税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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調整対象固定資産と仕入に係る消費税の調整 その1

 3回に渡り消費税の還付を受けるための選択届出書について説明しました。その際、調整対象固定資産の説明を省略しました。これらの届出書を提出する前に考慮すべきものが調整対象固定資産とその取得後の取り扱いです。今回から、調整対象固定資産について説明させていただきます。消費税課税事業者選択届出書の提出する際の判断基準として参考になさって下さい。

1.2010年(平成22年)度改正の内容とその趣旨

(1)趣旨
 この改正は、当時に問題となった「自動販売機による消費税還付」の防止策として規定されたものです。多くの方はご存知と思われますが、居住用不動産に係る消費税の還付を受けるため、課税事業者を選択した後自動販売機による課税売上を計上し、翌年は簡易課税を選択、3年目には免税事業者に戻るというものです。
 3年目に免税事業者にもどれば課税売上割合が著しく変動した場合の調整を行うことがなかったため、消費税の還付が受けられていました。しかし、この改正ができたことにより3年間の課税事業者としての縛りを受けることになり、著しく変動した場合の調整を行うことから、最初に還付を受けた消費税を3年目に払い戻さなければならなくなるのです。

調整1-1

 つまり、課税事業者の届出をして課税事業者になった場合に調整対象固定資産を取得すると、3年間は一般課税で消費税の申告をしなければならないことになります。


2.調整対象固定資産

(1)範囲
調整1-2
注1)所有権移転外ファイナンスリース取引のリース資産を含みます。
なお、少額の場合や中小企業では賃借料として処理されていることが多く見落としやすいので注意が必要です。
注2)資本的支出のうち、土地の造成費は課税仕入に該当しますが、土地そのものが非課税資産で調整対象資産に該当しないため、土地の造成費も調整対象資産に該当しません。


(2)1個又は1組の価額が100万円以上の判定
 1個又は1組の価額が100万円以上の判定は次の点に注意が必要です。
① 本体価額により判定し、引取費用等の付随費用は含みません。
② 所有権移転外ファイナンスリース取引のリース資産については、リース料の総額で判定します。
③ 他の者と共同で購入した資産については、当該事業者の共有物に係る持分割合応じて判定します。
④ 資本的支出については、2以上の課税期間にわたって行われるときは、課税期間ごとに要した課税仕入に係る支払対価の額により判定します。

調整1-3
 消費税の増税前に固定資産の取得等を検討される場合には、調整対象固定資産に該当するかを確認し、該当すれば3年間は免税事業者に戻れないことを考慮して、課税事業者の選択届出書の提出の有無を判断する必要があるのです。
 次回からは、課税売上割が著しく変動した場合等の調整についてご説明をさせていただきます。




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クック諸島をめぐるタックスヘイブン事件

今回は、外国税額控除の控除限度枠は「売却」できるか、における大阪地方裁判所平成13年12月14日判決を改めて考えてみる。

(1)問題の所在
 内国法人である銀行(邦銀)が、対価を得るため、外国法人に外国において課される源泉税を軽減させることを目的として、邦銀自身の日本における外国税額控除の余裕枠を利用させ、日本国との間で二重課税が生じるような取引形態を作出し、取引を行った場合、法人税法69条1項(注1)の「納付することとなる場合」に当たるか。

(2)概要
 クック諸島法人であるA社は、同じくクック諸島法人であるB社に資金を貸し付けて運用することを企画したが、そうした場合、貸付利子にはクック諸島源泉税が課税される。そこで、A社は、源泉税負担を回避するため、邦銀のシンガポール支店を介在させる取引とすることにより、日本の外国税額控除枠を利用することとした。
 すなわち、 ➀A社は邦銀支店との間で預金契約を締結する、➁邦銀支店はB社との間でローン契約を締結する、➂B社は邦銀支店に対する利子としてクック諸島源泉税を控除した額を支払う、➃邦銀支店はA社に対して預金利子を支払う。なお、シンガポールでは源泉徴収が行われない
 このような取引形態を作出することによって、邦銀は、上記➂の支払利子の源泉徴収税額について、外国税額控除を受けることとなり、この外国税額控除に相当する額の一定割合をA社に対する預金利息に加算する。この取引により、A社は、邦銀を介さなかった場合に比べて、受取金額が増大することとなり、また、邦銀には一定額の収入が生じる。その一方、日本の国庫収入は減少する。
 課税庁は、上記のスキームに沿って外国税額控除が適用されるとした邦銀に対し、その適用を否認して更正をした。本件裁判においては、課税庁は、主位的に、本件は仮装取引であるとして、私法上の法律構成による否認の主張をするとともに、予備的には、法人税法69条の限定解釈によって否認し得ると主張したものである。
                                       


