税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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日本版ISAが始まります③

日本のISAの問題点を考えてみました

 前回は、日本版ISAの基となった英国版ISA(アイサ)の制度についてみてみました。今回は日本版ISAの問題点について考えてみたいと思います。大きく分けて「使い勝手の悪さ」と「軽減税率の廃止」の2点が指摘されているようです。

1.使い勝手の悪さ
(1)専用口座を1つしか持てない
  複数の非課税口座を持つことを防止するための措置です。
(2)専用口座は勘定設定期間の移管は出来ない
  勘定設定期間(4年間)の移管は出来ないので、金融機関の選択は慎重に行わなければならないでしょう。例えば、扱っている金融商品の種類や手数料等の条件など事前に確認する必要があるでしょう。
(3)再投資が出来ない
  非課税投資枠の再利用ができないため、売却してしまえばその部分の非課税枠は使用できません。従って、銘柄を頻繁に変更する投資方法には不向きであるため、非課税口座を使っての投資には銘柄の選定を慎重にしらければならないでしょう。
(4)現在保有資産を日本版ISA口座に移管出来ない
  現在保有資産を非課税口座に移管することはできず、そのままの口座で保有するか一度売却してから非課税口座で購入しなければなりません。
(5)期間の制限がある
  非課税口座は最長5年間で終了してしまいます。延長するためには翌年からの非課税に移管しなければなりませんが、翌年に新規での投資ができないことになります。
  また、この制度も10年間の期間限定の制度となっています。ただし、英国ISAも当初は時限制度としてスタートしたものが一定の評価が認められて恒久化されましたので日本版ISAも期間延長は不可能ではないと思われます。
(6)損益通算出来ない
  
2.軽減税率の廃止
  日本版ISAが証券投資優遇税制の廃止に伴い導入されるのであれば、一番のデメリットは軽減税率の廃止と言えるのではないでしょうか。軽減税率の廃止により2014年1月から税率は20.315%(復興特別税考慮後)に引き上げられるため大口の投資家にとっては日本版ISAの導入はあまり歓迎できないことかもしれません。
 このため、保有資産に含み益が多い場合には節税のため2013年中に売却を検討する方も出てきて、株式市場への影響も考えられます。

 以上のようにスタート前から多くの問題点が指摘されてします。
スタートまで8カ月を切りました。今後は証券会社でもセミナーを計画して新規の顧客の獲得に期待を寄せているようです。メリットとデメリットを理解した上で日本版ISAを上手に利用することが必要ではないでしょうか。利用者が増えれば今後英国のような改善も日本版ISAで行われれば、使い勝手が良くなることも期待できるのではないでしょうか。

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うっかりミスをしがちなのが、印紙税である!(その1)

今回は、契約書に該当すると間違いを指摘された事例をあげてみる。

* 間違いを指摘された事例
 ①大手下着メーカーA社の場合の事例
  セミオーダーのブラジャーなど女性用下着を販売する際に発行していたお客様控えが契約書に該当することとされ、国税当局から印紙税の納付漏れを指摘された。

②大手冠婚葬祭会社B社の場合
 遺族が争議を申し込む際に作成する葬儀申込書が契約書に該当するとされ、国税当局から印紙税の納付漏れを指摘された。

③大手スーパーマーケットC社の場合
 自転車の修理を請け負った際に発行した自転車修理伝票が契約書に該当するとされ、国税当局から印紙税の納付漏れを指摘された。

〚事実認定〛
「お客様控え」、「葬儀申込書」、「自転車修理伝票」が課税物件表第2号の「請負に関する契約書」に該当した。

 留意点(その1)
 ここで問題になるのは、「請負」とは何を指すのかである。
 請負とは、当事者の一方(請負人)がある仕事の完成を約し、相手方(注文者)が、これに報酬を支払うことを訳することにより成立する契約をいい、講演、警備、機械保守、清掃などの無形的な結果を目的とするものも含まれる。
 このほか、公認会計士の監査契約、民間放送会社と広告主または広告代理業者との間の広告などの契約も請負契約に該当する。
 また、請負には、職業野球選手、映画・演劇の俳優、プロボクサー、プロレスラー、音楽家、舞踏家、映画・演劇の監督・演出家・プロデューサー、テレビジョン放送の演技者・演出家。プロデューサーなどが役務を提供することを内容とする契約を含む。

