税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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最近の貸倒損失事例 (その2)

前回11月29日の記事で掲載した最近の貸倒損失事例について、引き続き見ていきたい。今回は、事実上の貸倒れのケースと、形式上の貸倒れのケースである。

事例3 保証人がいる場合の貸倒れ

このケースは、A社が得意先Bに対する売掛債権の回収を図るため、Bと分割返済の契約を締結し、その際、Bの兄Cを保証人とした。
 しかし、Bが自己破産してその資産状況、支払能力等からみてその全額が回収不能となったため、保証人Cからの回収可能性を検討したところ、Cは生活保護と同程度の収入しかない上、その有する資産も生活に欠くことができない程度、すなわち差押禁止財産程度しかないため、保証人Cからの回収も見込めないことが判明した。
 そこで、A社は、Cに対して保証債務の履行を求めることなく、当期においてこの売掛債権について貸倒れとして損金経理しようとしものである。

今回の場合は、事実上の貸倒れに該当する。

法人税基本通達9-6-2では、法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができることとされている。
 今回のケースの場合、保証人がいても、保証人からも回収できないときに貸倒処理ができるとしている。
もちろん、保証人Cは生活保護と同程度の収入しかない上、その資産からも回収することができないと見込まれので、実質的に保証人Cからは回収できないものと考えられる。
 したがって、仮に生活保護の収入であったとしても、回収できるような資産があれば、保証人から回収ができないとは言えないとも言えよう。

事例4  通信販売により生じた売掛債権の貸倒れ

 このケースは、A社が一般消費者を対象に衣料品の通信販売を行っており、決済方法として、代金引換え、クレジットカ-ド払い、商品引渡し後の銀行振込み(後払い)の3形態を取っている。このうち後払いの方法による場合において、期日までに振込みがないときには、その支払期日から30日後、60日後、90日後にそれぞれ電話等での督促を行うほか、必要な回収努力を行っているが、売上金額の1%程度が回収できない状況となっている。
 また、A社では、一度でも注文があった顧客については、継続・反復して販売することを期待して、その顧客情報をデ-タで管理しているが、その取引の状況を見てみると、同一の顧客に対して継続して販売している場合もあるが、1回限りの場合も多くある。
 この場合、A社は、結果的に一回限りの販売しかしていない顧客を、貸倒損失として損金処理できるかどうかとと言う事案である。

今回の場合は、形式上の貸倒れに該当する。

1 法人税基本通達9-6-3(1)において、商品の販売、役務の提供等の営業活動によって発生した売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権(売掛債権)については、他の一般の貸付金その他の金銭消費貸借契約に基づく債権とは異なり、履行が遅滞したからといって直ちに債権確保のための手続をとることが事実上困難である等の事情から、取引を停止した後1年以上を経過した場合には、法人が売掛債権について備忘価額を付し、その残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、これを認めることとされている。
 なお、この場合の「取引の停止」とは、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合をいうので、例えば、不動産取引のように同一人に対し通常継続して行うことのない取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権が1年以上回収できなくても、この取扱いの適用はないことになる。

2 A社の衣料品の通信販売は、一般消費者を対象に行われるもので、同一の顧客に対して継続して販売している場合もあるものの、1回限りの場合も多いとのことである。したがって、通常継続して行われることのない取引であり、上記1の取扱いの適用はないものとも考えられる。しかしながら、衣料品の通信販売を営むA社のように、一度でも注文があった顧客について、継続・反復して販売することを期待してその顧客情報を管理している場合には、結果として実際の取引が1回限りであったとしても、A社の顧客を「継続的な取引を行っていた債務者」として、その1回の取引が行われた日から1年以上経過したときに上記1の取扱いを適用することができるとしている。               
経過期間要件や損金経理要件を満たせば貸倒損失が認められ事を明らかにした事例である。

最後に、最近特に問い合わせが多いのが、「災害救助法の規定を受ける地域の得意先に対する売掛金の免除」についてである。
そこで、災害の場合の取引先に対する売掛債権の免除等について述べておきたい。
法人税基本通達9-4-6の2によれば、法人が、災害を受けた得意先等の取引先(以下9-4-6の3までにおいて「取引先」という。)に対してその復旧を支援することを目的として災害発生後相当の期間(災害を受けた取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間をいう。以下9-4-6の3において同じ。)内に売掛金、未収請負金、貸付金その他これらに準ずる債権の全部又は一部を免除した場合には、その免除したことによる損失の額は、寄附金の額に該当しないものとする。
 既に契約で定められたリース料、貸付利息、割賦販売に係る賦払金等で災害発生後に授受するものの全部又は一部の免除を行うなど契約で定められた従前の取引条件を変更する場合及び災害発生後に新たに行う取引につき従前の取引条件を変更する場合も、同様とする。

