税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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最近の相続税調査による「海外資産の計上漏れ」問題

 国税庁は、平成23年事務年度(平成23年7月~平成24年6月の期間)に実施した相続税の実地調査の状況をホームページにおいて発表した。
 相続税調査は、当局が収集した資料情報を基に、申告額の過少申告や無申告が想定される人に対して実施される。

 国税庁によると平成21.22年に発生した相続を中心に23事業年度に実施された相続税調査は13,787件でこのうち申告漏れなどの非違があった件数は11,159件、非違割合80.9%だった。
申告漏れ課税価格は3,993億円、実施調査1件当たりは2,896万円。加算税を含む追徴税額は757億円で、実地調査1件当たりは549万円。特に仮装・隠蔽といった悪質な手段で過少申告や不納府、無申告になっているケースで課される重加算税の賦課件数は1,569件だった。
申告漏れ財産で最も多かったのは現金.預貯金等1426億円で、続いて有価証券631億円、土地630億円、家屋76億円と続く。
また、海外資産への注視も続いている。海外資産関連の相続調査件数を平成19年度から見ると、407件、475件、531件、695件、そして今回が741件と、年々増えていることが分かる。これに伴って非違件数も増加傾向にあり、23事務年度は111件であった。当局は資料情報や相続人・被相続人の居住形態などから海外資産の相続が想定されるケースなどに対して「積極的に調査を実施する」としている。

ここでは、国外財産を申告していなかった事例3件を見ていきたい。

事例1 相続した国外財産を申告除外

 国外送金等調書などによると被相続人である夫Aは生前、外国当局からの送金で資産の譲渡に掛かる外国税の還付を受けていた。Aが海外不動産等を所有していたと想定されたが、相続税の申告財産に海外不動産等が含まれていなかった。
そこで当局の調査で判明したのは、相続人妻Bが海外不動産を相続していたこと。他の相続人に知られないように相続税の申告から除外していたという。
また、調査の過程で、国外金融機関に開設されていたAとBの共同名義口座の預金が申告漏れになっていた事実も明らかになった。
結果
(相続税:申告漏れ課税価格約8,000万円(うち重加算税対象額約4,100万円)追徴税額(加算税込)約2,800万円。)

事例2 多額の現金を隠蔽、基礎控除額以下として無申告

 元会社経営者の被相続人夫Cは多額の蓄財が想定されたが、相続発生後に相続人から相続税の申告が無かった。
調査の結果、相続人妻Dが相続財産を圧縮するため、生前にCの指示でCの預金を家族名義預金にしたほか、現金化して自宅物置に隠蔽していたことが発覚。これらの現金預金をC名義預金等に加えれば相続財産の合計額が基礎控除額を超えている事を認識していながら、相続税の申告をしていなかった。
結果
(相続税:申告漏れ課税価格約1億4,500万円(全て重加算税対象)追徴税額(加算税込)約1,100万円。)

事例3 給与や生活費等として送金、贈与税を無申告

 海外に居住する息子Eは扶養者である父Fから学資や生活費として多額の国外送金を受けていた。その資金を金融資産の購入に当てていたにもかかわれず、贈与税の申告から除外していた。
国外送金の事実を国外送金等調書で把握した当局の調査で、無申告が判明。さらに調査の過程で、国内金融機関のE名義口座に給与目的で受けていた多額の送金についても、実際はFからの贈与であることをEが認識していたにもかかわらず贈与税の申告をしていなかった事実も判明した。
結果
(贈与税:申告漏れ課税価格約4,700万円(うち重加算税対象額約800万円)追徴税額(加算税込)約2,300万円。)

 一般的に相続税の申告対象者は相続全体の5%ぐらいである。従って、相続税に関して無関心の人も散見される。
平成25年度税制改正では相続税の基礎控除が5,000万から3,000万に、法定相続人1人に対しての基礎控除額1,000万円から600万円になることが予想されている。
相続税は他人事。相続税は不動産所有の資産家が対象だ。といった意識が少しづつ変化してきている。
この辺で一つ、自分の財産を調べ直してみることも一考察だろう。

(参照:NP通信社 社長のミカタ2013年1月号)   




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| 相続税及び贈与税 | 09:44 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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消費税引き上げに伴う低所得者対策と問題点

 2013年(平成25年)1月24日の新年度税制改正大綱の正式決定に伴い、盛り込まれる内容が公表され、最大の焦点となっていた複数税率の導入について自民・公明両党の合意に至りました。今回は消費税増税に対する低所得者対策とその問題点について考えてみたいと思います。

(1)消費税引き上げに伴う低所得者対策 
①現金支給
 2012(平成25)年1月17日、自民党は2014年の消費税率8%導入の際に低所得者対策として年収が一定額以下の人に対して現金支給の検討に入りました。支給対象者及び金額については、住民税非課税世帯を対象に1人当たり1万円超の支給で検討しています。

複数税率導入
 2013(平成25)年1月23日、自民・公明両党は、消費税率の引き上げに伴い低所得者対策として、複数税率の導入について合意しました。
 複数税率の導入については、過去にも税制大綱に盛り込むことが検討されましたが、実現には至りませんでした。今回は、「再来年(2015年)10月に消費税率を10%に引き上げるときに導入することを目指す」とすることで、自民・公明両党が合意しました。

