税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業44年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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ふるさと納税ワンストップ特例制度

確定申告不要制度が始まりました

 平成27年度税制改正大綱が公表され、2015(平成27)年1月14日に閣議決定されました。その中で『ふるさと納税』についても見直しが行われています。その中でも注目点は、2015(平成27)年4月1日以後に行われるふるさと納税について摘要される『ふるさと納税ワンストップ特例制度』です。
 今回は、『ふるさと納税ワンストップ特例制度』を中心に改正点を見ていきたいと思います。

1.『ふるさと納税』とは(現行の規定)
自治体に対してふるさと納税(寄附)をすると、ふるさと納税(寄附)額のうち2,000円を超える部分について、一定の上限まで、原則として所得税・個人住民税から全額が控除されます。
 控除を受けるためには、ふるさと納税をした翌年に、確定申告を行うことが必要です(原則)。
 自分の生まれ故郷に限らず、応援したい自治体など、どの自治体に対する寄附でも対象となります。

2.平成27年度税制改正大綱による改正点
(1)特例控除額の拡充
 ふるさと納税を行う際、2,000円を除いた全額が控除される限度額である「ふるさと納税枠」が、個人住民税所得割額の現行1割から2割に引上げられました。
 平成28年分以後の個人住民税(2015(平成27)年1月1日以降のふるさと納税)から適用となります。

(2)ふるさと納税ワンストップ特例制度
 ①制度の概要
  給与所得のみの方などは、ふるさと納税に興味があっても確定申告するのは面倒だと思わていた方も多かったのでは有りませんか。今回の改正で一定の条件を満たせば確定申告をしなくてもふるさと納税ができるようになりました。この場合、個人住民税のみから寄付金額の控除が行われ、所得税からの減額はありません。
②摘要条件
 ⓐ ふるさと納税先団体が5団体以内であること。
 ⓑ 確定申告をする必要がないこと。
 ⓒ 2015(平成27)年1月1日から3月31日までにふるさと納税を行っていないこと。
③手続き
 ふるさと納税ワンストップ特例の適用を受けるためには、申請書に記入の上、ふるさと納税をする際に、ふるさと納税先団体へ申請書を提出する必要があります。
④転居等があった場合
 ふるさと納税を受けた自治体は、申請書に記載された内容を基に、納税者の住所地の市区町村に対して控除に対して必要な情報を連絡します。この情報により確定申告をしなくても控除が受けられる制度です。
従って、申請書の記載事項に変更があった場合には、ふるさと納税をした翌年の1月10日までに、ふるさと納税先団体の全てに変更届出書を提出しなければなりません。

(3)返礼品(特産品)送付への対応についての要請
 今回の税制改正の中で都道府県と市区町村に対して、ふるさと納税に係る周知、募集等の事務を適正に行うよう要請しています。具体的には、「地方税法、同法施工令、同法施行規則の改正等について」(平成27年4月1日付)により公表されていますので一部は次の通りです。
 ① ふるさと納税については、当該寄付金が経済的利益の無償の供与であることなどから、
   ⓐ 返礼品(特産品)の送付は寄付の対価でないことを周知させる
   ⓑ ふるさと納税の趣旨に反する返礼品(特産品)を送付する行為は行わない
        具体例:換金性の高いプリペイドカード
            高額又は寄付額に対し返礼割合の高い返礼品(特産品)
 ② 返礼品(特産品)は寄付の対価ではなく別途の行為であるため、受け取った場合の経済的利益が一時所得に該当すること
 ③ 窓口の明確化など、寄付者の利便性の向上
 ④ ふるさと納税の使途の周知
 ⑤ 寄付者の個人情報の厳格な管理

 2008(平成20)年にふるさと納税がスタートしてから今年で8年目になりました。当初は5,000円を超える部分が控除の対象として、生まれ故郷やお世話になった地域、応援したい地域への応援が目的としてスタートしました。
 今や地域の応援から返礼品取得を目的にふるさと納税が行われるようになり、返礼品の内容により集まる寄付金に偏りが生じるようになりました。寄付金を集めるために自治体間での競争の激化、実際に暮らしている地域への税収の減少が問題視されるようになってきました。
 今回の改正では、寄付する側の利便性だけではなく、加熱するふるさと納税の返礼品(特産品)合戦に待ったを掛けるものとなっています。納税の本来のあり方を見直す時期が来たのでしょう。

       参考資料  平成27年度税制改正大綱
             総務省 ふるさと納税ポータルサイト
             地方税法、同法施工令、同法施行規則の改正等について
                     (平成27年4月1日付総税企第39号)
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| 税務調査 | 09:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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マニュアルで調査を行う若手の国税調査官

マニュアルで調査を行う若手の国税調査官!

