役員は含まれないことに注意します。

(3)その他注意点
 ①役員でなくても源泉徴収が必要となる場合
海外に転勤後に支払われるボーナスなどの計算期間内に、日本で勤務した期間が含まれている場合です。 この場合には、日本での勤務期間に対応する金額に対して20.42%の税率で源泉徴収が必要です。
なお、給与等の計算期間が1か月以下であれば、給与等の計算期間のうちに日本での勤務期間が含まれていても源泉徴収をしなくてもよいことになっています(給与等の全額が日本での勤務に対応する場合には、20.42%の税率で源泉徴収をします。)。
 ② 租税条約を優先
役員の給与に対する課税の取扱いについては、多数の国と租税条約を結んでおり、租税条約に異なる取り扱いがあるときは、租税条約の取り扱いが国内法に優先されて適用されることになります。そのため、これらの租税条約の内容を確認することが必要です
  



参考資料  NP通信社「タックスワンポイント」
      法人税基本通達 第2款 海外渡航費
      タックスアンサー 所得税

| 法人税の税務 | 12:21 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「税法は争えば法解釈が発展する」

 この言葉は、元TKC全国会最高顧問であった、故松沢智先生が講演の中で折に触れて発言している言葉です。
税務行政は国家行政組織法第14条2項により、国税部門の上級庁が下級庁に対する訓令としての指揮命令としての通達行政により行われています。
しかし国民はこれに拘束されるわけではありません。税務上での解釈に相違があれば争うことで正しい解釈が生まれてくるからです。
当税理士事務所では、現在この税務上の解釈で国税側と争っている事案が3件ほどあります。内容的には同一内容であるこの事案は、現在東京国税不服審判所に審査請求しており今年11月頃には裁決が出る予定です。今回の事案は、3件中最初に東京国税不服審判所へ提出した事案です。
 
1、(本件内容) 日本国内においてインバンド旅行業(外国旅行者の訪日旅行を企画運営する業者)を営む法人が「訪日旅行のパッケージ商品」を海外の外国旅行法人に販売した取引について、これを消費税法第7条に規定する輸出免税取引に該当するとして消費税の申告を行ったのに対し、S税務署(原処分庁)が本件の役務提供は非居住者に対する日本国内での役務提供であり、輸出取引には該当しないとして更正処分を行なったため、その処分の取消を求めて、異議申立てをS税務署に行ったが請求棄却の決定を受けた為、S税務署の処分取消を求めて、東京国税不服審判所へ審査請求を行っている事案です。従前まで税務署側で輸出免税として消費税還付を受けていたものが、ここ2~3年で一転国税側の解釈の変更により消費税還付がされなくなったものです。

2、(審査請求までの流れ) 一般に納税者は税務署(原処分庁)の処分に不服がある場合、処分を受けた税務署へまず異議申立をし、それでも不服がある場合に国税不服審判所へ審査請求を出します。そして審判所の裁決に不服がある場合、初めて裁判所に訴訟出来るわけです。これを「前置主義」と言います。現在国税不服審判所は全国に12の支部と7の支所があります。そして各支部から上がってきた審査請求を審理するのが東京国税不服審判所です。審理は国税審判官3名の合議体でおこなわれ、議決後最終的に審判所の所長が裁決を行い通知することになっています。今回の担当審判官は民間採用の女性弁護士でした。(任用期間は3年間で今年7月までの任期でした)これは国税不服審判所が国税職員からの出向者が多いため、民間から弁護士や税理士等民間の専門家を採用し、業務の透明化を図る狙いがあります。なお、副審判官としては税務署の副所長経験者の男性審判官2名、合計3名の合議体でした。また事務連絡係として、国税審査官1名の構成で審議が行われて行きました。
東京国税不服審判所へ不服申立としての「審査請求書」を提出したのが2012年12月7日でした。その後2013年4月4日に審判所より呼び出しを受け、審査請求人である社長及び代理人として当税理士事務所側3名が出頭し、その場で今回の争点の確認をおこないました。その際担当審判官より、今回争点がはっきりしていることから「同席主張」の申出を受けました。同席主張とは2011年度から実施され始めた制度で、審判官、請求人及び原処分庁の間でこの事件の内容を共通に理解している事。主張及び争点を明確にすることで迅速な裁決に資するとともに、透明性を図ることを目的としたものでまだ試験的に導入しているケースでありまだ少ないそうです。これに対して当方も賛同し5月22日に行うことになりました。

