税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業44年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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知って得する租税条約の基礎知識について

 知って得する‘租税条約の基礎知識’について!

(1)国際税務知識の普及度について
 国際税務の領域である租税条約や外国税額控除、タックス・ヘイブン対策税制、移転価格税制、富裕層の税務についてなど様々なものがある。
 実際、‘国際化’といわれていても、国際税務に関する関心度は低いように思う。実務にどれだけ関係するか、であるが、今後は、知識の普及のためにいろいろな方法で行うことが必要だと考える。
 税金の専門家の多くは国内法に精通していても、国際税務の異分野である租税条約には理解が不十分な人が多いと思う。

(2)最低限抑えるべき租税条約とは

 ①なぜ租税条約は必要なのか
 租税条約は、日本と外国との間における租税の取り決めであって、国会で立法される法律ではなく国家間で締結される条約なのである。
 その目的は、国際的二重課税の排除と脱税の防止である。
 個人居住者あるいは内国法人の場合を考えてみる。これらの日本の居住者が、外国企業などに貸付を行い、利子所得を得たとする。この利子所得についてはその源泉となった国(源泉地国)におけるその国の国内法の源泉徴収税率による課税が行われる。租税条約が締結されていると、租税条約が利子所得に対する限度税率を0%あるいは10%と定めている場合、この限度税率が実際に適用になる。これ以外にも‘配当所得’や‘使用料所得’などには租税条約による課税の減免がある。
 また租税条約は国内法に優先されるため、投資先の国の国内法が税率を引き上げられたとしてもその影響はなく、租税条約に定められた税率の適用となる。結果、租税条約により、投資先の国における課税の減免と法的安全性の双方が得られる。
 
 ②租税条約の条文は税法六法には記載がない。
 条文に関して唯一手に入れられるのは、‘租税条約関係法規集’(清文社)である。国別解説書としては、‘コンパクト解説・日本とアジア・大洋州・米州・旧ソ連諸国との租税条約’や‘コンパクト解説・日本とヨーロッパ・中東・アフリカ諸国との租税条約’(財経詳報社)があげられる。

③日本が締結している租税条約の現状
 2015年末現在で、一般に租税条約といわれるものは66、相続税・贈与税租税条約が1、情報交換協定が10、税務執行共助条約締結国が16ある。特にアジア諸国とは、14の租税条約を締結し、情報交換協定(マカオ)、さらに2015年末に署名された‘日本・台湾民間租税取り決め’があり、この日台民間取り決めにより、2016年度の税制改正により国内法が改正された。
 
(3)恒久的施設(PE)という用語について
 非居住者および外国法人に対する課税では、‘国内源泉所得’だけが課税対象とされ、同じ‘国内源泉所得’であっても、その支払を受ける非居住者が日本国内に‘恒久的施設’を有しているか、さらに‘恒久的施設’を有する場合には、どの‘恒久的施設’の区分かによって、課税関係が異なってくる。
 ‘恒久的施設’を有する非居住者は、総合課税とされるが、‘恒久的施設’を持たない非居住者の場合には、課税しないこととなっている。

(4)PEなければ課税なし、という格言
 租税条約が締結されていることを前提にして、非居住者が、国内において事業所得を得ている場合、支店等の恒久的施設(PE)がないところの非居住者に対する課税はできないことになる。これを‘PEなければ課税なし’という。しかしこれは事業所得に対しるもので、投資所得を得ている場合は、源泉徴収による課税となるから、‘PEなくても課税あり’ということになる。

(5)忘れてはいけない手続きとは
 租税条約により課税の減免を受ける場合、その課税減免との届出をする書類の提出が必要となる(租税条約関する届出書)。この手続を忘れると、外国では課税の減免が認められない場合も生じるし、日本においても、書類の有効期限等に注意を払わないと、書類の有効期限が切れているという事態も生じるのである。
 手続規定は要注意である!




(参考:税理士新聞 第1532号、租税条約関係法規集、図解国際税務)
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| 財政・税務 | 17:51 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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消費税で変わるクルマ税制

消費税延期で変わる‘クルマ税制’の制度! 