  2014年10月13日の納税通信に以上の記事が載っていたので、紹介します。
いま、税務調査の真っ盛りでありますが、国税通則法改正(74条関係)の影響で調査件数は減少しています。しかし、1件当たりのパフォーマンスを追及する姿勢が強まっており、細かく厳しい調査が全国的に展開中なのである。
 心構えはもっていても、実際に調査となるといやなものである。調査官の性格をみて臨機応変に対応することも重要な調査対策である。(調査官も人の子である)
  普通、税務職員と言えば、‘怖い’というイメージがあり、‘黒っぽいスーツに大きなカバンを持って、鋭い目つきで、刑事のような’といった感じを想像します。
  実際、昔はこんな職員も多かったと思いますが、最近は女性調査官も増え、ソフトな印象に変わってきています。‘無表情でカタブツなイメージを抱いていたが、実際に調査に来た調査官は、やさしい顔つきで丁寧で表紙抜けした’といった声も聞くようになったそうです。
  国税局がまとめた納税者満足度アンケートの数字を見ても、‘職員の応接態度の好感度’(業績指標1-11)について5段階評価のうち、‘良い’または‘やや良い’との回答があった上位評価割合は21年度は84.0%、22年度は83.6%、23年度は85.2%、24年度84.3%と高く、税務職員の好感度アップを裏付けています。
  確かに、依然とは違う物腰のやわらかい税務職員・調査官が増えたように思います。
  しかし、‘怖い’というイメージが払拭されつつある一方で、‘職人気質が低下している’という指摘もあり、最近は税務調査の手順や手法、心得にいたるまですべてがマニュアル化され、税務調査の現場はもちろん、調査の引き継ぎや教育の場合で高度利用されている。現代は、何事においてもマニュアル化人間が増えているような気がします。
 つまり、応用が利かないのです。これにより他部署から異動してきた調査官や税務大学校を卒業したての新人調査官でも、着任早々、それなりに効率的に動けるようになりました。また、ある国税局が有効な調査手法を開発したとなれば、素早くマニュアル化されて他の国税局・税務署と共有され、全国統一的な調査展開に活かされています。
  昔は、経験と場数を踏んだ調査官ならではの‘勘’で、表向きはキレイに偽造された帳簿の裏に潜む脱税を暴いたという事件が多数あった。どうして分かったのか聞いても、‘勘としかいいようがない’という返事が返ってくるばかりという。こうした特殊能力をどうにか共有したくても、‘勘’まではマニュアル化できないのです。
  マニュアル化の副作用として‘会話力の衰退’を挙げるOBも多いそうです。
 ‘会話力’は、調査の場でもっとも強力な武器だという。調査先の社長との何気ない会話の中から大きな不正の糸口を掴んだ、というのはよくある話です。調査先の社長や経理担当者、税理士等と心を通わせ‘本音トーク’ができたことで、調査がスムーズに展開して申告漏れ発見につながったということもあるそうです。
  現役のベテラン調査官は、‘調査先に着いてまずやることは、納税者の話に耳を傾け、心をつかむこと’という。ベテランほど世間話で相手のガードを解き、調査の核心を探るのがうまいのです。確かにまず雑談から始める調査官が多いのもうなずけます。
  しかし若手の調査官の多くはこのような手法が苦手のようで、現役時代に調査畑でならした国税OB税理士は、‘冒頭のちょっとした会話から重要な情報が引き出せることもあるのに、最近の若手調査官は世間話のひとつもできない’と嘆いているのである。調査先に着くなり挨拶もほどほどに勘定元帳のチェックを始め、ベテラン調査官にこづかれる若手もいるという。機械化調査が一般化し、すべての技術がマニュアル管理されるようになってきた昨今、もっともアナログな‘会話力’が取り残されているのだという。人を相手にしていることを忘れてはいけないと思います。
  そんな現状を打開しようと、‘会話マニュアル’を作成して職員の会話力育成に努めている税務署もあるそうです。都内某署作成のマニュアルには、‘聞く態度’や‘鋭い質問’が相手の信頼関係につながり調査を成功に導くとして、質問の仕方や心得などを具体的に説いています。調査先から常に‘評価’されていることを念頭に置き、なめられることのないよう忠告している記述もある。こんなマニュアルが作られるのも、‘会話力’が重視されている証拠なのでしょう。
  税務調査は一般的に税務署側のペースで進んでいくものです。日々税務調査を実践している調査官と、十数年に一度受けるかどうかといった納税者とでは、経験値、情報量とも雲泥の差があるのは当然なのである。
  不慣れゆえに、淡々と仕事をこなす調査官の横で無駄にオロオロしてしまいがちですが、調査を制するには調査官を知ることが大事。今時の調査官のタイプを知ることで冷静さを保ち、調査の主導権を握られることなく納得のいく展開に導きたいと思います。

