税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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異例の課税取り消し・不服審裁決

説明不足で課税取り消し! 国税不服審判所裁決!  

朝日新聞に異例の課税取り消しの記事が載っていたので、紹介したいと思う。
「東京国税局が神奈川県の会社社長らに相続財産約8億円の申告漏れを指摘したことをめぐり、東京国税不服審判所が昨年11月、‘課税理由を説明しておらず、違法だ’として、約2億5千万円の追徴課税を取り消していたことが分かった。説明不足が原因で、課税が取り消されるのは極めて異例だ。」というもの。 

2013年1月1日の施行の改正国税通則法(2011.12.2改正)は、税務調査の明確化を目指し、所得隠しや申告漏れなど納税者に不利益な処分をする場合は、すべての納税者に課税理由を書面で説明するように義務付けている。
国税不服審判所(以下、「審判所」という。)の裁決は昨年11月18日付きで行われた。社長ら遺族3人は、2011年に亡くなった父親の土地や株式など約8億円の財産を相続した。一方で、父親は合資会社の債務を負う‘無限責任社員’で、その会社には約14億円の債務があったとして、相続税はかからないと税務署に申告した。
これに対し、国税局は父親が無限責任社員になったのは相続税の回避が目的で、約14億円の債務を請求される見込みもないと判断した。13年に約8億円の申告漏れを指摘し、約2億5千万円を追徴課税した。遺族は‘債務は存在した。課税の理由も説明されていない’として、国税不服審判所に課税の取り消しを求めた。
審判で、国税局は‘課税の理由は、金額と適用法令が提示されれば十分’と主張したが、審判所は、‘課税の理由が不明で、法律の要件を満たしていない違法な処分だ’として課税を取り消した。実際に債務があったかどうかについては判断しなかった。
審判所で課税が取り消された場合、通常は裁決の内容を覆す‘新たな情報’などがなければ、国税局側は改めて課税することはできない。しかし、国税局は今回のケースについて、‘課税の理由を明示しなかった形式的な誤りだ’として、裁決で説明不足と指摘された点を改め、課税し直すかどうかを検討しているとみられる。
これに対して、国税庁OBの酒井克彦中央大学商学部教授(租税法)の話では、‘課税理由の説明は、国税局側と納税者側の争点を明らかにする機能があり、国税局は理由を示さなければ課税してはいけない。今回の場合、課税の理由は何通りも考えられ、審判所の裁決は正しい判断だったと思う。2013年施行の法改正を受け、各国税局は課税理由を納税者に的確に示す研修をしているが、さらに徹底するべきだ。’と述べている。
改正通則法が施行後の今回の課税取り消しは確かに説明不足が理由で行われたのは異例だと思いますが、国税局側の一方的な判断で追徴課税が行われることは避けなければならないし、課税の根拠も‘金額と適用法令が提示されれば十分’とするのは納税者の権限を脅かすものであることは間違いないと思いますが。
最後に通則法の改正条文を載せておきます。

*通則法74条の11
(調査の終了の際の手続)《追加》平23法1142 国税に関する調査の結果、更正決定等をすべきと認める場合には、当該職員は、当該納税義務者に対し、その調査結果の内容(更正決定等をすべきと認めた額及びその理由を含む。)を説明するものとする。


(参考:2015.4.19朝日新聞記事、改正国税通則法)

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| 税務訴訟 | 13:41 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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裁決事例紹介

 今回は、T&Aマスターの2014.6.2号に掲載された未公開の裁決事例を紹介させていただきます。不動産売買を目的とする法人を介して滞納者の不動産を取得し、滞納者の預金が競落資金として使われたことが徴収法39条に基づいて第二次納税義務があるとして納付告知処分をしたが、それが取り消された事例です。

競落資金の移動により請求人預金の外形を作出!!
審判所、金銭の無償譲受けを認めず!

