税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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アベノミクスとは何かを改めて見てみよう!

 アベノミクスは、次の3本柱で構成されています。

 アベノミクスは、次の3本柱で構成されているが、1つは大胆な金融政策、2つめは、機動的な財政政策、3つめは、民間投資を喚起する成長戦略を「3本の矢」と呼んでいる。それぞれ内容を定義づけると以下のようになる。
金融政策とは、インフレ目標2%を設定し、目標達成するまでは、無制限に金融緩和を行うもの。
積極的な金融緩和によって、デフレ脱却を目指すものといえる。
財政政策とは、公共事業で経済を浮上させるカンフル剤の役割を担うもの。
成長戦略とは、健康、エネルギー、次世代インフラ、農林水産業の4分野に重点を置き、企業の競争力向上、技術革新を後押しする政策を検討するものとしている。
1.デフレ脱却ヘのステップとは?
デフレは、超過供給(供給>需要)に陥った状態をいうのであるが、デフレを脱却するには、「短期的政策」と「長期的政策」という、2つの段階があるとしている。
この短期的政策と長期的政策について述べる。

①短期的政策
 短期的政策とは、政府が需要不足を補うことで、需給のアンバランスを安定させ、完全雇用水準で均衡させようとする政策のことである。
 この政策には、金融政策(金融緩和)と財政政策(財政支出)としている。
 金融緩和は、金利を下げて、企業の設備投資を増やすことで、民間需要を増やす方法です。一方、財政支出は、政府が市場でお金を使う(公共事業)ことで、需要を増やす方法である。

②長期的政策
 長期的政策とは、規制緩和や新産業の育成によって、供給サイドを成長させようとする政策のことである。これを、アベノミクスでは、「成長戦略」と呼んでいる。
 成長戦略は、企業の心理状態を「不安」から「期待」に変換させることで、供給を増やす方法です。例えば、環太平洋戦略的経済連携協定(以下、TPPという。)は、関税の撤廃により、海外との取引を促進させようとする取り組みのことである。

2.アベノミクスのリスクとは
アベノミクスの最大の懸念は、金利急騰のリスクがあげられる。
  アベノミクスの「インフレ目標付きの金融緩和」と「財政支出」は、貨幣供給量を増やす政策をいう。
貨幣供給量を増やすと、金利は下がる。日本銀行が民間銀行から国債を購入するからです(債券価格上昇=金利低下)。しかし、貨幣が財市場の取引に使われはじめると、金利は上昇し始めます。
それでも、金利の上昇率が、GDPの増加率より小さいうちは、問題ではないと思う。
 金利の上昇が、資金需要の過剰な増加率を抑える役割をしている。このとき、市場メカニズムがうまく働いていると考えられる。これを良い金利上昇という。
 問題は、金利の上昇率が、GDPの増加率を超えてしまった場合です。
 金利の上昇が、資金需要の過剰な増加率が抑える役割を果たしていないからです。このとき、市場メカニズムの金利調整機能がうまく働いていないと考えられる。これを悪い金利上昇という。
 また、円貨の信用が下落した場合にも、金利は高騰します。信用がなくなると、海外からの投資資金は引き上げられ、資金調達がむずかしくなるからです。それでは、金利が急騰するとどうなるでしょうか?
 金利が急騰すると、日本国債は暴落し、資金調達ができなくなり、国債の債務不履行(財政破綻)に陥ってしまう。現在のところ、民間銀行に資金が留まっているため、懸念されるような金利上昇の動きは見られませが、今後、金利の動きには目が離せないことも大事なことでしょう。
 実質GDPの成長率と金利上昇率の関係は、アベノミクスの成否のキーポイントになっています。

(金融大学-特別講座『アベノミクス』講師:有馬 秀次より引用)

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| 財政・税務 | 11:02 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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租税特別措置法の適用実態が明らかに!!