③自動車取得税廃止と重量税減税
 2014(平成24)年の消費税率8%導入の際に取得税(現在5%)の引下げのほかに、取得税と従量税の減免をするエコカー減税の拡充を図ることとし、2015年の10%導入までに取得税を廃止するここで、自民・公明両党が合意しました。

(2)消費税引き上げに伴う低所得者対策の問題点 
①現金支給

 一番の問題点は対象となる低所得の範囲をどうするかとその所得の把握です。
現金支給については消費税導入時1989(平成元)年及び5%への引き上げ時1997(平成9)年に臨時給付金として住民税非課税世帯の高齢者等を対象に1万円の支給が実施されています。
今回も住民税非課税者から絞り込みを行う予定ということですが、その所得の把握をどうするかということで、一部に納税者番号制度の導入もという声も聞こえてきています。
また、今回の1万円超というのも臨時給付金より多くすべきというのが根拠だそうですが、1万円÷増税率3%=333,333円分の消費税額の支給ということで、低所得者対策としての効果は十分なのでしょうか。さらに1兆円超の対策費も必要といわれておりさらに動向を注目すべきでしょう。

②複数税率導入
 以下の点については、自民・公明両党で専門の委員会を設置して引き続き協議するということになりました。
 ア)低く抑える税率を何%とするのか
 イ)対象となる品目
 ハ)不足する財源の確保
 また、現行では請求書等保存方式を採用してますが、複数税率ではインボイス方式への変更という消費税制度そのものを見直す必要が生じてしまうという問題があります。

③自動車取得税廃止と重量税減税
自動車取得税は地方の税収が2,000億円の減収となるがその代替財源をどうするかは「迷惑をかけない対応を別途検討する」として実質的な先送りとなってしったことです。
また、重量税を廃止しないかわりに道路整備の財源に位置付ける方針しました。すなわち一般財源から道路特定財源化することです。重量税については、2019年に使途に問題があることと無駄な公共事業を拡大すべきでないという理由から一般財源化されたのですが、実質的な特定財源化の復活に疑問を感じる方も多いことでしょう。 

 以上のように、消費税率アップまでの間に解決すべき問題点があるようです。特に複数税率の導入については、請求書等保存方式の見直しという大きな問題があるのです。次回は、複数税率導入の問題点について考えてみたいと思います。



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| 消費税法 | 10:06 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「相続と売買で取得し単独所有となった土地の譲渡所得の取得費」

 ご存じだろうか、文書回答制度というものを。
 全国の国税局では、納税者サービスの一環として、個別の取引等に係る税務上の取り扱いについての照会に対する回答を文書により行うとともに、同様の取引を行う他の納税者の予測可能性を高めるために、その照会及び回答の内容を国税庁のホームページで公表している。
名古屋国税局はこのほど一筆の土地の共有部分を「相続」及び「売買」により個別に取得し単独所有となった者が 同土地を譲渡した場合、譲渡所得の計算上、
1.相続により取得した共有部分に相当する部分に係る取得費を「概算」で計算するとともに
2.売買により取得した共有部分に相当する部分に係る取得費を「実額」とし、これらの合計額を土地全体の取得費とすることができる旨の回答文書を平成24年12月11日にしたことが国税局のホームページに掲載された。

(具体的内容)
 照会者である甲は、平成13年4月にA土地の共有部分3分の1を父から相続により取得した。この土地は父が昭和30年代に甲の父が売買により取得したものであるが取得時期が古いこともあり取得価格は明らかではない。
その後、甲は平成18年3月に、その土地の共有部分3分の2を甲の兄から適正な価格と認められる2500万円で売買により取得した。兄は、甲と同じく父からの相続により共有部分3分の2を取得したのであるが、遠方へ引っ越すことになりA土地の管理ができないこととなったため、甲に譲渡している。
相続及び売買によりA土地の単独所有者となった甲は、平成24年4月に不動産業者へ6000万で譲渡したが、同土地の譲渡所得の計算における取得費の考え方について以下の通りで良いか名古屋国税局へ照会を行った。

(回答内容)
 譲渡所得の課税の趣旨、資産の所有者の「その所有期間中におけるその資産の価値の増加益」を清算し課税することにある。この趣旨からすると、一筆の土地の共有部分を個別の時期に相続と売買により取得し単独所有者となった者がその土地を譲渡した場合における譲渡所得の金額は、それぞれの土地の共有持分に係る所有期間中の価値の増加益の合計額として把握されるべきである。
そのため、本件土地の譲渡所得の計算においては、
① 甲が父から相続を受けた共有持分3分の1に対応する部分は、実際の取得価格が明らかでないことから措置法31条の4( 長期譲渡所得の概算取得控除)及び措置法通達31条の4-1(昭和28年以後に取得した資産について適用)の定めに基づき「収入金額の100分の5に相当する金額」とし、
② 共有持分3分の2に相当する部分は、兄に取得費の対価として実際に支払った金額とすることが認められる。
との判断を文書にて回答した。
 以上の内容を図で説明すると以下のようになる。

譲渡所得の取得費 図

 今年の確定申告時期が迫っているなか、今回の事例が同様の譲渡所得案件の参考になれば幸いである。

(国税庁HP参照)