(注1) (外国税額の控除)
第六十九条   内国法人が各事業年度において外国法人税を納付することとなる場合には、当該事業年度の所得の金額につき第六十六条第一項から第三項までの規定を適用して計算した金額のうち当該事業年度の所得でその源泉が国外にあるものに対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を限度として、その外国法人税の額を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する。




(3)私の見解
結論から言うと、大阪地方裁判所平成13年12月14日判決は、課税庁の主張を排斥したものである。判旨は、上記課税庁の主位的主張につき本件取引を仮装のものとみることはできないとしてこれを否定した上、予備的に主張された法人税法69条の限定解釈の主張についても、「その文言自体から、例えば、真実経済的に外国法人を負担する者による納付に限定することはできず、解釈の幅は極めて狭いといえるし、内国法人が控除限度枠を自らの事実活動上の能力、資源として利用することを一般的に禁ずることはできないといわねばならない。」とし課税庁の主張を排斥したものである。
 しかし、法人税法69条が制定された根底には、あくまでも内国法人の海外における事業活動を阻害しないという政策があるから、およそ正当な事業目的がなく、税額控除の利用のみを目的とする取引により外国法人税を納付することとなるような場合には、納付自体が真正なものであったとしても、法69条が適用されないとの解釈が許容される余地がある。これらの点に鑑みれば、取引各当事者に、税額控除の枠を利用すること以外におよそ事業目的がない場合や、それ以外の事業目的が極めて限局されたものである場合には、「納付することとなる場合」には当たらないが、それ以外の場合には、「納付することとなる場合」に該当するという基準が採用されるべきである、と思う。
 本件判決はこのように解釈した上で、本件事案における内国銀行の取引は、事業目的のない不自然な取引であると断ずることはできないとして、法人税法69条が適用されるとし、更正処分を取り消した。 
外国税額控除を利用するスキームを考案したもので、課税庁側からみれば、日本の国庫の犠牲のもと、邦銀及び外国法人が利得を得たものといえるが、本件も典型的なタックスシェルターの一形式であり、課税庁にとっては、現行法の下においてこのような取引を‘否認’し得るのかが法理論上の大きな課題となっているのも否定できない。
その後の結末は、課税庁は控訴し大阪高裁(平成15..14控訴棄却)でも一審を支持、上告し平成17年末に最高裁(平成17.12.19請求棄却)で結論がだされ、結局国側逆転勝訴で確定したものである




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「災害減免法」の利用による所得税の軽減免除

前回は「雑損控除制度」に関して説明しましたが、今回は「災害減免法」について説明いたします。両制度とも災害を受けた場合にどちらか有利な方を選択する事が出来ます。

1.制度の概要
 災害によって受けた住宅や家財の損害金額(保険金などにより補填される金額を除く)がその時価の2分の1以上で、かつ、災害にあった年の所得金額の合計額が1000万円以下のとき災害減免法により所得税が以下の表のように軽減又は免除される。
なお、別途「雑損控除」の適用は受けられない。

軽減又は免状される所得税額の表
災害減免
【クリックして拡大表示】


2.適用手続き
 この適用を受けるためには、確定申告書に適用を受ける旨、被害の状況及び損害金額を記載して、確定申告期限内に納税地の所轄税務署長に提出する必要がある。
以下、必要書類として、
 ・被害を受けた建物等の取得価格の分かるもの。
 ・被害を受けた建物等の取り壊し費用、除去費用の分かるもの。
 ・市区町村発行の罹災証明書。この証明書は、損害保険会社への保険金請求時及び建物の滅失登記の場合にも必要になります。
 ・被害を受けたことにより、受け取る保険金の分かるもの。
 ・尚必要書類ではないが、被災状況の写真をとっておくといいでしょう。

3,具体的な計算例
  Aさん所得金額 600万円
     所得控除額 150万円
     損失金額  200万円
     保険による補填金 100万円
     災害関連支出   50万円

(災害減免法の場合)

計算式 所得金額600万円は上記表の500万超750万以下に該当するので
    所得税の2分の1の軽減が適用される。
税額計算 {(所得600万円-所得控除150万円)×税率20%}-427,500円
      =472,500円
納付税額 472,500円×1/2=236,200円(百円以下切捨)

(雑損控除の場合)

計算式 
 雑損控除額 
①(損失額200万円-保険金100万円)-(所得金額600万円×10%)
 =400,000円
② 災害関連費500,000円-5万円=450,000円
 どちらか大きい方を採用のため②の450,000円を採用。

納付税額
{所得金額600万円-雑損控除45万円+所得控除150万円}× 税率20%―427,500円=382,500円

このケースの場合は災害減免法を採用した方が有利になります。
また、雑損控除と災害減免法はどちらが得か被害や所得にもよります。まずは両制度の比較計算をすることが必要になります。