第83回通常国会(2013年1月28日~6月26日の130日間)が先月終了したが、その国会の会期期間中に租税特別措置法の適用状況の報告書が国会に提出されていたことをご存じの方は少ないのではないだろうか?
そもそも「租税特別措置法とは何か?」  から説明しておきたい。
租税特別措置法は昭和32年 3月31日に施行されている法律である。ただしその成立の背景には、当時から産業育成など特定の政策目的を実現するため、適用対象を絞り込み、期限を設けて増減税などを実施することなどの政策的理由が存在していた。
税目は所得税、法人税、相続税、消費税など多岐にわたり、毎年度の税制改正の焦点となっている。「租特法(そとっぽう)」と略称して呼ぶことも多い。以下租特法と略称して説明していくことにしたい。
租特法の新設や延長、拡充などは各省の要望をもとに与党税制調査会や財務省、総務省が議論し、必要と認められれば各年度の税制改正大綱に盛り込み、租税特別措置法を改正して実施している。
具体的には、以下の図を参照にしてほしい。

租特措の実施までの流れ

2009年の民主党への政権交代までは多くの租特法が積み重なっていた。
法案を新たに作って恒久化するよりも手軽なため、業界や各省庁、政治家の既得権益になっているとの指摘があり、中立、公平、簡素という税の基本的な原則に反しているとの批判も根強かった。なお、民主党政権下では310あった租特法のうち96を廃止・縮減する一方、28の租特を新設している。
そして、この租特法の利用実績や効果を明らかにするため「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律(租特透明化法)」を制定し、2010年3月31日に公布させたのである。

この目的は、前述のように適用実態が不透明と指摘される政策減税の規模を明らかにすることである。減税の恩恵を受ける企業は2011年4月1日以降に終了する事業年度の法人税を申告する際に、減税額などを示した「適用額明細書」を申告書と共に提出する。ただし、法人税以外の租税特別措置や、税収増につながるものは対象外とされた。
現在我々が申告している法人税申告書には、別紙として租特法を利用した法人は「適用額明細書」を記載し申告書とともに提出している。そして、これを財務省で集計し今国会で報告されたのである。
租特法の「代表的なものは何か?」 と言うと、
法人税関係では、資本金1億円以下の中小企業法人税率の減税(税率22%→18%)特定の設備投資を行った場合の特別償却や準備金制度などがある。
また、所得税で代表的なのが、居住用の住宅を売却した場合の3000万円を限度とした税額控除制度などがある。

今国会において、財務省は企業が提出した明細書を集計して、租税特別措置ごとの適用法人数や適用額を記載した報告書を作成し、国会に提出することになった。企業ごとの適用状況は非公開としているが、業種別、資本金別の適用実態が分かるようにしている。集計期間は2011年4月1から2012年3月31日までの間に終了した事業年度の法人であり、適用額明細書の提出法人は単体法人は919,261法人、連結法人は456法人。適用件数は、法人税関係特別措置85項目について、述べ、1,254,869件であった。
具体的な数値・金額に関しては以下の財務省HPを見ていただきたい。(www.mof.go.jp/tax_policy/reference/stm_report/houkoku01.pdf)‎
そこには、32ページに及び集計結果の説明が記載されている。
これからこの集計表の内容を精査し、議論していくことになるだろうが、それは今年秋以降の国会で審議されるはずである。そしてそれが今後の税制改正大綱等に影響を与えていくことになるだろう。
今後の審議を注意深く見守っていきたい。

最後にそのHPの一部を掲載しておく。



租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書
http://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/stm_report/houkoku01.pdf

| 会計 | 09:58 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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タックスワンポイント “平成24年度税制改正より

その1.デジタル複合機の優遇 「1台120万円以上」
 1台でコピー、ファックス、プリンター、スキャナーなど複数の機能を持つデジタル複合機。今やパソコンと同様にオフィスに欠かせないビジネスツールとなっていますが、新品を購入した場合には、税制上の優遇措置である「中小企業投資促進税制」の適用が受けられるので上手に活用したいものです。

(1)中小企業投資促進税制の拡充・延長
①中小企業投資促進税制の概要
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【クリックで拡大表示】 (出典:中小企業庁)
 中小企業投資促進税制は、経営に前向きな中小企業を支援する選択型優遇税制です。平成24年度税制改正により、対象設備に品質向上に資する試験研究機器等を追加するとともに、デジタル複合機の範囲の見直しを行った上、適用期限が2年間延長されました。

②優遇措置
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③適用対象業種等
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④適用期限
 2012(平成24)年4月1日から2014(平成26)年3月31日までの2年間
⑤税額控除の翌年繰越
 税額控除額が法人税額の20%相当額を超えるため控除しきれなかった場合には、その控除しきれなかった金額について1年間の繰り越しが認められています。

