税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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公共事業で土地を売却!

 土地の区画整理や道路拡張工事などの公共事業のために所有する土地建物を売った場合には、課税の特例が受けられる。ここでいう公共事業とは、土地収用法やその他の法律で収用権が認められているものに限る。特例は代替資産を取得した場合の特例と譲渡所得から特別控除される特例の2つがある。
 1つ目は、所有する資産の対価補償金で、他の資産に買い換えた時は譲渡がなかったものとして取り扱われるというもの。
 売却金額より購入金額の方が多いときは所得税の課税が将来に繰り延べられて、売却した年は譲渡所得がなかったものとされる。ただし、売却金額より購入金額の方が少ないときは、その差額を収入金額として譲渡所得の計算を行う。
 この特例が適用されるのは、
➀ 売った土地建物が固定資産であること、
➁ 土地なら土地、建物なら建物など売った資産と同じ種類の資産を買い換えること、
➂ 土地建物の収用のあった日から2年以内に代替資産を取得することーが要件となる。
 2つ目の特例は譲渡資産から最高5,000万円までの特別控除が適用されるというもの。
 
 この特例を受けるには、次の要件を満たしていなければならない。
➀ 売った土地が固定資産であること、
➁ その年に公共事業のために売った資産の全部について代替資産の特例を受けていないこと、
➂ 買い取りの申し出があった日から6ヶ月以内に土地建物を売っていること、
➃ 公共事業の施行者から最初に買い取りの申し出を受けた人が譲渡していること。

 このとき、最初に申し出を受けた人が死亡している場合は、相続や遺贈でこの資産を取得した人も含まれる。
なお、特別控除の特例は、同じ公共事業で2年以上にまたがって資産を売却するときは最初の年だけしか受けられない。また、公共事業のために土地建物を売った場合は、いずれか一方の特例しか受けることができないので得となる方を選びたい。
納税通信 第3234号 個人TAX情報より



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| 譲渡所得 | 09:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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この医療費控除の実態を知っていますか?

医師の指示でも対象外? 食事療法の医療費控除!

 不足しがちな栄養素を補う上で、今や健康食品は欠かせません。各メーカーから発売される商品はどれもそれなりに「より健康」に近づける気がして、ついあれもこれも手当たり次第に試してみたくなるものです。
 では、こうした健康食品を医師からの指示で治療の一環として採り入れている場合、医療費控除を受けることは可能なのか。
一例として「アトピー性皮膚炎のため、医師の指示でアレルギー体質用食品を病院内の店から購入」した場合、この食品購入費は医療費控除の対象にならない。一方で「内臓疾患があり、医師の勧めで漢方薬を薬局で購入」した際の購入費は医療費控除の対象として取り扱われている。

 医療費控除の対象は、医師等による診療や治療のほか、「治療または療養に必要な医薬品の購入その他医療またはこれに関連する人的役務の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるもの」と、所得税法施行令第207条に定められている。
 ここでいう医薬品とは「薬事法」(注1)に規定する医薬品を指す。現在、所得税法施行令の規定中には生じに係る費用については何ら定めがなく、アレルギー体質用食品は医薬品には該当しない
 したがって自宅で行う食事療法のための食品の購入費用は、医療費控除の対象とはならない。 
漢方薬は、薬事法で規定する医薬品に該当するものであるが、政令で定められるところの「病気の状況、過去の通院等の治療の状況または医師の指示の有無」により、必要な医薬品であるかどうかを判断することになる。なお、漢方薬の中で薬事法に規定する医薬品に該当しないものは当然医療費控除の対象にはならない。
またビタミン剤などの病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入金は医療費にはならない。
 
 まずは薬事法に該当するものかを念頭に置き、「治療目的」か、否かとでは異なる点で注意が必要である。
納税通信 第3234号 個人TAX情報より) 