(1)基礎事実
 ①本件滞納者は、飲食店を目的として設立された法人。
 ②代表取締役は、設立時から現在まで請求人の長女Aの夫Bが務めている。
 ③H4.5.1から現在まで、Aが取締役を務めている。
 ④X社は、不動産の売買を目的として設立された法人。
 ⑤X社は、設立時からH23.11.15までの間は請求人が、同日から現在に至るまでAが代表取締役として登記されている。

 Bが所有していた土地及び同所所在の建物(以下、「本件不動産」という)は、B及びAの自宅であり、Bを債務者とする根抵当権が設定されていたところ、○○○に○○○において担保不動産競売開始決定がされた(以下、「本件競売事件」という)。
 X社は、○○○に、入札価額を×××円、入札保証金の額を×××円と記入した入札書を競売執行官へ提出した。X社は本件不動産を競落し、○○○に、担保不動産競売による売却を原因としてX社に所有権移転登記が経由された。
 本件滞納者に帰属するB名義の○○○の普通預金口座(以下、「本件滞納者口座」という)から○○○に×××円、同年8月20日に×××円が出金された(以下、これらの出金された金銭を本件金員1・2という)。
 請求人の普通預金口座(以下「本件請求人口座」という)に、本件金員1,同年8月23日に本件金員2が入金され、同口座から同月25日に×××円が出金された。
 なお、本件金員1・2が本件請求人口座に入金されてから、当該×××円が同口座から出金されるまでの間に本件請求人口座の出金はなかった。
 X社のS銀行普通預金口座へ、平成22年8月25日に、×××円が入金され、これにより同口座の預金残高が28,520,000円となっていたところ、S銀行、同口座から×××円が出金された。X社は、○○○に、○○○の預金口座へ、本件競売事件に係る競落残代金として、×××円を振り込んだ。
 本件金員1・2の請求人口座への振り込みが、本件滞納者による請求人への貸付けまたは債務の弁済としてされた事実はない。

(2)争点及び主張
 本事案の争点は、請求人は、本件滞納者から金銭を無償で譲り受けたか否か。

(3)審判所の判断
 ①認定事実
 請求人は、X社の設立時からH23.11.15までの間、唯一の取締役、また、唯一の代表取締役として登記されていたものの、X社は、請求人に役員報酬を一切支給していなかった。
 Bは、○○○に、本件滞納者口座から×××円を出金し、X社名義で、本件競売事件に係る入札保証金として×××口座に振り込んだ。
 Aは、H22.7.12に、Aの唯一の資金管理口座であった○○○口座を開設し、以降管理している。
 X社は、少なくとも設立時から競落までの間、本件不動産の競落に関する事業以外の事業を行っていなかった。

②判断
 1.請求人は本件滞納者から本件金員1・2を無償で譲り受けたか否かについて
 本件金員1・2が本件請求人口座に入金され、これらの金銭の本件請求人口座への振り込みが有償行為である本件滞納者による請求人への貸付けまたは債務の弁済によるものでなかったことは、請求人が本件滞納者から本件金員1・2を無償で譲り受けた事実を一応うかがわせるものではある。
 しかしながら、以下のことから、請求人が本件滞納者から本件金員1・2をそもそも譲り受けていたと認めることはできない。 (イ)B及びAがX社を実施的に支配していたこと。
 BおよびAのX社の代表取締役に関する答述は、X社の登記上代表取締役が請求人からAに変更されていること、X社は請求書に役員報酬を一切支給していなかったことと整合して信用できるから、B及びAは、本件滞納者の代表取締役等である自身らがX社の代表取締役に就任することは不適切あるいは不可能であると認識し、請求人が、X社の設立当初の代表取締役として登記されるに至ったと認められる。
 また、Aの本件不動産を競落するための手続きを誰が行ったかに関する答述は、Bが本件競売事件に係る入札保証金を○○○口座に振り込んでいること、Aが本件競売事件に係る競落残代金の支払に充てられた資金が出金された○○○口座を管理していたことと整合し信用できるから、請求人は、本件不動産を競落するための手続に関与しておらず、B及びAがこの手続を進めていたと認められる。
 以上に加えて、BおよびAのX社を、本件不動産を競落するために設立した旨の答述と、X社が本件不動産の競落に関する事業以外の事業を行っていなかった事実を併せ考慮すると、請求人はX社の実質の代表取締役ではなく、当該事業に関する手続を進めていたBおよびAがX社を実質的に支配していたものと認められる。
(ロ)本件金員1・2につき請求人による費消等が予定されず競落資金とすることが予定されていたこと。
 B及びAの本件金員1・2の使途に関する答述は、金銭の移動の事実と整合し、両者の答述間に矛盾もなく信用できるから、B及びAは、本件金員1・2が本件滞納者口座から出金された時点で、請求人がこれらの金銭を費消し、あるいは、貯蓄し続けることを想定しておらず、一方でこれらの金銭を本件不動産の競落のために使用することを意図していたと認められる。