留意点(その2)
 契約書という名称でなくても、印紙税法上の契約書に該当する。
 例えば、「お客様控え」、「葬儀申込書」、「自転車修理伝票」が課税文書(契約書)に該当する。契約書は、契約自由の原則に基づき、その形式・内容も作成者が自由に作成できることから、その形はさまざまである。
 印紙税の課税文書に該当するか否かの判定(課否判定)は、文書の全体的な評価によって決めるのではなく、その文書の内容として記載されている個々の事項のすべてについて検討し、その中に1つでも課税物件表に掲げる課税事項となるものが含まれていれば、それは課税文書となるのである。単に、文書の名称または呼称、その形式的な記載文言によることなく、その記載文言の実質的な意義に基づいて判断する。
 課税事項とは、1(2)のとおり「その文書により証されるべき事項」であるから、その文書の「注文の内容」や「申込みの内容」により請け負ったことが証明されているのであれば、契約書に該当するのは明らかである。
 もし、契約書という名称で課税の判断をするのであれば、文書名を「覚書」「確認書」等にして印紙税を回避することが可能になってしまう。税法解釈の基本、課税の公正、負担の公平を旨とする実質主義に基づき、あくまで名称等ではなく、内容等の実質で判断するのである。

留意点(その3)
 課税事項を証明する目的で文書を作成すれば課税される。
 納税義務は文書作成で成立するため、契約書に基づいて契約が実行されているかどうかは関係ないことに注意する必要がある。
 裁決例では、銀行に融資の申し込みをした法人が「金銭消費貸借契約証書」に署名押印し、銀行に差し入れたときに印紙税の納税義務は成立しているとされた。この事例では、融資の申し込みはしたが融資実行の前に申し込みを撤回している。

留意点(その4)
 課税事項を証する目的で文書を作成しなければ課税されない。
 文書の作成で納税義務が成立するということは、逆に言えば文書を作成しなければ課税されないということである。会社成立時に作成する定款(原本)は、課税物件表の第6号に該当するが、文書でなく、電子データで作成(電子定款)すれば課税されない。
これは、非課税文書に該当するのではなく、文書の作成に該当しないからである。

次回は、間違いやすい事例について述べていく。
 
            (会社法務A2Z 2013.2より)

| 印紙税 | 09:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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日本版ISAが始まります②

英国と日本のISAを比較しました

前回は、来年(2014年)1月から日本版ISA(少額投資非課税制度)がスタートすることとその内容について見ていきました。では、NISAの基となった英国のISA(アイサ)の内容とは? NASAとの相違点は何か? について見ていきたいと思います。

1.英国版IASの概要
 ISAとは、Individual Savings Account(個人貯蓄口座)の略で1999(平成11)年4月に導入された制度です。現在は、株式型ISA(導入時は株式型と保険型に分かれていた)、貯金型ISAの2種類となっています。 目的としては低貯蓄率の解消のために10年間の時限制度としてスタートしました。7年後の検証の際には貯蓄や投資が低所得者層や若年層にも普及していることを踏まえ2008(平成20)に恒久化されました。
 制定後10年以上経過し、改定を繰り返された英国ISAとこれからスタートする日本版ISAを比較してみました。
nisa2-1.png

(2)相違点等
①非課税投資枠
 英国ISAでは、非課税投資枠は毎年一定ではなく消費者物価指数に連動して定められています。また、この金額が12の倍数になっており、積立投資をする場合の毎月の積立額の目安にという配慮がされているようです。
②非課税枠の再利用
 日本版ISAでは非課税枠の再利用は認められていませんが、英国ISAでは投資対象の金融商品をスイッチングにより変更することができますので、銘柄を変更する投資方法を選択することが可能です。

2.ジュニアISA
2011年11月に導入された子供のための資産形成制度で、子供の将来へ向けた資産形成を奨励する個人貯蓄口座です。対象は英国在住の18歳未満の子供となっています。特徴としては、子供が18歳に達するまでは引出すことができないことです。

nisa2-2.png

以上のように、日本版ISAは英国ISAを基に制定されたというのですが、英国ISAと日本版ISAでは大分違いがあるようです。次回は、これから始まる日本版ISAの問題点について考えてみたいと思います。