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| 譲渡所得 | 11:30 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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孫への教育費贈与の非課税措置と国防力の強化

今回は、贈与税の改正措置と国防力強化について2つの新聞記事を引用して掲載する。

(その1)
政府・自民党は9日までに、祖父母が孫に教育資金をまとめて贈与した場合に贈与税を一定額まで非課税にする方針を固めた。

 新規雇用や給与支払額を増やした企業の法人税を減税する制度も新しく設ける。11日に閣議決定する緊急経済対策に盛り込み、自民・公明両党の税制調査会が今月下旬に決定する平成25年度税制改正大綱で制度の詳細を決めた。

 教育費の非課税措置は、祖父母が信託銀行などに孫名義で口座を作り、将来の教育資金を一括して贈与した場合、1人当たり1千万~1500万円を上限に贈与税非課税にするのである。

 現状では、祖父母が進学費用や授業料などを必要になるたびに直接支払うのは非課税扱いだが、教育費名目であってもまとめて贈与すれば課税対象とされてきた。税負担を軽減することで、個人金融資産の約6割を保有する高齢者から消費が活発な現役世代への資産の移転を促し、経済活性化につなげるのが狙いなのである。

 一方、雇用促進税制では新規雇用だけでなく、在籍している従業員の給与や賞与を増やして人件費の総額を拡大した場合も減税対象にする。人件費増加分の1割程度を減税する方向で調整することになった。

 現行制度では、新規雇用を一定以上増やした企業に対し、増えた雇用者数1人当たり20万円を法人税から差し引いている。ただ、この仕組みだと雇用者は増えても従業員の給与増につながらないとの指摘があり、制度を見直すことにしたのである。
(産経新聞 1月9日(水)18時53分配信)

(その2)
一方、日本政府は景気浮揚を目的にミサイル購入と戦闘機修理に乗り出すことにしたのである。

朝日新聞は9日、防衛省は緊急経済対策のための補正予算として2124億円を要求したと伝えた。このうち85%に当たる1805億円は地対空誘導弾PAC3ミサイル購入、F15戦闘機の改修など装備導入と整備と関連した費用と報道した。同紙は、これが経済対策として(補正予算に盛り込むのが正しいのか)疑問も出ているとしながらも、安倍政権の防衛予算拡大方針により財務省は防衛省のこのような要求を全額認めるだろうと付け加えたのである。

 安倍政権は今年の補正予算案を13兆1000億円規模で編成し、今月中に開かれる通常国会に提出する予定である。2013年度に実施される事業まで含むと緊急経済対策予算規模は20兆円に達する。問題は先月の就任後国防力強化に出ている安倍内閣が大規模緊急経済対策という名目で武器購入などの予算をひっそりと挟み込んだのである。

 補正予算に盛り込まれた事業は具体的にPAC3ミサイル購入とF15戦闘機4機の改修、海空域の警戒監視能力向上に向けた哨戒ヘリ3機、03式中距離地対空誘導弾、輸送ヘリ3機と救難ヘリ2機導入などである。防衛省は、北朝鮮のミサイル発射などに対応するために主要国防装備の大規模整備が必要だとし、導入装備がほとんど外国製ではあるがライセンス契約などにより日本国内で70~80%が生産されるので景気浮揚につながると主張したのである。

(中央日報日本語版 1月10日(木)13時21分配信)


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| 相続税及び贈与税 | 10:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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金融円滑化法の終了が与える再生実務への影響と手法!

 金融円滑化法(以下、「円滑化法」という。)が平成25年3月31日をもって終了することは、すでに周知のことである。さて円滑化法4条は、債務の弁済に支障がある、またそのおそれのある中小企業から当該債務の弁済にかかる負担の軽減の申込みがあった場合、金融機関はできる限り負担の軽減に資する措置を取るよう‘努める’ことを規定している。この規定は訓示的な努力義務を課すものにすぎず、違反した場合に不利益な処分等がなされることはないのである。
 しかし、同条の周辺事項が義務化されたことにより、金融機関は、中小企業からの支払猶予の申込みに事実上応じざるを得ない状況となっていたものと思われます。現に、円滑化法施行日から平成24年3月までの貸出条件変更の実行率は90%以上である。

 他方で、返済の目途が立ったことによる貸出条件変更の申込の取下げは推定1%程度という数字が示しているとおり、円滑化法を利用した多くの中小企業において収益性の改善が進んではいないものと推測されるのである。それにもかかわらず、平成24年9月時点での倒産件数は、‘過去20年で最少’の状況なのである。
円滑化法は、金融機関に対して、中小企業の抱える債務の負担を一時的に軽減させることを事実上義務化し、これにより当該中小企業に経営改善の機会を提供した点で評価できるものの、経営改善が進まない、または経営改善を進めない中小企業をいたずらに延命させる事態を引き起こしてしまった側面も否定できないのである。
このような状況化で円滑化法が終了することになるが、これにより中小企業の再生または破産が本格化していくと思われます。
そして、円滑化法の終了による中小企業の再生の活発化を見据えて、関係機関に次のような影響が生じているのである。
 
