税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業44年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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サラリーマン必見!「特定支出控除の活用」

 現在各税務署は確定申告で賑わっています。例年確定申告者のうち約55%が還付申告者で占められています。特に医療費控除の還付が多いようです。
サラリーマン(給与所得者)の方は、年末調整で所得税の納税が完結しているので余り興味が無いかもしれません。
しかし今回は、サラリーマンの方も必見です。
平成25年度より一部改正になった給与所得者の「特定支出控除」について説明して行きます。
なぜ必見かと言うと、この特定支出とは給与所得者が1年間に使った「特定の支出」の金額が「給与所得控除額の2分の1(最高125万円)」を超えて支出した場合、その金額を特定支出控除として認めて所得税を安くする制度である。
 それではまず、「給与所得控除」とは何か。一言で言えば、自営業者の方の必要経費のようなものである。
平成25年度の給与所得控除表は以下の通りである。

特定支出控除

1.特定支出の内容
平成24年度までの特定支出控除の内容は、次に掲げる支出のうち一定のものであった。
(1) 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出
(2) 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出
(3) 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出
(4) 職務に直接必要な資格(一定の資格を除きます。)を取得するための支出
(5) 単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出
なお、これらの5つの特定支出は、いずれも給与の支払者が証明したものに限られる。

 また、給与の支払者から補填される部分があり、かつ、その補填される部分に所得税が課税されていないときは、その補填される部分は特定支出から除かれる。
 この特定支出控除を受けるためには、確定申告を行う必要がある。
 その際、特定支出に関する明細書及び、給与の支払者の証明書を申告書に添付するとともに、搭乗・乗車・乗船に関する証明書や支出した金額を証する書類を申告書に添付又は申告書を提出する際に提示する。
 なお、以上の書類のほかに給与所得の源泉徴収票も申告書に添付する。

2. そして、平成25年度分より、特定支出の範囲に次に掲げる支出が追加されている。
(1) 職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者により証明がされた、弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費
(2) 次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの
イ 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するもの及び制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用。
ロ 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出
参考条文:(所法57の2、所令167の3~167の5、平24改正法附則52)

3.具体的事例
・給与所得者 400万円のケース
・給与所得控除額=400万×20%+540,000=1,340,000
この1,340,000の1/2である670,000円を超えれば特定支出控除が使える!
例えば、税理士の資格取得費に年間1,000,000円使ったとすれば、
1,000,000-670,000円=330,000円
この330,000円が特定支出控除として給与所得控除後の金額から差引くことが出来る。従って所得税が安くなることになる。

 特定支出控除制度の導入は、同志社大学の大島教授が1964年(昭和39年)の所得について受けた、賦課決定処分に対して訴訟を起こし、1974年(昭和49年)京都地裁、1979年(昭和54年)大阪高裁、1985年(昭和60年)最高裁判所と争い、裁判は負けたが、この時の判決が元となって、サラリーマン(給与所得者)の特定支出の規定が創設されたのである。
 そして、1987年(昭和62年)大島訴訟の最高裁判決がでた2年後の所得税法の改正によって特定支出の実額控除選択制度が導入されたのである。
あれかれ26年経ち、少しづつではあるが給与所得者にとっても使い勝手の良い制度になりつつあると思われる。
給与所得者の皆さん、来年度の確定申告ではこの「特定支出控除」制度を利用してみてはどうだろうか。


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| 所得税・所得控除及び税額控除 | 09:39 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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今注目されているサービス付き高齢者向け賃貸住宅とか何か!?