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平成25年度税制改正における法人・個人税務の落とし穴と対応

平成25年4月17日に行われたビジネス会計人クラブにおいて宮森俊樹税理士先生を講師として研修が行われた。
  今回はその中での「金融証券税制」について引用させていただき、記載する。

1.一体改革法
  今後の検討事項として金融所得課税については、平成26年1月から所得税並びに個人の道府県民税および市町村民税をあわせて20%の税率が適用されることを踏まえ、その前提の下、平成24年度中に公社債等に対する課税方式の変更および損益通算の範囲の拡大を検討する。

2.金融所得課税の一体化の拡充
 ①特定公社債等の課税方式は、特定公社債、公募公社債投資信託の受益権、証券投資信託以外の公募投資信託の受益権および特定目的信託の社債的受益権について、次の措置を講じる。
 
(イ)利子所得等の課税方式等
Ⓐ源泉分離課税の廃止
特定公社債等の利子等については、税率20%(所得税15%、住民税5%)の源泉徴収による分離課税方式の対象から除外する。
落とし穴1

Ⓑ申告分離課税の創設
 平成28年1月1日以後に居住者等が支払いを受けるべき一定の特定公社債等の利子等については、税率20%(所得税15%、住民税5%)による申告分離課税の対象とする。
 ただし、源泉徴収がされるべき利子等で支払調書の提出がされないものは、申告分離課税の対象外とする

落とし穴2

Ⓒ申告不要制度の創設(新措法8の5①②)
 平成28年1月1日以後に支払を受けるべき一定の特定公社債等の利子等(源泉徴収・特別徴収が行われたものに限ります。)を有する居住者等は、その特定公社債等の利子等については、申告を要しないことができることする。

落とし穴1

Ⓓ国外公社債の利子等(新措法3の3③⑦、新地法71の29)
居住者または内国法人が支払いを受けるべき国外公社債等の利子等で申告分離課の税の対象となるものについてその支払の際に課される外国所得税の額がある場合には、その国外公社債等の利子等の額からその外国所得税の額を控除した金額に対して税率20%(所得税15%、住民税5%)または税率15%(所得税のみ)による源泉徴収・特別徴収を行うこととする。

Ⓔ適用関係(平成25年改正法附則19、同附則20)
 上記Ⓐの改正は、平成27年12月31日以前に支払いを受けるべき公社債等の利子等については、なお従前の例による。

あと譲渡所得等の課税方式については、同様に①公社債等の譲渡等による非課税措置の廃止(旧措法37の15①)、申告分離課税の適用(新措法37の11①②)、特定公社債等の償還または一部解約があった場合(新措法37の11④)、適用関係(平成25年改正法則50)が定められた。
さらに、特定口座での取扱いとして、①特定口座の基本的しくみ(措法37の11の3)、特定公社債等の特定口座への受け入れ(新措法37の11の3)、源泉徴収選択口座の開設(新措法37の11の5①)、源泉徴収選択口座内における損益通算(新措法37の11の6①④~⑩)新地法附則35の2の5)、適用関係、実務上の留意点、特定公社債の範囲(新措法37の11②)ように改正される。
以上については、次回以降詳細を紹介します。



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会計検査院調査による租税徴収不当事項の内容とは?

2012年(平成23年)度の会計検査院による調査報告書によると、租税徴収の不当事項が64税務署において、233,611,585円。
納税者合計で97件あったことが報告された事は前のブログで紹介したとおりである。
今回はこの不当事項の具体的内容を税目毎に見ていきたい。

Ⅰ.税目ごとの態様
 この97件とは、源泉所得税2件、申告所得税20件、法人税63件、相続税・贈与税5件、消費税5件、その他過大徴収2件に分けられる。そして、その税目毎の態様を示すと以下のとおりである。
1 源泉所得税
 源泉所得税に関して徴収不足になっていた事態が2事項あった。これらは、報酬及び配当に関する事態である。
 報酬及び配当の支払者は、支払の際に、所定の方法により計算した源泉所得税を徴収して、徴収の日の属する月の翌月10日までに国に納付しなければならないこととなっている。そして、この法定納期限までに納付がない場合には、税務署は支払者に対して納税の告知をしなければならないこととなっている。
 この報酬及び配当に関して、徴収不足になっていた事態が2事項計5,083,485円あった。その内容は、報酬の支払額や自己株式の取得による配当とみなされる金額について、法定納期限を経過した後も長期間にわたって源泉所得税が納付されていないのに、課税資料の収集及び活用が的確でなかったため、納税の告知をしていなかったものである。