(引用・参考:納税通信 2014.10.13 第3342号、国税局ホームページ)


 

| 税務調査 | 17:43 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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税務署調査担当者の発言は公的見解か

税務署調査担当者の発言は‘公的見解’か?

 指導項目発言の後の更正処分は信義則に反するか?

『T&A master 9月8号 NO.561】に乗っていた東京地裁の判決を紹介します。
まず内容は、「原告企業が‘事前確定届出給与に関する届出書(付表)’に記載した届出額と違う金額を役員らに支給したことに始まる」事案で、その後更正処分が行われた事案です。(以下、「本件」という)。
 法人税法上、事前確定届出給与が損金算入の対象となるためには、届出書(付表)に記載した‘届出額’どおりの金額を支給しなければならない。
  したがって、原告企業が役員らに支給した事前確定届出給与は、‘届出額’と‘支給額’が違うため、全額が損金不算入となることはわかる。
  ところが、税務署の担当職員は、法人税法上損金不算入となる本件役員給与について、‘今回は更正処分をせず指導項目にとどめる’旨の発言を行った。
 そして原告企業は、調査担当者からの要請を受けて、‘支給額’を‘届出額’と同額に修正した付表を提出した。
 その後、税務署の調査担当職員は、税務署内で改めて検討した結果、‘本件役員給与が損金不算入となることは法人税法上明らかであり、指導事項にとどめることはできない’旨の修正申告をしょうようした。
 しかし、原告企業は、修正申告をする意思がない旨を回答した。(税務署担当者の要請どおり、支給額の訂正の付表を提出していたからだと思う)。
 そのため、税務署は、‘本件役員給与を損金不算入’とする内容の更正処分を行った。
  この更正処分を不服とした原告企業は、‘税務署の調査担当職員が更正処分をせずに指導項目にとどめる発言をした後に行われた更正処分は「信義則」には反するなどと主張して、更正処分の取り消しを求める訴訟を裁判所に提起していたものである。
 その結果、裁判所は、‘まず信義則により課税処分を取り消すことができる場合があるとしても、
(1)納税者が税務官庁の公的見解の表示を信頼し、その信頼に基づいて行動したところ、後にその見解に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか

(2)税務官庁の公的見解の表示を信頼した上で行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうか
という点を考慮することが不可欠であると指摘したのである。公的見解について裁判所は、様々な状況下で行われる税務署職員の見解の表示のすべてが公的見解の表示となるものではなく、税務署長その他の責任ある立場にある者の正式の見解の表示であることが必要になると判断した、ということである。

 裁判所は、本件の税務調査担当職員による指導事項にとどめる旨の発言及び付表の差替え要請について、‘税務官庁の一担当者としての見解ないし処理方針を示したに過ぎず、税務署長その他の責任ある立場にある者の正式の見解の表示であるとはいえないと指摘した。そのうえで裁判所は、本件について信義則の適用を肯定すべき事由があるとは認められない‘として本件役員給与を’損金不算入‘する内容の法人税更正処分は適法であると結論付けたのである。
 そもそも‘信義則’とは、民法上の原則です。民法第1条2項には、「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」と書かれている。私人間では、相手の言動を信頼して行動し、その結果損害を被ったような場合には、信義則違反の問題が生じます。これは‘禁反言の法理’とも呼ばれ、一度いったことを覆すようなことは後からしてはいけない、という常識的な考えです。一般の感覚からすれば、対税務署の場合でも同じではないでしょうか。
 むしろ税務署職員の指導によるものであれば、より信頼するものではないでしょうか。ところが、現行の裁判実務では、課税処分に信義則を適用することには極めて消極的なのです。最高裁第三小法廷昭和62年10月30日判決があるからです。内容は省略しますが、この判決以降、課税処分が信義則違反とされたものは、見当たらないのです。
 それは、先程も言っているように、次の要件満たす必要があるとしたからです。