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提出し忘れにご注意! 消費税選択届出書 その3

前回と前々回に渡り免税事業者が消費税の還付を受けるための選択届出書について説明しましたが、今回は簡易課税を選択している方が消費税の還付を受けるための届出書届出書について説明させていただきます。

1.『消費税簡易課税制度選択届出書』(第24号様式)
(1)概要
 課税売上が5,000万円以下である場合に納税義務者の選択により提出するものです。計算が簡易であり、実額で控除対象仕入税額を計上するよりも有利な場合に選択されています。
ただし、簡易課税制度を選択した場合には仕入税額控除により還付を受けることはできません。

(2)継続適用期間と効力の存続
 この届出書の提出により課税事業者を選択した場合には、2年間の継続適用が義務づけられています。
 また、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」(第25号様式)または「事業廃止届出書」(第6号様式)を提出するまではその効力は継続されます。
免税事業者となった場合や、基準期間の課税売上高が5,000万円を超えて本則課税となった場合でも提出の効力は継続されるため、基準期間の課税売上高が1,000万円を超、5,000万円以下の年については簡易課税が適用されることとなるので注意が必要です。

(3)届出書の効力と提出期限
 通常の場合には、提出した課税期間の翌課税期間の初日から課税事業者としての効力が発生します。従って、課税事業者を選択しようとする課税期間の前日までに提出しなければなりません。
 事業を開始した課税期間等に提出した場合には、提出した課税期間またはその翌課税期間の初日のいずれかを効力の発生時として選択することができます。従って、事業を開始した課税期間の末日が、その事業年度及び翌事業年度の提出期限となります。

2.『消費税簡易課税制度選択不適用届出書』(第25号様式)
(1)概要
 消費税の簡易課税制度の選択を止める場合に提出します。
 仕入税額控除により還付を受けようとする場合や、事業の変更等により本則課税が有利となった場合に提出します。

(2)提出の効力開始日と提出できる日
 この届出書の効力は、提出した日の属する課税期間の翌課税期間から生じます。
 簡易課税制度の適用を受けることをやめようとする課税期間の初日の前日までに提出しなければなりません。

(3)簡易課税に戻したい場合
 本則課税については簡易課税と異なり、原則として期間の縛りがないため、消費税の還付を受けた翌事業年度から簡易課税を選択することが可能です。

【図1】

消費税3-1

【クリックで拡大表示】

(4)その他の留意点
 ① 基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合
  消費税の還付を受けようとする場合には、「消費税課税事業者選択届出書」(第1号様式)も一緒に提出する必要があります。

【図2】
消費税3-2
【クリックで拡大表示】

② 簡易課税を選択できないケース  課税事業者を選択した場合には、その継続適用期間内に調整対象固定資産を取得したときは、その取得から3年間は免税事業者となることもできず、簡易課税を選択することもできません。
   
【図3】
消費税3-3
【クリックで拡大表示】

今回は、簡易課税選択事業者が消費税の還付を受けるための届出書について説明をしました。消費税率引き上げ前に設備投資を検討される方は参考になさって下さい。
また、前回及び今回とも調整対象固定資産についての解説は省略しました。調整対象固定資産を取得した場合には、3年間の縛りが生じることから課税事業者となり還付を受ける場合には考慮すべき項目の1つとなります。次回からはこの調整対象固定資産についての解説をする予定です。



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「雑損控除制度」を上手に使おう

 今年は異常気象の現れなのでしょうか? 6月には突風と豪雨、そして大型台風が2つ日本列島を襲いました。被害を受けられた方にはお見舞い申し上げます。
 今回は、被害を受けられた方の救済の一部になると思われる、雑損控除制度について説明致します。
この雑損控除の対象は自然災害、火災、白アリなどの害虫被害、盗難と幅広い特徴があります。
ここでは、再度雑損控除制度に関してまとめてみました。
 雑損控除とは災害又は盗難若しくは横領によって、自己の資産について損害を受けた場合に、一定の条件で所得税・住民税を軽減する事が出来る制度です。東日本大震災では特別措置も設けられました。

1 雑損控除の対象となる資産の要件・・・・所得税法72条
損害を受けた資産が次のいずれにも当てはまること。
(1)資産の所有者が次のいずれかであること。
イ 納税者
ロ 納税者と生計を一にする配偶者やその親族で、その年の総所得金額が38万円以下の者。
(2)生活に通常必要な住宅・家具・衣類などの資産であること。
ただし、事業用の資産や別荘・書画・骨董・貴金属等で1個又は1組の価格が30万円を超えるものなどは当てはまらない。
ちなみに事業用資産の損失は必要経費として処理をする。(所得税法51条)