3、(同席主張内容) 当日場所は審判所の一室で行われ、中央に審判官及副審判官2名、書記として国税審査官2名。国税側は東京国税局審理課3名及び原処分庁であるS税務署の法人1部門1名の4名が出席。当方は社長と当税理士事務所側3名の同じく4名にて進められました。当初担当審判官より同席主張の流れの説明があり、まず国税側より今回の主張が読まれました。これに対し社長が当方の主張を説明し審理が進んでいったのですが、社長の国税側への質問に関し、国税側の説明に当初説明したこととは違う矛盾のある説明があったため、審判官からその矛盾点の説明を求められたのですがその場で回答できなくなり、後日その主張を文書にて再度提出ことで終了してしまいました。時間にして約1時間ぐらいであった。その後6月14日に同席主張時に説明できなかった内容を書いた国税側の反論書が提出されたので、6月28日に当方で再度反論書を書き提出することにした。

4.(おわりに) 国税職員は7月10日が人事移動の時期です。今回の担当審判官は3年の任期が終了したため、後任に引き継ぎ民間へ戻り弁護士活動を行っているそうです。後任の審判官は7月下旬に判明したが、現在のところ再度同席主張を行うか不明です。いずれにせよ、国税不服審判所へ審査請求を提出してから10ヶ月以内に裁決するのが通例なので、11月頃までには結論がでることになります。内容しだいでは裁決から6ヶ月以内に東京地方裁判所へ訴訟を提起することになるかもしれません。裁判で争ったからと言って望み通りの判決が出る確証は有りません。しかし故松沢智先生の言葉通り税務上の解釈は争わなければ発展しません。裁判にて出された判決が税務上の「判例」となり、今後の税務行政に影響を与えます。やはり争っていかなくては発展はないのではないでしょうか。
                              

| 税務訴訟 | 15:02 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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税務調査の根拠と質問検査権について

 2011年12月2日公布された「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」において、国税通則法第7章の2(国税の調査)が新設され、調査の事前通知や調査の終了の際の手続き(通74の9~74の11)が規定されました。これまで各税法に規定されていた質問検査権に関する規定が第7章に集約され横断的に整備されています。
以下に、従前からの移行内容を踏まえた図を掲示します。
法体系の移行
【クリックで拡大表示】

 改正国税通則法はすでに2013年1月より施行されています。通則法の内容を早めに理解し“秋本番の税務調査”に備えましょう。

| 国税通則法 | 09:54 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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全法連が8千人にアンケート  ~社長さんは今の税制をどう見ている?~

約100万社が加入する法人会で組織される全国法人会総連合会(以下「全法連」)の調査により、社長さんは今の税制をどう見ているかがわかってきました。
全法連では公正で健全な税制の実現を目指して会員企業の意思や要望を反映しながら、税のあるべき姿や将来像を見据えて建設的な提言を行っています。また、「税制改正に関する提言」の取りまとめるにあたり、毎年税制に関するアンケートを実施しており、今年も3月18日から5月17日に「平成26年度税制改正に関するアンケート」が実施され結果が公表されました。

(1)3人に1人は「相続増税やむなし」「法人税の減税見送り容認」
全法連の「平成26年度税制改正に関するアンケート」では、20問の多岐に亘る内容での質問事項があり、まず着目したいのは、法人税の減税見送りや相続税の増税を容認する声が以外と多いことです。

問4 法人税/法人税率のさらなる引き下げ
 23年度税制改正で実行税率が5%引き下げられましたが、法人税率のさらなる見直しについてどのように考えますか。

社長1

上記のようにアンケートの問4の法人税実効税率の見直しに対する問いについて、さらなる引き下げを希望したは46.9%で過半数に届かず、減税財源確保の困難などからこれ以上の引下げは見送るべきとしたのが35.4%にも上りました。国の“財布”の事情を考慮した多くの社長の姿が垣間見えるようです。

問9 相続税/相続税の課税強化
地価の下落などで相続税の課税割合が低下する等、富の再分配機能が低下している状況を受けて課税ベースの拡大と税率構造の改正が行われます。こうした課税強化についてどのように考えますか。