2 申告所得税
 申告所得税に関して徴収不足になっていた事態が20事項あった。この内訳は、譲渡所得に関する事態が11事項、不動産所得に関する事態が7事項及びその他に関する事態が2事項である。

(1) 譲渡所得に関する事態
 個人が資産を譲渡した場合には、その総収入金額から譲渡した資産の取得費や譲渡に要した費用の額等を差し引いた金額を譲渡所得として、他の各種所得と総合して課税することとなっている。ただし、土地建物等の譲渡による所得については、他の所得と分離して課税することとなっている(これを分離課税という)。そして、個人が相続又は遺贈により取得した資産を一定の期間内に譲渡した場合には、相続税額のうち所定の方法により計算した金額を、当該譲渡した資産に係る譲渡利益金額を超えない範囲で取得費に加算する特例を適用できることとなっている。
 この譲渡所得に関して、徴収不足になっていた事態が11事項計30,868,800円あった。その主な内容は、取得費に加算できる相続税額を過大に計上しているのに、これを見過ごしたり、法令等の適用の検討が十分でなかったりしたため、譲渡所得の金額を過小のままとしていたものであった。

(2) 不動産所得に関する事態
 個人が不動産を貸し付けた場合には、その総収入金額から必要経費等を差し引いた金額を不動産所得として、他の各種所得と総合して課税することとなっている。そして、貸付けの用に供する不動産を取得する際に支払った仲介手数料は、その取得した不動産の取得価額に含め、不動産所得の計算上必要経費に算入しないこととなっている。
 この不動産所得に関して、徴収不足になっていた事態が7事項計17,896,300円あった。その主な内容は、申告書等で、貸付けの用に供した不動産の取得価額に含めるべき仲介手数料が必要経費に算入されているのに、これを見過ごしたため、不動産所得の金額を過小のままとしていたものであった。

(3) その他に関する事態
 上記のほか、事業所得に関して、徴収不足になっていた事態が2事項計12,512,800円あった。

3 法人税
 法人税に関しては徴収不足又は徴収過大になっていた事態が64事項あった。この内訳は、法人税額の特別控除に関する事態が25事項、減価償却費の計算に関する事態が6事項及びその他に関する事態が33事項である。

(1) 法人税額の特別控除に関する事態
 法人税額から一定の金額を控除する各種の特別控除が設けられている。このうち、青色申告書を提出する資本金又は出資金の額が3000万円以下の中小企業者等(以下「特定中小企業者等」という。)が特定の機械等を取得して事業の用に供した場合には、その事業年度において、当該事業年度の法人税額の100分の20相当額を限度として、取得価額に一定の割合を乗じた金額を法人税額から控除できることとなっている。
 また、青色申告書を提出する法人に損金の額に算入した試験研究費がある場合には、当該事業年度の法人税額の100分の20相当額等を限度として、試験研究費に一定の割合を乗じた金額(以下「税額控除限度額」という。)を法人税額から控除できることとなっている。そして、前事業年度において控除できなかった税額控除限度額があるときには、当該事業年度の試験研究費の額が前事業年度の試験研究費の額を超える場合において、当該事業年度に繰り越して控除できることなどとなっている。
 この法人税額の特別控除に関して、徴収不足になっていた事態が25事項計73,431,700円あった。その主な内容は、次のとおりである
(A) 資本金の額が3000万円を超えていて特定中小企業者等に該当しない法人が特定中小企業者等が機械等を取得して事業の用に供した場合の法人税額の特別控除を行っているのに、これを見過ごしたため、法人税額を過小のままとしていた。
(B) 試験研究費の額が前事業年度の試験研究費の額を超えていないのに前事業年度から繰り越した税額控除限度額を誤って控除していたり、控除できない前々事業年度から繰り越した税額控除限度額を誤って控除していたりしているのに、これを見過ごしたり、法令等の適用の検討が十分でなかったりしたため、法人税額を過小のままとしていた。