 金融機関の機能への影響は、金融円滑化法の終了後も経営状態が悪化している中小企業の再生または破産に対応するため、金融庁は平成23年4月4日に「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律に基づく金融監督に関する指針」を公表し、金融機関に対するコンサルティング機能の一層の発揮を行うことを求めたことである。
 すでに金融機関からソリューションの提示を受けている中小企業もあると思いますが、金融円滑化法の終了後にはこれが本格化していくことが予想される。ただし、地方の金融機関の中には再生支援に特化した外部機関(再生ファンド)に対して貸出債権を譲渡し、中小企業のコンサルティングを行わせているところも見受けられるのである。

 これまでの再生手法には、(1)第2会社方式、(2)DES(デット・エクイティ・スワップ)があるが、これから注目される再生手法は、DDS(デット・デット・スワップ)である。
既存の借入金(貸付債権)を株式にではなく、劣後ローンに変更することで、債務者の有利子負債の負担を軽減させるものである。
いわゆる「資本性借入金」というものである。
既存の借入金を資本性借入金に変更することにより、負債として認識されていた借入金が資本に準じた取扱いを受けることで当該中小企業のバランスシートが改善し、結果として、金融機関から新規融資を受けやすくなる。また、資本性借入金に変更された債務について当面の間、元本返済をする必要がなくなるため、当該中小企業の資金繰りが改善される。

  この資本性借入金の利用促進に向けて、金融庁は、この手法を認めるための要件を2011年11月22日に次のように緩和した
資本性借入金は、①償還条件、②金利設定、③劣後性3点から資本類似性が判断される。
①については、資本性借入金の償還条件として「長期間償還不要な状態」であることが必要とされていたが、具体的な償還期間を15年から5年超とした。
②については、業績悪化時に限って0.4%までの金利設定が可能とされていたところ、株主管理コストに準じた事務コスト相当の金利も許容されるようになった。
③については、無担保かつ法的破綻時に劣後性が確保されていることが必要であったところ、担保権を解除することが困難な場合には、法的破綻に至るまでの間において、他の債権に先んじて回収しない仕組みが備わっていれば担保権の解除は不要された。
以上の手法を利用することで、中小企業の再生を行うべく一刻も早く金融機関に交渉し、行動に移すことが大事だと考えます。

(会社法務A2Z 2013.1 参考)



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| 金融関係 | 09:53 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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迫る大増税時代に知っておきたい消費税対策 その7

消費税率アップに伴う経過措置を知って今から対策を考えましょう
 前回は改正消費税法附則5条の内容について確認しました。平成27年10月1日より消費税率8%から10%への改正時にも同様の経過措置が講じられることから、今回は、8%から10%への改正された場合の施工日等の日付けと前回のまとめをみていきましょう。

(1)10%への改正時の施工日等
 前回紹介した改正消費税法附則5条の規定については、10%に改正されるときは次のように読み替えます。
  施工日:2015年(平成27年)10月1日
  指定日:2015年(平成27年)4月1日
  指定日の前日:2015年(平成27年)3月31日
  旧税率:8%
  新税率:10%

(2)節税のためにできること、してはいけないこと
①ポイントは指定日の前日
 イ)契約は、指定日の前日まで
  (3)請負工事にかかる経過措置、(4)資産の貸付けにかかる経過措置、(5)役務提供にあかかる経過措置は、いずれも契約を指定日の前日までに行うことが要件となっています。
ロ)金額の変更も、指定日の前日まで

②指定日以後に金額が変更した場合
 イ)請負工事の場合
  指定日以後に増加した場合には、その増加部分については経過措置の適用はありませんので、当初契約部分は旧税率、増加部分は新税率が適用されます。なお、減額の場合には、そのまま旧税率が適用されます。
ロ)資産の貸付け、役務提供の場合
 指定日以後に金額が変更された場合には、経過措置の適用がなくなります。従って、施工日以後は新税率が適用されることとなります。

③その他節税のためにできること
 イ)旅客運賃等の経過措置を受けるため
 予定された出張等の乗車券、定期券、接待等で使用するチケット等を施工日前に購入する
ロ)請負工事にかかる経過措置を受けるため
 建売住宅やマンションについては、内外装や設備について注文や支持を行うようにすることで、この適用の対象となります。



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| 消費税法 | 09:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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経営革新等支援機関の役割

経営革新等支援機関の役割に関して具体的な方向性が見えてきた。
2012年8月30日の「中小企業経営力強化支援法」に基づいて11月5日に第1号認定機関として全国で2,102件の経営革新等支援機関が認定された。そしてその説明会が東京都では12月18日、20日にわたって行われた。
今回はその際に説明された内容について報告したい。
 まず冒頭のあいさつの中で中小企業庁小規模企業政策室長の林氏より現在の中小企業の置かれている状況の説明がされた。それによると、2013年3月31日期限切れになる中小企業金融円滑化法を申し込んでいる企業は約30~40万社あるという。その中で経営が改善せず返済猶予を繰り返している不良債権予備軍が4~5万社に上るとされている。まさに待ったなしの状況である。
この不良債権予備軍の救済支援の中心を担うのが我々経営革新等支援機関なのである。
ここで必要とされるのは、企業を延命させる支援ではなく企業再編促進・業種転換・海外への橋渡しなどきめ細かい支援で企業の事業を再生し、雇用を守ることである。