 皆さんもご存じの通り、日本は球速に高齢者の人口が増加しています。
厚生労働省の統計では、現在65歳以上の高齢者1人を3人で支えていますが、2030年には1.7人、2055年には1.2人で支えなければなりません。
 このような状況下、サービス付き高齢者向け住宅(通称:サ高住)の登録軒数が、スタートから15ヶ月で10万戸に迫ろうとしています。

 かつて「高円賃」 「高専賃」 「高優賃」などの制度が乱立して複雑化した高齢者向け住宅が「サ高住」として一本化したのは平成23年11月のこと。平成23年度の全マンション販売戸数が8万6千古という数字から見ても、サ高住がいかにすさまじい勢いで増えているかがわかる。土地活用のひとつとしても注目されるサ高住を調べてみた。

 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)に基づいた制度による住宅のこと。平成23年秋に同法が改正施行され、制度がスタートした。それまで高齢者の住まいについて同法では、高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)、高齢者専用賃貸住宅(高専賃)、高齢者向け優良賃貸住宅(高優住)の3種類があったが、この改正でサ高住に一本化された。これで民間事業者による高齢者向け住宅は、従来の有料老人ホームとサ高住の2つに大別されるようになった。
 サ高住として認められるための基準は大きく分けて3つある。

1.まずはハード面で、専用部分の床面積が25㎡以上(状況によっては18㎡以上)で、各戸に浴室、台所などの水回りを設け、バリアフリー構造であること。
2.二つ目はサービス面で、社会福祉士やホームヘルパーなどの専門家が「少なくとも日中」は常駐していること。
3.三つ目は契約内容に関する基準が守られていること。サ高住では、対価として受領することができるのは、敷金・家賃・サービスの対価のみで、「契約更新料」や「権利金」などを請求することはできない。
以上の3点をカバーして、あとは都道府県に登録すればよい。

 高齢者向け住宅というと、介護や医療分野の用意がハード・ソフトとともに必須のイメージがあるが、実は守らなければならないルールは上記の3点だけだ。食事の提供すら事業者の自由だ。そのため、運営母体は社会福祉法人や医療法人である必要はなく、平成24年8月時点で株式会社が全体の半数を超えている。
 運営する業種では、介護系事業者が6割と圧倒的に多いものの、不動産・建設業者も12%あり、今後は各業態とも得意分野を生かした参入をしてくるとも見られている。
 事業者向けの補助は、新築建設費の1割、改修費の3分の1など、1戸あたり100万円の上限はあるものの、かなり手厚い部類だ。さらに税制面では、一定の要件に応じて所得税(法人税)は5年間割増償却40%、固定資産税は5年間3分の2を軽減され、不動産取得税については1戸あたり課税標準から1,200万円控除される。高齢者向け住宅政策を民間資本に頼る政府としては、増え続ける需要をこのくらいの優遇措置でカバー出来れば安いものだ。平成25年度税制改正大綱でも、国土交通省が中心とした税制化優遇措置の要望書が掲げられている。

 政府はサ高住につき10年間で60万戸を整備する方針を打ち出しており、そのため運営の自由度は高く、高齢者向け住宅に未経験の土地オーナーにも参入しやすい条件を整えている。
 こうして土地活用の新しい形として急速に広まったサ高住だが、ビジネスである以上は当然注意点もある。まずはその立地だ。
 日本では高齢者は増え続ける状況にあり、事業展開に地域や場所を選ばないようにも思えるが、やはり都心の方が強いようだ。理由は、入居者の子供たちが立ち寄りやすいからだ。
 一昔目、「土地活用だから」と営業され、過疎地のたんぼの中に単身者用のアパートを建てさせられて失敗した地主さんが多くいたが、似たような状況が生まれないとも限らない。しっかりとニーズをつかめるよう注意したい。
 また自治体によるサ高住への力の入れ方も大きく違うので事前に調べたほうがいいようだ。関東圏でサ高住を展開する不動産会社のA社長は、初めての自治体でいつものように建設しようと、確認申請のために設計図書を持って役場を訪れると、「これは施設ですね。共同住宅とは認められない」と取り合ってくれなかったことがあるという。
「やはり国が勝手に決めた制度という印象が自治体にあります。そのためやる気のない地域があり、細かい寄生がバラバラで、着工までに相当の時間を要することもあるのです。」という。そうかと思えば、逆にサ高住を誘致するため、一定の家賃補助をする地域も出てきている。
計画段階で必ず地域の特色を確認しておきたい。

