税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業44年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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外国人の海外扶養親族控除に網が!

外国人の海外扶養親族控除に網が!

12月は企業の給与担当者にとっては年末調整の時期でもあります。
2015年度(平成27年)税制改正のうち、所得税関係で注目を集めているのが「国外居住者に係る扶養控除」の改正である。
日本人の労働者人口の高齢化や人口減少により、毎年増え続けている外国人労働者の海外扶養者の把握は、本人申請が中心であり、法律的に明確な規定は有りませんでした。しかし今年の税制改正により、2016年(平成28年)1月1日以降に支払う給与等からこの制度の対象が始まります。
具体的には「扶養控除等申告書」などの提出時に、その国外居住親族に係る「親族関係書類」及び「送金関係書類」を勤務先に提出・提示しなければ扶養控除が出来なくなったのです。           (所法194条 所令316の2 所規47の2) 
              
 所得税法施行令14条1項では、外国人労働者であっても日本国内の勤務が1年以上となれば「居住者」と推定され、一般の日本人労働者と同じ適用になり年末調整の対象者になります。ちなみに非居住者の場合の源泉所得税率は一律20.42%になっています。
そして、外国人労働者は自国に家族を残して日本に働きに来ている人が多く、日本人の扶養親族数と違い扶養親族が多いのも特徴です。従って、国外にいる配偶者や扶養親族の確認・把握が難しく不明瞭でもありました。そこで所得税法を改正し法の縛りを制定したのです。
そして、この改正内容の周知を図る為、国税庁ではホームページを通じて問題が起こりそうであると思われる事項を、質問形式で2015年9月25日付で公表しています。全体では33問Q&Aになっていますが、重要であるのは以下の点である。
1 親族関係書類の提出
 国外居住親族が居住者の親族であることの証明書である。
① 戸籍の附表の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族のパスポートの写し。 
② 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類で、親族の名前・生年月日・住所又は居所のあるもの。
 上記いずれかの書類を基本的には毎年提出する必要がある。なお、所得税法上で言う親族とは、6親等の血族、配偶者、3親等内の姻族を指し、民法規定と同じである。
2 送金関係書類
 外国人居住者がその年において国外親族への生活費又は教育費に充てるために、金融機関からその都度各人に行ったことを明かす書類で、送金表などを言います。
3 送金額の基準はあるのか
 国外扶養者への送金基準は特に定められてはいない。ただし年間の送金額が少額であると考えられる場合には、送金者に送金の目的・理由等を確認しておく必要があろう。
4 国外親族が複数いる場合に送金を1人の代表者に送った場合。
 送金関係書類については、その年において、国外居住親族の生活費又は、教育費に充てるとための支払いを、必要の都度各人に行ったことを明らかにするものとされているため、扶養控除の適用を受けるためには、各人別の送金関係書類が必要となる。従って代表者にまとめて送金等がされている場合には、その代表者の人のみしか該当しない。代表者以外の人の国外居住親族は該当しないことになるので、注意が必要だ。
5 国外親族への送金が複数年分だけまとめて行われた場合
 送金関係書類は、その送金をした年分の「送金関係書類」にしか該当しないので、複数年一緒に送ったとしても、その送金年分としか取り扱われない。
6 本国に戻って現金で渡した場合はどうか。
 本人が本国へ一時帰省して扶養親族へ現金で支給した場合に関しても、本人からの申立書が提出された場合であっても、その申立書は、所得税法に定める「送金関係書類」に該当しないので、扶養控除等の適用は出来ないことになる。

このように今後は、外国人労働者の扶養控除の適用は「親族関係書類」及び「送金関係書類」が提出されない限り適用されないことになり、かなり厳格化されたことになる。
外国人労働者を抱えている企業では早急な対応を迫られることになる。
来年1月1日から施行されるマイナンバーの管理だけでなく、外国人労働者の管理も具体的におこなって行かなくてはならない。給与担当者は頭の痛い年になりそうだ。

              参考資料:国税庁 HP
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| 所得税・所得控除及び税額控除 | 09:29 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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馬券払戻金の課税区分