(ハ)請求人による費消等がされずX社による競落が実現したこと。
 B及びAの想定及び意図のとおり、本件請求人口座に本件金員1・2が入金された後、同口座から×××円が出金されるまで本件請求人口座の預金が費消されず、出金された×××円が○○○口座に入金された後、X社による本件不動産の競落資金として利用され、X社が本件不動産を取得した。

(ニ)小活
 以上のことからすると、本件金員1・2の本件請求人口座への入金は、X社の競落資金の原資が請求人の預金であるとの外形を作出することを目的として行われたものであり、本件金員1・2は、本件滞納者の預金がX社の競落資金として利用されるまでの資金移動の過程において、単に本件請求人口座を通過させられたにすぎないというべきである

(ハ)結論
 以上のとおり、請求人は本件滞納者から本件金員1・2を譲り受けておらず、請求人が本件滞納者から金銭を無償で譲り受けたとは認められないから、徴収法39条の規定に該当するとしてされた本件納付告知処分は、その全部を取り消すべきである。


(引用・参考 T&Aマスター NO.548 2014.6.2)

| 税務訴訟 | 09:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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企業再編税制”活用”に黄信号

企業再編税制〝活用〟に黄信号(2014.3.18東京地裁)
営利を目的とする法人が税負担の軽減を図るのはごく自然なことだが、やり過ぎは禁物」(国税関係者)

企業再編税制を利用した大型節税に対する行為計算の否認の是非をめぐる裁判で、初の司法判断が下された(平成23年(行ウ)228号)。インターネット検索大手の「ヤフー」が、企業買収によって引き継いだ大型赤字の損金処理を国税当局から否認されたことを受け、追徴課税取り消しを求めて争っていた裁判で、東京地裁はヤフーの請求を棄却。近年、中小企業の間でも注目されている企業再編税制、そして国税当局の伝家の宝刀「行為計算の否認」と、気になるテーマ満載の事件に各方面から強い関心が寄せられている