 最近はメガバンクもようやく重い腰を上げ、サ高住への融資も通るようになってきたようだ。サ高住の利回りは一般賃貸住宅とほぼ同様だが、前述のように優遇措置は大きい。さらに空室率も低く、オーナーの維持管理費も少なく、入居率が安定的で滞納もほとんどない。いくつかの”落とし穴”をきちんとクリアして臨めば、大きなメリットをつかむことができるかもしれない。まだまだブームは続きそうだ。

(参照:NP通信社「社長のミカタ」3月号より)



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| 税制改正 | 10:16 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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租税正義は誰が守るのか  TKC全国会初代会長 飯塚 毅

 租税正義は誰が守るのか。(税理士は、忘れては、いけない)
最近の税理士側の記事は、2013年3月31日で終了する予定の金融円滑化法の廃止を見据えた、各金融機関の動きが、活発になり、経営革新等支援期間に認定された、税理士事務所等も3,813以上。会計に軸足が移動されている。

 以下は、
租税正義は誰が守るのか 36年前にTKC会報第38号(1976年・昭和51年2月15日)より抄録TKC全国会会長 飯塚 毅(当時)の原稿を思い出して飯塚 毅先生が、何を主張されたのか回想し、現在に弾き直したい。
 

 日本の租税正義は誰が守るのか。筆者は当然に、それは税理士だ、と答えたい。然し現実には、非第一次産業に従事の事業体の約四分の一弱しか税理士は受託していない。しかも租税正義実現の場は、徐々に荒廃の一途を辿るように見える。いったい、どうしたら良いのか。

「田園まさに荒れなんとす」の思い

 数年前のことですが、筆者は大学時代の恩師の推薦で、某一流製品会社の顧問に就任することになり、社長さんを除く全重役と恩師とを交えた昼食会に招待されました。席上、取締役経理部長が「社長個人用のアンダーテーブルの資金を三千万円ばかり作ってたんですが、その経理の隠し方をお教え願いたい」と切り出したのです。単細胞の筆者は、満座の中で大声一喝し、顧問の就任を拒否しました。

「田園まさに荒れなんとす」(陶淵明)
の想いが、筆者に急切であります。

①経営者の国家社会に対する責任感は稀薄化しつつあり、国家存立の基礎は、段々怪しくなりつつある。
②微税の任に当る官僚は、保身を第一とし、国家のためを第二とする心理に変る気配をもつ。
③政治家は選挙民に媚を売る姿勢を強め、国民生活の公正と正義の実現のための立法政策に身体を張る者が減ってきている。


まず、自らの収支に純潔無類であれ

昭和五十一年という税理士の少正念場の年を迎えて、筆者はしみじみ、こう思います。誰が何と云おうと、税法に関する専門家は税理士だけだ。徴税官僚は、山のような仕事を抱え、人員不足で手が廻らない。とすれば結局、国民の租税正義の護持は、税理士が自ら、その責任の衝に当ることを鮮明にしていかねばならない。だが、そのためには、税理士は数々の障害を突破する見識と勇気を要する。
 まず、第一に税理士は自分の収支計算について純潔無類でなければいけない。天地に恥じるところ一転もなしという生活でなくて、どうして他人に向かって租税正義を説けよう。
 第二に、税理士は勇気の人でなければならない。西ドイツの税理士法では「受託拒絶の通知」が税理士の義務条項に取り入れられている。勇気とは畏れのない心だと知ろう。
 さて第三に、税理士は、当局が無審査でパスせざるを得ないところまで自分の業務水準を高めなければならない。

 全国の中小企業を指導体制化に組み込み、租税正義実現は税理士の双肩にかかるとの社会的実績を作ろう。
 税理士の活路は、国民の中で尊敬される租税正義の護持者に徹してゆく方向にしか無いのだ。

≪TKC会報第38号(昭和51年2月15日)より抄録≫



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| 財政・税務 | 10:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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消費税は不公平な税金か?