(2) 減価償却費の計算に関する事態
 法人がその有する減価償却資産につき償却費として経理をした金額のうち、その法人が当該資産について定められた償却の方法に基づき当該資産の耐用年数等に応じて計算した金額に達するまでの金額は、所得の金額の計算上、損金の額に算入されることとなっている。そして、10年4月1日以後に取得した建物についての償却の方法は定額法で行うこととなっている。
 この減価償却費の計算に関して、徴収不足になっていた事態が6事項計26,488,200円あった。その主な内容は、法人が10年4月1日以後に取得した建物の償却の方法を誤り、償却費を過大に計上しているのに、これを見過ごしたため、損金算入額を過大のままとしていたものであった。

(3) その他に関する事態
 上記のほか、役員給与の損金不算入、同族会社の留保金等に関して、徴収不足になっていた事態が32事項計46,755,600円、徴収過大になっていた事態が1事項500,000円あった。

4 相続税・贈与税
 相続税・贈与税に関して徴収不足になっていた事態は5事項ある。この内訳は、相続税については土地建物等の価額に関する事態が2事項及びその他に関する事態が2事項、贈与税については土地建物等の価額に関する事態が1事項である。

(1) 相続税
(ア) 土地建物等の価額に関する事態
 個人が相続又は遺贈により財産を取得した場合には、その取得した財産に対して相続税を課することとなっており、取得した財産の価額は相続又は遺贈により取得した時の時価とされていて、土地建物等の価額については路線価、固定資産税評価額等を基にして計算することとなっている。そして、正面と側方に路線がある宅地(以下「角地」という。)の場合は、それぞれの路線の路線価に奥行距離等に応じた補正率(以下「奥行価格補正率」という。)を乗じた金額の高い方の路線の路線価を正面路線の路線価(以下「正面路線価」という。)とするなどして評価することとなっている。
 この土地建物等の価額に関して、徴収不足になっていた事態が2事項計8,899,200円あった。その内容は、土地の価額の評価において、取得した持分を誤っていたり、角地の正面路線価を誤っていたりなどして評価しているのに、これを見過ごしたため、土地の価額を過小のままとしていたものである。
(イ) その他に関する事態
 上記(ア)のほか、相続税額の加算及び有価証券の価額に関して、徴収不足になっていた事態が2事項計1,722,200円あった。

(2) 贈与税
 個人が贈与により財産を取得した場合には、その取得した財産に対し贈与税を課することとなっている。
 この贈与税に関して、徴収不足になっていた事態が1事項3,074,500円あった。その内容は、贈与により取得した土地の一部が申告されていないのに、課税資料の収集及び活用が的確でなかったため、課税していなかったものである。

5 消費税
 消費税に関して徴収不足又は徴収過大になっていた事態が6事項あった。この内訳は、課税売上高の計上に関する事態が2事項及びその他に関する事態が4事項である。
(1) 課税売上高の計上に関する事態
 事業者は、課税の対象となる国内において行った資産の譲渡及び貸付け並びに請負等の役務の提供に係る収入金額を課税売上高に計上することとなっている。
 この課税売上高の計上に関して、徴収不足になっていた事態が2事項計3,483,900円あった。その内容は、事業者が事業用建物を譲渡しているのに、課税資料の収集及び活用が的確でなかったため、課税売上高を過小のままとしていたものである。
(2) その他に関する事態
 上記(1)のほか、課税仕入れに係る消費税額の控除等に関して、徴収不足になっていた事態が3事項計3,394,900円、徴収過大になっていた事態が1事項1,030,700円あった。

 このように課税庁側といえども課税及び徴収の間違いがある。
よく確認しなくてはいけない。それにしても会計検査官の細かな調査及びその広範囲な税務知識の深さには驚くばかりである。
租税だけに着目するとこの不当事項97件、税額で233,611,585円は、我々職業会計人が関与している企業の申告誤りを課税庁側も見過ごしている点である。
我々職業会計人が注意をし、間違えさえしなければ無くなるはずである。そういう意味ではこの報告書は我々にとって反面教師の役割を担っているようにも思われる。

                            

| 財政・税務 | 09:37 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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日本版ISAが始まります①

愛称「NISA(ニーサ)」に決まりました!