               最高裁で「雑所得」の判決!
         しかし、要件厳しく、最高裁と異なる判決が下されました。

 本年3月10日に最高裁で馬券払戻金について、従来からの一時所得ではなく雑所得に該当し、外れ馬券の購入費の経費に認めらる判決が下されたことはご存知だと思います。この判決に伴い所得税法基本通達34-1の改正がおこなわれ、雑所得に該当する要件が盛り込まれました。
 そして、最高裁判決の2ヵ月後の5月14日に『馬券の払戻金は一時所得に該当し、外れ馬券の購入費は経費に認められない』という最高裁と異なる判決が東京地裁で下されました。
 この2件の判決の相違点は何か、そして問題点は何かを考えてみたいと思います。

1.最高裁判決の概要
 大阪市の元会社員男性A氏が、2007~2009年間に28億7.千万円で購入した馬券で得た払戻金30億円を申告せず、5億7千万円の雑税をしたとして所得税法違反の罪に問われました。
 A氏は、1億4千万円の儲けに対し税額が4倍に上ったため外れ馬券の購入費の28億7千万円も経費に含めて課税対象額を減らすべきだと主張し、検察側は外れ馬券の代金は経費に含まれないとしました。
 一審判決は、A氏のような大量購入は「娯楽の範囲を超え、営利目的の継続的な資産運用とみることができる」と判断して、脱税額を約5千万円に減額し、懲役2ヵ月執行猶予2年の判決を言い渡しました。二審は一審を支持、最高裁もこれを支持する形となりました。

2.東京地裁判決の概要
 北海道の公務員男性B氏は、2005~2010年に計72億7千万円の馬券を購入し計78億4千万円の払戻金について、雑所得にあたるとして、外れ馬券代の経費として申告しました。これに対して税務当局は国税庁通達に基づき、B氏の払戻金の収入は「一時所得」にあたり、当り馬券の購入費しか経費算入できないと判断し追徴課税をしました。  
B氏は、競馬の外れ馬券代を経費と認めなかった課税処分を不服として、国に所得税約1億9千4百万円の取り消しを求めた訴訟を提訴しました。
 東京地裁は、競馬愛好家の馬券購入方法と大差はなく、営利目的に当たらないと判断し、B氏の請求を棄却しました。B氏側は控訴する方針です。

3.最高裁判決と東京地裁判決の相違点
 A氏は馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用してインターネットを介して、馬券の的中率に着目しない網羅的な購入を行う行為が営利目的の継続的な行為であることから、雑所得に該当し外れ馬券も経費に当たるとされています。
 これに対してB氏はレースごとに自分で予想して購入額を決めており、機械的とはいえない」と指摘し、競馬のもうけは、「個別の馬券的中による偶発的な利益の集積にすぎず、一体の経済活動とまで認められない」として一時所得に当たると結論付けています。また、B氏の馬券の購入履歴などが保存されていないため、機械的、網羅的に購入していたとまで認められないことから、外れ馬券の購入費は経費として認められませんでした。

4.所得税法基本通達34-1(一時所得の例示)
 次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。
(2)競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く。)
(注)1 馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。
2.上記(注)1以外の場合の競馬の馬券の払戻金に該当する所得は、一時所得に該当することに留意する。
  ㊟ アンダーラインを付した部分は改正部分
  ㊟ 赤字部分は、最高裁判決文で示されたA氏の馬券の購入方法

5.問題点
 「営利を目的とする継続的行為」の判断基準を大きく左右したのは、所得税法基本通達34-1の改正にあると思われます。
 最高裁の判決文によれば、『所得税法上、営利を目的とする継続的行為から生じた所得であるか否かは、文理に照らし、行為の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して判断するのが相当である。』と、所得を判断するための基準を示した上で、上記4.赤字で示したA氏の行為が雑所得に該当すると判断しています。
 これに対して、基本通達の改正は最高裁で示された所得を判断するための基準を引用するのではなくA氏個人の購入方法を引用しており、あたかもA氏と同じ購入方法でないと雑所得には該当しないような書き方となっています。