 上のようなテーマで「宮司の論文」というおもしろい記事が載っていたのでここに年度と還付金額及び一部訂正をし、引用させていただきます。 

東大阪市という中小企業の町があります。そこは世界一の技術集団だそうです。人工衛星を飛ばしたりして有名になっています。ところがこの不況で窮地に陥っているのです。

 貿易が振るわなくなって材料価格を値下げさせられた上に消費税まで徴収されたならば利益を上げるどころか、赤字経営で倒産の危機に陥っています。大企業の多くは貿易で成り立っているので、相手国から販売先から消費税を徴収することができないので、消費税の還付制度があり国から交付金を交付されています。パナソニックにも平成23年度に900億円も消費税の還付金が交付されています。

消費税還付(輸出戻し税)に関しては、輸出企業が還付税によって利益を得ているように見えることから、消費税分を用いた下請けいじめではないかと国会で問題にされたことがあります。

2010年(平成22年)度の売り上げが10億円を超えている法人への消費税還付額は約2兆5000億円であり、年間還付金額上位10社だけで約8,600億円を超える。内訳はトヨタ自動車2,246億円、ソニー1,116億円、本田技研711億円、日産自動車987億円、キヤノン749億円、マツダ618億円、パナソニック633億円、東芝753億円、三菱自動車工業539億円、新日本製鉄346億円である。

消費税還付額の合計は平成23年で3兆円ばかりになります。一般国民の多くは、消費税は平等に取れる税金だと政府から思わされていますが、これほど不公平なものはありません。消費税率が10%に上がることになれば、パナソニック等の大企業だけが恩恵を受けるだけなのではないでしょうか。

 消費税は消費のみによって決まる税制です。所得が多い人も少ない人も消費額に対しては同じ税率となります。外国人でも日本人に対しても平等です。しかし実際には消費税は所得が少ないほど不利な税制です。例えば東日本大震災で家族を失い、家も仕事場も失った人々に対して、所得もない上に、貯蓄もなくなった上に、消費税を払わねばならない状態にあるからです。

もう少し深く考えれば、消費税がかからないものがあります。それは利潤・利子・配当などです。消費税には、資本所得を得られる金融投資にはかからないためです。こうしたものに投資する余裕がある人ほど有利な税制となることは事実です。また預貯金を切り崩して消費に回せばそこに消費税がかかります。絶対に預貯金を切り崩さない人には消費税はかかりません。こうしてみると消費税は消費の多い人に不利な税制となっています。

 消費税10%になれば、自分の食べる食品は家庭菜園で作り(自給自足)、ほしいものがあれば物々交換で手に入れ、何よりも物を大切にし、修理できるものは、できるだけ修理をして使うようになる。消費をできる限りしないようになるでしょう。

 確かに消費税は公平であるかのごとく表明されているが、決してそうではないと私も思います。消費税が上がれば、当然消費を控えるし、低所得者に不利な税金となるのは必然です。たとえ、必需品について減税を試みても恩恵を受けるのは同じ高額所得者も受けるのであるから効果がないと言えるのではないでしょうか。



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| 消費税法 | 09:47 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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平成25年度税制改正について

「合理的な再生計画」に基づく経営者の資材提供にかかる譲渡所得の非課税措置

【平成25年度税制改正について - 金融庁】
再生計画
【クリックで拡大表示】

 自社再建のために経営者が私財を提供した場合、資産の評価が取得価額を上回っていれば、経営者自身に利得がなくても差額は「譲渡益」として経営者に所得税が課税される。これに対し、経営者が保証債務の履行として金融機関に直接私財を提供した場合は、譲渡益は非課税と認められてきた。だが今回の税制改正では、再生企業の保証人でもある経営者により私財提供は、金融機関への私財提供と同様に、譲渡所得を非課税扱いにしたのである。
 「社長の所有物である本社社屋を会社に安い価額え売りたくても、税負担の重さを考えて身動きが取れない社長がいるのではないか」(大久保税理士)