 今回は消費税増税延期に伴う関税である自動車税の改定について述べてみる。
 平成28年度税制改正大綱では、自動車に関する税制の見直し項目として、‘自動車取得税については、延期になった消費税10%への引き上げ時の平成29年4月1日に廃止する’という内容が盛り込まれ、自動車にかかる税金のなかでも取得税は購入時にかかるもので、自家用車なら「車の取得価額×3%」、営業車や軽自動車なら「取得価額×2%」の税金が課せられている。
 政府はこの取得税を消費税の増税と同時に廃止し、新しく代わるものとして、車の取得時に燃費性能に応じて課税する‘環境性能割’の導入を決定していた。しかし増税の延期により、取得税の廃止と新税の導入は先延ばしになった。
 新たな環境性能割は、燃費性能に応じて税額が減免されるもので、すべての車種で現行の取得税より税負担が軽くなるわけではないのです。しかし現在主流となっているハイブリッドカーなどではおおよそ税負担減となることから、消費増税後確実にやってくる、であろう消費落ち込みへの‘対策’としての効果が期待されています。減免だけを先に実施してしまっては、反動減対策としての意味が薄れてしまう。取得税の廃止、新税の導入とともに、消費増税に合わせて2年半延期されることになった。
 取得税廃止等の‘延期’は、今回が初めてではない。自動車業界からの‘取得税は消費税との二重課税あり即座になくすべき’との長年の要望を受け、同税の見直しが税制改正大綱に盛り込まれたのは平成24年度のことである。その後平成27年10月の消費増税と同時に廃止することが決まったが、景気の低迷を懸念した政府によって増税は延期され、同税は当面存続されることになった。そして今回の再延期を受け、自動車業界の長年の宿願はまたもや先送りされることに。
 毎年のように見直しが行われる自動車関連税制ですが、近年の改正は‘エコ化促進’の流れに沿ったものだといえます。自動車税や軽自動車税では平成27年4月にエコカー減税の適用要件が改められ、燃費性能、排出するガスの量がともにより厳しい基準に引き上げられました。取得税の廃止と同時に導入される予定の‘環境性能割’でも新基準に従って税率を6区分することが決まっています。
 しかしこの性能基準に対しては、緩和を求める声もある。その背景にあるのは、最近世界的に相次ぐ大手自動車メーカーの不正の発覚である。
 ドイツのフォルクスワーゲン社は、平成27年上半期に販売台数でトヨタを抜いて世界一の自動車メーカーになったが、同年9月に特殊なソフトウェアを使って排ガス量を低く見せかけていたことが発覚した。該当車両は世界中でなんと1100万台にものぼり、同社の今年1~3月期の利益は前年同期比86%減まで落ち込んだ。
 今年4月には国内大手の三菱自動車の製品‘eKワゴン’と日産自動車に供給した‘デイズ’、‘eKスペース’と‘デイズクルーズ’の計4車種で燃費性能を偽装していたのは記憶に新しい。これらの該当車両は62万5000台になるという。ユーザーへの補償を待たずに、同社は日産自動車の傘下に入った。
 さらに5月には米GMでも、3車種で燃費性能を実際よりも優れた数値で表示していたことも分かった。意図的ではない誤表記と同社は説明しているものの、ユーザーに対する補償額は120億円に上るとみられている。
 これらの問題から、年々厳しくなる環境性能基準についていけず、技術開発競争から脱落するメーカーが出ているということ。本来ならばメーカーの技術の進歩に合わせて基準が引き上げられるべきところが、目標ばかりが先に立ち、技術が追いついていないのが現状といえる。だからといって不正を行い、ユーザーを騙すのは論外である。
 一部のメーカーしか達成できない基準にのみ税優遇を与えるというのなら、国による一部の企業への肩入れといえる。基準緩和を求める声を受けて、昨年4月に刷新されたばかりの‘環境性能基準’が見直される可能性は否定できないでしょう。
消費増税の延期は様々な税目に影響を与えている。この自動車関連税制も例外ではない。ますます複雑な税制が今後一層難解になっていくことでしょう。