2 損害の原因
(1)震災・風水害・冷害・雷害・落雷など自然現象の異変による災害。(被災証明書・被害写真を撮っておくと良い)
(2)火災・火薬類の爆発など人為による異常な災害。
(3)害虫などの生物による異常な災害。
(4)盗難(警察署に届出し盗難証明書の発行)
(5)横領(告発書等の写し)
なお、詐欺や恐喝の場合には雑損控除は受けられないことになっています。
その理由とし考えられるのは、上記1~5に関しては自分のあずかり知らないと
ころで起きているのに対し、詐欺・恐喝は自分自身が相手と関わりを持ってしまい被害者としての落ち度等の立証が難しいからでは無いでしょうか。

3 雑損控除出来る金額
 次の1及び2のうちいずれか多い金額である。

(1)(差引損失額)-(総所得金額)×10%

(2)(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

注1:損失額が多くその年で控除出来なかった場合、翌年以降3年間を限度に繰越控除する事が出来る。また、雑損控除は他の所得控除に先立って控除する事になっている。

注2:差引損失額=損害金額+災害関連支出の金額-保険金等補填金額
   損害金額とは損害を受けた時の直前におけるその資産の時価を基にして計算した損害額をいう。
   災害関連支出とは、災害により滅失した住宅・家財などを取り壊し又は除去に要した金額をいう。

4 雑損控除を受ける手続き
 確定申告の提出が必要となり、確定申告書に雑損控除に関する事項を記載すると共に、その災害を証する書類を貼付して申告すること。


これからの季節は台風が多く発生する時期でもあります。皆さんご自宅の損害保険の見直しと、災害を受けた場合はその損害額と被害写真を撮っておくよう習慣をつけましょう。
次回は、雑損控除とは別に、所得金額が1000万円以下の人が災害にあった場合の災害減免法による所得税の軽減免除制度について説明します。
納税者の選択により雑損控除制度とどちらか有利な方法を選択できる制度です。

以上




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提出し忘れにご注意! 消費税選択届出書 その2

 前回は消費税課税事業者選択届出書についてご説明をしました。消費税の還付を受けるために免税事業者から課税事業者への選択をしました。消費税の還付を受けた後に再び免税事業者に戻るためには、消費税課税事業者選択不適用届出書を提出する必要があります。今回はこの届出書についてご説明いたします。

1.『消費税課税事業者選択不適用届出書』(第2号様式)

(1)概要
 課税事業者を2年間継続した後に、課税事業者の選択を取り止めて免税事業者に戻ろうとする場合に提出する届出書です。

(2)提出の効力開始日
 この届出書の提出により免税事業者となることができるのは、その提出した日の属する事業年度の翌事業年度からです。従って免税事業者に戻る事業年度開始日の前日までに提出する必要がありますが、提出できる日が定められておりその日までは提出できません。

(3)提出できる日
 通常は、課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後から提出が可能となります。従って、個人事業者と事業年度が1年の法人については課税事業者となった年度の翌事業年度の初日から提出が可能となります。
消費税2-1

 課税事業者選択後の2年を経過する日までの間に調整対象固定資産を取得した場合には、調整対象固定資産を取得した課税期間の初日から3年を経過する日の課税期間の初日以後からでないと提出できません。
消費税2-2

(4)届出書の提出がなかったものとみなされるケース
 この届出書は2年を経過する日の属する課税期間の初日以後提出が可能となりますが、提出後に調整対象固定資産を取得した場合にはどうなるのでしょうか。
 この場合には、調整対象固定資産を取得した課税期間の初日から3年間は強制的に課税事業者となるため、取得した課税期間の初日から3年を経過する日の課税期間の初日以後から提出が可能となるため、すでに提出された選択不適用届出書の提出はなかったものとみなされることになります。、
消費税2-3

(5)1年未満の事業開始年度から選択した場合 (法人と個人事業者の違い)
 事業を開始した事業年度から課税事業者の選択をした場合には、その事業年度が1年未満である場合には、法人と個人ではこの届出書の提出できる日に違いがあることにご注意下さい。
 課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日が1年未満の事業年度の場合には法人と個人では異なるからです。12月決算の法人と個人事業者がともに2012年4月1日に開業した場合を考えてみましょう。法人の場合には、2012年4月1日から起算するため、2年を経過する日の属する課税期間の初日は2014年1月1日となります。
消費税2-4

 しかし、個人の場合には、年の中途で事業を開始した場合でも課税期間の初日は1月1日となるため、2年を経過する日の属する課税期間の初日は2013年1月1日となります。
消費税2-5

(6)最後に
 消費税の課税事業者選択届出書については、本来ならば消費税を支払う必要がないものを還付を受けるためにあえて提出するものです。還付を受ける事業年度のみでなく最低
2年間は課税事業者となることから、選択届出書の提出については還付が受けられる税額とその後に支払う税額とを考慮して判断することをお勧めします。