(2)改正による注意点
 改正前の2012(平成24)年3月までは、1台あたりの取得価額が小さいデジタル複合機でも複数台購入し合計額が120万円以上であれば対象となっていたが、改正後は「1台の取得価額120万円以上」となったのでミスのないよう注意が必要です。


その2.役員退職金が変わった 今年から1/2課税廃止に
 役員等としての勤続年数が5年以下の者の退職金(特定役員退職手当等)に係る退職所得の課税方法について、退職所得を控除した残額の2分の1とする措置が廃止されます。

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(2)背景
 退職所得は長期間にわたる勤務の対価がまとめて後払いされる性格であることや、退職後の生活保障的な所得であること等を考慮して設けられたものです。従って、退職所得に対する課税は他の所得と分離されて優遇されたものとなっています。
 退職所得の特典ともいうべき2分の1課税を利用して、短期間の在職が当初から予定されている法人役員等が、給与の受け取りを繰り延べて高額な退職金を受け取ることにより、税負担を回避するという事例が多く指摘されました。

(3)使用人が役員へ昇格したとき、役員が分掌変更したときの退職金
 人事異動で一般社員が役員に昇格した際、一般社員であった期間の勤務に対して退職金を支払うことがあります。また、常勤役員から非常勤役員に、取締役から監査役になるなど分掌変更により役員としての地位や職務の内容が激変して実質的に退職と同様の状態となった場合にも退職金を支給することがあります。このように実質的には退職しない者への退職金であっても、退職給与規程に基づいて支払われものであれば、その支給年度において損金の額に算入することはできます。
 分掌変更の場合には、分掌変更後の役員の給与がおおむね50%以上減少したケースに限られ、代表権のある者および実質的にその法人の経営上主要な地位にある場合は除かれます
 また、未払金に計上した場合には損金の額に算入されませんので注意が必要です。

(4)適用開始
 2013(平成25)年分以後の所得税について適用されます。
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(NP通信社「タックスワンポイント」より)

| 財政・税務 | 09:47 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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政府方針:住宅購入者に最大30万円支給趣旨

消費増税後の販売落ち込み解消へ

 自民、公明の両与党は6月26日、来春に消費税率を8%に引き上げた場合の負担軽減策として、ローンで住宅を購入する年収510万円以下の人に10万円から30万円を支給する現金給付策を実行する方針を固めました。消費税増税後に住宅販売が落ち込み、景気が悪くなるのを防ぐのが狙いです。

(1)趣旨
 政府は2013年度税制改正で、2013年の末で期限が切れる住宅ローン減税の4年間延長を決定し、2014年(来年)4月から2017年12月までに入居した人に10年間、ローン残高の1%を税額控除することにしていました。
 しかし、年収が低くて所得税などの納付額などの納税額が少ない人は、減税効果が少なかったのです。そのため、住宅ローン減税だけでは消費税増税による負担増を補えない年収の人を対象に現金給付をすることとしました。

(2)現金支給額
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(3)対象
 対象は床面積50㎡以上の新築住宅と不動産業者から購入する中古住宅で、2014年4月~2017年末の入居分となっています。

(4)現金購入の場合の特例
 即金で購入した場合であっても、退職金での一括払いを想定して50歳以上で年収650万円以下の場合には支給の対象となります。

(5)自民党の狙い 
 自民党税制会長である野田毅氏は「消費税率5%に上げた時は、住宅 分野で駆け込み判断の影響が顕著だった。基本は住宅ローン減税でカバーするが、カバーし切れないところを給付で補う」と説明しています。しかし、低所得者層に配慮した現金給付策を講じて、参院選でアピールする狙いも見え隠れしているのです。

(NP通信社「タックスニュース」より)

| 財政・税務 | 10:59 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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教育資金贈与について

直系尊属から、ひ孫・孫・子への教育費(大学入学資金等)を贈与した場合、受贈者1人につき1,500万円(※)まで贈与税が課されなくなる(非課税)予定です。
※塾・予備校等の学校等以外への支払いは500万円迄2013716-1.png

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資料出典:三井住友銀行より

| 相続税及び贈与税 | 15:11 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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‘代行割れ’の基金に解散命令! 倒産企業分の肩代わりは廃止に!