社長2

問9では、2015(平成27)年がら最高税率が引き上げられると同時に基礎控除額が引き下げられる相続税について、相続税の課税強化すべきでないという回答が55.5%で過半数を占めたものの、課税強化はやむを得ないとする回答が33.4%あり、3人に1人が容認していることになります。問の冒頭で、「地価の下落などで相続税の課税割合が低下する等、富の再分配機能が低下している状況を受けて課税ベースの拡大と税率構造の改正が行われます」と付されているため、「課税強化やむなし」との回答からは、富の再分配機能の是正を重視した意中がうかがえます。
 どちらの設問からも、自信の直接的な利得だけではなく経済全体を見渡して回答した社長さんの姿が見えてくるようです。

(2)減税措置の人気投票 第一位は「生産等設備投資促進税制の創設」
 アンケートには設備投資や雇用拡大の呼び水になり得る減税措置の“人気投票”も盛り込まれています。

問6 法人税/設備投資等
 「デフレからの脱却」を最優先課題に、民間企業の設備投資や雇用拡大の呼び水となる政策減税措置が盛り込まれました。とくに評価する措置は何ですか。

社長3

評価されている順に見ていくと上記のようになりますが、第4位に「わからない」と第6位に「どれも評価しない」という回答があり、20.4%を占めました。
 また、このように一定の評価を得た所得拡大促進税制の創設と雇用促進税制の拡充ですが、アンケートでは問8でこれに伴う会社の雇用・給与の拡大意向も問うています。

問8 法人税/所得拡大税制・雇用促進税制
 法人税では、給与等の支給を一定以上増加させた場合、その増加額の10%を税額控除する制度が創設されました。また雇用促進のため増加雇用数一人当たりの税額控除が40万円(従来は20万円)に拡大されました。本改正に伴い、あなたの会社はどうしますか。

社長4

結果は、「雇用も給与も増やさない」が最も多く31%を占めていました。ただ、「給与を引き上げたい」(19.3%)「雇用も給与も拡大したい」(15.2%)「雇用を拡大したい」(14.8%)を合計すると49.3%で「雇用も給与も増やさない」を上回っており、5割の社長さんは雇用促進に前向きであることがわかります。

(3)交際費支出を増やす意向の会社は2割
 中小企業の交際費課税は、税制改正で定額控除限度額が600万円から800万円に引き上げられるとともに、限度額までの10%損金不算入の扱いが撤廃されました。それに関するアンケートについて次の回答が寄せられました。

問7 法人税/交際費課税の特例拡充
 今回の税制改正大綱では、中小企業の交際費課税の特例が800万円まで枠が拡大され、また全額損金算入ができることとなりました。(従来は600万円までの90%が損金算入可)本改正に伴い、あなたの会社はどうしますか。

社長5

上記の回答のように、交際費課税が緩やかになっても慎重な姿勢を変えない会社が大多数を占めていますが、交際費支出を増やそうとしている2割の会社が景気浮揚を後押しする可能性もあるでしょう。

(4)事業承継税制 適用要件緩和で3割が利用に前向き
 増税路線の相続税・贈与税を軽減する「事業承継税制」については負担軽減措置が取られています。手続きの簡素化や適用要件の緩和などが見直されていますが、このアンケートにより最も評価されたのは、先代経営者の「役員」退任要件が「代表者」退任要件に緩和された点です。

問10 相続税・贈与税/事業承継税制における適用要件の改正
 納税猶予制度については、制度適用要件、手続き等の大幅見直しがされました。もっとも評価する改正内容を以下より2つ選んで下さい。

社長6

21%の社長さんがこの退任要件の緩和を支持しました。また、第2位となったのは親族外の承継が適用要件として認められたことで、15.7%の社長さんが評価をしています。

問11 相続税・贈与税/改正後の納税猶予制度の利用
 納税猶予制度の適用要件等の見直しが行われたことにより、今後、制度を利用したいと思いますか。

社長7

また、問11ではこうした改正により納税猶予制度の利用に関するアンケートも行っています。「利用する」との回答が28.5%であり、「利用しない」という回答の14.4%の2倍近くあり、3割の社長さんが利用に前向きであることがわかります。しかし、「どちらとも言えない」という回答が53.8%であり、さらなる見直しについては次のような回答がありました。