(注1) 薬事法第2条第1項参照
(定義)
第二条  この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。
一  日本薬局方に収められている物
二  人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、機械器具、歯科材料、医療用品及び衛生用品(以下「機械器具等」という。)でないもの(医薬部外品を除く。)
三  人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具等でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く。)
2  この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げる物であって人体に対する作用が緩和なものをいう。
一  次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
イ  吐き気その他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
ロ  あせも、ただれ等の防止
ハ  脱毛の防止、育毛又は除毛
二  人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
三  前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの
3  この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。
4  この法律で「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等であって、政令で定めるものをいう。
5  この法律で「高度管理医療機器」とは、医療機器であって、副作用又は機能の障害が生じた場合(適正な使用目的に従い適正に使用された場合に限る。次項及び第七項において同じ。)において人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることからその適切な管理が必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。
6  この法律で「管理医療機器」とは、高度管理医療機器以外の医療機器であって、副作用又は機能の障害が生じた場合において人の生命及び健康に影響を与えるおそれがあることからその適切な管理が必要なものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。
7  この法律で「一般医療機器」とは、高度管理医療機器及び管理医療機器以外の医療機器であって、副作用又は機能の障害が生じた場合においても、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。
8  この法律で「特定保守管理医療機器」とは、医療機器のうち、保守点検、修理その他の管理に専門的な知識及び技能を必要とすることからその適正な管理が行われなければ疾病の診断、治療又は予防に重大な影響を与えるおそれがあるものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。
9  この法律で「生物由来製品」とは、人その他の生物(植物を除く。)に由来するものを原料又は材料として製造(小分けを含む。以下同じ。)をされる医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器のうち、保健衛生上特別の注意を要するものとして、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。
10  この法律で「特定生物由来製品」とは、生物由来製品のうち、販売し、賃貸し、又は授与した後において当該生物由来製品による保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置を講ずることが必要なものであつて、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。
11  この法律で「薬局」とは、薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務を行う場所(その開設者が医薬品の販売業を併せ行う場合には、その販売業に必要な場所を含む。)をいう。ただし、病院若しくは診療所又は飼育動物診療施設(獣医療法(平成四年法律第四十六号)第二条第二項に規定する診療施設をいい、往診のみによって獣医師に飼育動物の診療業務を行わせる者の住所を含む。以下同じ。)の調剤所を除く。
12  この法律で「製造販売」とは、その製造等(他に委託して製造をする場合を含み、他から委託を受けて製造をする場合を含まない。以下同じ。)をし、又は輸入をした医薬品(原薬たる医薬品を除く。)、医薬部外品、化粧品又は医療機器を、それぞれ販売し、賃貸し、又は授与することをいう。
13  この法律で「体外診断用医薬品」とは、専ら疾病の診断に使用されることが目的とされている医薬品のうち、人又は動物の身体に直接使用されることのないものをいう。
14  この法律で「指定薬物」とは、中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用(当該作用の維持又は強化の作用を含む。)を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物(大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)に規定する大麻、覚せい剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)に規定する覚せい剤、麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)に規定する麻薬及び向精神薬並びにあへん法(昭和二十九年法律第七十一号)に規定するあへん及びけしがらを除く。)として、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものをいう。
15  この法律で「希少疾病用医薬品」とは、第七十七条の二第一項の規定による指定を受けた医薬品を、「希少疾病用医療機器」とは、同項の規定による指定を受けた医療機器をいう。
16  この法律で「治験」とは、第十四条第三項(同条第九項及び第十九条の二第五項において準用する場合を含む。)の規定により提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験の実施をいう。



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| 所得税・所得控除及び税額控除 | 10:02 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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7月9日施行 改正法対応 在留管理制度入門4

~外国人を適正に雇い、安心して働いてもらうために~

外国人登録制度の廃止に伴う変更点・問題点など


 今年7月9日施行の入管法改正に伴う新制度では「外国人登録制度の廃止」が最も大きな“改正”です。戦後まもない昭和27年に制定された歴史の長い法律を廃止し、日本で生活する外国人についての情報管理を入国管理局へ一元化するという動きは、情報管理の制精度を向上して外国人の利便性を図る上で、グローバル化の流れに則した動きです。ただし、実務上の細かい点については未確定な部分も多く、実際に制度が動き出してからもさまざまな調整が必要となるでしょう。
以下、変更点について順番に解説します。

外国人登録原票の廃止→住民票発行

 現行法上は、外国人が銀行口座の開設や住居の賃貸契約など生活に必要な諸手続をする際に必要な証明書として、市区町村が外国人登録原票に基づいて「外国人登録原票記載事項証明書」を発行していました。
外国人登録法の廃止に伴い、外国人中長期在留者は、日本人と同様に住民基本台帳制度の対象となって住民票が発行されます。
これまでは日本人の妻と外国人の夫。日本人の子といった日本人と外国人で構成される世帯について、住民票に日本人の妻と日本人の子のみが記載されていました。実際には外国人の夫の収入で世帯が生活している場合でも、日本人の妻が世帯主と記載され、申し出によって備考欄に「事実上の世帯主」として外国人の夫の氏名が記載されるにとどまっています。したがって、世帯全員の証明書の発行を受ける際には「日本人の妻・子の住民票」「外国人の夫の登録原票記載事項証明書」双方が必要でした。
 新制度では、日本人と外国人の区別なく、全員の生年月日や続柄など、住民票に記載されるべき情報が同じように記載され、住民票1通で世帯の状態が把握できるようになります。
中長期在留者が住居地を変更した時は、新しい住居地に移転した日から14日以内に、当たらし住居地の市区町村の窓口に在留カードを持参し、転入届け、転居届け、法務大臣への住居地の変更届けを一括で行います。入国管理局への届出は不要です。
 
 市区町村役場で受付されるのは「住居地の変更」のみです。その他の諸届け(配偶者の変更や勤務先の変更等)は14日以内に住所地の管轄の出頭または東京入国管理局への郵送で届けることとなります。
 例えば、留学生が就職のために現在の住所地から勤務地の近くへ転居する場合、現在の住居地を管轄する地方入国管理局へ在留資格「留学」から就労資格(「人文知識・国際業務」、「技術」など)への在留資格変更許可申請を行い、許可後、転居した日から14日以内に、新住所地の市区町村役場で住所地の変更届けを提出するという流れになります。