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| 消費税法 | 10:26 | comments:7 | trackbacks:1 | TOP↑

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「消費税増税修正法」要旨(抜粋・一部省略)

消費税増税修正法」要旨(抜粋・一部省略)等を、削除することにより、「所得税の最高税率の引き上げ及び相続税の基礎控除の引き下げ並びに相続時精算課税制度の拡充」を削除された。次回の通常国会に再提出か。
トリプル増税は回避した。

衆院本会議で可決された、いわゆる「消費税増税修正法」の要旨(抜粋・一部省略)は次の通り。本紙では、単に要旨を全文掲載するのではなく、当初の法案が民主・自民・公明による3党合意を経てどのように修正されたのか、その経緯が分かるように字体を変えたり、修正・削除箇所を太字や傍線で強調したりするなどした。傍線の付いた明朝体の太字部分は追加された文章や表現、【】内のゴシック体の太字部分は削除された文章や表現。


■社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法【等】の一部を改正する等の法律案

(要旨)
●1、趣旨(第1条)
 この法律は、世代間及び世代内の公平性が確保された社会保障制度を構築することが我が国の【により支え合う社会を回復することが我が国が】直面する重要な課題であることに鑑み、社会保障制度の改革とともに不断に行政改革を推進することに一段と注力しつつ経済状況を好転させることを条件として行う税制の抜本的な改革の一環として、社会保障の安定財源の確保及び財政の健全化を同時に達成することを目指す観点から消費税の使途の明確化及び税率の引き上げ【を行うとともに、所得、消費及び資産にわたる税体系全体の再分配機能を回復しつつ、世代間の早期の資産移転を促進する観点から所得税の最高税率の引き上げ及び相続税の基礎控除の引き下げ並びに相続時精算課税制度の拡充】を行うため、消費税法【、所得税法、相続税法及び租税特別措置法の一部を改正するとともに、その他の税制の抜本的な改革及び関連する諸施策に関する措置について定めることとする。

●2、消費税法の一部改正(第2条)
 ①消費税率を4%から6・3%に引き上げ(地方消費税1・7%と合わせて8%)。2014年4月1日施行。
 ②消費税収については、地方交付税法に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てることとする。

●3、消費税法の一部改正(第3条)
 消費税率を6・3%から7・8%に引き上げ(地方消費税2・2%と合わせて10%)。2015年10月1日施行。

【●4、所得税法の一部改正(第4条)所得税率の最高税率引き上げ(課税所得5千万円超は45%)。2015年から適用。 

●5、相続税法の一部改正(第5条)相続税の基礎控除を引き下げ(「5千万円+1千万円×法定相続人数」→「3千万円+600万円×法定相続人数」)。 最高税率を50%→55%に引き上げ。相続時精算課税制度の贈与者の年齢を65歳以上→60歳以上に引き下げ。2015年1月以後に取得する財産で適用。