問12 相続税・贈与税/さらなる事業承継税制の見直し
 今改正では現行の納税井猶予制度の使い勝手を高めるような見直しが行われましたが、今後のさらなる見直しの余地についてどのように考えますか。

社長8

「当面は今改正による利用状況を注視すべき」という回答が3割で第1位となりましたが、「さらなる適用要件緩和」、「納税猶予制度ではなく、欧米主要国のような本格的な事業承継税制の構築」というようにさらなる見直しを望む声は5割を占め、今回の改正では十分でないと思っていることがわかります。

 法人会では、税の提言活動を毎年行っており、平成25年1月29日に「平成25年度税制改正大綱」が閣議決定されましたが、今回の改正では事業承継税制、交際費課税をはじめ法人会の要望事項が広くもりこまれました。「平成25年度税制改正における法人会提言の実現事項」として法人会のホームページで紹介されています。
 「平成26年度税制改正に関するアンケート」の結果についても全法連の税の提言活動に活かされることなります。アンケートを通じて自信の直接的な利得だけではなく経済全体を見渡して回答した社長さんの姿が見えてきました。今後税の提言活動を通じて、全法連の目指す公正で健全な税制の実現に繋がることを期待しています。


参考資料 NP通信社 月刊「社長のミカタ」
法人会ホームページ 税の提言活動
平成26年度税制改正に関するアンケート

| 税制改正 | 09:42 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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TPPで税理士制度が変わる?! その対応の提言はどういうものなのか!

 25年5月22日の記者懇談会で東京税理士会(神津信一会長)が‘日本がTPPに参加した際の税理士制度に与える影響についてまとめ、発表された。
 その中で2つの‘危険シナリオ’を示し、その対応策を提言したのである。

意見1
意見2
【クリックで拡大表示 (参考:TPP交渉参加に関する意見 日本税理士会)】

 TPPはその第1課題で、タイトルを「TPP・FTA等経済連携協定が税理士制度に与える影響」とし、これまでの流れや見解を説明したとしている。
 TPP参加による資格や免許の相互承認について政府は、「検討はされているが、現時点では議論されていない模様」と問題を小さくみせているが、東京税理士会ではTPP参加が現実化した際の影響について危機感を隠さず、2つの‘危険シナリオ’を提起し、その対応案を示したのである。
 まず外国の公認会計士が日本で公認会計士業務を行うには、(1)外国の公認会計士資格を有し、会計に関連する日本国内の法令について相当の知識を有すること、(2)内閣総理大臣による資格の承認を受け、日本公認会計士協会の「外国公認会計士名簿」に登録などといういくつかの条件を経なければならないし、日本の公認会計士資格付与者は現在4人にとどまっているのである。外国の弁護士についても同様で、条件を満たして日本の弁護士資格を付与された者は357人となっている。
 今後、日本がTPPに参加すれば、これらの条件は撤廃され、外国人による日本の公認会計士への門戸が全面的に開かれることになりかねないのである。そうなれば、これらの外国公認会計士が現状の税理士法3条1項4号に則って、税理士資格へスライドしてくる。これが「危険シナリオ1」である。
 これに対抗するために、「公認会計士法を変えてと提言はできない」ことから‘税理士法3条1項4号を削除し、自動資格付与を阻止するしかない’と提言したのである、
 さらに、「危険シナリオ2」として、TPP加盟国の税務業務の提供者(会計士や弁護士、米国会計士=EAなど)が直接、日本で税理士登録を求めてくることも想定できるのである。これについては‘外国税理士制度’を創設し、業務を制限することで税理士の職域を守ろうというのである。
 なお、こうした発言や提言が単なる業界擁護と受け取られかねない可能性については「私たちの行動は税理士法1条の税理士の使命に基づいている」と述べていて、‘会計は国際的に統一される方向であるが、それぞれの事情を抱える税というものは国を超えず不可侵であるべきである’と強調したのである。
 TPPについて士業団体では日本医師会が早々に参加反対する姿勢を打ち出しているほか、日本薬剤師会でも「懸念」を表明している。日本公認会計士協会は「(TPPは)全面的に反対ではない」としつつも‘(資格の)相互承認については二国間での検討が望ましい’と、実質的に反対と受けとれるコメントをしているのである。
 これに対し税理士会は、TPPへの明確な姿勢は明らかにされず、税理士法3条改定で他士業を排除する方向のみであったことで、「税理士法1条の使命にも基づく」という建前がどれだけ説得力をもったかは未知数なのである。
 
(税理士新聞 第1414号 6月5日号より)

| 税理士法 | 09:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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2%の実質経済成長率は実現するのか?