そのためには何が必要なのか?まず、具体的内容を見て行きたい。

1 認定経営革新等支援機関の業務として3つのステップがある。

① 財務経営力の強化の為の基礎固め(第1ステップ)
今回特に求められているのが財務経営力である。
信頼性のある基礎財務資料の整備を支援し自社の経営状況及び事業計画策定の環境整備を手助けする。
② 財務経営力を活かした経営戦略の作成支援(第2ステップ)
利害関係者が納得できる数値に裏打ちされた経営戦略・事業計画の作成支援
③ 計画実施のための支援(第3ステップ)
中小企業の外部とのネットワークの構築支援し、事業計画と月次数値を比較した進捗状況の管理とフォローを行う。

なお、これら支援の具体的計画表としては日本政策金融公庫のHPに掲載されている「経営改善報告書」を参考してもらえれば良いそうだ。
経営計画期間も最低3年以上必要としている。一般的には3~5年間は必要とされる。
また、経営革新等支援機関に対する政策ツールとして特に注目したいのが、信用保証協会が支援する「中小企業経営強化保証」である。

これは中小企業が経営革新等支援機関の力を借りながら、経営改善に取り組む場合に保証料を減免(概ね▲0.2%)し金融面だけではなく、経営の状況を改善する取り組みをサポートするものである。具体的申請様式として別紙1はを添付する必要がある。

さらに平成25年度概算要求予算の主な中身として、

① 中小企業経営力強化融資(10億円)
認定機関のみの取り扱いであり、日本政策金融公庫よりの融資である。中小企業が創業・事業拡大・新分野進出等を行う場合、無担保・無保証人で1500万円まで低利で受けられる制度である。
② 知識サポート・経営改革プラットフォーム事業(47億円)
1万人規模の各専門家及び経営者が参加する実践で生きた知識を円滑に共有できる仕組みの構築をおこなう。
そして、この中にわれわれ認定機関も加わり知識・情報の共有化を図って行くものである。
③ 経営革新等支援機関を活用した補助金制度の検討   などがある。 


経済産業省のHPでは、2012年12月21日付けとして第2号認定機関として1,711件の支援機関が発表されている。最終的には2013年度までに10,000件の認定機関を予定しているそうである。しかし登録しただけではしょうがない。定期的なモニタリングを行い具体的行動の無い経営革新等支援機関に関しては登録抹消もありうる。
我々は、まず冒頭の不良債権予備軍4~5万社の支援を早急に行わなければならない。その為の残された時間は無い。
認定を受けた支援機関はその役割を自覚し、早急に行動を起こすことを期待したい。


【別紙1】
経営力


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| 金融関係 | 10:01 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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2013年〝相続時代〟の幕開け 金融緩和だけではデフレ脱却できない!? その2

地価上昇で健全なインフレに誘導
 金融緩和だけがひとり歩きしているようにみえる「アベノミクス」だが、金融緩和強化と積極財政によってデフレ脱却を目指す政策は、基本的には間違っていない。ただし、景気回復に向けた政策としては、これだけでは不十分だ。相続税・法人税の大胆な減税策や、不動産を中心とした内需関連への景気刺激策など、あくまでも金融政策とは別に、独立した財政政策・経済政策を進行させていかなければ、デフレからの脱却も健全なインフレへの誘導も、景気回復も図れないだろう。従来までの、増税による財政再建と構造改革を中心とした成長戦略だけでは「失われた20年」が「30年」になるだけで、これに金融緩和政策を加えても、容易にデフレが解消するとは考えにくい。
 「アベノミクス」は、量的な金融緩和によるインフレ誘導でデフレ脱却を図るというものだ。しかし、本気でデフレからの脱却を狙うなら、相続税分野での大幅な税制改正など、財政政策の進展が不可欠だといえる。
たとえば、不動産にかかる相続税の税率を大幅に低くしたり、課税標準が低くなるように算定方式を設定したり、思い切って非課税にしたりすれば、国内の不動産需要は一気に拡大する。現行でも、資産を現金で残すより不動産に投資したほうが、節税のメリットが大きい場合がほとんどだが、相続税が非課税になれば、事前対策として不動産を購入する動きが現状とは比較にならないほど活発になるはずだ。ここ数年の税制改正では、「相続」よりも「贈与」での税メリットを手厚くすることで、高齢富裕層から若年層への世代間資産移動を促進しようとしているが、不動産市場を起爆剤にして内需全体を刺激するためには、不動産にかかる相続税の非課税化など、思い切って大胆な政策が効果的であることは間違いない。もちろん、これによる減税分を補う財源の確保も必要だが、少なくとも不動産での内需が拡大すれば、地価・物件価格の上昇に伴って毎年の固定資産税は税収アップとなり、不動産売買取引で生じる消費税や登録免許税の税収も増加する。
 不動産にかかる相続税の割合はここ数年、減少を続けているが、これは納税者が資産を現金や有価証券で持つようになったからではなく、地価の下落により課税標準が低くなったためだ。不動産にかかる相続税を非課税にしてしまえば、その分の税収もゼロになってしまうが、需要が増えれば地価は値上がりし、それによって建築費や家賃もアップするのだから、必然的に物価全体の上昇を招く。しかしこれは、需給バランスによる自然なインフレであり、量的な金融緩和だけで「2~3%」を目標にしようとする「インフレターゲット」などよりも、はるかに健全な姿ではないか。
 政府・日銀が「アベノミクス」の推進で量的な金融緩和に踏み切っても、国内に有望な投資先がなければ市中銀行のマネーは海外に流出してしまう。だが、不動産への相続税非課税化などで市場が活性化すれば、建設にも購入にも旺盛な資金需要が生まれ、マネーは国内マーケットを還流するようになる。相続税の大胆な減税という財政政策によって、金融緩和政策で充分に供給されたマネーが海外に流出することなく、景気回復の呼び水となって日本経済の再浮上に寄与する。もちろん、これとは別に需給バランスをコントロールするための政策を用意し、バブル期の二の舞とならないように、投機筋による不動産投資が過熱することへの監視・規制や、金融機関の行き過ぎた融資に歯止めをかける措置を講じる必要もある。つまり、「複数の独立した課題には、複数の独立した政策」を用意してあたる必要があるわけだ。