6.最高裁大谷剛彦裁判官の意見
 最高裁の判決文の最後に大谷剛彦裁判官の意見が記されています。要約すると以下のような内容となっています。
 ① 外れ馬券の購入代金を必要経費として控除できるとした原判決には法令違反
 ② 本件の外れ馬券の購入代金を所得税法37条1項前段の「直接に要した費用」として必要経費に当たるとしたのは法令解釈の誤り
 ③ 本件事案の特殊性に鑑み、また、巨額に累積した雑税額を被告人に負担させることの当否には検討の余地がある
 ④ 現判決が負担額の縮小を図ったとも理解できるところであるから、原判決を破棄しなければ著しく正義にまで反するといえないと考えられる
 ⑤ 本件を機に、本件に類する活動も考えられることから、課税の公平、安全性の観点から、課税対象を明確にして妥当な税率を課すなどの特例措置を設けることも必要であると指摘しておきたい
 つまり、最高裁においても本来は外れ馬券を必要経費に含めることは法令違反であると考えていること。しかし、被告であるA氏に巨額の税負担をさせることは酷であり、必要経費と認めることで税負担を縮小させることが著しく正義に反するといえないから、今回は一審、二審を支持したこと。そして、今後に備え、課税対象を明確にして妥当な税率を課すなどの特例措置を設けることを指摘したいこと。
 

 最高裁での判決文を最後まで読まなければ、最高裁の必要経費に対する考え方、判決の趣旨が理解できなかったと思います。ただし、今回はA氏に対して特殊性を鑑みて温情的な判決がなされたとしても、指摘された特例措置を設けなければ、A氏・B氏と同様の事例が今後も出てくるでしょう。そして、明確な基準がないまま東京地裁の判決のように馬券の購入方法だけで判断されるのでは、判決に対する不公平感しか残らないのではないでしょうか。

          参考資料  朝日新聞DIGITAL 2015年2月18日20時17分
                日本経済新聞 2015年5月15日2時3分
                最高裁判決本文:
                  平成26年(あ)第948号所得税法違反被告事件
                  平成27年3月10日 第三小法廷判決
                 所得税法基本通達 34-1




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外国人労働者の扶養親族問題

外国人の海外扶養親族控除が厳格化される

 12月に入り、そろそろ年末調整の準備を行う企業も増えてきている事と思います。
最近では外国人労働者を雇用している企業も増えてきました。そこで、年末調整を行う上で悩んでしまうのがこの外国人労働者の扶養親族控除問題です。今回はこの扶養親族問題について考えてみたいと思います。
2014年11月7日、会計検査院が公表した平成25年度決算検査報告書によると、全国524税務署のうち124税務署の記録を基に、所得税申告で扶養控除額が年間300万円以上と多額だった人の扶養親族全員の居住地区を調べた結果、判明した1426人分について公表した。
その内容としては、全体の9割(1296人)が海外で扶養している親族も扶養控除の対象としていたという。国外扶養親族は12,786人。内訳ではフィリピン8342人、ブラジル1330人中国821人その他地域2293人であった。この内控除対象の扶養親族が11人以上いた人は約34%、21人以上いた人は2.5%。最大の扶養親族は40人であった。さらに上記1296人のうち7割近くの892人は所得金額を上回る控除を受け、納税額が無かったことが判明した。
この会計検査院の指摘を受けて、財務省は平成27年度税制改正において、「日本国外に居住する親族に係る扶養控除を見直す方針をたてた
ちなみに、所得税法で規定されている扶養控除の対象となる扶養親族とは、
居住者の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)等で、
② その居住者と生計を一にする者のうち、合計所得金額が38万円以下かつその年の12月31日時点で16歳以上の者に限定されている。控除対象額は扶養親族1人につき38万円であるが、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の場合は63万円。老人扶養親族(70歳以上)の場合は48万円である。なお、15歳以下の者に対する扶養控除の適用は、平成22年度税制改正により廃止されている。これは、児童手当(子ども手当)を別途支給している為に廃止されているからである。