【●6、(略)】
●7、税制抜本改革及び関連する諸施策に関する措置(第7条)
 政府は、社会保障・税一体改革大綱に記載された諸施策について次に定める基本的方向性により具体化に向け検討し、必要な措置を講じなければならない。
①消費課税
 イ 低所得者に配慮する観点から、行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律【行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律】に基づき、総合合算制度、給付つき税額控除等の施策の導入について、所得の把握、資産の把握の問題、執行面での対応の可能 性等を含め様々な角度から総合的に検討する。【低所得者に配慮した総合的な施策を導入する。】
 ロ 【総合的な】低所得者に配慮する観点から、複数税率の導入について、財源の問題、対象範囲の限定、中小事業者の事務負担等を含め様々な角度から総合的に検討する。施策の実現までの間の臨時的な措置として、【給付の開始時期、】対象範囲、基準となる所得の考え方、財源の問題等について検討を行い、簡素な給付措置を実施する。
 ハ (略)
 ニ (略)
 ホ 消費税の円滑かつ適正な転嫁に支障が生ずることがないよう、徹底した対策を講じる。
 (一)事業者等が消費税の転嫁及び価格表示等に関して行う行為の指針を策定し、相談等を行うこと。
 (二)中小事業者向けに相談の場を設置し、講習会の開催等を行うこと。
 (三)優越的な地位を利用して下請け事業者等からの消費税の転嫁の要請を一方的に拒否すること等の不公正な取引の取り締まり及び監視の強化を行うこと。
 (四)(略)
 (五)総合的に対策を推進するための本部を内閣に設置すること。
 (六)消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律及び下請け代金支払い遅延等防止法の特例に係る必要な法制上の措置を講ずること。
 ヘ (略)
 ト 医療機関等の高額投資にかかる消費税の負担に関し、措置を講ずることを検討し、課税のあり方については引き続き検討する。
 チ 住宅の取得については、取引価額が高額であること等から、駆け込み需要や反動等による影響が大きいことを踏まえ、影響を平準化し緩和する観点から、必要な措置について財源も含め総合的に検討する。
 リ (略)
 ヌ (略)
 ル 酒税は、消費税率の引き上げに併せて見直しを行う方向で検討する。
 ヲ (略)
 ワ (略)
 カ 自動車取得税と自動車重量税については、簡素化、負担の軽減及びグリーン化の観点から見直す。
 ヨ 印紙税については、建設工事の請負に関する契約書、不動産の譲渡に関する契約書及び金銭または有価証券の受取書について負担の軽減を検討する。
 ②個人所得課税
 イ (略)
【ロ 扶養控除のあり方については、今後具体化される社会保障制度の改革の内容及び給付付き税額控除の導入を巡る議論を踏まえつつ検討する。】
【ハ 年齢23歳以上70歳未満の扶養親族を対象とする扶養控除については、今後具体化される社会保障制度の議論も踏まえつつ、検討する。】
【ニ 配偶者控除については、社会経済状況の変化等を踏まえつつ、引き続き検討する。】
 ロ (略)
 ハ (略)
 ニ 個人住民税は、次の基本的方向性で検討する。
 (一)(略)
 (二)(略)
 (三)個人住民税の所得割における所得の発生時期と課税年度の関係の在り方について、検討する。
③法人課税は、2015年度以降において、雇用及び国内投資の拡大の観点から、実効税率の引き下げの効果及び主要国との競争上の諸条件等を検討しつつ、在り方を検討する。
 ④資産課税については次の通りに検討する。
 イ 相続税の課税ベース、税率構造等の見直しの結果に基づき講ぜられる措置の施行にあわせて見直しを行う。
 ロ (略)
 ⑤地方税制
 地方法人特別税及び地方法人特別譲与税について、税制抜本改革に併せて抜本的に見直しを行う。
 ⑥番号制度(略)
 ⑦国際課税は、国際連帯税について検討する。
 ⑧年金保険料の徴収強化等について、歳入庁その他の方策の有効性、課題等を幅広い観点から検討し、実施する。【歳入庁の創設について本格作業を進める。】

●8、その他(付則)
 ①(略)
 ②消費税率引き上げに当たっての検討(第18条)
 1 消費税率の引き上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、2011年度から2020年度までの平均において名目の経済成長率で3%程度かつ実質の経済成長率で2%程度を目指した望ましい経済成長のあり方に早期に近づけるための総合的な施策その他の必要な措置を講ずる。
 2 消費税率の引き上げによる経済への影響を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分するなど、経済の成長等に向けた施策を検討する。
 3 この法律の公布後、消費税率の引き上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、消費税率の引き上げにかかる改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。

■地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案(要旨)
●1、地方消費税関係
①税率を次の通り引き上げる。
 現行 消費税率換算で1%
 2014年4月1日~ 同1・7%
 2015年10月1日~ 同2・2%
 ②引き上げ分の地方消費税については、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費その他社会保障施策に要する経費に充てるものとする。
 ③(略)
●2、地方交付税関係
 消費税にかかる地方交付税率を次の通り変更する。
 現行 消費税率換算で1・18%
 2014年度 同1・40%
 2015年度 同1・47%
 16年度~ 同1.52%
●3、(略)

(納税通信第3230号参照)


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| 消費税法 | 10:21 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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「消費税増税法」衆院本会議で可決!(2012.6.26)

今回の改正は、日本の税制が消費税中心に展開することの意味合いである。
世界主要国の消費税率(イギリス17.5%・フランス。19.6%ドイツ17%イタリア19%)となつており、日本では、2015年より、10%となろう。食料品消費税は、イギリス0%・フランス。5.5%ドイツ6%イタリア10%)の軽減税率を採用している。10%までは、単一税率としているが、この先は、軽減税率も視野になろう。


民主、自民、公明が3党合意した「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」、いわゆる〝消費税増税法〟が6月26日、衆院本会議で可決された。直間比率の見直しなど、構造的な問題を数多く抱える税制の抜本改革に着手しないままでスタートする消費税の増税は、すべての所得階層にとって税の負担が上乗せされるだけの純粋な〝増税〟にほかならず、高所得者にとっては高い累進税率の所得税に加えての負担が、そして低所得者にとっては「逆進性」による負担が、それぞれ重くのしかかることになる。