新制度で懸念される点

短期滞在者の証明書について懸念される点があります。
 現行法では、3ヶ月以内の短期滞在者についても。住居地を定めて届け出ることで、外国人登録を行って外国人登録原票記載事項証明書の交付を受けることが可能でした。例えば起業順部のための銀行口座の開設を行うといった場面で、身元確認書類として外国人登録原票記載事項証明書が使用されています。
 また、外国人登録を行うと、印鑑登録も可能となります。印鑑登録を行わない場合、例えば、「日本で不動産の売買契約を行う」「短期滞在者の外国人発起人として法人設立を行う」といった場面で本人のサインを公証人役場や外務省などを経て認証する手続が必要となり、時間と費用が重くなります。
 新制度では、住民基本台帳制度の対象となるのは「3ヶ月を超えて適法に在留し住所を有する中長期在留者など」とされています。この規定に当てはまらない外国人に対しての証明書等の発行や印鑑登録について、新制度移行後にどのような対応がなされるのかは現状では明らかとなっていません。

所属機関による届け出

 現在、外国人雇用対策方に基づき、全ての授業主に、外国人(特別永住者を除く)の雇い入れと離職の際に、その都度、当該外国人の氏名、在留資格等を確認し、ハローワークに届け出ることが義務づけられています(ここでは留学生を受け入れている教育機関については割愛します)。
新制度は施行された後でも、この届け出は必要ですが、併せて一般に「使用従属性がない」といわれるフリーランス語学講師や、会社の取締役など会社と雇用関係にないものの請負や業務委託契約などを締結している外国人に関しては、所属機関からその受け入れの開始・終了、受け入れの状況などを入国管理局へ届け出ることが求められます。
 ただし、雇用が前提とされていない在留資格である「芸術」(ダンスインストラクター等)「宗教」「報道」(フリーランスの記者)「技能実習」で在留している外国人については、届け出は不要です。
なお、所属機関に関係する変更で外国人本人より入国管理局へ届け出が比ゆ楊とされている次のような項目もあります。
1 所属機関の名称、所在地の変更
2 所属機関の消滅
3 所属機関からの離脱、移籍


 これらについては原則として本人からの届け出になりますが、名称、所在地の変更などが発生した場合は、雇用主側から適宣資料を提供して届け出を促すなどのバックアップが望ましいでしょう。
この届け出を怠ったことで、在留資格が取り消されるなど影響がすぐに及ぶわけではありませんが、在留資格の更新時に、勤務先が変わっていることについて届け出がなかったことで、許可されるまでに審査に時間がかかるなど、外国人にとって不利益が発生する可能性があります。審査をエンがツに進めるためにも、必要な届け出は発生の都度適宜行うことが重要です。

以上、4つの新しい在留管理制度について4回にわたり解説を行いました。
私の所属する大阪府行政書士会では、入国管理局と定期的に連絡協議会を開催し、現場の審査官からの最新情報を収集しております。今回の記事の内容中、一般に公開されている情報では分かりにくい点などに関して、この現場の生の声を反映させた部分は多岐に渡ります。
 手続に関係する法改正には、実務が発生しなくては分からない不具合、不備はつきものであり、今後も見直しが図られる点が多々あるでしょう。
 私たち申請取次行政書士は、日本で生活する外国人の方々、外国人を雇用している経営者の方々への制度の円滑な浸透に寄与できるよう、今後発生する実務上の改正点などの最新情報を行って行くよう努めます。


(納税通信3222号 著者:行政書士椋木法務事務所 椋木マキ)



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2012年7月9日施行 改正法対応 在留管理制度入門3

~外国人を適正に雇い、安心して働いてもらうために~

 在留期間の改正、みなし再入国許可について

 外国人自身の負担が軽減されるであろう改正点として、在留期間が最長5年とされること、「みなし再入国許可」の導入が挙げられます。
以下、順番に解説します。

在留期間が最長5年に
 これまで、「主な就労資格を持つ者」や「永住者」以外の居住資格者の在留期間は、最長で3年されていました。新しい在留管理制度ではこの最長の在留期間が5年に延長されます。
 在留期間が近づくと「在留期間更新許可」の手続きを行う必要があり、これまでは1年または3年ごとに書類をそろえて入管に出頭していましたので、負担は大きく軽減します。
また、今までは最短の在留期間が1年(興行・技能実習などは除く)とされていましたが、在留資格によっては新たに3ヶ月と6ヶ月が追加されました。
 就労資格における3ヶ月の在留期間は、例えば外国企業からの短期間の出向などで当初から3ヶ月以内の在留が予定されている場合、その外国人の住民登録などの事務負担を軽減するために設けられています(3ヶ月以内の在留では在留カードは交付されず、住民登録も免除)。
主な在留資格ごとの在留期間の種類は表のとおりです。