外国人扶養親族で問題になるのは、まず①の6親等内の血族及び3親等内の姻族である。叔父叔母や甥姪までも対象範囲になること。また②の生計を一にする者とは、必ずしも同居を要件とするものではない。例えば、勤務、修学、療養費等の都合上別居している場合であっても、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われる。
 ①と②については、本人からの申請だけでは難しい。
今後具体的な内容が発表されることと思うが、一般的には
 1.親族であることを確認できる書類として、本国での住民票等の提出。
2.海外への送金の事実が確認できる書類として、金融機関等の送金書や通帳からの記録明細などの提出が義務化されるであろう。

日本人の労働者人口の高齢化や人口減少を考えると、外国人労働者の雇用は今後ますます増えてくるだろう。すでに介護や医療の現場では雇用が不足している。
本国に家族を残し単身で働きに来ている外国人も多い。税制も今後も増えてくるだろう、外国人労働者の税の問題に対してその体制を早期に築きあげる必要性が出てきた。
                                 

                参考:納税通信NO3349号 NP通信社発行
             

| 所得税・所得控除及び税額控除 | 09:18 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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政治家と金そして税

 政治家と金そして税
政治家と金にまつわる問題は昔から出ていましたが、今回前経済産業大臣小渕優子議員の政治資金団体の不透明な収支報告問題が世間を騒がせています。自分で通常見ていればわかるような問題点を、全て他人に任せてきたことが原因のようです。他人に全て丸投げする政治家特有のわきの甘さが露呈してしまいました。
 今回は2014年10月13日付け、雑誌T&Amaster NO566号に次のような見出しが載っていたので紹介します。
「課税当局、政治家事案の管理・申告審理を充実へ」
まさに、この時期にタイムリーな記事が出ていました。
これによると、課税当局は政治家事案の管理・申告審理を充実する方針を確認していることが判明したとのことです。政治家の所得は、一般の納税者と違いその所得の発生の補足が難しいとされています。
その理由としては、
1 政治活動が広範囲に及ぶことが多い。
2 内容はともかく、政治資金の収支報告書を提出していること。
3 文書通信交通費滞在費等の非課税収入があること。
以上のようなことがあげられます。
今回、国税当局では、政治家事案の管理・申告審理を充実させるため、雑所得課税を視野に入れた資料収集を行う方針を確認しているそうです。
具体的には、政治家に関する風評や部外情報等の情報の入手に注力し、その結果課税上問題があると認められる政治家については、常日頃から調査を前提とした意識的な資料情報の収集を行おうとしています。更に、政治家事案としての管理対象者の範囲、調査技法、調査手法についても、具体的な事例による検討も行っているもようです。
 政治家個人が資金の提供を受けた場合、その所得は何に該当するでしょか?
所得税法では所得を10種類に分類しています。
① 利子所得 ②配当所得 ③不動産所得 ④事業所得 ⑤給与所得 ⑥退職所得 
⑦山林所得 ⑧譲渡所得 ⑨一時所得 ⑩雑所得 です。
「租税法・第17版」金子宏著 の著書の中で、政治献金収入や情報提供し利益を得させた見返りとして受け取った金員雑所得になると説明しています。
所得税法35条では、雑所得の意義として、「雑所得とは、利子所得ないし一時所得のいずれにも該当しない所得のことであり、公的年等とその他の雑所得からなる。」としています。
したがって、政治家個人が資金の提供を受けた場合や、ヤミ献金、仲介・斡旋・口利きなどの対価として受け取る謝礼についても、それが政治資金として提供されたか否かにかかわらず、その他の雑所得に該当され収入とされます。もちろんこの収入から、この収入に要した経費を支出していれば引くことは出来ます。
政治家と金にまつわる事件としては、古くは元総理大臣自民党田中角栄のロッキード事件による逮捕から始まり、元民主党幹事長小沢一郎議員の政治資金団体である陸山会事件。更に、元総理大臣民主党鳩山由紀夫議員の母親からの贈与税の脱税事件など、複雑多岐にわたります。また国会議員だけでなく地方議員までその範囲を広げていったらきりがありません。
今年も、12月半ば過ぎには、2015年度の改正税制大綱が発表される予定です。現在自民党及び公明党の税制調査会が中心となり大綱作成にむけて本格的な作業をしています。
特に来年度は、4月に全国統一地方選挙が行われ、10月には消費税率アップの問題が控えています。さらには、同じく10月1日より全国民への個人番号付番の通知が始まります。いわゆるマイナンバー法です。2015年度はこのように重要な年になります。
国政に携わる政治家は国に対する政策提言を行い実行することを求められています。これを忘れた政治家がまだまだいると思われます。
政治家と金との関係を断ち切らない限り、まだまだこのような事件は続いていくでしょう。 
                                                        