  ヤフーは、平成21年2月に通信大手「ソフトバンク」の100%子会社であった「ソフトバンクIDCソリューションズ」(IDCS)を買収し、その翌月に同社を吸収合併。IDCSが抱えていた540億円の繰越欠損金を引き継いで自社の損金に計上して申告したところ、国税当局から「企業再編税制を利用した節税目的の行為」として否認され、更正処分を受けた。ヤフー側は「事業を行う上で必要だった」とし、過少申告加算税を含む約180億円の追徴課税の取り消しを求めて争っていたもの。
 法に則って節税していた納税者が、税務署から「租税回避行為」といって課税され、裁判所も税務署に味方――。飛び交う数字の大きさから「大企業の問題」と捉えてしまいがちだが、近年、企業再編税制は事業承継問題や戦略的経営マネジメントを考える中小企業にとっても注目のキーワードであり、また「行為計算の否認規定」の照準は節税を追求するすべての会社に向けられていることから、決して他人事ではない。
  企業再編税制は、企業の合併・分割を促すために平成13年に導入された制度。組織再編時に発生する資産の譲渡損益を繰り延べることができるほか、被合併法人の赤字を引き継ぐこともできる。ただし大きな節税効果が期待できる赤字の引き継ぎについては制限が設けられており、特定資本関係が発生してから5年以内の合併については「みなし共同事業要件」を満たしていることが条件とされている。
  みなし共同事業要件とは、①事業関連要件、②規模要件、③規模継続要件、④経営参画要件、の4要件のこと。①②③、または①④を満たしていればよい。ヤフーにとっては④の経営参画要件(合併法人と被合併法人の特定役員が合併後も役員として継続する見込みがあること)がカギとなったが、代表取締役がIDCSの取締役副社長に就任することによりこれを満たしていた。
  ところが国税当局は、本件買収や合併をはじめ代表取締役のIDCS取締役副社長への就任など一連の行為は、赤字の引き継ぎ要件を形式的に満たすことを目的とした「異常」で「変則的」な行為であると判断。組織再編に係る行為計算の否認規定(法人税法132条の2)を適用して、巨額の追徴課税に踏み切った。
  組織再編に係る行為計算の否認規定は企業再編税制とセットで創設された。合併等により法人税の負担が不当に減少したと認められる場合には、その行為または計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより法人税額の計算等をすることができるというもの。つまり他の税務上の規定はすべて満たしていたとしても、「租税回避目的の合併」である場合はしっかり課税しますよ、という規定だ。具体的な判断基準が示されていないため納税者にとっては不気味な存在。「同族会社の行為計算の否認規定」(法人税法132条)が〝伝家の宝刀〞と言われ、めったに抜かれることがなかっただけに、今回の事件は大きな注目を浴びた。
 裁判では、ヤフー代表取締役のIDCS取締役副社長への就任が、行為計算の否認規定の「法人税の負担を不当に減少させる結果になると認められるもの」に該当するかなどが争点となった。ヤフー側はあくまで「事業上の目的であった」と主張したが、東京地裁の谷口豊裁判長は3月18日、「法132条の2に基づく更正処分は適法」としてこれを棄却。ヤフーの広報担当は「主張が認められず残念。判決を精査したい」とし、控訴については「未定」(3月27日現在)としている。
  なお東京地裁は同日、IDCSから営業部門を切り離して設立された「IDCフロンティア」が、「のれん代」をめぐる課税処分の取り消しを求めていた関連訴訟についても棄却した。こちらは「のれん代」を損金に計上するために非適格分割の体裁を整えていたに過ぎないとして、やはり組織再編に係る行為計算の否認規定が適用されたもの。
 「営利を目的とする法人が税負担の軽減を図るのはごく自然なことだが、やり過ぎは禁物」(国税関係者)。今後の企業再編実務にあたっては、行為計算の否認規定の存在を十分意識しておく必要がありそうだ。

納税通信3316号(2014年4月7日)

| 税務訴訟 | 10:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「更正の申出に対してその更正をする理由がない旨のお知らせ」は国税に関する法律に基づく処分に該当しないとした事例

「更正の申出に対してその更正をする理由がない旨のお知らせ」は国税に関する法律に基づく処分に該当しないとした事例

2013年9月26日に、国税不服審判所より公表裁決事例集NO90(2013年1月~3月分)が発表されました。(国税不服審判所HP参照)
この裁決事例集の中で、今回、気になる裁決事例が掲載されていたのでここに紹介し意見を述べさせていただきたい。
(事案)
「更正の申出に対してその更正をする理由がない旨のお知らせ」は国税に関する法律に基づく処分に該当しないとした裁決事例  2013年1月17日裁決
 
《裁決要旨》
請求人は、更正の申出に対してその更正をする理由がない旨のお知らせ(以
下「更正の申出に対するお知らせ」という。)の取消しを求めて審査請求をしている。しかしながら、更正の申出の手続は、更正の請求とは異なり、法令上の根拠に基づくものではないから、更正の申出に対するお知らせは、直接納税者の権利義務を形成し又はその範囲を確定するものではなく、単に、納税者からの減額更正を求める申出を契機として、税務署長が当該納税者の納税申告書に記載された課税標準等又は税額等を更正する理由がない旨を知らせるものに過ぎない。
 したがって、更正の申出に対するお知らせは、国税通則法第75条《国税に関する処分についての不服申立て》第1項に規定する「国税に関する法律に基づく処分」に該当せず、その取消しを求める本件審査請求は不適法である。
 以上の通り、国税不服審判所が門前払いをした事例である。
私はこの裁決事例内容に近い案件を現在東京国税不服審判所へ審査請求している。そのなかの一文を紹介したい。