 ただ、この非課税制度が認められるためには、中小企業再生支援協議会等の準則に則って作成された「合理的な再生計画」に基づいた私財提供でなければならない。そのため大久保税理士は、「再生支援協議会が処理件数をどの程度増やせるかによって、救われる企業の数が変わってくる」とメリットを受ける企業数が未知数であることも付け加える。
 今回の税制改正で救われる企業が増えるのであれば見直しの意味もある。しかしいずれの施策も全ての企業をカバーするものではない。
(納税通信 第2359号 2013年2月18日号 発行エヌピー通信社)



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| 譲渡所得 | 11:03 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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課税処分における信義則違反について

 税務職員が税務相談などで行った説明や指導、助言などの通り納税者が確定申告をしたとしても、その内容に誤りがあったことが判明した場合、追徴課税される恐れがある。この場合「税務職員の誤った指導が原因だ」としても、裁判所で追徴課税の違法性を争うことが難しくなっている。
鳥飼総合法律事務所の弁護士木山泰嗣氏によると、この信義則の適用について厳しく考える最高裁判例があるためであるとしている。

 今回の事例では、現在、課税庁側の更正処分に対し「論理の一貫性に矛盾」があると考え、異議申し立てをしている事案である。

(1)当方の主張 
  まず、課税庁の論理の一貫性として矛盾について次の事項をあげて述べる。

1. 本件については、過去に2回の調査を受け、10年間消費税の還付が実質行われてきたことの事実は、どう課税庁は、考えるのか、
 具体的には、消費税に関して平成12年事業年度から平成16年事業年度(過去5年分)について更正の請求(以下「第1次更正の請求」という。)を経て、その後調査を経て、旅行売上が輸出免税に当たるとして旅行売上と旅行原価の差額部分について消費税の還付が決定し実施された。
 平成17年分と平成18年分については、前者を受けて還付申告を行い、還付された。
 平成19年分については、旅行売上はあくまで消費税7条、令17条に基づく輸出免税であり、それに対応する旅行原価は、消費税の対象となるべく原価と主張し、更正の請求をした。(以下「第2次更正の請求」という。)。 その後調査の結果、認められ還付がされた。
これを受けて平成20年から平成22年分まで毎年還付申告をし、還付されてきた。平成23年分において調査が行われたが、更正処分の前に一旦消費税は還付された。上記のように請求人の主張により通則法第23条1項に基づき、2回にわたり、課税庁の公的見解の指導を受けて、それに対応した申告をしていた。
 本件において、平成16年分の第1次更正の請求及び平成19年分の第2次更正の請求に請求人主張とおり還付された事実は、後記記載の最高裁判決の「特別の事情が存する」と解釈される。
   
2. 前記のような経過事実から3年間(平成21年分、平成22年分、平成23年分)については、更正処分を受け、還付金額を遡って消費税の返還請求をされ、延滞税を課税していること。これは、納税者が経済的不利益を被ることになるものであり、とうてい了承できるものではないこと。
  
3.次に最高裁の判例を考えてみる。
1987年10月30日の最高裁判決要旨(以下、「最高裁判決」という。)より、
 「租税法規に適合する課税処分について、法の一般原理である信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に初めて右法理の適用の是非を考えるべきもの。そして、以下、特別の事情が存するかどうかの判断に当たっては、少なくとも、以下の点の考慮が不可決のものである」としている。

①税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したこと。
②納税者が税務官庁の当該表示を信頼し、その信頼に基づいて行動したこと。
③後に当該表示に反する課税処分が行われたこと。
④そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであること。
⑤納税者が税務官庁の以下の表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないこと
 つまり、この当該判決は、次のことを言っている。
①課税処分に信義則が適用される場合もある。
②ただし、課税処分に信義則が適用されるためには、上記の5つをすべて満たしたときに適用できる、というものである。