来年(2014年)1月から日本版ISA(少額投資非課税制度)がスタートすることになりました。正式名称は、「少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置」といいますが、証券投資優遇税制が本年(2014年)12月31日で打ち切られることに伴い導入されるものです。目的は貯蓄から投資への流れを促進するとともに、個人投資家の長期資産形成を支援することと言われていますが、一方で使い勝手の点に疑問の声も出ています。

1.概要
 日本版ISAとは、非課税口座を開設することにより、その非課税口座を使った年間100万円までの投資資金による株式投資信託と上場株式等について譲渡益や配当金額が非課税となる税制優遇制度です。
(1)非課税対象
 株式投資信託及び上場株式が対象となりますが、国債、社債並びに公社債投資信託等は対象とはなりません。
(2)口座開設資格者
 その年1月1日現在満20歳以上の日本居住者及び恒久的施設を保有する非居住者です。
(3)非課税期間
 投資を始めた年からスタートして5年目の12月末日までです。
 従って、2014年に投資したものは、全て2018年12月31日までで非課税期間は終了します。
(4)非課税投資枠
 新規の投資額で年間100万円までとなっています。ただし、未使用枠があったとしても翌年に繰り越すことはできません。また、再投資は認められていませんので、売却した場合にはその投資枠は消滅してしまいます。なお、この100万円の枠は一括で使用することも分けて使用することも可能となっています。
(5)最大非課税投資枠
 100万円×5年間=500万円
(6)制度継続期間
 2014年1月1日から2023年12月31日までの10年間です。
(7)非課税口座の開設と注意点
① 非課税口座は勘定設定期間につき一人一口座しか開設出来ず、重複して開設することはできません。
② 2013年10月1日から非課税口座の開設が始まります。証券会社によってはすでに予約の受付が始まっているところもあります。
(8)勘定設定期間と基準日
制度の継続期間である10年間について勘定設定期間が4年づつ定められており、この期間内に非課税口座開設の手続きをするためにはその基準日の住所を証明する住民票の写しが必要となります。この住民票の写しを金融機関を通じて税務署に提出することにより、重複開設でない確認証が税務署から交付されて初めて口座を開設することが可能となるのです。


2.非課税期間中に売却した場合
 いつでも売却は可能ですが、売却部分の非課税枠を再利用することはできません。また、たとえ損失が発生したとしても特定口座や一般口座で発生した損益と通算することはできません。

3.非課税期間が満了した場合
 5年間保有して非課税期間が満了した場合には、次の3つのパターンが考えられます。
(1)売却する
 売却益は非課税となります。
(2)引き続き保有する
  ①100万円を上限として翌年からの非課税枠に移管する
  ②特定口座・一般口座に移行する
取得価格は期間満了時の時価で評価し直されます。なお、この場合の値上がり益は非課税とされます。

 NISAの愛称は一般公募により決定したことが、2013年4月30日に日本証券業協会から発表されました。これは日本(NIPPON)の頭文字のNをISAに付けたことによるものですが、もともとは英国のISA(アイサ)をもとに作られた制度なのです。次回は英国のISAとの比較をしていきたいと思います

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会計検査院の活動とは?

 2013年度(平成25年度)、の政府予算(一般会計)は92.6兆円で決定したが、国会での成立は5月の20日頃になるらしい。
従って、本年の予算の執行はこれから本格化して行くが、この予算の使われ方を調査しているのが会計検査院である。

 今回は、この会計検査院に注目していきたいと思う。
日本国憲法第90条1項では、「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告するとともに、これを国会に提出しなければならない」と規定している。
さらに会計検査院法第1条では「内閣に対し独立の地位を有する」と規定されており、国家予算をチェックするいずれにも属さない独立した行政機関にあたる。従って、会計検査院は内閣・国会・裁判所いずれにも属さない。
 公務員が予算や法律に従って、きちんと会計処理をしているかどうかをチェックし、国が出資している政府関係機関や財政援助をしている都道府県などを検査している。 会計検査院の総勢は1276人(2006年度調べ)規模である。調査対象先は実に5000以上。そこへ約880人の調査官が手分けして検査を行い、不正を見抜くのだ。検査は書類で確認するだけでなく、現場に出向くこともある。なにやら、税務署に似ている。企業は税務署の調査を嫌がるが、税務署は会計検査院の調査を嫌がっているらしい。