歴代の自民党政権ですら
実現できなかった消費増税
政党としての綱領を持たない民主党が政権交代を実現し、政権与党となり得たのは、政策公約ともいえるマニフェストを掲げての総選挙で勝利を収めたからだ。そのマニフェストには「消費税の増税」についての記述はなかったが、それによって政権与党となった民主党が強力に主導するかたちで消費税の増税は実現した。
綱領を持たない政党の唯一の立脚基盤となるはずのマニフェストに書かれてもいないことに、党首・首相が「政治生命をかける」と〝不退転の決意〟で臨み、野党の一部を巻き込んだ「3党合意」という密室談合で消費増税は決まった。
歴代の自民党政権でも実現することのできなかった消費税増税を、〝政権交代〟を実現したはずの民主党政権が、〝野党〟と合意して成し遂げたという現実を目の当たりにして、多くの有権者・納税者は唖然とする思いを抱いたのではないだろうか。

所得・相続増税は一時的な棚上げ
〝トリプル増税〟いよいよ現実に!
消費税増税法は、政府の原案では所得税の最高税率引き上げや相続税の控除額引き下げなどをも盛り込んでいたため、いわゆる〝トリプル増税法案〟となっていたが、「消費増税の実現」を最優先する政府・与党が野党側の主張を丸呑みするかたちで修正に合意した結果、法案は消費税の増税に関する部分だけを抜き出したものとなった。
だが、あくまでも政府原案をベースにした修正案である以上、所得税・相続税の増税に関する部分についても完全に〝廃案〟となったわけではなく、消費税増税の実現のため一時的に棚上げした格好だ。所得・相続増税の審議は、秋の臨時国会や来年の通常国会に先送りされたものの、3党合意でみられたように与野党とも基本方針として〝大増税路線〟であることは明白で、まずは消費税増税が先行するかたちとなった。
 消費税増税法の法案修正協議では、低所得者ほど税負担が重くなる「逆進性」の緩和策として民主党が「給付付き税額控除」を主張。自民、公明両党は食料品など特定品目の税率を低くする「軽減税率」を要求し、結局は両論併記するかたちとなった。税率8%の時点では、低所得者に現金を支給する「簡素な給付措置」を導入する。
 〝トリプル増税〟のうち、消費税増税だけが先行したために、話題は「低所得者対策」に集中しがちだが、これに所得税と相続税の増税が加われば「高所得者」ほど税負担が重くなることが明白だ。可処分所得の大きな高所得者層が消費を牽引しない限り、本格的な日本経済の再浮上も、景気回復による税収のアップも期待できないはずだ。しかし、所得・相続増税は、そもそも経済対策・景気対策とはまったく切り離された別次元のもので、消費税増税と同様、「足りない分は増税で賄う」「税収は増税によってアップさせる」ためだけの増税では、もはや政策とすらいえないのではいだろうか。
政府は高所得者の負担が増す所得・相続増税を指して、いわゆる〝富裕層増税〟などと表現するが、この「富裕層」なる所得階層・財産所有階層は、いったいどの程度の〝お金持ち〟を指しているのだろうか。 
 当初の法案に盛り込まれていた、所得税の最高税率の引き上げは40%から45%にするというもので、この税率の課税対象となる所得階層は「5千万円超」だ。相続税の控除額はは基礎部分が現行の5千万円から「3千万円」に引き下げられる。地価が高い都内にマイホームやちょっとした土地を所有しているひとならば、誰でも相続税の課税対象者になるといえる。
「年収5千万円」や「マイホーム所有者」というだけで〝富裕層増税〟の課税対象者にされてしまっては、〝お金持ちイジメ〟というよりも〝裾野の広い多くの中間所得層・財産所有階層に大きく網をかける総増税〟ではないだろうか。
たしかに、「年収5千万円」という所得階層は、サラリーマンなどの平均年収から比べれば〝お金持ち〟の部類に入るかもしれない。しかし、それはあくまでも「誰と比較するか」によって異なるものであって、「年収10億円超の上場企業経営者」や「株の配当だけで年間5億円超の創業者一族」などという本当のお金持ち、いわゆる〝リアル・リッチ層〟と比べてしまえば、〝富裕層〟のなかにすら所得格差がある。それなのに年収が5千万円でも10億円でも同じ〝富裕層〟とされてしまい、最高税率も同じ45%にされてしまっては、「年収5千万円前後のラインで頑張っている中小企業経営者」といったひとたちを狙い撃ちにしていじめているようなものではないだろうか。
これら〝富裕層増税〟は一時的に棚上げとなったが、平成25年度税制改正にあらためて協議される見通しだ。直間比率の見直しなど、構造的な問題を数多く抱える税制の抜本改革には着手することなく、消費税の増税からスタートする〝トリプル増税〟が、いよいよ現実のものとなりそうだ。