                参照:T&AmasterNO566 2014.10.13日号
                    「租税法・第17版」金子宏著

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第2弾「特定支出控除の活用」

第2弾「特定支出控除の活用」

2013(平成25年)年2月28日のブログで、2013年度より改正になった「特定支出控除」制度の説明とその制度の活用を皆さんにお伝え致しました。ご存知でしょうか?もしその内容をご覧になっていらっしゃらない方は、2013年2月28日掲載のブログを見てください。
今回、2014年9月1日付の日本経済新聞朝刊3面で、国税庁が発表した2013年(平成25年)度確定申告による、この「特定支出控除」制度を利用した人が2012年度の6人から1600人に増えたとの報道がありました。
私のブログを見たわけではないでしょうが、毎年数名しか利用されていなかったこの制度がいっきに260倍に増えたことは、税に携わっているものとしてはなんともうれしい限りです。
この増加の要因を考えますと、まず2013年度分からこの制度の適用範囲を広げ、書籍や新聞、スーツの購入代、資格取得費、交際費も必要経費として認められるようになったからでしょう。もちろん業務上の必要経費に限られますが、従来から比べると、かなり使い勝手の良い制度になってきたのではないでしょうか

ここで再度この制度のおさらいをしておきましょう。

1特定支出控除の算出方法
給与等の収入金額 改正前(平成24年まで) 改正後(平成25年度以降)

給与1500万円以下
特定支出の合計額が給与所得控除額を超える場合、その超える部分の金額を給与収入から控除できる。 特定支出の合計額が給与所得控除額の1/2相当額を超える場合、その超える部分の金額を給与収入から控除できる。

給与1500万円超
 同     上 特定支出の合計額が125万円を超える場合、その超える部分の金額を収入金額から控除できる。

2適用範囲
改正前(平成24年まで) 改正後(平成25年度以降)
1 通勤費 通勤費
2 転居費 転居費
3 研修費 研修費

4 資格取得費 資格取得費 改正後の追加事項として、
弁護士・会計士・税理士・司法書士等の資格取得費も対象になる。
5 帰宅旅費 帰宅旅費


  無
勤務必要経費
(上限65万円まで) 図書費
衣服費
交際費等

3実際に事例で計算してみましょう。
 (前提条件) 1 給与収入 600万円
        2 給与所得控除174万(600万×20%+54万)
        3 特定支出金額 190万円
        4 扶養 無 基礎控除のみ38万円
        5 税額は平成26年3月31日現在の税率を採用

改正前(平成24年まで) 改正後(平成25年度以降)
特定支出控除
計算式
特定支出190万-給与所得控除174万=16万 特定支出控除
計算式
190万-(174万×1/2)=103万
103万円が認められる。
給与所得の計算
600万-(174万+16万)=410万-基礎控除38万=372万
所得税額3,720,000×20%-427,500
=316,500
復興特別所得税316,500×2.1%=6,600 給与所得の計算
600万-(174万+103万)=323万
323万-38万=285万
所得税2,850,000×10%-97,500
=187,500
復興特別所得税187,500×2.1%=3,900

今後もこの「特定支出控除」を利用する人は更に増えてくるでしょう。
そして、もっと税に関心を持って頂き、賢い節税をしてもらいたいものです。


    参考資料   国税庁:給与所得者の特定支出控除について
             松戸市HP:給与取得者の特定支出控除
             日本経済新聞2014年9月1日 朝刊3面

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