(注) 「得意先等の取引先」には、得意先、仕入先、下請工場、特約店、代理店等のほか、商社等を通じた取引であっても価格交渉等を直接行っている場合の商品納入先など、実質的な取引関係にあると認められる者が含まれる。
法人税法基本通達では上記の通り損失処理を認めている。ただし、注意しておきたいのは得意先との取引明細書等のエビデンス及売掛債権免除の内容証明書の控えの確保等、忘れずに残しておくことである。
以上2回に分けて最近の貸倒損失事例を見てきた。
今後も新しい事例が発表される事と思われるがその際はこのブログで順次説明していきたい。


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最近の貸倒損失事例 (1)

最近国税庁のホームページが充実してきている。換言すれば、一般の納税者を意識した内容の分かりやすいものに変わって来ていると言うことだろう。
税の専門家でもある我々も不明点を調べる場合に参考としている。特に質疑応答事例集は根拠条文の掲載もありよく参考にさせてもらっている。
ここに掲載している質疑応答事例集は、過去に納税者から寄せられた照会等につき、その照会事項及び回答を、ポイントが分かりやすいよう要旨のみを掲載したものであり、大変分かりやすい。
今回は2012年11月2日に新しく追加された法人税事例集の中から「貸倒損失」に関して見ていきたい。

法人の貸倒損失については法令上の規定が無く、法人税基本通達9-6-1から9-6-3に示された取扱が実務上の拠り所になっている。
今回、11月2日に更新された質疑応答集では、いわゆる
<法律上の貸倒れ>
(1)第三者に債務免除を行った場合。
<事実上の貸倒れ>
(2)担保物がある場合。
(3)保証人がいる場合。
<形式上の貸倒れ>
(4)通信販売により生じた売掛債権の貸倒れ      
の4つの事例集が追加されている。

今回は、そのうち(1)の「第三者に債務免除を行った場合」(2)「担保物がある場合」について見ていきたい。

事例1 「第三者に対して債務免除を行った場合の貸倒れ」
 このケースは、得意先であるB社に対して5千万円の貸付金を有しており、B社は3年ほど前から債務超過の状態となり、その業績及び資産状況等からみても、今後その貸付金の回収が見込まれない状態である。
 そこで、B社に対して有する貸付金5千万円について書面により債務免除を行うことを予定しているが、これを行った場合、B社に対する貸付金5千万円を貸倒れとして損金算入することは認められるかどうか。なお、A社とB社との間には資本関係や同族関係などの特別な関係はなく、第三者間取引である事案である。

この事例は法人税基本通達9-6-1(4)を題材とした事例である。
まず、法人税基本通達をみておきたい。
法人税基本通達9-6-1・・・・・・ 法人の有する金銭債権について次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額のうち次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。

(4) 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額。
と規定されている。                               ここで言う債務者の債務超過の状態だが、「相当期間継続」とは、債権者が債務者の経営状態をみて回収不能かどうかを判断するために必要な合理的期間を言うのであって、形式的に何年ということではなく、個別の事情に応じその期間は異なることになる。と説明している。
また、債務者に対する債務免除の事実は書面により明らかにされれば足りるとしているが、当事務所では確定日付の入った内容証明書郵便の利用と、下記表1の「貸倒債権調査書」を法人税申告書に添付させることによって処理をしている。

【参考】
貸倒
【クリックで拡大表示】

事例2 「担保物があっても回収不能な場合の貸倒れ」
このケースは、B社に貸付金1000万円を有し、更にB社所有不動産に抵当権を設定していたが順位が5番目であった事。そして、B社が倒産し貸付金の回収を検討したが不動産以外資産が無く、この不動産を処分しても資産価値もなく配当の見込みも無い状態の場合に、不動産の処分を待たずに貸倒れとして損金処理が認められるかという事例である。
いわゆる「事実上の貸倒れ」の取扱について法人税基本通達では、以下のように規定している。
法人税基本通達9-6-2・・・・・・・法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができる。この場合において、当該金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできないものとする。

つまり、回収不能の金銭債権について、担保物があるときは処分後でなければ貸倒損失が認められないとしている。そのため、この取扱を文字通りに解釈し、担保物を処分したとしても抵当権順位が低いため回収可能額がないことが明らかな場合でも貸倒損失を計上しないケースが多いようだ。