中小の‘企業年金’は存続の危機!!

 政府はこのほど、財政難の厚生年金基金に対して、厚生労働大臣が‘解散命令’を発動できることを柱とする‘公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案’を閣議決定した。今国会での成立、来年4月からの施行を目指すとしている。

【厚生年金基金制度の見直しの流れ】
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【クリックで拡大表示】(出典:厚生労働省)

 厚生年金の支払いを担保できるだけの原資を確保している基金には存続を認める一方で、国に代わって運用している厚生年金の一部が‘代行割れ’となっている基金は厚労相の命令で解散させる。
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また、代行割れをしていなくても、法施行から5年経過時に基準額を満たす資金がなければ解散を促し、自主的に解散しない場合には厚労相が解散命令を出せるようにする。厚生年金基金の受給者と加入者は合計で約730万人(平成23年度末)にのぼるが、全国約560基金のうち約4割が代行部分の積立金が不足する‘代行割れ’に陥っている。

 法案では、全体の約4割を占める‘代行割れ基金’については、厚労相が解散命令を出せるようにしたのである。一方で、厚生年金の支給に必要な1.5倍以上の資産を持つ基金を「健全基金」と位置づけ、存続を認めることにした。ただし、この条件を満たすだけの財政基盤を確保している基金は、全体の約1割程度にとどまるものとみられている。

 1.5倍未満の資金しかない基金、いわゆる「代行割れ予備軍」(全体の約半数)の基金については、5年を経過するまではほかの制度への移行を促すためにとどめるが、それ以後も改善されない場合は厚労相が解散を命じる。このため、「代行割れ予備軍」の基金が5年経過後も存続するのは事実上困難とみられている。また、基金の自主的な解散を促すため、加入者の「4分の3以上」の同意を要するなどの解散要件を「3分の2以上」に緩和するほか、代行割れしている金額(全体で約1.1兆円)の計算方法を見直し、解散時の国への資産の返還額を総額約6千億円に減額する。
 中小企業が加入する厚生年金基金は、同業種・同地域などの事業所が集まって構成されているため、仲間の企業が倒産した場合には、その返済分までをほかの企業が連帯して負う必要があった。法案ではこの仕組みを廃止し、「厚生年金」の資金で補填するとしている。
 
 「代行割れ」の基金が解散する際には、国への資産の返還は母体企業が背負うことになる。1社単独で運営する大企業の基金や、業績好調な業界の企業で構成する基金の場合、仮に存続できないとしても、母体企業に十分な負担能力があれば、ほかの年金制度への移行を検討しやすいが、中小の事業者で組織された基金の場合、加入企業の一部が倒産すると残った企業が肩代わりをしなければならない現行の制度が足かせとなって、解散したくてもできない状況が続き、結果として「代行割れ」の部分が拡大する要因ともなっていた。また、こうした基金では、母体となる中小企業が国への資産返還を背負うことが困難なため、基金解散による負担が重くのしかかるかたちでの中小企業の経営悪化を危惧する意見も根強い。
 
 厚生年金基金の連合体である企業年金連合会では、閣議決定の日と同日付けで、厚労相に対し、
①中小企業における企業年金の実施主体として大きな役割を担ってきた厚生年金基金について、他制度への移行策が十分に盛り込まれていない中で解散に追い込まれようとしており、今後、中小企業における企業年金が存続できるのか極めて不透明である。
②多くの厚生年金基金が解散に追い込まれることにより、企業年金が減額またはなくなる者が大量に発生するため、老後の所得保障に支障をきたし、深刻な社会問題となるおそれがある。
③多くの厚生年金基金が解散に追い込まれ、多額の資産が売却されることにより、回復しつつある金融市場に大きな影響を与えるおそれがある。
などとする意見を表明しているのである。 

(月刊 社長のミカタ 2013年6月号より)
 

| 財政・税務 | 10:14 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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高額な報酬額にびっくり!遺産整理で信託銀とのトラブル増加