法人税減税で事業承継の円滑化を
 金融緩和政策だけでは、量的に潤沢になったマネーが国内マーケットに還流することは考えにくい。大企業だけに限らず、中小企業も生き残りをかけて海外市場をターゲットにしている。こうした企業が生産拠点を海外へ移転する動きには歯止めがかからず、国内の産業と雇用の空洞化には拍車がかかるばかりだ。個人資産も海外へ続々と流失している。〝富裕層〟を中心に、税負担の軽い諸外国への〝資産フライト〟は活発化する一方だ。
中小企業経営者のなかにも、事業承継・相続税対策の一環として、海外への〝脱出〟を本気で検討する動きが出ている。相続税だけではなく、法人税や所得税の重い税負担を考えたとき、元気なうちに海外への移住を選択肢のひとつに加えるのは、むしろ当然のことなのかもしれない。相続税負担のために中小企業の事業承継が困難になってしまっては、日本経済を根底で支える技術やノウハウが失われていく。逆に、こうした企業を誘致し、豊富な経営ノウハウや技術力を持った経営者・技術者を迎え入れる諸外国では、新たな雇用が生まれ、経済発展を遂げていく。
 事業承継を円滑に実施できるようにし、税負担の面でも海外より魅力のあるものにしていかない限り、日本の産業は衰退していくばかりだ。これをストップさせるためにも、法人税の実効税率を思い切って10%程度へ引き下げ、その代わりに低率の外形標準課税を導入することなどによって、税制面で企業活動をバックアップすることが必要ではないか。
 「アベノミクス」は金融緩和政策だけではなく、たとえば3年間の「景気回復集中期間」を設定するのなら、具体的な景気刺激のための経済政策と、それと併行して法人税率引き下げなどの財政政策を同時進行させるべきだ。仮にその3年目で景気回復が軌道に乗っていたら、その時点で規制緩和、社会保障対策、消費税増税を検討すればいい。納税者が不安に思うのは、具体的な政策の中身と、そのロードマップが示されないからで、目標に到達するまでのタイムスケジュールを確認することができれば、その進捗状況が多少遅れていても、政策に対する疑念は大幅に払拭されるだろう。

税負担さえ軽減すれば勝算はある
 ここ数年、日本はアジアの「企業拠点誘致競争」「富裕層流入競争」などで劣勢の状況が続いている。シンガポールや香港などに多国籍企業のアジア拠点は移っているし、メーカーの研究開発拠点も韓国や台湾に移っている。外資系の金融機関は、この数年で多くの機能を日本からアジア諸国に移転させている。そしてなにより、多額の個人資産を持つ日本の富裕層が、シンガポールや香港に〝資産フライト〟している。その理由は、一にも二にも「税金」なのだ。
 これらの国々は、企業や優秀な人材が集まりやすいように税金を安くしている。多くの国では所得税も法人税も10%台で、日本のそれよりもはるかに税負担が少なくてすむ。日本の法人税は、法人地方税・法人事業税を含めると多くの企業が約38%もの法定実効税率(復興特別増税分を含む)を負担している。所得税の最高税率は40%で、住民税と合わせると50%にもなる。これでは日本に、海外の企業や優秀な人材などが集まってくるはずがない。
日本は、アジア諸国に比べて、税金の面ではるかに見劣りがしている。魅力のない税制のままでは企業を誘致するどころか、国内の優良企業や富裕層が先を争って海外へ逃げていってしまう。その結果、税収が減少し、結局は「改革」で強化するはずだった年金・医療などの社会保障制度が脆弱なものになっていく。
 社会インフラが整備されていて治安も悪くない日本は、「税金」さえアジア諸国並に低く抑えることができれば、国際企業資本や海外富裕層がどっと流れ込んでくる可能性を秘めている。もともと経済と技術のポテンシャルは高いのだから、「税金」さえ〝普通〟にすれば、アジア諸国との競争にも勝算は見出せるはずだ。
金融緩和政策も、別の独立した政策と連動して推進していくのならば大いに結構だ。だが、デフレからの脱却と、それによる景気回復を目指そうというのならば、企業資本や個人資産が海外への〝脱出〟を図ろうとする現行の税制を見直すことが先決だろう。相続税を増税しても、所得税の最高税率を引き上げても、法人税率を引き下げないままでも、そもそも国内から納税者がいなくなってしまっては、税収は上がらないのだ。
 商売の格言に「損して、得取れ」がある。日銀に建設国債を直接引き受けさせて、資金供給量を増やしても、その〝マネー〟までもが海外の投資運用先に消えていき、国内市場に還流されないのでは本末転倒だ。2013年からは復興増税のかたちで所得税増税がスタートし、新政権でも消費税増税の断行は既定路線になっている。これに加えて、所得税の最高税率引き上げや、相続税の大増税も「予定」されているが、そろそろ増税による税収アップという目先の「得」ばかりを追うのでなく、世界中からヒトもマネーもビジネスも集まってくるような魅力ある国にするために、まずは相続税の不動産非課税化など、大胆な減税策での「損」を考えてみてはどうか。それが結局は、「損して得を取る」には最短コースの政策であると、本紙は年頭にあたって提言したい。