 最近では、会計検査院を題材にしたドラマや映画も見かけるようになった。2011年には堤真一が主演した「プリンセストヨトミ」などのヒットした映画もあり少しづつではあるが知られてきている。
会計検査院の活動の中心は、1年間調査活動した「決算検査報告」の作成である。
日本国憲法第90条の規定により、国の収入支出の決算を検査し、会計検査院法第29条の規定に基づいて作成すると規定されているからである。
 この検査報告は、会計検査院の検査が済んだ決算とともに内閣に送付され、内閣から国会に提出される。そして、国会で決算審査を行う場合の重要な資料となるほか、財政当局などの業務執行にも活用される。
なお、具体的な報告書は、会計検査院のHP(ホームページ)に掲載されているので興味のある方は参考にしてもらいたい。
 HPでは、1947年(昭和22年)度から2011年(平成23年)度までの国家予算の使われ方とその推移を知ることが出来る。財政学を学ぶ者にとっては良い研究資料になるだろう。
今回は、その中の2012年度(平成23年度)会計検査官が国税局・税務署を調査した租税に関しての不当事項に関しての報告書を見ていきたい。

Ⅰ.不当事項 (租税)
(1)租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの

検査院1

(2)租税の概要
 源泉所得税、申告所得税、法人税、相続税・贈与税、消費税等の国税については、法律により、納税者の定義、納税義務の成立の時期、課税する所得の範囲、税額の計算方法、申告の手続、納付の手続等が定められている。
 納税者は、納付すべき税額を税務署に申告して納付することなどとなっている。国税局等又は税務署は、納税者が申告した内容が適正であるかについて申告審理を行い、必要があると認める場合には調査を行っている。そして、確定した税額は、税務署が徴収決定を行っている。
 平成23年度国税収納金整理資金の各税受入金の徴収決定済額は52兆6366億余円となっている。このうち源泉所得税は12兆9076億余円、申告所得税は2兆6778億余円、法人税は10兆3494億余円、相続税・贈与税は1兆5874億余円、消費税及地方消費税は16兆3289億余円となっていて、これら各税の合計額は43兆8511億余円となり、全体の83.3%を占めている。

(3)検査の結果
検査の観点、着眼点、対象及び方法

 会計検査院は、上記の各税に重点をおいて、合規性等の観点から、課税が法令等に基づき適正に行われているかに着眼して、計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)に基づき本院に提出された証拠書類等により検査するとともに、全国の12国税局等及び524税務署のうち12国税局等及び105税務署において、申告書等の書類により会計実地検査を行った。そして、適正でないと思われる事態があった場合には、国税局等及び税務署に調査を求めて、その調査の結果の内容を確認するなどの方法により検査を行った。

(4) 徴収過不足の事態
 検査の結果、64税務署において、納税者97人から租税を徴収するに当たり、徴収額が、95事項計233,611,585円(18年度から23年度まで)不足していたり、2事項計1,530,700円(20年度)過大になっていたりしていて、不当と認められる。
 これを、税目別に示すと次のとおりである。
検査院2

なお、これらの徴収不足額及び徴収過大額については、本院の指摘により、全て徴収決定又は支払決定の処置が執られた。

(5) 発生原因
 このような事態が生じていたのは、上記の64税務署において、納税者が申告書等において所得金額や税額等を誤るなどしているのに、これを見過ごしたり、法令等の適用の検討が十分でなかったり、課税資料の収集及び活用が的確でなかったりしたため、誤ったままにしていたことなどによると認められる。
以上のような指摘が会計検査院からあり、これを是正させられている。
どうですか?税務署とて間違いはあります。次回ではその間違いの事例に関して考えてみましょう。

         

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| 財政・税務 | 10:32 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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税制改正で孫への贈与がしやすくなります(3)

 平成25年度税制改正により、①教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置、②相続時精算課税の適用要件の緩和、③子や孫への贈与税の税率の引き下げという3つの改正から祖父母から孫への贈与がしやすくなります。
 今回は③子や孫への贈与税の税率の引き下げについてみてきたいと思います。