 相続税の増税を受けて、資産の適切な継承方法や管理方法がこれまで以上に重要になっています。他の方法では対応できなかった問題や悩みが解決することもあり、最近は投資信託や遺言信託、今年からは教育資金贈与信託など、さまざまなシーンで各商品が活用されています。また、信託業務を提供する信託銀行や信託会社は、ニーズの高まりに合わせてここぞとばかりに新商品投入や営業力強化などに力をいれています、しかし、なかには営業法や料金体系に関して利用者との間で意見の相違が生じているケースもあるようです。
 次のケースは地方中枢都市に事務所を構えるA税理士が相談を受けた事例です。

(1)トラブルの概要
①信託銀行との契約の経緯
 資産家の妻である甲さんは、昨年夫を亡くしました。夫の死亡の3週間後、取引のある大手銀行の紹介で、その銀行と同グループの信託銀行の担当者が自宅に訪れ、相続に関する手続きするというのです。大手の信託銀行だったことと、とにかく面倒な作業を済ませたかったこともあって、甲さんは相続人代表として遺産整理業務の契約を結ぶことにしたのです。
②トラブル発生
 遺産整理業務の報酬がいくらなのか甲さん本人はずっと知らなかったというのです。何度問い合わせても「作業が終わらないと分からない」という答えが返ってくるだけでした。契約から9ヵ月すぎて伝えられた手数料は甲さんが思っていた額を大きく超えるものでした。財産の合計額1億2,663万円に対する報酬は160万9,907円!!
 信託銀行が行った業務はメーンは財産調査と財産目録作成、分割手続きへの関与のみと主張しており、この信託銀行に遺産整理業務の改善を願いでました。また、同じような状況に追い込まれる人を減らすために金融庁に対して信託銀行全体の調査・指導を依頼したそうです。
③報酬の設定
 この信託銀行の場合:
遺産整理報酬 系列の銀行や証券会社に預けた財産.....0.3%
その他の資産 1億円以下の部分........1.4%
       1億円を超える部分.....0.8%
      (遺産整理報酬が100万円に満たなければ100万円)
遺産整理報酬の他に消費税および実費
 甲さんの場合には、遺産整理報酬が152万7,693円、消費税が7万6,384円、残高証明発行手数料の実費が5,830円で合計160万9,907円となったのです。
④トラブルの原因
 依頼者である甲さんが手数料をずっと認識していなかったことと、確定した報酬が業務の内容に比して高額であったことでした。

(2)問題点
①遺産整理報酬額が整理対象の財産額で決定される契約
 このケースの信託銀行が特に高額というのではなく、他の信託銀行も同じような報酬規定を定めているようです。しかし、信託銀行の業務は限定されており、税理士や司法書士の業務は含まれず依頼人が別途依頼しなければならないのです。財産の額が高額になれば報酬が高額となるシステムではどうしても割高に感じてしまいます。
②遺産の総額が確定するまでは手数料が明確にならない契約
 財産の総額が確定するまで明確にならないからといって、「作業が終わらないとわからない」という回答では依頼者は納得できません。
③信託銀行の説明不足
  相続の経験がなく、大切な人を失ったことで失意の中にある人たちにとって手数料の詳細を理解するのは簡単なことではありません。契約を交わしたから、一通りの説明をしましたからでは足りないのです。

(3)トラブル回避のために
 依頼する側は対応してくれる業務やメリットとデメリットを理解したうえで、依頼するようにしたいものです。
①メリット
信託銀行に遺産整理業務を依頼することで、資産運用のアドバイスや信託の有効活用法を受けやすくなること
②デメリット
 節税の助言ができるのは税理士だけ、信託銀行にできる業務は限定されていること

 また、信託銀行に対しては、依頼者に対して業務の内容と報酬について納得がいくまでの説明をしていただきたいことです。今回のケースと異なり満足のいくケアを受けられることもあれば、信託銀行と資産運用についての新たな関係も構築できるの可能性もあるのですから。
                 
(NP通信社 月刊「社長のミカタ」より)

| 相続税及び贈与税 | 09:49 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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大企業における税務コンプライアンスの取組状況

 最近の日本経済新聞を見ていると税に関する特集記事が多く目を引く。
ここ一月ぐらい税に関する記事やグローバル企業の租税回避行為に関す事件が多く掲載されているようである。
2013年6月30日の朝刊1面では「TAX ウオーズ 上 」と題して富の分配をめぐり「企業と国」が争っているとの記事が出ている。