(不服申立て内容)
今回課税庁側(芝税務署)は、本件申立人が申立てている、第9期(自平成20年6月1日至平成21年5月31日)、第10期(自平成21年6月1日至平成22年5月31日)更正の申出に関して実質審理されているにもかかわらず、それ自身が法律上の効果を発生させる行為ではなく、法律効果を伴わない行政庁による執行上の行為なので、国税に関する法律に基づく処分には該当しないものとして却下処分とした。

「更正すべき理由がない旨の通知処分」の法的性質については、税務大学校研究部主任 池本征男教授によれば更正処分類似のものと解する「更正類似処分説」と請求拒否に当たるものと解する見解「請求拒否説」があるとしている。
更正類似処分説によれば、この「更正をすべき理由がない旨の通知処分」に対して不服
申立てがされた場合の審理の範囲としては、納税申告書に記載されている課税標準等
又は税額等が過大であるかどうかを全面的に見直し、結果として減額更正をする必要が
有るか無いかを判断し処分するものであるとしている。
本職はまず、この更正処分類似説を主張するものである。
この更正処分類似説が現在の学説の主流であることも付け加えたい。更に内容の実質
審議を行っているので、更正処分類似説が妥当である。

 次に、立正大学法学部 山下学教授から頂いた「意見書」では、以下のように述べている。
更正の嘆願は,国税通則法を含め広義の税法で定められた手続ではありません。
しかしながら,以前小職が目にした東京国税局の「所得税事務提要」では,更正の請求書の「請求書」の部分に「取消線」を引いて「嘆願書」と書き換えて受理するよう,実務的に認められ,定着した方式であると考えます。
 また,更正の嘆願の法的性質は,職権更正の除斥期間内であれば,職権更正をすべき,行政行為の「促し」であると同時に,国税通則法第24条(更正)では,「税務署長は,納税申告書の提出があつた場合において,その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかつたとき,その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは,その調査により,当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。」とされております。これは,「更正をすることができる。」という行政裁量たる裁量行為を認めたものではなく,「更正する。」覊束(きそく)行為とされております。
 従って,更正の嘆願書により「納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかつたとき」に該当することが探知できたときには,「その調査により,当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する」必要があるものと思料します。

以上のように山下学教授は述べられている。私もこれらの意見に賛成である。
更正の請求も更生の申出も、税務署長の減額更正という職権発動を促すものには変わりはない。従って、更正に関する申出に対するお知らせは、更正の請求に対する通知処分と同様の法律上の効果を有するものであり、当該お知らせによって税額等を確定させる法律上の効果を有するものと解される。従って、本件お知らせは上記2事業期間の税額等を確定させる法律上の効果を有するものであって、国税に関する法律に基づく処分に該当するから不服申立ての対象となる。   
と主張したい。
                              以  上


参照資料
「更正をすべき理由がない旨の通知処分」に対する不服申立ての審理等について」
税務大学校研究部主任 池本征男教授 

「意見書」              立正大学法学部    山下学教授
                               

| 税務訴訟 | 07:51 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「税法は争えば法解釈が発展する」

 この言葉は、元TKC全国会最高顧問であった、故松沢智先生が講演の中で折に触れて発言している言葉です。
税務行政は国家行政組織法第14条2項により、国税部門の上級庁が下級庁に対する訓令としての指揮命令としての通達行政により行われています。
しかし国民はこれに拘束されるわけではありません。税務上での解釈に相違があれば争うことで正しい解釈が生まれてくるからです。
当税理士事務所では、現在この税務上の解釈で国税側と争っている事案が3件ほどあります。内容的には同一内容であるこの事案は、現在東京国税不服審判所に審査請求しており今年11月頃には裁決が出る予定です。今回の事案は、3件中最初に東京国税不服審判所へ提出した事案です。
 