7-9-3.jpg


雇用主が注意すべき点

①期間が長くなることで「更新期限忘れ」が発生しやすくなる

本人が管理することはもちろんですが、雇用主側も在留期間を把握しておきましょう。更新手続きは原則として本人出願が必要ですので、手続きの際には半休を与えたり、会社を通して申請取次行政書士などに取次を依頼したりなどのバックアップが望ましいでしょう。

②改正法施行をもって、在留期限が自動的には延長されない。

現在最長の期間である3年を付与されている場合、改正法施工後、期間の満了に伴う更新手続を行えば、審査の結果5年が付与される可能性はありますが、現状の在留期限が自動的に延長されるわけではありません。


みなし再入国許可とは

 中長期在留者の方が帰省や出張などで出国する際、現行制度では期間にかかわらず「再入国許可」を取得する必要がありますが、新制度では1年以内の出国であれば原則として再入国許可を新たに取得する必要がなくなりました(特別永住者の場合は2年)。これを「みなし再入国許可」といいます。
今まで再入国許可を得るためには1回限りで3千円、数次有効で6千円の手数料が必要でしたが、みなし再入国許可を利用すれば、この手数料は納める必要がなくなります。また、出国前に入国管理局へ出頭する手間もなくなり、外国人にとっての利便性が向上します。

 具体的な手続きとしては、今まではパスポートに再入国許可の証印が貼り付けられていましたが、これは廃止となり、再入国用IDカードにみなし再入国許可の意思表示欄が設けられます。この欄にチェックをすることで、これまでの出入国手続きと同様に再入国することが可能となります。
また、これまでの再入国許可の有効期限は、永住者以外の在留資格を持つ人の場合はその在留資格の在留期限と同様で3年とされていましたが、新制度では最長の在留資格が5年になるのに伴い、最長5年となります。在留期間が1年の人は再入国許可の期限も1年、3年の人は同様に3年と、与えられている在留期間と同様の期限であるという点に変更はありません。永住者や特別永住者の再入国許可の有効期限は、これまでの最長3年から最長5年へと変更されます。ただし、現時点で保有している再入国許可の期限が新制度の施工後に自動的に延長される訳ではありません。現時点で保有している再入国許可の有効期限が失効した後、新制度の施工後新たに申請した場合に、5年の有効期間が付与されます。


雇用主が注意すべき点

①みなし再入国許可は海外で延長ができない

 通常の再入国許可は、所定の手数料を支払うことで在外公館での期間延長が可能でしたが、みなし再入国許可は理由のいかんを問わず在外公館で延長の手続きを行うことができません。海外への長期出張の際、ケガや病気などで長期の治療が必要となったり、出張先国の政情の影響で出国ができなくなったりするなど、予期せぬトラブルのために出国期間が1年を超えてしまうという事態が起きないとも限りません
みなし再入国許可が失効すると、本人が得ている在留資格そのものが在留期間にかかわらず失効してしまうこととなります。その場合、新たに在留許可を取得しなければ日本へ戻ることができなくなります。会社の業務遂行に支障が出ることはもちろん、外国人本人にとっても精神的、手続き的負担は大きいものです。
新制度によって再入国許可が廃止される訳ではなく、希望すれば再入国許可を取得することも可能ですので、長期間の海外出張が予定される場合には、念のため1回限り有効の再入国許可を取得してから日本を出国することがベターでしょう。

②出国から1年以内に在留期間が満了となる場合は、在留期間の満了日までがみなし再入国許可の有効期限となる。

 再入国許可は、あくまでも本体の在留資格に付随するもので、出国から1年以内に再入国する場合でも、それまでに在留期間の満了日が到来する場合は、当然、みなし再入国許可も失効します。
外国人従業員に海外出張を命ずる時には、出張中に在留期間の満了日を迎えることがないかどうか、雇用主側からも確認が必要でしょう。

③みなし再入国許可の有効期限はパスポートに特に記載されない

 今までの再入国許可の有効期限は、パスポート上の証印で確認することができましたが、みなし再入国許可の場合、特にパスポートへの証印等もありませんので、外国人本人が管理する必要があります。
1年の起算日は、出国した翌日になります。
例えば、ある年の4月1日に出国した場合のみなし再入国許可の有効期限は翌年の4月1日までとなります。

次回は、外国人登録制度の廃止に伴う、証明書や届出の変更点について解説します。


(納税通信3221号 著者:行政書士椋木法務事務所 椋木マキ)



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2012年7月9日施行 改正法対応 在留管理制度入門2

~外国人を適正に雇い、安心して働いてもらうために~

新制度で交付される「在留カード」とは?

