税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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うっかりミスをしがちなのが、印紙税である!(その2)

今回は、契約書に該当すると間違いやすい事例をあげてみる。

A.間違いやすい事例

 契約書という名称でなくても、次のような文書は内容等で、実質、請負契約書に該当するので注意を要する。
(1)加工承り票等
 百貨店などで顧客の持参した生地によって洋服の仕立てを引き受けた際に作成する加工承り票」などは、洋服の仕立てという仕事の完成を約したものであるから、請負に関する契約書に該当する。
 
(2)宿泊申込請書等
  旅館業者などが顧客から宿泊の申し込みを受けた場合に、宿泊年月日、人員、宿泊料金などを記載し、その申し込みを引き受けた旨を記載して顧客に交付する「宿泊申込請書」などは、請負に関する契約書に該当する。ただし、案内状などと称し、単なる案内を目的とするものは、課税文書には該当しない。

(3)保守契約書
  例えば、エレベータの保守契約書の場合、「エレベータを常に安全に運転できる状態に保つこと」つまり仕事の完成を目的としているから、請負に関する契約書に該当する。コンピュータ、コピー機、火災報知機などの保守契約書も同様である。

(4)広告契約書等
  広告主と放送会社または新聞社との間で作成される、コマーシャル放送契約書または新聞広告契約書は、同契約の仕事の完成を目的としたものであるから、いずれも請負に関する契約書に該当する。

* 契約書作成上の注意事項

(1) 契約書の写し、副本、謄本等
 写し、副本または謄本等であっても、契約の成立等を証明するものは課税文書に該当する。1つの契約について同一の契約書が数通作成される場合であっても、それぞれの文書が課税対象となる。
 実際の取引においては、契約書に写し、副本、謄本などと表示される場合があるが、このような場合でも、
(ア)契約者当事者の署名があるもの、押印があるもの
(イ)正本や原本などと相違ないとの契約当事者の証明があるもの
(ウ)写し、副本、謄本であるとの契約当事者の証明のあるもの
は、契約の成立等を証明するために作成されたものと認められるから、契約書に該当する(いずれも文書の所有者のみが署名、押印、または証明しているものを除く)。

①留意点
 契約書を複写機でコピーしたものは、契約書に該当しない。
 要するに、写し等であっても署名等も含めて正本と同じ内容であれば印紙税の課税対象になるのは、契約書としての効力があるからで、実質で判断すれば当然である。そうでなければ、写し、副本、謄本、控え等と表示することで、印紙税の回避が用意になる。

1.金銭または有価証券の受取書

(1)金銭または有価証券の受取書
  一般の会社において発行することが多いと思われる受取書について考えてみる。

①金銭または有価証券の受取書
 金銭または有価証券の受取書とは、金銭または有価証券の引き渡しを受けた者が単にその受領事実を証明するために作成し、その引渡者に交付する証拠証書をいう。
 したがって、「受取書」、「領収証」、「領収書」、「レシート」はもちろんのこと、受取事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」「相済」「了」などと記入したもの、さらにお買上票などと証するもので、その作成の目的が金銭または有価証券の受取事実を証するものであるときは、ここにいう金銭または有価証券の受取書に該当する。

《留意点》
 名称等は関係なく受領事実の証明のための証拠書類に該当すれば受取書である。後日の証拠のために、サイン等をした場合などである。受取書として効力があるかどうかを実質で判断するのも同様である。

(会社法務A2Z 2013.2より)
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うっかりミスをしがちなのが、印紙税である!(その1)

今回は、契約書に該当すると間違いを指摘された事例をあげてみる。

* 間違いを指摘された事例
 ①大手下着メーカーA社の場合の事例
  セミオーダーのブラジャーなど女性用下着を販売する際に発行していたお客様控えが契約書に該当することとされ、国税当局から印紙税の納付漏れを指摘された。

②大手冠婚葬祭会社B社の場合
 遺族が争議を申し込む際に作成する葬儀申込書が契約書に該当するとされ、国税当局から印紙税の納付漏れを指摘された。

③大手スーパーマーケットC社の場合
 自転車の修理を請け負った際に発行した自転車修理伝票が契約書に該当するとされ、国税当局から印紙税の納付漏れを指摘された。

〚事実認定〛
「お客様控え」、「葬儀申込書」、「自転車修理伝票」が課税物件表第2号の「請負に関する契約書」に該当した。

 留意点(その1)
 ここで問題になるのは、「請負」とは何を指すのかである。
 請負とは、当事者の一方(請負人)がある仕事の完成を約し、相手方(注文者)が、これに報酬を支払うことを訳することにより成立する契約をいい、講演、警備、機械保守、清掃などの無形的な結果を目的とするものも含まれる。
 このほか、公認会計士の監査契約、民間放送会社と広告主または広告代理業者との間の広告などの契約も請負契約に該当する。
 また、請負には、職業野球選手、映画・演劇の俳優、プロボクサー、プロレスラー、音楽家、舞踏家、映画・演劇の監督・演出家・プロデューサー、テレビジョン放送の演技者・演出家。プロデューサーなどが役務を提供することを内容とする契約を含む。

留意点(その2)
 契約書という名称でなくても、印紙税法上の契約書に該当する。
 例えば、「お客様控え」、「葬儀申込書」、「自転車修理伝票」が課税文書(契約書)に該当する。契約書は、契約自由の原則に基づき、その形式・内容も作成者が自由に作成できることから、その形はさまざまである。
 印紙税の課税文書に該当するか否かの判定(課否判定)は、文書の全体的な評価によって決めるのではなく、その文書の内容として記載されている個々の事項のすべてについて検討し、その中に1つでも課税物件表に掲げる課税事項となるものが含まれていれば、それは課税文書となるのである。単に、文書の名称または呼称、その形式的な記載文言によることなく、その記載文言の実質的な意義に基づいて判断する。
 課税事項とは、1(2)のとおり「その文書により証されるべき事項」であるから、その文書の「注文の内容」や「申込みの内容」により請け負ったことが証明されているのであれば、契約書に該当するのは明らかである。
 もし、契約書という名称で課税の判断をするのであれば、文書名を「覚書」「確認書」等にして印紙税を回避することが可能になってしまう。税法解釈の基本、課税の公正、負担の公平を旨とする実質主義に基づき、あくまで名称等ではなく、内容等の実質で判断するのである。

留意点(その3)
 課税事項を証明する目的で文書を作成すれば課税される。
 納税義務は文書作成で成立するため、契約書に基づいて契約が実行されているかどうかは関係ないことに注意する必要がある。
 裁決例では、銀行に融資の申し込みをした法人が「金銭消費貸借契約証書」に署名押印し、銀行に差し入れたときに印紙税の納税義務は成立しているとされた。この事例では、融資の申し込みはしたが融資実行の前に申し込みを撤回している。

留意点(その4)
 課税事項を証する目的で文書を作成しなければ課税されない。
 文書の作成で納税義務が成立するということは、逆に言えば文書を作成しなければ課税されないということである。会社成立時に作成する定款(原本)は、課税物件表の第6号に該当するが、文書でなく、電子データで作成(電子定款)すれば課税されない。
これは、非課税文書に該当するのではなく、文書の作成に該当しないからである。

次回は、間違いやすい事例について述べていく。
 
            (会社法務A2Z 2013.2より)

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