 
 記事では、米アップル社や米スターバックス社など、グローバル企業の「節税」対策が話題を集めている。税金の負担を軽くするために企業は知恵を絞っているのだが、国は本来払うべき金額を納めていない「税逃れ」だと指摘している。
租税回避行為を巡り企業と国が論争しているわけである。最近の記事は欧米企業の話題が中心であるが、これに対して、日本企業の活動に関してはあまり議論されていない。

「なぜだろうか?」

 この疑問を解く記事が1つ掲載されている。「TKC会報2013年7月号」で国税庁調査査察部 部長藤田博一氏が講演で述べている中に参考となる記述がある。
それを要約すると、国税当局は、大企業を中心とした税務コンプライアンス(法令順守)の維持・向上に向けた取組を重点において活動していくというものである。

一文を紹介すると、
全国国税局の調査部には特別国税調査官(略して特官)という部門がある。ここでは大企業を調査対象としている。
国税局へ税務申告している法人数は全国で約300万社あまりある。そのうち調査部所管法人は約3万社、そのうち特官所掌法人は約500社だ。これは法人数では全体の0.02%にすぎないが、申告所得金額は全法人(37兆円)の24%(9兆円)を占めている。

従って、大企業の税務コンプライアンスの状態が、その企業グループ全体、下請け中小企業を含めたその地域、業界団体の税務コンプライアンスに与える影響が大きいということである。
特官では平均5人で調査班を構成し、3~6ヶ月ほどの調査を行っている。
この調査は2年に1度、3年に1度の法人もあるが、毎年調査を行う法人もあるという。つまりそれだけ国税当局も多くのマンパワーを投入し、多くの事務量を費やしていることになる。また他方、税務調査を受けている法人にも相当大きな負担を与えていることも確かである。
 国税当局は、大企業の税務コンプライアンスの維持・向上のために、2011年5月より日本経済団体連合会や法人会などの会合の都度説明会を実施し、広報活動をし、更に、全国国税局調査部の特官所掌法人の税務調査の機会に「税務に関するコーポレートガバナンス確認書」を配り状況把握をしている。
「確認書の内容は、

1.トップマネイジメントの関与・指導状況
2.経理・監査部門の体制・機能の整備状況
3.内部牽制の働く税務・会計処理手続きの整備状況
4.税務に関する情報の社内への周知状況
5.不適切な行為に対するペナルティの適用状況


上記の5項目を企業側に記入を求め、調査終了時にこの「確認書」に基づき各国税局幹部がトップマネイジメントと面談を行い、意見交換を行う取り組みをしているそうである。
そして、過去の調査履歴を総合的に勘案し「調査必要度が低い」と判断された法人に関しては調査間隔を延長するなどの対応をし始めているそうである。

 更に税務リスクの高い取引(納税者が課税当局と見解が相違する可能性の高い取引)の確認事項を事前に企業に出向いて情報収集を実施している。
最近、税務当局のこのような取り組みのせいか、大企業では目立った租税回避行為は見受けられなくなっているようにも思われる

 欧米諸国と違い、日本では上記のような税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組や対策を国税当局が行っている事が理由といえよう。

 世界経済はますますグローバル化へと進んでいる。それに伴い企業も多国籍化され全世界に拡散されていっている。もちろん日本企業も例外ではない。
今後は「国と国」、「企業と国」との富の奪い合いがより激しくなるにつれ、租税回避行為も増えてくるのではないだろうか。
その時日本の国税当局はどのような取組をするのであろうか。コンプライアンスだけでなく、国としての税制はもちろんだが、それ以外で企業が魅力を感じる環境を整えられるかが課題となってくるといえるのではないか。

| 財政・税務 | 12:30 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「合理的な再生計画」に基づく経営者の私財提供に係る譲渡所得の非課税措置

平成25年度税制改正大綱における中小企業の再生支援

 経営者が、自ら経営する企業の再建のために私財提供したとしても、経営者自身に利得がないにもかかわらず、当該資産の評価が取得価額を上回っていれば、差額は「譲渡益」として、経営者に所得税が課せられる。
他方、経営者が保証債務の履行として金融機関に対して直接行う私財提供については譲渡益が非課税(一定要件下)

これに関するフローチャート図と金融庁HPからの資料を貼付します。
参考にしてください。
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【出典:金融庁HP】

| 保証債務 | 14:06 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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