  ①税務官庁が納税者に対して公的見解を表示したこと
  ②納税者がその表示を信頼し、その信頼に基づき行動したこと
  ③その後にその表示に反する課税処分が行われたこと
  ④そのために納税者が経済的不利益を受けることになったこと
  ⑤納税者が税務官庁の表示を信頼し、その信頼に基づき行動したことについて責めに帰すべき事由がないこと

 この5要件があると、課税処分になぜ信義則が適用されにくくなるのか?
指導項目にすると納税者に伝え、納税者も要請に従って行動を起こしたわけだから、後になって更正処分を行うのはどうかと思うのですが。 
 この判決を見ると、一税務署職員の発言や要請に従う必要なし、ということになるのではないでしょうか。つまり、税務署長及びその他の責任ある立場にある者のお墨付きがあるまで、従う必要なし、ということになるのではないでしょうか。
 
  {参考・引用 T&Amaster 9/8号 NO.561、民法第1条2項、最高裁判決} 
    

| 税務調査 | 13:17 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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国外財産調書

「国外財産調書」の実態が明らかに!

今年も国税職員の人事異動が7月10日に行われたが、国税庁のトップである国税庁長官には林信光氏が7月4日付で就任したとの報道があった。
週刊税務通信No3322 8月4日号及びT&AmasterNo557 8月4日号では、両紙とも林信光国税庁長官の就任インタビュー記事が掲載されていた。
その中で林国税庁長官は、特に富裕層の国際的な租税回避に対する対策としてプロジェクトチームを立ち上げたことを明らかにした。この発言の趣旨を考えると、次のことが分かってくる。
7月31日付け国税庁発表の記事によると、2014年1月から施行されている、「国外財産調書」の提出状況が判明した。「国外財産調書」とは毎年12月31日現在、国外(海外)に5000万円以上の資産を保有している個人は、翌年3月15日までに「国外財産調書」を作成し、所轄の税務署に提出することが義務付けられている。本年分に関しては初年度という事で罰則はなかった。しかし、次年度からは罰則の適用がある。正当な理由なく期限内に提出が無い場合または、虚偽記載の場合には、1年以下の懲役又は50万以下の罰金が適用になる。
それでは、今年の状況はどうであったのだろうか?
総提出件数は、全国で5,539件 であった。
各国税局別の件数は、東京国税局、大阪国税局、名古屋国税局の順に多く、この3国税局で全体の約9割(88%)を占めている。
そして、国外財産の価額の総合計額は、約2兆5千億円 にのぼる。
各国税局別の総財産額に占める割合についても、東京国税局、大阪国税局、名古屋国税局の3国税局で約9割(94%)となっている。
この提出件数及び申告金額は実態を反映しているのだろうか?

財産の種類別を国税庁のHPより抜粋
財産の種類別総額 財産の種類 総 額 構成比
有価証券 1兆5,603億円 62.1%
預貯金 3,770 15.0
建物 1,852 7.4
土地 821 3.3
貸付金 699 2.8
上記以外の財産 2,396 9.5
合計 2兆5,142 100.0