【エヌピー通信社 納税通信 2013年新春号より引用】


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2013年〝相続時代〟の幕開け 金融緩和だけではデフレ脱却できない!?

新春提言「不動産非課税など大胆な相続減税を」

 今回の衆院総選挙では、序盤戦からにわかに「金融緩和」というキーワードが飛び交った。消費税増税、TPP、原発など、争点となる重要課題は山積していたが、自民党陣営では安倍総裁が第一声から「デフレ脱却のためには、量的に大幅な金融緩和が不可欠。建設国債を直接、日銀に引き受けさせるなど、必要ならば日銀法の改正も視野に入れて検討する」などと述べ、金融緩和政策を強力に推進していく姿勢を打ち出した。選挙戦の中盤から終盤にかけて、自民党の圧倒的な優勢が伝えられるたびにマーケットは敏感に反応。株価は上昇し、円安が進行した。しかし、中央銀行の独立性までを危うくするような金融緩和によって、本当にデフレからの脱却は図れるのだろうか。そしてそれは、実際に健全なかたちでのインフレの誘導と、それによる景気回復に連動したものになるのだろうか。本紙の新春特集は、「金融緩和」をテーマに据え、相続税の大胆な減税策の実施などによる「デフレ脱却」の可能性について提言したい。【本紙「新春特集」取材班】

「アベノミクス」で景気は回復?
 自民党の圧勝というよりも、民主党の自滅的な惨敗という結果に終わった衆院総選挙。自民党の安倍総裁を首班とする自公政権は、組閣・党三役などの人事を年内に固め、まずは景気・復興対策として10兆円規模の大型な平成24年度補正予算を編成することになる。年明け早々には自民党税制調査会(与党税調)を機能させ、平成25年度税制改正大綱を急ピッチで取りまとめる必要に迫られる。景気回復も震災復興も待ったなしの状況である以上、予算の執行に遅れが出てはならない。通常国会では税制改正法案の審議に充分な時間を割き、年度内の成立を目指すことになる。
 選挙戦で急浮上した金融緩和政策の推進論。安倍総裁が強硬に主張したことから「アベノミクス」などと呼ばれ、にわかに注目されるようになった金融緩和政策で、はたして本当にデフレからの脱却と、日本経済の再浮上が図れるのだろうか。
 旧日銀法は昭和17年に整えられたもので、これが平成9年に全部改正されたのが現行の日銀法だ。法改正当時から日銀の独立性が強すぎるためにデフレ対策ができないことを問題視する意見も多く、これまでにもたびたび制限を設けようとする改正案が国会に提出されてきた。
実際、現行の日銀法が平成10年4月に施行されて以降、同24年10月までの175カ月間でコア・コアCPI(エネルギー・食料品を除く国際的な消費者物価指数=インフレ指数)が前年比プラスになったのは、通算でわずか9カ月にすぎない。つまり、政府からの独立性を明確に規定した日銀法が施行されてから今日まで、日銀は物価の下落を放置する「デフレ容認路線」を取り続けてきたともいえる。
 日銀法の改正以降、デフレ容認の路線を進んできた日銀ではあるが、その間、大胆な超低金利政策や度重なる金融緩和といった手法を駆使して、世界ではじめて市場と対話した実績があるともいえる。日銀の長期にわたる超低金利政策は欧米の中央銀行も手本にしたほどで、アメリカをはじめとする各国では圧倒的な量的規模の金融緩和施策を実施し、同時に低いインフレ率を保つことに成功した。しかしその一方で、日銀はインフレ恐怖症から抜け出すことができないまま、長期間のデフレスパイラルにもがき続けてきたわけだ。仮に、日銀が数年前から極めて大胆な金融緩和を行っていれば、日本経済の状況は大きく好転していたという可能性も否定できないだろう。