1、(本件内容) 日本国内においてインバンド旅行業(外国旅行者の訪日旅行を企画運営する業者)を営む法人が「訪日旅行のパッケージ商品」を海外の外国旅行法人に販売した取引について、これを消費税法第7条に規定する輸出免税取引に該当するとして消費税の申告を行ったのに対し、S税務署(原処分庁)が本件の役務提供は非居住者に対する日本国内での役務提供であり、輸出取引には該当しないとして更正処分を行なったため、その処分の取消を求めて、異議申立てをS税務署に行ったが請求棄却の決定を受けた為、S税務署の処分取消を求めて、東京国税不服審判所へ審査請求を行っている事案です。従前まで税務署側で輸出免税として消費税還付を受けていたものが、ここ2~3年で一転国税側の解釈の変更により消費税還付がされなくなったものです。

2、(審査請求までの流れ) 一般に納税者は税務署(原処分庁)の処分に不服がある場合、処分を受けた税務署へまず異議申立をし、それでも不服がある場合に国税不服審判所へ審査請求を出します。そして審判所の裁決に不服がある場合、初めて裁判所に訴訟出来るわけです。これを「前置主義」と言います。現在国税不服審判所は全国に12の支部と7の支所があります。そして各支部から上がってきた審査請求を審理するのが東京国税不服審判所です。審理は国税審判官3名の合議体でおこなわれ、議決後最終的に審判所の所長が裁決を行い通知することになっています。今回の担当審判官は民間採用の女性弁護士でした。(任用期間は3年間で今年7月までの任期でした)これは国税不服審判所が国税職員からの出向者が多いため、民間から弁護士や税理士等民間の専門家を採用し、業務の透明化を図る狙いがあります。なお、副審判官としては税務署の副所長経験者の男性審判官2名、合計3名の合議体でした。また事務連絡係として、国税審査官1名の構成で審議が行われて行きました。
東京国税不服審判所へ不服申立としての「審査請求書」を提出したのが2012年12月7日でした。その後2013年4月4日に審判所より呼び出しを受け、審査請求人である社長及び代理人として当税理士事務所側3名が出頭し、その場で今回の争点の確認をおこないました。その際担当審判官より、今回争点がはっきりしていることから「同席主張」の申出を受けました。同席主張とは2011年度から実施され始めた制度で、審判官、請求人及び原処分庁の間でこの事件の内容を共通に理解している事。主張及び争点を明確にすることで迅速な裁決に資するとともに、透明性を図ることを目的としたものでまだ試験的に導入しているケースでありまだ少ないそうです。これに対して当方も賛同し5月22日に行うことになりました。

3、(同席主張内容) 当日場所は審判所の一室で行われ、中央に審判官及副審判官2名、書記として国税審査官2名。国税側は東京国税局審理課3名及び原処分庁であるS税務署の法人1部門1名の4名が出席。当方は社長と当税理士事務所側3名の同じく4名にて進められました。当初担当審判官より同席主張の流れの説明があり、まず国税側より今回の主張が読まれました。これに対し社長が当方の主張を説明し審理が進んでいったのですが、社長の国税側への質問に関し、国税側の説明に当初説明したこととは違う矛盾のある説明があったため、審判官からその矛盾点の説明を求められたのですがその場で回答できなくなり、後日その主張を文書にて再度提出ことで終了してしまいました。時間にして約1時間ぐらいであった。その後6月14日に同席主張時に説明できなかった内容を書いた国税側の反論書が提出されたので、6月28日に当方で再度反論書を書き提出することにした。

4.(おわりに) 国税職員は7月10日が人事移動の時期です。今回の担当審判官は3年の任期が終了したため、後任に引き継ぎ民間へ戻り弁護士活動を行っているそうです。後任の審判官は7月下旬に判明したが、現在のところ再度同席主張を行うか不明です。いずれにせよ、国税不服審判所へ審査請求を提出してから10ヶ月以内に裁決するのが通例なので、11月頃までには結論がでることになります。内容しだいでは裁決から6ヶ月以内に東京地方裁判所へ訴訟を提起することになるかもしれません。裁判で争ったからと言って望み通りの判決が出る確証は有りません。しかし故松沢智先生の言葉通り税務上の解釈は争わなければ発展しません。裁判にて出された判決が税務上の「判例」となり、今後の税務行政に影響を与えます。やはり争っていかなくては発展はないのではないでしょうか。
                              

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