3.子や孫への贈与税の税率の引き下げ
(1)適用趣旨
 平成25年度税制改正により、贈与税の税率構造の見直しが行われるとともに、最高税率が55%に引き上げられましたが、直系尊属から20歳以上の者への贈与については、超過累進税率を緩和することにより、若年世代への財産の移転を促し、経済の活性化を図ることとしています。

(2)概要
 贈与税の税率構造を現行の6段階から8段階に見直すとともに最高税率を55%に引き上げることとなりました。ただし、直系尊属から20歳以上の者への贈与については、おおむね5%から10%の税率の引き下げとなっています。

贈与税の税率表
贈与図3

(3)期間
平成27年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税がら摘要されます。

4.まとめ
 これらの改正に共通する点は、高齢者から若い世代への資産の移転をスムーズに行うことにより、消費を活性化させる狙いがあると思われます。
 これらの制度の利用については、注意する点もありますが上手く利用することにより相続税対策にもなりますし、消費の活性化という点では期待できる改正ではないでしょうか。

| 相続税及び贈与税 | 09:44 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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税制改正で孫への贈与がしやすくなります(2)

平成25年度税制改正により、①教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置、②相続時精算課税の適用要件の緩和、③子や孫への贈与税の税率の引き下げという3つの改正から祖父母から孫への贈与がしやすくなります。
 今回は、②相続時精算課税の適用要件の緩和について見ていきたいと思います。

2.相続時精算課税の適用要件の緩和
(1)適用趣旨
 相続時精算課税制度は、親など高齢者の資産を相続開始時期まで待たずに若い世代に早期に移転することが目的で平成15年に創設された制度です。平成25年度の改正では、対象者の範囲を広げることにより財産の早期移転と有効活用の促進を促し、消費の活性化につなげたいという思いがあります。

(2)概要(現行)
 相続時精算課税制度は、その年1月1日現在65歳以上の親(贈与者)からその年1月1日現在20歳以上の直系卑属である推定相続人(受贈者)に対して贈与をする場合、暦年贈与に代えて相続時精算課税制度を選択することにより、2,500万円に達するまでは、何度でも非課税で贈与が可能となります。2,500万円を超えた場合には20%の贈与税が課税されます。また、贈与者が亡くなった時は、相続財産に贈与財産を合算して相続税額を計算し、20%課税された贈与税額相当額を控除し、控除しきれなかった場合は還付により精算するという制度です。

(3)住宅取得等資金の贈与を受けた場合の特例
 相続時精算課税制度の特例により住宅所得等の資金の贈与を受ける場合には、贈与者の年齢制限がなくなります。

(4)改正点
 贈与者の年齢が65歳以上から60歳以上の引下げられました。受贈者は20歳以上の推定相続人のほかに、贈与者の孫にまで範囲が広げられました。

(5)期間
 平成27年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る贈与税がら摘要されます。

(6)注意事項
① 相続時精算課税制度を選択した場合した場合には、取り消すことはできません。
② 2,500万円の特別控除は、贈与者ごとに適用されます。
③ 一旦相続時精算課税制度を選択した場合には、それ以降の贈与者からの贈与については全て贈与税の申告が必要となります。
④ 平成25年度の税制により、平成27年1月1日より相続税の基礎控除額引き下げとなり、相続税が課税されるケースが増えることが予想されます。この改正により推定相続人でない孫も相続時精算課税の対象となりましたが、相続人でない孫が祖父母の財産を相続した場合には、通常の相続税に2割加算されてしまうことに注意が必要です。

(7)直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税措置との比較と併用
①概要
 平成24年1月1日から平成26年12月31日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が贈与をうけた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金により自己の居住の用に供する一定の家屋の取得等をして同日までに自己の居住の用に供した場合には、次の金額について贈与税が非課税となります。

贈与

②相続時精算課税制度との併用
 相続時精算課税制度との併用は可能です。ただし、この制度は平成26年12月31日までですので、直系尊属でない孫については併用はできません。
③相続時精算課税制度との比較
 相続時精算課税制度と比較すると、非課税金額が少なく適用要件が定められているので用途の制限がありますが、相続時精算課税制度に比べて後で課税されることはありませんのでこの制度を優先して適用することも検討すべきと思われます。

| 相続税及び贈与税 | 09:40 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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