物価が下がるデフレがなぜ悪いか
 デフレを容認してきたのは日銀だけに限らない。もはや〝恒常化〟しているといっても過言ではないほど、ここまで景気の低迷が長期化してしまうと、消費者・納税者の率直な感情として、「家計が苦しいときに、物価が下がるデフレがなぜ悪いのか」といった声が強まるのは当然だ。政治家も「デフレからの脱却を訴えて、有権者の支持が得られるとは思えない」と考えるようになり、結果として日銀によるデフレ容認路線を放置してきたことになる。
 平成23年の総合消費者物価は平成9年比で3・3%下がった。景気の減退が続く期間に、物価が下がるデフレの現象は、それとは正反対のインフレよりも歓迎されることだろうが、同じ時期に給与所得世帯の収入は15・8%も減少している。この間、日本の国内総生産(GDP)は約1割減ったが、中国のそれは約6倍へと飛躍的に膨張し、日本を抜き去って世界第2位の経済規模となった。デフレは経済全体を萎縮させ、その結果、税収が激減して国家財政は危機に陥る。
 「アベノミクス」では当初、「3%のインフレターゲット」を設定するよう日銀に求めており、新政権でも日銀との新たなアコード(政策の約束)に「2%を目標」とする文言を盛り込みたい考えだ。「2%を目途」としていた民主党政権時代のものよりも、一歩踏み込んだかたちだが、このインフレ数値目標については、金融・経済アナリストら専門家のあいだでも「バブル期ですら1・3%のインフレ率だった」ことから、その効果に懐疑的な意見が多いといえる。さらに、日銀が直接、建設国債を買い取れるようにしても、民間に支払われた公共工事代金が結局は市中銀行に回収されるだけのことで、結果的にマネーはより高い利回りの運用先を求めるのだから、国内へは再投資されず、デフレの解消には結びつかないといった意見もある。

 自公政権が「アベノミクス」を推進していくという観測を材料にして、一時的な円安と株高は演出されるだろうが、こうした動きは実際に「金融緩和の効果」があらわれたものではなく、「金融緩和への期待感」からのものであるといえる。円安・株高の〝正体〟を見極めないまま、それを根拠にデフレから脱却しつつあるなどと判断するのは錯覚であり、景気が回復に向かっているなどと捉えるのは短絡的に過ぎるといわざるを得ない。
仮に、「アベノミクス」が推進されれば、市中銀行では金利上昇などを見込んで国債運用の姿勢を強めるものと考えられる。日銀による量的な金融緩和が進むと輪番オペ(日銀による買いオペ)などで調達する資金量は増大するが、国内にこれといった成長産業も資金需要先も見出せない以上、魅力的な融資先はなく、必然的に国債運用の比重が高くなると予測される。さらに、メガバンクは国内向けの小型融資よりも、海外での国家プロジェクト級の旺盛な巨額資金需要に応じていたほうが管理も回収も容易で、投資効率もはるかによいと判断するはずだ。つまり、金融緩和によって量的にダブつき、潤沢になるはずのマネーは、国内の実体経済にはそれほど還流しないで、むしろ海外へ流出する公算が大きいといえる。資金の還流先として「アベノミクス」では、「国土強靱化」政策の推進と絡めて大型の公共事業を掲げているが、肝心の内需拡大策が公共工事へのバラマキだけではデフレ脱却には繋がらないだろう。
 歴史に学べば一目瞭然だ。日米構造協議をもとに策定された「公共投資基本計画」によって、平成7年度から平成19年度までの13年間に投じられた公共事業費は総額630兆円もの巨額におよんだ。これだけの税金を公共事業に投下したにも関わらず、日本経済は停滞を続け、国と地方の借金だけが増えた。今日ではこの期間を指して「失われた20年」などと評価しているのが事実であり、公共事業へのバラマキだけでデフレから脱却できないことは、すでに実証済みだといえる。

複数の課題には複数の政策が必要
 しかし、日本経済が再浮上するためには、早期にデフレからの脱却を図ることが不可欠だ。そしてそのためには、大胆な金融緩和政策の断行も必要だが、初級経済学の基礎定理のひとつとされる「ティンバーゲンの定理」を持ち出すまでもなく、「複数の独立した政策目標を同時に達成するためには、それと同数の独立した政策手段が必要である」とされている以上、量的緩和という金融政策だけでは、インフレ誘導や景気回復といった課題が同時に解決されるとは考えにくい。金融政策とは別に、独立した財政規律政策と経済成長政策などが同時に進行しなければ、デフレ脱却は画餅に終わる危険性をはらんでいるといわざるを得ない。
デフレの原因が少子高齢化にあるとする指摘や、国際競争の激化がデフレの状況をつくりだした要因であるとする意見もある。しかし、少子高齢化が進むのは日本だけに限ったことではなく、北欧をはじめとする欧州諸国でもその傾向は顕著だ。また、中国やアジア各国などから安い製品が大量に入ってくるアメリカでも、日本ほどのデフレ状態にはなっていない。
 「物価の安定」を図ることは、中央銀行の大きな役割のひとつだ。日銀法でも第2条で、日銀の役割について「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資する」と定めている。世界各国の中央銀行も同様に、物価安定のための政策遂行が義務づけられている。リーマン・ショックの直後から、欧米の中央銀行が紙幣を大量に供給してデフレ防止に取り組んだのは、この義務を履行するためだったともいえる。
物価が上昇を続けるインフレも、下落が継続するデフレも、「物価が不安定な状態」であることに変わりはない。ましてや長期間、物価が下落している日本の「デフレスパイラル」の状況は、継続的に「国民経済の健全な発展」を損なってきたものであるといえる。日銀は、こうした状況を長年にわたって放置してきたのだから、義務を果たしていなかったという批判が成り立つかもしれない。

【エヌピー通信社 納税通信 2013年新春号より引用】



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