今回は新制度の4つのポイントについてより具体的に解説してまいります。

在留カードに記載される情報
新制度では変造防止対策として、現行の市区町村から交付されていた「外国人登録証明書」に代わり、ICチップが内蔵された「在留カード」が入国管理局から交付されます。
在留カードがどのようなものなのかは法務省のパンフレットで確認できます。記載される情報をまとめると、次の通りです。

①氏名、生年月日、性別および国籍の属する国または入管法第2条第5号ロに規定する地域(主に台湾 ※1)
②住居地(日本における主たる住居の所在地)
③在留資格、在留期間および在留期間の満了日
④許可の種類および年月日
⑤在留カードの番号、交付年月日および有効期限の満了日
⑥就労制限の有無
⑦資格外活動許可(※2)を受けているときはその旨


採用の現場では、⑥が表面に記載されていることで、在留資格について特別に知識がない人でも、在留カードを持参した外国人の採用が可能かどうかの判断が容易となります。
また、外国人留学生のアルバイトなどを採用する際に確認が必要な⑦の事項については、パスポートの証印シールを確認する必要がありましたが、新制度では在留カードだけで確認できるようになり、外国人の採用の現場での利便性が向上することとなります。

採用の現場でのチェックポイント
 求人に応募してきた外国人に関して、自社で採用が可能かを判断する場合、在留カードのチェックポイントは次の通りです。

【事例1】飲食店のホール係やコンビニエンスストアなどの小売店のレジ担当者としてアルバイトやパートとして外国人を採用する場合

①在留資格や就労可・不可の記述はどうか
一般的な就労資格とされる「人文知識・国際業務」「技術」「技能」などの在留資格の人は、「就労可」と記載されていても前記の業務に就くことはできません。「技能実習」の人も不可です。
居住資格(※3)の人は日本人と同様に就労に制限が無いので採用しても問題ありません。
「留学」「家族滞在」などの場合、就労制限の有無欄に「就労不可」と記載されていますが、裏面の「資格外活動許可」欄に「許可:原則28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載されていれば、採用は可能です。
ただし、他にアルバイトを掛け持ちしているかを確認し、掛け持ちしている場合は他のアルバイトと合算して原則28時間以内の就労を厳守しなければならないことに注意する必要があります。

②在留期間に余裕があるか
就労可能な在留資格が記載されていたとしても、在留期間が満了している場合は不法滞在(オーバーステイ)となり、就労することはできません。
確認した時点で在留期間満了から2ヶ月を超えていなければ、在留期間更新手続き中の可能性もあります。その場合は裏面の「在留期間更新等許可申請」欄を確認し「在留期間更新許可申請中」とあれば採用は可能です。在留期間更新許可が完了すれば新しい在留カードが交付されますので、新しいものを改めて確認すれば安心でしょう。


【事例2】海外取引のために貿易業務担当者や通訳・翻訳担当者を中途で採用する場合

①住所、氏名、生年月日などの本人情報が、提出された履歴書と合致しているか
在留カードの交付以降に住所が変更された場合は、裏面「住所地記載欄」に追記されています。

②在留資格が「人文知識・国際業務」または居住資格であるか
就労制限の有無欄に「就労可」と記載があっても、就労資格の人は許可を受けている在留資格に合致しない業務に就くことはできません。居住資格の人については就労に制限がないので日本人と同様に就労が可能です。

③在留期間に余裕があるか
【事例1】の②同様。


在留カードの交付や変更が生じた場合の手続き

在留カードの交付手続き
▲新規に入国する場合
上陸時に出入国港でパスポートに上陸許可の証印(シール貼付)をすると共に、中長期在留者となった人には在留カードが交付されます。
 制度導入当初は設備の都合上、成田空港、羽田空港、中部空港、関西空港に限定され、その他の出入国港においては、パスポートに上陸許可が証印され、「在留カード後日送付」と記載されます。この場合、市区町村の窓口に住居地の届出をした後に、管轄の地方入国管理局からその住居地に郵送されます。

▲すでに日本に在留している人の場合
①「永住者」以外の中長期在留者
現在の在留期間の満了に伴う「在留期間更新許可」や留学生が就職のためになどに行う「在留資格変更許可」手続きの完了時に、今までのパスポートへの証印に代えて、在留かカードが交付されます。
 16歳未満の人は、在留期間を問わず、16歳の誕生日までに在留カードの交付手続きを行う必要があります。
②永住者について
住居地の管轄の地方入国管理局へ申請を行うことで、「外国人登録証明書」と引き換えに在留カードが交付されます。
16歳以上の人は平成27年7月8日まで、16歳未満の人は平成27年7月8日、または、16歳の誕生日のいずれか早い日までに手続きを行う必要があります。

在留カードの記載事項の変更手続き
▲住所地の変更
住所地の市区町村役場で変更手続きを行います。

▲住所地以外の変更等
①氏名、生年月日、性別、国籍、地域の変更
②永住者・16歳未満の人の「在留カードの有効期間更新申請」
③在留カードの紛失や著しい毀損・汚損の際の「在留カードの再交付申請」
パスポート、写真、在留カードを持参のうえ、住居地を管轄する地方入国管理局で手続きをします。原則として新しい在留カードが即日発行されます。申請取次社による手続きも可能です。

▲就労資格や留学、配偶者としての資格の方の所属期間、配偶者に関する変更
在留カードを持参のうえ、住居地を管轄する地方入国管理局での手続き、または、在留カードの写しを同封のうえで東京入国管理局への郵送による届出が可能です。
次回は、新制度における在留期限と、母国への帰省・海外出張時などに関係する「みなし再入国許可」について解説します。