民主党の分裂は必至
解散・総選挙が現実味増す
3党合意による修正法案は当初、6月21日の通常国会会期末までに採決する方針だったが、9月8日までの大幅な会期延長が決まったことで、採決は22日に持ち越された。しかし、民主党内での調整の遅れから22日にも採決はできず、26日の衆院社会保障と税の一体改革特別委員会での締めくくり質疑を経て本会議で可決した。採決では民主党の小沢一郎元代表のグループが反対票を投じるなど、民主党の造反議員は57人(ほかに棄権・欠席16人)の規模となった。小沢氏らによる会派離脱と新党結成の動きが加速したことで、国民新党の議席を含む連立与党は衆院でも過半数を割り込む事態が避けられない状勢となり、民主党の分裂による解散・総選挙が現実味を増してきた。
(納税通信第3230号参照)


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| 消費税法 | 10:32 | comments:0 | trackbacks:1 | TOP↑

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提出し忘れにご注意! 消費税選択届出書 その1

 消費税率が2014年4月から8%に引き上げられることがほぼ確実となりました。消費税率引き上げ前に新築、増改築、固定資産の購入を検討される方が多くなることが予想されますが、注意していただきたいことがあります。この場合には課税売上高よりも課税仕入高にかかる消費税額が大きくなり消費税の還付を受けられることが考えられます。しかし、免税事業者の方でしたら課税事業者への選択届出書の提出、簡易課税を選択している方は簡易課税不適用届出書の提出し忘れてしまったらせっかくの還付を受けることができなくなってしまいます。

1.税理士職業賠償責任保険の事故の実態
 ㈱日税連保険サービス(以下「保険サービス」という。)が発表した税理士職業賠償責任保険(以下「税賠保険」という。)事故事例の2011年度版によると、2010年の保険サービスが取り扱いをした保険事故は211件あり、その内の48.3%に当たる102件は実に消費税に関する事故が占めています。
 また、保険サービスの取り扱いをした支払額1,000万円を超える大口案件23件のうち消費税に関する保険事故は実に39.1%に当たる9件を占めています。
 消費税に関する保険事故102件の内訳を見ていきますと、次の表のようになります。
保険事故の内容

以上のように、消費税に関する保険事故のうち、7割を占める75件が4つの届出書の提出失念ということがお解りいただけると思います。
そこで、今回からこの4つの届出書について見ていきたいと思います。消費税率引き上げ前に設備投資をお考えの方は、消費税の還付を受けるために必要なこれらの届出書の提出失念がないように参考になさって下さい。

2.『消費税課税事業者選択届出書』(第1号様式)

(1)概要
  免税事業者が課税仕入等に係る消費税の還付を受けるために課税事業者を選択する際に提出する届出書です。

(2)継続適用期間と効力の存続
 この届出書の提出により課税事業者を選択した場合には、2年間の継続適用が義務づけられています。
 また、「課税事業者選択不適用届出書」(第2号様式)または「事業廃止届出書」(第6号様式)を提出するまではその効力は継続されます。
よく勘違いされるケースとしてこの届出書を提出した後で課税売上が1,000万円を超え、その後1,000万円以下となった場合に免税事業者となったと思われて申告を失念されることがあります。これらの届出書の提出がない限り課税事業者としての効力がうしなわれることがないことに注意が必要です。

(3)届出書の効力と提出期限
 通常の場合には、提出した課税期間の翌課税期間の初日から課税事業者としての効力が発生します。従って、課税事業者を選択しようとする課税期間の前日までに提出しなければなりません。
 事業を開始した課税期間等に提出した場合には、提出した課税期間またはその翌課税期間の初日のいずれかを効力の発生時として選択することができます。従って、事業を開始した課税期間の末日が、その事業年度及び翌事業年度の提出期限となります。

(4)提出期限が休日等の場合
 この届出書を提出する事業年度の末日が土曜日、日曜日等の末日に該当した場合でも提出期限の延長はないので、休日等に該当する場合にはその前に提出する必要があります。
 その理由は、この届出書の提出については、提出期限として期日の規定ではなく効力の発生時期として規定されているからです。
 ただし、この場合でも郵便又は信書便により提出された場合には、その郵便物又は信書便物の通信日付印により表示された日に提出せれたものとみなされます。

図1.

消費税選択届出書 その1 図


(5)その他の留意点
 課税事業者の選択は、一法人、一個人ごとに行います。
 事業所ごと、支店ごとに課税か免税かの選択はできません。
 個人事業者の場合でも異なる所得区分ごとに課税か免税かの選択はできません。
 分割や合併があった場合、分割承継法人や合併法人には分割法人や被合併法人の課税事業者選択の効力は承継されません。

 今回は、課税事業者の選択届出書について説明をしました。消費税の還付を受けたならば早急にまた免税事業者に戻る必要があります。
次回は、課税事業者から再び免税事業者に戻るための届出書について説明いたします。

《参考資料》
2011年度版 税理士職業賠償責任保険 事故事例  ㈱日税連保険サービス






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| 消費税法 | 11:26 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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