 しかし、①の公的見解はあいまいなものであり、何なのかはっきりしていない。
また、この事案は、口頭での指導等ではなく、一般調査をした上での更正処分をしたものについて、税務官庁を信頼し、その信頼に基づいて申告という行動を行ってきたものである。
さらに、税務大学校 租税理論研究室助教授の品川芳宣教授の論文「税法における信義則の適用について」より引用させて頂き、信義則の適用と租税法律主義について述べる。
  「信義則が今や単なる私法上の原理にとどまらず、すべての法律関係を支配する一般原理とされ、行政法上にも適用されるべきであるということは、わが国においてもすでに通説となってきている。この場合、信義則の適用が行政法上においても妥当するとする理論的根拠としては、信義則の規定はたまたま民法典に規定されているが、この原則は何も純私法的なものでなく、私法公法共通の法の一般原理として解されるものであるから、この原則は行政法上にも直接適用されるとする説が有力である」。
  以上のように信義則が法の一般原理として行政法上においても適用しうるとする論拠は、行政法の一分野である税法上においても適用しうるとする論拠にもなり得る。     
租税の徴収及び賦課は、必ず法律の根拠に基づき、法律に従って行わなければならないとする憲法84条に規定されている租税法律主義によっている。これは、国民の財産を保護し、法律生活の安定をはかることを目的とする。すなわち、課税要件法定主義ならびに課税要件明確主義の2点を内容とする。
  前者は、「納税義務者・課税物件・課税標準・税率等の各種の課税要件のほか、租税の賦課・徴収の賦課は法律で定めなければならない」というものであり、また後者は、「課税要件は明確に定めなければならず、行政権の自由裁量を認めるとか不確定概念を用いることは原則として許されない」というものである。

 以上のことから、本件に関しては、税務官庁の更正処分について論理の一貫性が通されてなく、納税者に対する租税法律主義において正義を貫く上でも、本件の消費税還付についての更正処分は先に述べた事実経過を踏まえて特別の事情が存すると考えて、不当な更正処分である。

今後この事案に関して課税庁側がどのような反駁をしてくるのか。
今後、当ブログで順次報告していきたい。



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| 税務調査 | 16:05 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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税制改正にみる自民党税制調査会の復活

 2013年1月24日、2013年度(平成25年度)の税制改正大綱が発表された。
今回は3年ぶりに政権与党となった自民党税制調査会が盛り上げっていたようだ。
まず今年の税制改正の流れを図-1で見ておきたい。

【図-1】
調査会


 自民党税制調査会の発足は自民党結党4年後の1959年に遡る。当時は単なる調査会の一つであり、党税調より有識者で構成する政府税調の方が税制改正を主導していた。
しかしながら高度成長末期の1970年代に入り、税調の役割は増税の負担という国民への痛みを伴う決断へと変化していった。
「税制改正を決められるのは選挙で選ばれた国会議員しかいない」との考え方から党税調は影響力を強め、「首相も口出しできない」権威を身につけていったのである。
自民党税制調査会は長年にわたって、インナーと呼ばれる税制に精通した長老議員が実権を掌握し、総裁や自民党三役すらはばかるほどであった。それほど、このインナーの権限は絶大である。
現在のメンバーは野田毅会長、額賀福志郎小委員長、町村信孝顧問、高村正彦顧問、宮沢洋一幹事の5名が中心となっている。

 日本経済新聞の論調では以下のように述べている。
 インナーの税調幹部には情報と権限を独占できるうまみがある一方で「党優位とおだてながら実は財務省主税局の官僚も楽な仕組みだという。
インナーは話の分かる旧大蔵省のOBが多く、5人前後に集中的に根回しするだけで税制改正が国会を通るからだと指摘する者もいる。
 国家財政の根幹を成す税制をわずか5人前後の幹部で権力と権威を持ち合わせているのは、他に例がない。
今回の安倍内閣では自民党の税制調査会が復活し税制改正をになった。
なお、これとは別に内閣総理大臣の諮問機関として、学者や有識者を中心とした政府税制調査会(略称:政府税調)がある。安倍内閣では政府税調は使わず、自民党税調を中心にまとめ上げた。
今後消費税の軽減税率導入など、税制改正の話題が出るたびインナーである5名の言動が注目を浴びることだろう。
                                  