※1 入管法第2常第5号ロに規定する地域
台湾、ヨルダン西岸地区、ガザ地区。これらは「国」ではないが、地域の権限のある機関が発行したパスポートなどについては、外国政府が発行したものとみなし有効に取り扱うため、在留カードへの記載も「国」と同様に記載するということ。

※2 資格外活動
本来の在留資格の「外」の活動を行うための許可。例えば留学生の本来の資格「内」の活動は「勉学」ではあるが、生活費や学費のための資格「外」であるアルバイトは制限付きで認めるという趣旨。ほとんどの留学生は、大学などが取りまとめて申請取得している。
 
※3 居住資格
「日本人の配偶者等」「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」など、就労のための資格について居住資格と呼ぶことがある。これらは就労に制限がない。


(納税通信3220号 著者:行政書士椋木法務事務所 椋木マキ)




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JSK・NPO夏季合同セミナーが税理士新聞1386号にて紹介されました

税理士新聞

            JSK事業再生研究会
      2012年夏季セミナーを再開
       向山裕純税理士が講義


 ”中小企業の駆け込み寺”として、企業再生コンサルティング活動を展開する「JSK事業再生研究会」は8月3日、4日の2日間、東京・港区のミッドタウン・タワーで会員向けに夏季セミナーを開催した。
 セミナーは分科会方式で関心の高いテーマを自ら選ぶことができる。そのひとつとして、JKSの顧問でNPO首都圏事業再生支援センター理事の向山裕純税理士が「プロは知っておきたい税務行政の変貌」というテーマで講義を展開した。
 向山氏は昨年の税制改正の流れを確認した上で、納税環境整備の名の下に課税強化を図る国税当局の動きを説明。平成25年1月1日以降から適用されるはずの税務調査手続きの改正内容がすでにある税務署で実勢されている実態を明らかにした。
 今回はJSKとNPOの合同イベントで、1「月に実施される新春セミナーとあわせて年2回開催されている。



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2012年7月9日施行 改正法対応 在留管理制度入門1

~外国人の人材を有効活用するために~

新制度の概要と、施行日前後の注意点

 日本に在留する外国人について規定する「在留管理制度」ですが、いよいよ今年7月9日に改正法が施行されることとなります。
 この新しい在留管理制度は、日本に在留している外国人自身はもちろん、外国人人材を活用している、また、今度の活用を検討している経営者の皆さまにとっても把握しておくべき重要な知識です。
 ここでは平成24年7月9日以降「何が」「どのように」変わるのかという点を踏まえ、今後の外国人人材の活用の際に役立つように事例に基づいた具体的な解説を行います。

新制度の対象となる「中長期在留者」とは?
 新しい在留管理制度の対象となるのは、中長期在留者に限られます。具体的事例は下記の通りです。(一般的なもののみ抜粋)

①「人文知識・国際業務」や「技術」「技能」「投資・経営」などの就労資格(※1)を持って、企業等に勤務している、事業を行っている人など
②前記①の人の扶養を受ける配偶者や子(在留資格「家族滞在」)
③技能実習生
④日本人と結婚している人(在留資格「日本人の配偶者等(※2)」)、日系人(在留資格「定住者(※3)」「日本人の配偶者等」)
⑤永住者
⑥日本語学校、専門学校、大学等の留学生(在留資格「留学」)や日本で技芸を学ぶ人(在留資格「文化活動」)で、3ヶ月以上の在留期間が決定された人

以上のように、日本で働いている人や、日本人の家族として日本で生活をしているなど長期間日本に在留している人が対象となります。
 日本で就労するために在留していても3ヶ月以下の在留期間が決定された人や、観光目的や出張などで入国した人(在留資格「短期滞在」)などは対象となりません。

新制度 4つのポイント
 新しい在留管理制度の注意すべきポイントは4つです。ここでは大枠を取り上げ、詳細については次回以降で解説します。

①在留カードの交付
現行の「外国人登録証明書」(外国人登録カード)は廃止され、「在留カード」が交付されます。
永住者(16歳以上の人について)は平成27年7月8日まで、その他の在留資格の人は在留期限の満了日までは外国人登録証明書が在留カード同様に取り扱われます。

②在留期間が最長「3年」から「5年」に
主な就労資格や日本人の配偶者等としての資格の在留期間の上限が、最長5年となります。(「興行」「技能実習」は除く)。
また、当初から3ヶ月以内の在留が予定されている就労資格の人の事務手続きを軽減するため、新たに3ヶ月の在留期間が設けられています。この場合は在留カードが交付されず住民登録も不要です。

③1年以内の出国であれば、再入国許可の取得が原則不要に
出国の際に必ず取得しなければならなかった再入国許可が、1年以内の出国であれば原則不用(※4)となります(みなし再入国許可制度)。

④外国人登録制度が廃止され、日本人同様に「住民票」発行
現行の市区町村役場での外国人登録制度は廃止され、情報管理が法務省入国管理局に一元化されます。それに伴い「外国人登録原票記載事項証明書」の発行は廃止となり、日本人同様に住民基本台帳制度に基づいて住民票が発行されます。