(参考:納税通信 第3425号、平成28年度税制改正大綱)


 

| 財政・税務 | 19:57 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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任意売却と差押解除

今回は、任意売却と差押解除について述べてみる。

(1)浜松市差押解除懈怠事件 
 ①平成26年9月8日の静岡地裁浜松支部における判決
  (事案)
 国民健康保険料を滞納していたAさん(原告はAの相続人X)の不動産を差し押さえていた浜松市(Y)に、当該不動産の任意売却を行うためにXが差押えの解除をYに求めたが、拒否されたため、任意売却より低額な競売手続きで当該不動産が売却され損害を受けたとして国家賠償を求めたものである。
 静岡地裁浜松支部はXの申し出を認め110万円の損害賠償金の支払いをYに命じた。通常公売や競売の売却価格は市場価格の2割落ちであり、その損害は大きい。

  ②無益な差押え
 この事案ではなぜ国家賠償が認められたのであろうか。国税徴収法は79条第1項において‘差押えを解除しなければならない’事由を定めている。
 1つは納付や充当、課税の取り消し等で国税の全額が消滅したときである
 2つめは無益な差押えである。本件の場合、任意売却価格が678万円で、優先債権の元金が1928万円余りあり、明らかに租税債権の徴収は不可能であった。しかも同79条第1項第2号は、その文言からして効果裁量を認めたものとして解せない。客観的に差押解除義務が生じていた以上は、執行庁納税者の求めに応じて差押えの解除をしなければならないことになっている。
 徴収職員は差押え解除義務があるにもかかわらず、職務上通常尽くすべき注意義務を怠り、認定判断を漫然とおこなった結果として差押え解除義務を怠ったということが問題となる。

  ③税理士が注意すべき点
 最近の租税徴収義務において、執行庁がおこなっているのは売掛金等の入金を考慮して預金の差押えが行われている。現に国税徴収法基本通達47-17は差し押さえる財産の選択は裁量によるとしているにもかかわらず、滞納者の申し出の財産を差し押さえるよう指示しているのです。
 さらに滞納者の生活の維持または事業の継続に与える支障のない少ない財産であることも指示している。しかし、現実はこの通達は守られていない。上記の事案で問題となった、無益な差押えは国税徴収法48条2項により行うことはできない。しかし実務上は、時効の中断を目的とした差押えや、金融機関や納税者の債権者への波及効果を狙って行われている行為の報告もある。
 現に普通預金が0円になっていて、資金繰りに困った事例を見ている。社長が銀行に出向き確認したら差押えで預金が0円になっていた事例である。
 徴税職員は、差押え予告は再三してきたといっていたそうだが、社長はまったくその連絡は受けていないそうだ。
 もっと改正された審査請求手続きを考慮して、厳重に抗議する等納税者の権利を守っていくべきだと思う。
 上記の事案にしても優先部分の租税を納付する旨の申し出を行っても全額納付がなければ解除しない等の税務官署の一方的な対応を問題視して、適切な税務運営を行うように提言及び意思発信する必要があると考える。

(参考)国税徴収法 第79条
(差押えの解除の要件)
第七十九条  徴収職員は、次の各号のいずれかに該当するときは、差押えを解除しなければならない。
一 納付、充当、更正の取消その他の理由により差押えに係る国税の全額が消滅したとき。
二 差押財産の価額がその差押えに係る滞納処分費及び差押えに係る国税に先立つ他の国税、地方税その他の債権の合計額を超える見込みがなくなったとき。
2 徴収職員は、次の各号のいずれかに該当するときは、差押財産の全部又は一部について、その差押えを解除することができる。
一 差押えに係る国税の一部の納付、充当、更正の一部の取消、差押財産の値上りその他の理由により、その価額が差押えに係る国税及びこれに先立つ他の国税、地方税その他の債権の合計額を著しく超過すると認められるに至つたとき。
二 滞納者が他に差し押さえることができる適当な財産を提供した場合において、その財産を差し押さえたとき。
三 差押財産について、三回公売に付しても入札又は競り売りに係る買受けの申込み(以下「入札等」という。)がなかつた場合において、その差押財産の形状、用途、法令による利用の規制その他の事情を考慮して、更に公売に付しても買受人がないと認められ、かつ、随意契約による売却の見込みがないと認められるとき。