(参照資料:日本経済新聞2013年1月13日朝刊 4面)
                              


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| 税制改正 | 09:57 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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消費税複数税率導入と問題点

 前回、消費税引き上げに伴う低所得者対策と問題点について考えてみましたが、今回は特に複数税率導入に伴う問題点について3項目に的を絞って考えてみたいと思います。

(1)軽減税率の対象品目
①食料品の範囲

 低所得者対策を考慮した場合に軽減税率の対象とする食料品については、日常的な食料品に限定されることが予想されます。では、日常的な食品といっても人それぞれ思い浮かべるものは異なるでしょうに、何をもって限定することができるのでしょうか。
②生活必需品
 低所得者対策というのであれば、食料品以外の生活必需品についても考慮されるべきではないでしょうか。現在、居住用家屋や医療のように非課税となっているものもありますが、医薬品や光熱費等のように配慮が必要なものが他にも考えられますが。ただし、範囲の限定は難しいと思われます。
③諸外国の実情
ア)贅沢品と一般的な食品による区分
 フランスを例に挙げると、贅沢品には19.5%、一般的な食品は5.5%となっていますが、次のようなちょっと笑える区分があります。
表

イ)外食とテイクアウトによる区分
 カナダでは、お菓子についてその場で食べるか持帰るかで税率を変えています。よく聞く話ですがドーナツを5個買えばその場で食べるとみなして6%の税率が適用され、6個買えば持帰るとみなして税率が0%となります。
 また、ドイツでは例えばハンバーガーを店内で食べれば外食となり19%の課税となりますがテイクアウトにすると食料品の7%の税率が適用されます。
ウ)同じ食品でも異なる税率適用
 イギリスでも贅沢品には17.5%で食料品については0%の税率が適用されていますので、ハンバーガーについては店内で飲食してもテイクアウトをしても17.5%ですが、冷凍食品であれば食品ですので0%の税率が適用されることになるのです。
 以上のように複数税率の適用についてはどの国でもその適用範囲と区分に頭を痛めていることがうかがえます。

(2)仕入税額控除の問題点 
 現行での請求書等保存方式では、前段階での消費税額の把握が難しいためインボイス方式への移行が望ましいと言われています。インボイス方式では、課税事業者に対して次の事を義務づけています。
①インボイスという適用税率や税額等の法定記載事項が記載された書類の作成と福本の保存
②インボイスに適用税率と税額の記載

仕入税額控除はこのインボイスに記載されている税額のみ控除できるのですが、免税事業者はインボイスが発行できないため、免税事業者からの仕入については仕入税額控除ができなという問題があります。

(3)事務の複雑化
 ①事務手続きの複雑化

 複数の税率の伴う商品を取り扱う場合には仕入や販売の都度、適正に区分を行わなければなりません。そのため、複数税率に対応できるシステムの導入の検討も必要となり企業にとっては事務の複雑化に加えコスト面での負担も大きくなることが予想されます。
 ②簡易課税制度の複雑化
簡易課税制度についても、課税売上と課税仕入の税率が異なる場合が想定されますが、その場合には適正なみなし仕入れ率のどのように適用していくかという問題が考えられます。
以上のように、3項目に限定しただけでも消費税率アップまでの間に解決すべき問題点があります。また、軽減税率の恩恵を受けるのは低所得者層ではなく高額所得者ではないのかという声も聞かれます。再来年までの間に適正な問題解決をしていただけることを期待したいものです。



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| 消費税法 | 15:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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