今回の事例では担保物に係る劣後抵当権が名目的なもので実質的に全く担保されていないことが明らかな場合、担保物がないものと取り扱って良い旨回答している。従って、担保物の処分前でも貸倒損失が計上出来ることになる。
次回では(3)保証人がいる場合の貸倒処理 と(4)通信販売により生じた売掛債権の貸倒 について検討していきたい。
                    



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| 貸倒損失・引当金 | 10:29 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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貸倒引当金に係る2011年(平成23年)度税制改正の概要

 平成23年度税制改正のうち法人税関係の改正がようや2011年(平成23年)12月に公布,施行された。今回の改正の中で実務に大きく影響を与える項目として,貸倒引当金制度の大きな見直しがなされている点が挙げられる。その見直しのポイントは,主として貸倒引当金の適用対象が(1)中小企業等(2)金融機関等に限定された点である。また,これに並行して,(3)売買があったものとされるリース資産の対価の額に係る金銭債権を有する法人((1),(2)を除く)について,そのリース資産の対価の額に係る金銭債権のみを対象として貸倒引当金の計上が認められることとなった。
(2貸倒引当金は、中小法人においては、廃止されていない。検討しなければ、ならない事項である。


1 適用対象の整理

平成23年度税制改正後の貸倒引当金の適用対象を整理すると下記のとおりとなる。

(1) 中小企業等(法法52①一)
① 普通法人のうち資本金1億円以下の会社一般にいう中小企業がこれに該当する。
② 公益法人等又は協同組合等信用金庫や信用組合がこれに該当する。
③ 人格のない社団等

(2) 金融機関等(法法52①二)
① 銀行法に規定する銀行いわゆるメガバンクや信託銀行,地方銀行がこれに該当する。
② 保険業法に規定する保険会社生命保険会社,損害保険会社がこれに該当する。
③ ①②に準ずる会社(法令96④)
証券金融会社,銀行・保険持株会社,サービサー等の民間機関の他日本政策投資銀行や企業再生支援機構等の政府系機関がこれに該当する。

(3) 売買があったものとされるリース資産の対価の額に係る金銭債権を有する法人(法法52①三,法令96⑤)
リース会社,証券会社,質屋,カード会社,信販会社,消費者金融等がこれに該当する。

 上記をみてわかるとおり,いわゆる中小企業と金融機関が貸倒引当金の適用対象となっている。中小企業に関しては,その規模から過度な税負担は経営に影響を与えかねないという配慮から適用対象とされたものと考えられる。また,金融機関については,貸倒引当金等のクレジットコストが大きなコストであり,貸倒引当金をすべて有税にしてしまうと経営に与えるインパクトが過大となることから,これに配慮する形で適用対象とされたものと考えられる。
 ただし,金融機関といっても上記(3)に定めるリース会社やカード会社等については,改正前の規定と異なり,引当の対象とされる債権は限定されている。リース会社であればリース資産の対価の額に係る金銭債権,質屋であれば質契約に係る金銭債権等,それぞれの事業に係る金銭債権のみが対象となることに留意が必要である。
したがって,例えばリース事業を行う事業者が別の事業を同時に行っているような場合には,そのリースに係る債権については貸倒引当金の対象とできるが,別事業に係る債権については貸倒引当金の設定対象とはできないこととなる。
以上をまとめると図表1のとおりとなる。表を見てわかるとおり,資本金1億円超の大法人に関しては,リース債権等の金銭債権を有しない限り,貸倒引当金の計上醗貸倒引当金改正のインパクトは一切認められないこととなる。改正前のクレジットコストに係る税金計算の考え方とは大きく異なるため注意が必要となる。
この点については後述する。

インパクト図1


2 適用時期及び経過措置

 貸倒引当金に関する改正は,平成24年4月1日以後開始する事業年度より適用されることとなる。これにより,上記1(1×2×3)に該当しない法人に関しては,貸倒引当金の計上が認められなくなるが,その影響を緩和するため,一定の経過措置が設けられている。
平成24年4月1日から平成27年3月31日の間に開始する事業年度を経過期間として,改正前の規定に基づき算定された貸倒引当金の繰入限度額を4分の1ずつ逓減することとされた。したがって,貸倒引当金の適用対象外となる法人の経過期間における貸倒引当金の損金算入限度額は、以下のとおりとなる。

インパクト図2

(引用元:中央経済社発行 税務弘報 5月号 VOL.60 著者 税理士 大村圭一)

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