(消費税増税で税の増収が本当にはかれるのか?)

 消費税増税は、第180回国会及び181回臨時国会で成立した「社会保障と税の一体改革」に関する15の法律に基づく。15のうち13までが、国民健康保険法や高齢者雇用安定法などの社会保障分野の改正法で、残りの2つが税に関するいわゆる‘消費税増税法’である。
 この改正消費税法と地方消費税法によって、合わせて8%とすることが定められた。さらに27年10月1日からは10%まで増税する。
 ところが、増税実現に向けて障壁になっているのが、改正法附則18条の「景気条項」である。ここには増税にあたっての経済指標の‘目安’が記されており、‘経済状況を好転させること’が増税の条件として記されているのである。
 ただ、‘目安’と言わざるを得ないのは、基準が明確ではなく、未達成でも増税をとめるだけの縛りが含まれていないためである。

 アベノミクスで一時的に株価は回復し、為替も超円高を脱したとはいえ、いまだ中小企業や一般大衆はその恩恵をほとんど感じていないのが現状である。‘増税の最終判断は秋ごろには判断を安倍首相がする’と菅幹事長がテレビの番組の中で言っていたが、この状況では気を緩めることはできないと思う。
 また安倍首相に至っては、税収が伸びなかったことも想定し、その時には、「附則18条に則って決める」と述べている。 
 最悪の不況状況を脱したとするなら、あとは緩やかながらも、回復基調を示すのが景気の流れではあるが、問題は増税時期にその兆しがみえるかどうかである。
 多くのアナリストは、「今年度中は、好況感は続くだろう」としているが、同時に増税前の駆け込み需要の反動も加わり、26年度はマイナス成長となることを確実視する声が多いのも事実です。
 ここで改めて消費税の基本を述べてみる。‘消費者が事業者に対して支払う消費税分はあくまで商品や役務の提供に対する対価の一部としての性格しかないから、事業者が、当該消費税分につき過不足なく国庫に納付する義務を、消費者との関係で負うものではない’としている。(H2.3.26東京高裁判決)
 つまり、消費者が‘消費税分’として上乗せして支払っているのは、企業側が何らかの理由によって上げられた‘総額の一部’に過ぎないということなのである。
 納税者側はあくまでも取引を行った事業者であり、それはたとえ納品先や消費者から消費税分の代金を受けていなくても、計算上は‘受け取った’として計算される。
 高騰する原材料費、発注元からの締め付け、切るに切れない人件など、ぎりぎりの線で乗り切っている中小零細企業にとって5%の利益アップは文字通り死活問題となる。
 増税後の価格転嫁が困難なことであり、生き残るには、人材費を削って外注や派遣社員化を進めるか、原材料の質を落とすか、さらに下請けをたたくか。いずれにしても社会全体で考えれば、税収は減少し、国民のモチベーションは下がり、失業者は増え、犯罪は増加し、結果、国力が低下することは目に見えているのである。
 中小零細企業が増税の不安におびえるなか、輸出企業への「輸出戻し税」は手につかずに温存されている。消費税増税は輸出大企業などで組織される経団連の強く押す施策だが、まずは大企業が潤ってから中小零細企業に恩恵が降りてくるという‘トリクルダウン’が現実のものとして訪れると考えることは難しいと思う。
 日本の中小企業は420万社あり、全企業の99.7%を占めるといいます。これら日本を支える土台ともいえる中小企業が潤わずに日本の再建はありえないし、そもそも消費税の増税は本当に必要なのだろうか。増税が仮に必要だとしても、それはいったい誰のための増税なのか。増税は中小零細企業を幸せにするのだろうか。1人1人が考える時期ではないだろうか。 



(月間社長のミカタ 8月号より)


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>> EDIT

少人数私募債にも節税封じが!!