 以上の4つのポイントの特徴として、「在留期間が最長5年に「みなし再入国制度の導入」などに代表されるように、日本に適法に中長期間在留される人にとっては、手続に関する負担が緩和される改正がほとんどです。
 しかし、現在市区町村役場などで外国人向けに配布されている新たな在留管理制度についてのチラシの内容では情報が不足しており、外国人同士のコミュニティ内で、「永住者の制度が廃止される」などのネガティブな根拠のないうわさが飛び交っていたり、外国人登録証明書の確認(切替)期限が経過しているのに「どうせ新しいカードが発酵されたら使えなくなるし、7月9日までは切り替える必要はないだろう」などの制度の互角があったりなど、当事者である外国人への周知が不十分で、混乱が見られるというのが現場の実感です。
 
わたしの事務所では、少しでも関係者の理解が深まるように、更新の手続きに来た外国人や、新たに外国人人材を招聘される雇用主などに対し、法務省入国管理局がインターネット上で配布しているPDFファイルのパンフレットをプリントし、解説を加えながらお渡しするといった対応をしています。このサイトでは、日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語の6ヶ国語版がそれぞれ無料でダウンロードできます。
 「外国人人材を雇用している」「技能実習生を受け入れている」といった企業では、前記の法務省入国管理局配布のパンフレットなどを活用し、社内で研修を行うことで無用な混乱は回避できるでしょう。雇用する側もされる側もストレスが少ない、新制度へのスムーズな移行につながります。
 
そして、新しい制度導入にあたり、7月9日以前でも手続きが発生する場合があります。
 前記新制度4つのポイント中の④の外国人登録制度の廃止に伴う住民基本台帳への移行のため、5月上旬に外国人住民向けに、外国人登録の住所地宛てに「仮住民票がそうふされます(市区町村ごとに時期は前後します)。
 市区町村によっては、仮住民票作成のための事前調査の用紙が送付されている場合もあります。仮に、送付に気付かず指定期限までに返信しなかったことで、住民基本台帳への登録が抹消されてしまってもただちに在留資格が取り消されるなどの影響は及びませんが、できるだけ速やかに届出を行う必要があります。このような二度手間が起こらないように、雇用主側からも注意を促すと安心でしょう。
 現行の外国人登録証明書が完全に廃止される平成27年7月8日までは、2種類のカードが流用することとなり、外国人人材の採用の現場での混乱も予想されます。「雇用しても問題がない在留資格か」など、採用の現場でのカードのチェックポイントについては、次回以降詳細に解説します。

※1 就労資格
一般に「就労ビザ」と呼ばれているもの。就労に制限あり。その資格に応じた業務に限定される。

※2 日本人の配偶者等
一般に「結婚ビザ」と呼ばれているもの、配偶者だけではなく外国人配偶者の連れ子なども含まれる。就労に制限がない。

※3 定住者
日系3世や日本人の子を扶養する外国人親、元日本人の配偶者などが含まれる。就労に制限がない。

※4 1年以内の出国であれば原則不要
特別永住者は2年以内の出国は再入国許可が原則不要。

(納税通信3219号 著者:行政書士椋木法務事務所 椋木マキ)



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調整対象固定資産と仕入に係る消費税の調整 その2

前回は、調整対象固定資産の範囲と平成22年度の税制改正について説明しましたが、今回は課税売上割合が著しく変動した場合の調整についてご説明させていただきます。

1.趣旨
 固定資産のように長期に渡り使用するものであっても消費税の税額控除は取得した課税期間のみで行われることになります。しかし、取得時のみの現況だけで税額控除額を判定することが必ずしも適正でないケースあります。
 例えば、自動販売機による消費税還付が挙げられます。これは、居住用の固定資産を取得して、取得した事業年度は貸付を行わずに自動販売機収入のみの課税売上だけを計上することにより、その固定資産は非課税売上に係る課税仕入であるので本来は税額控除の対象とならないのに還付を受けることができてしまうのです。
また、工場を設立年度に取得しても設立事業年度に課税売上が発生しなければ、工場は課税売上に係る課税仕入であるのに税額控除ができないということもありえるのです
 従って、これらの調整を取得後3年目に行うことになるのです。

2.仕入税額控除が必要な場合
調整2-1
注1)「比例配分法」とは、個別対応方式において共通部分を売上割合で按分計算をする方法又は一括比例配分方式により仕入控除税額を計算する方法をいいます。
注2)「第3年度の課税期間」とは、仕入課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間をいいます。2012年7月1日に設立した12月決算法人が設立年度の調整対象固定資産を取得した場合には2015年12月期が第3年度の課税期間となります。