ところで、日本の富裕層とはそもそも何人ぐらいいるのだろうか。
2014年6月10日付ボストンコンサルティンググループが、「2014年版グローバルウエルス・レポート」の中で世界の富裕世帯数の統計ランキングを発表している。
それによると、家計金融資産100万ドル(日本円で1億200万円)以上を保有する世帯を富裕層と定義しており、全世界では1630万世帯あるという。
日本の家計金融資産は前年比4.8%増の15兆ドル(1530兆円)、富裕世帯数は124万世あるという。世界ランキングでも第1位のアメリカ713.5万世帯、第二位 中国237.8万世帯の次にランクされている。ちなみに、この上の超富裕世帯 家計資産1億ドル(102億円)以上になると、アメリカ・イギリス・中国・ドイツなどの順になっており、日本はランク圏外になっており集計がとれなかった。
日本の富裕世帯は平均して多いが、資産1億ドル以上の超富裕世帯はそれほど無いということだ。
いずれにせよ、この富裕層が抱えている金融資産は日本国内にはとどまらず、世界各地へ移動している。今まではこのフローの所得に所得税・法人税などが課税されていた。
しかし今後は、ストックしての財産を見つけ出し、それに相続税等を課税する方向に転換しだしたことである。
冒頭の国税庁長官の発言は、まさにこのような富裕層をターゲットにしたストック対策に本腰を入れることである。2015年度からは「国外財産調書」の提出が本格化してくると予想される。
富裕層の皆さん、くれぐれも出し忘れ、虚偽記載をしないように日ごろから自分の財産の管理をして頂きたい。


                              以  上
参照:週刊税務通信No3322 8月4日号
:T&AmasterNo557  8月4日号
:国税庁HP
 

| 税務調査 | 10:56 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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電子メールの取扱いには注意を!!

電子メールの取扱いには注意を!!

皆さんは業務に電子メール(以下「メール」という)を使用することが有るでしょうか?
数年前までは、企業はFAXや電話での業務のやり取りが多かったが、現在ではほとんどメールを使った打合せが多いようである。
2014年6月9日付けの「T&Amaster」でこのメールの取扱いに関して注意を要す内容があったので紹介したい。
記事によると、最近の税務調査において、取引記録のうち会社に都合の悪い内容のメールを削除していたが、税務調査で発覚し、重加算税を課せられたとするケースが頻発しているというのだ。
削除したメールは復元ソフトを使えば元に戻すことが可能となり、そこから発覚するという事だ。
国税通則法68条では、仮装・隠ぺい・二重帳簿の作成等の事実があった場合重加算税が課されると定義されている。そして最近では、この重加算税が課せられた事項の上位にメール削除があるというのだ。
税務当局が税務調査でメールを閲覧できる根拠としているのが、国税通則法74条の2だ。同上で税務職員は、所得税・法人税・消費税に関する調査について必要があるときは、その者の事業に関する「帳簿書類その他の物件」を検査し、又は当該物件の掲示・提出を求めることが出来るとされている。パソコンやサーバーはここでいう「その他の物件にに該当すると解釈していることから、メールの閲覧を可能にしているとのことだ。
しかしこの条文解釈に疑問を呈す者も少なくない。
税務職員の質問検査権として、事業に関する帳簿書類その他の検査、提示、提出を求める権限があることは承知している。メールはここでいう「書類」ではないことは分かるだろう。また、「帳簿書類その他の物件」の文言を拡大解釈して対象に含めようとしているのではないか。法律の拡大解釈をして、その対象に含めようとしているのではないかとの批判もある。

税法よりも上位法規である日本国憲法21条では、
① 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保証する。
② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない
として、国民の通信に対する公権力の監視、干渉からの自由は基本的人権の一つであるとしている。
この自由権はプライバシーの保護のためでもある。企業にしても、個々の従業員にしても、プライバシーもあれば秘密にしたいこともあるだろう。この通信の秘密の対象には、文書としての信書のほか、電話・メールなどすべての通信媒体によるものが含まれ、保護の対象となるのは、通信内容だけでなく、通信日時、発信人の住所氏名にも及ぶものです。
税務調査で、無断で、パソコン等の電子メール等の内容を覗き見することは明らかに侵害だ。
当事務所でも税務調査時において、その会社の取引内容を説明する際、海外企業とのやり取りを記録したメールを、社長の承諾に基づいて提示したことがある。ただし、承諾なしでのパソコン内のメール等の覗き見は今のところ無い。もちろんそのような行為があればすぐ止めさせ抗議をするが。
脱税等犯罪捜査で令状をとっての調査では、もちろん抗議はできませんが。

今後ますますメールは進化し便利になるでしょう。相手方との内容を記録し電子保存できる便利なツールでもあります。企業としてはこの便利なツールを使用する場合、メールの取扱い規定などを作成し、社内で徹底させるようにしたらどうでしょう。

                                               参照資料:T&Amaster No549 2014.6.9号
                          

| 税務調査 | 12:07 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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