(参考・引用:税理士新聞 第1522号、国税徴収法、国税徴収法基本通達)

| 財政・税務 | 09:40 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「平成26年度会社標本調査」発表

 国税庁「平成26年度会社標本調査」結果を公表          

2016年3月29日付けで、2016年(平成28年度)国の予算が成立したことは皆さんご存知だと思います。そして、国の会計年度は財政法第11条において4月1日から3月31日までの期間と法律で決められています。更に日本の年号は西暦ではなく和暦(明治・大正・昭和・平成など)で表示することが元号法によって決められているのを知っている方は少ないと思います。元号法により役所の正式書類は全て和暦にて表示することが決められています。しかし民間では分かり易い西暦表示が増えている事も事実です。
さて今回は、我が国の税収の一端を担う法人企業の実態調査の話です。
毎年国税庁は「会社標本調査」結果を公表しています。今年、平成26年度版は2016年3月25日付けの国税庁ホームページにおいて公表しています。
この調査は我が国の法人企業について、資本金階級別や業種別にその実態を明らかにし、併せて租税収入の見積もり、税制改正及び税務行政の運営等の基礎資料とすることを目的として実施されているもので、昭和26年から続いている統計資料です。

まず調査対象法人ですが、日本国内で2014年4月1日から2015年3月31日までに終了した普通法人2,616,485社(休業清算法人・NPO法人・一般社団・財団法人を除く)を対象に標本調査という手法で調査対象法人(母集団)から資本金階級別・業種別等に一定の方法で標本法人を抽出し、その標本法人基礎データを基に、母集団全体の計数を推計したものです。

1.それではまず税務統計から見た法人企業の実態ですが、申告法人2,616,485社のうち資本金階級別の構成比では、資本金1000万円以下の階級が2,235,844社で全体の85.4%を占めています。次いで資本金1000万超1億円以下が3576,743社(14.6%)で法人数全体の99%を資本金1億円以下の法人が占めています。
また、業種別法人数の構成比をみると、サービス業(26.9%)・建設業(15.9%)・小売業(12.8%)の占める割合が大きい。
 組織別法人数の構成比では株式会社が全体の94.7%を占め、以下合名会社(0.2%)合資会社(0.7%)合同会社(1.5%)と続いています。

2.欠損法人66.4%と前年度より1.8%減少
 図1を見ていただきたい。利益が出ている法人数は876,402社、これに対して欠損法人は1,729,372社で全体での割合が66.4%となっており前年比1.8%減少しており、
まだまだ欠損法人が多いことには変わりません。
世界的な経済低迷と最近の円高傾向に伴う輸出企業の伸び悩みなどを考えると、今後も欠損法人が少なくなるとは思えません。

図1【利益計上法人数と欠損法人数】


3 その他調査結果から見た主要点

交際費等の支出額は3 兆2,505億円で、このうち税法上損金に算入されない金額は 8,919億円であり、支出額に占める割合( 以下「損金不算入割合」という。)は 27.4% です。
1. 法人税額は10兆2,098億円になっている。また、所得税額控除は2兆9,125億円、外国税額控除は7,113億円になっている。
2. 繰越欠損金の当期控除額は9兆4,175億円で、翌期繰越額は63兆9,698億円となっている。

 この税務統計調査は申告法人の実態を明らかにするだけでなく、今後の租税収入の見積もりや、税制改正及び税務行政の運営等の基礎資料としての目的を備え持つ重要な統計資料と言ってもいいでしょう。
我々もこの統計資料から、日本の企業の現状と今後の展開を注意深く見ていく必要があると思います。

参考資料:国税庁HP「平成26年度会社標本調査」より

| 財政・税務 | 09:28 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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国税徴収法とは何か