3.通算課税売上割合が著しく増加した場合
 次の金額を第3年度も課税期間の仕入控除税額に加算します。
調整2-3

4.通算課税売上割合が著しく減少した場合
 次の金額を第3年度の課税期間の仕入税額から控除します。なお、控除しきれない金額があるときには、第3事業年度の課税売上高に係る消費税に加算します。
調整2-2
これらの仕入税額控除の調整は、調整対象固定資産を3年間保有していた場合に行うのですが、保有しなかった場合はどうなるのでしょうか。また、転用した場合にはどのような調整が必要なのでしょうか。次回は保有しない場合や転用した場合についてご説明します。

《参考》
『自動販売機設置による消費税還付』事案について
居住用マンションを取得して賃貸業を始めようとする場合には、居住用マンションの取得価額に係る消費税は非課税売上に対応するため税額控除の対象になりませんでした。
そこで、居住用マンションを年度末に取得し、取得した事業年度では貸付を開始せず課税事業者の選択届出をした後自動販売機のみの課税売上を計上してマンションの取得価額に係る消費税の還付を受けることにします。そして、簡易課税の届出をすることにより第2期は簡易課税事業者となり、第3期目には課税事業者選択不適用届出書を提出することにより免税事業者となるため、調整を免れることができました。
しかし、調整対象固定資産に関する改正により、調整対象固定資産を取得した場合には、取得後3年間は簡易課税事業者の選択もできず、免税事業者になることもできないため、第3年度課税期間において課税売上割合が著しく減少した場合の調整を行うことになるため、還付された消費税返還することになるのです。


調整対象固定資産図
【クリックして拡大表示】

〈参考資料〉
国税庁 タックスアンサー 



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| 消費税法 | 09:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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インバウンド業者の輸出免税該当性

国税不服審判所の裁決事例から学ぼう!2011.6.14裁決をどうみるか!

 国税不服審判所の裁決事例からは税理士も一般の方も学ぶことが多くあります。
 国税不服審判所のホームページには、過去に納税者が税務署や国税局と争った裁決事例(国税不服審判所が下す判断を「裁決」という。)が多く載っています。

 ここには納税者が勝った裁決事例、負けた裁決事例が多く掲載されており、実際に自分の判断が間違っているかどうか、争うべきかどうかの判断をするときに参考となるものが多くあります。
 ちなみに、国税不服審判所(審査請求)での裁決に納得がいかない場合は、税務裁判(訴訟)になり、地方裁判所→高等裁判所→最高裁判所へと進むことになります。
 だから、本当に詳細な判断をするときは国税不服審判所の裁決事例だけでなく、裁判の判決も調べるべきでしょう。
 
 秋になると税務調査が多くなりますから、税務署の判断に納得がいかない場合もあるでしょう。そういう場合は、こういうホームページを参考にしてみるのもいいでしょう。
 まずは過去の裁決事例を参考にすることは非常に重要なことなのです。
先般、インバウンド業(旅行業)について、準委任説に基づく先例裁決としての事例が平成24年6月14日に出されました。
以下、参考に概要、要旨、論点整理表を載せます。(注1)

 当方は、この準委任説の裁決に対し、請負・販売(類似の)契約説を主張していく方針です。
  
(注1)
タイトル
 (免税取引 (非居住者に対する役務の提供)) 旅行者に対して行われる日本国内での飲食、宿泊、輸送等の役務の提供は、非居住者である外国法人に対する販売であっても、輸出免税取引に該当しないとした事例(平19.1.1~平21.9.30の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却 (平23-06-14公表裁決)    【国税不服審判所ホームページ】
(概要)
 この事例は、旅行会社等が企画、手配するいわゆるパック旅行等における日本国内での飲食、宿泊、輸送等の役務提供は、販売先が国内に支店又は出張所を有しない外国法人であっても、当該旅行の参加者が国内において直接便益を享受する取引に当たる場合には、輸出免税取引に該当しないとしたものである。

(要旨)
 請求人は、請求人が旅行業を営む非居住者である外国法人に対して販売した国内パッケージツアーは、請求人が国内の各種サービス提供機関から、ホテル、レストラン、バス等の利用につき購入して作成した国内旅行を販売(本件取引)しているものであり、当該外国法人に対して飲食、宿泊、輸送等の役務の提供をしていないこと、また、当該外国法人は飲食、宿泊、輸送等の役務を国内において直接享受するものではないことから、消費税法施行令第17条《輸出取引等の範囲》第2項第7号のロ又はハに該当せず、消費税法第7条《輸出免税等》第1項に規定する輸出免税取引に該当し、原処分は違法である旨主張する。
 しかしながら、請求人が当該外国法人から受領する本件取引に係る対価の額には、旅行者が各種サービス提供機関から直接便益を享受する飲食、宿泊、輸送等の役務の提供の対価に相当する金額が含まれていると認められるところ、当該旅行者が飲食、宿泊、輸送等について国内において直接便益を享受していることは、消費税法施行令第17条第2項第7号のロ又はハに該当する輸出免税の対象となるものから除かれる非居住者に対する役務の提供に当たる。
したがって、本件取引に係る対価の額のうち請求人が支払った飲食、宿泊、輸送等の役務提供に係る対価の額に相当する金額は、輸出免税取引の対価の額には該当しない。



論点整理表
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