 資産家の皆さんの中にはプライベートバンクならぬプライベートカンパニー(資産管理会社)を持って節税を行っている方もいると思います。
今回はオーナー社長が自分の会社を利用した、少人数私募債を利用した節税スキームの仕組みについて解説したいと思います。まず事例で見ていきましょう。

 株式会社自民党の安倍社長は年収3000万の給与を取っているオーナー社長だと仮定して下さい。また個人的にもかなりの余裕資金をもっておりその資金運用方法を考えていました。今回、株式会社自民党は成長戦略の一環として1億円の設備投資計画をしています。そして、その資金を金融機関からではなく安倍社長の個人資金から会社に投資をしようと考えました。この場合、単純に会社へ1億円貸付け、仮に金利年3%とすると年間300万円の利息を受け取ることになります。会社は支払利息を損金経理出来ます。貸付利息を受け取った安倍社長は300万円を雑所得として給与収入と合算(総合課税)して確定申告をすることになります。
この場合の所得税額は 給与収入3000万・・・給与所得では2755万円+雑所得300万円=総合所得3055万円-基礎控除額38万= 課税所得3017万円になります。
この所得に対する所得税額は927.2万円 になります。

一方会社が少人数私募債1億円を発行し、これを安倍社長が個人で購入した場合はどう変わるのでしょうか?
私募債の金利は同様に3%と仮定した場合、会社は社債利息300万円を損金計上出来ます。そして安倍社長は、当該社債利子300万のうち20%(所得税15%地方税5%)、金額では60万円(所得税45万・地方税15万)を差引いた240万円を受け取ることになります。ここで重要なことは社債利子は源泉分離課税20%(所得税15%・地方税5%)を徴収されるだけで終わりになることです。(措置法3条①)
それではこの場合の税額計算をしてみましょう。
給与収入3000万・・・・・給与所得2755万円-基礎控除額38万
             =課税所得 2717万円
             =所得税額 807.2万円+分離課税所得税45万円  これを合算すると年間所得税額は 852.2万円になります。
上記との差額75万が節税になります。なお、住民税も含めて計算すればもっと金額の差額が開いていくことがわかります。
このスキームは総合課税と源泉分離課税との税率差に着目したものです。もちろん源泉分離課税率15%以上の総合課税率がなければ意味がありません。

それでは、安倍社長はどうしたらよいのでしょう。
まず、少人数私募債に該当するための要件として次の4要件が必要となります。
1. 株式会社が発行すること。
2. 50名未満の縁故者(社長・社長の親族・社員・得意先など)のみを対象に引受を募集。
尚、銀行・証券会社等への発行は不可である。
3.転売制限を付けること。具体的には、社債権者数が増えないよう、転売は一括譲渡のみとすること。(例えば社債5口保有する者は5口まとめて売却すること)
4.社債口数(社債の発行総額÷社債の1口額面)が50未満であること。
これらの要件を満たすことで有価証券届出書等の提出が不要となり、会社法702条で義務付けられる社債管理者の設置も不要となるのである。
そして取締役会の承認のみで発行できるなど、手軽に節税できるとの理由から、中小企業のオーナー社長を中心に利用者が増えているのです。
 ただし注意点もあります。まず社債発行総額が1億円以上になる場合には、金融商品取引法上の「告知義務」が発生します。 (金商法23条の13④、開示府令14条の15②)

 ここでいう「告知義務」は次の3事項を社債要項に記入することで足りるとされています。
① 有価証券通知書、有価証券届出書を提出していないこと。
② 発行社債は記名式で、一括譲渡以外の譲渡が禁止されていること。
③ 社債券の券面が50枚未満であり、表示単位未満には分割できないこと。
 以上です。

 しかし残念なことに、平成25年度の税制改正により、この少人数私募債を活用したスキームの封じ込め措置がとられました。
具体的には、2016年(平成28年)1月1日以後に発行される社債から適用になり、社債利息は分離課税から総合課税になることになりました。

安倍社長はこのスキームが会社にも個人にもメリットがあると考え検討することにしました。実行するのは何時がいいのでしょうか?
やはり「いまでしょう!!」

以  上

 参照資料:T&Amaster NO491号
注1:所得税の税額計算は平成25年度の税率による。
 2:税額計算を分かり易くするため、基礎控除のみとしている。
 3:復興特別所得税の計算は考慮していない。

| 所得税・所得控除及び税額控除 | 09:58 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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