「国税徴収法」とは何か

税務当局の精鋭部隊が、日本年金機構の委任を受けて行う年金保険料滞納者への強制徴収制度が拡充される見通しとの報道があった。
具体的には、日本年金機構が国税当局に徴収代理を依頼できる要件が緩和され、2015年10月1日から施行されるというものだ。
徴収代理制度とは、徴収ノウハウや組織力を持つ国税庁に対し、日本年金機構が徴収権を委任するもので、年金滞納者の増加に歯止めを掛ける一策として2010年(平成22年)に開始されている制度である。
ところで国民年金の加入者数は1800万人で、4ヶ月以上保険料を滞納している人は約620万人いるという。約35%の未納者を減らすためには、やはり他の機関の協力が無ければ無理なのだろう。
前置きが長くなったが、今回はこの未納保険料や未納税金等の徴収の拠り所となっている法律である「国税徴収法」に関して取り上げたい。国税徴収法は、一般にあまりなじみの無いように感じられるが、徴収の現場では、税金の取り立ての際には必ず使われる法律である。
国税徴収法とは、国税の徴収に関する手続きを定めた法律であるが、単に国税の徴収についてだけ適用されるものでなく、広く地方税の徴収の他、社会保険料などの公課の徴収についても準用されるもので、租税(国税・地方税などの税金)と公課(各種社会保険の保険料・負担金・会費・罰金等)の徴収に関する強制力のある法律なのである。
具体的には他の私債権よりも優先されること。(国税徴収法8条)
更に、徴収職員は徴収現場において自力執行権が付与されており、その場で差押が出来る権限を持っている。これは一般の債権者が裁判所を通して債権の取り立てを行うのとは、明らかに時間もスピードも違う強力な権限である。なお、この徴収職員とは国税徴収法第2条11項でいうところの「税務署長その他国税の徴収に関する事務に従事する職員」を指すのであって、一般の税務職員は取扱う事はできない。従って身分証明書の提示をし、本人確認をすることが必要となろう。
なお、国税徴収法と労働債権との優先順位であるが、国税徴収法上には優先規定はない。あくまでも租税(国税等)が優先であるとの規定だけである。
これに対し、民法上、労働債権は先取特権として、他の債権者より優先して弁済を受ける規定はある。(民法308条)
しかし、会社が倒産した場合、労働者が未払い賃金等の労働債権を受けようとしても国税徴収法では租税債権が優先されてしまうので注意が必要だ。
さらに、徴収職員は滞納処分のため、必要があるときは滞納者の物又は住居その他の場所に行き捜索することもできる。(徴収法142条)そして、その場で差押もできるのである。
これだけ強制力のある法律に滞納者はどのように対応して行ったらよいのだろう。
まず、滞納処分のための調査・捜索を受ける前に事前に滞納者に対しては文書等で照会が来るはずである。それを放っておくことが問題であろう。まず文書をもって納税相談に行くことが問題を大きくしない方法だろう。
さらにこれは、債権(国等)と債務(滞納者)との滞納処分の問題なのである。この時点で租税に対して不服を言ってもほぼ無理である。租税が確定してしまっているからである。
そうではなく、税額が確定される前の、課税処分の段階で不服があれば申立てをし、自らの主張をすべきであろう。
この不服申立の権利を放棄し滞納処分が決定してから行動を起こしても遅いのである。

2015年9月3日、社会保障と税の共通番号(マイナンバー)の利用範囲を広げる改正マイナンバー法が衆院本会議で可決、成立した。今後は国税・地方税・社会保険税等の金額が個人番号に紐がついて把握されることになる。さらに2018年(平成30年)には金融機関の預金通帳番号までマイナンバーを広げようとしている。これにより滞納税額も一人ひとりわかることになり。滞納者の預金口座はすぐに差押の対象にもなりかねない。

以上見てきたとおり、国税徴収法はかなり強制力の強い法律である。従ってこの法律を現場で運用している徴収職員には過度な乱用は慎んでほしい。そして、この法律をもう少し世間に知ってもらう事も必要なのかもしれない。


                  参照資料  日本経済新聞2015年8月27日
                       NP通信社「納税通信」第3386号 

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