税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業45年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

| PAGE-SELECT | NEXT >>

>> EDIT

消費税の免税と非課税について

 消費税について2017年8月28日の納税通信の一筆啓上に佐藤善恵税理士の‘消費税には免税や非課税が本当に必要なのか?’という記事が載っていた。
 この2017年2月3日にインバウンド旅行業の消費税の課税標準について最高裁の決定により東京高裁の判決が出た。結論は‘飲食・宿泊・運送等については、国内において消費されるサービス’ということで消費税の課税標準額に算入されるとして認められないものとなった。
 ‘消費税は、一定の取引については非課税とされている。佐藤善恵税理士は次の例をあげて述べているが、住宅の貸付は、賃借人の保護という政策的な配慮から非課税であると説明されている。
 また、輸出免税については、国外で消費されるものに日本の消費税がかかった価格で輸出されると、輸出物品の国際市場における競争力の低下を招くことになるから消費税を免除しているなどと説明されている。この説明はどうかと思う。
 ここではサラリーマンの貸家の例をあげている。内容は次のようなものである。
 ‘A氏が空き家を貸そうかと考える。その用途は制限していない。消費税を含めて、とにかく年間270万円の賃料収入を確保できればいいと思って借主を募集する。すると、事務所として使いたいというBさんと、住むために借りたいというCさんが同時にあらわれた。BもCも少々高くてもこの物件をどうしても借りたいと考えている状況ならば、A氏はどうするか。賃料を滞納せず払ってくれるか、近所に迷惑をかけるような人ではないだろうか’ということがA氏の一番の関心事である‘と。BもCもその点に差がなければ、どちらが借りてくれてもいいのである。
 このような状況下では、「年間賃料の本体価格は250万円で消費税が20万円」などとは考えない。また‘この場合単に需要と供給の問題で賃料は決まる’とも。
 A氏がB氏に貸すときは消費税抜きの賃料を270万円にして契約するだけである。仮にA氏が消費税の課税事業者であれば、自らの消費税の税効果を考慮して事務所用に貸すのか、居住用に貸すのかで賃料に差を設けるかもしれないが、居住用であることを理由に消費税を除くことはしないだろう。
 消費税が課税されたとしても、貸主の価格設定は影響を受けず、住宅の貸付を非課税としても借主の負担は変わらない。
では輸出免税はどうでしょうか。輸出企業は、海外の消費者に日本の消費税を課すことができない一方で、国内の生産活動に伴い仕入先等に支払った消費税を輸出価格に転嫁できない。したがって、輸出業者は国内で支払った消費税の還付を受けて当たりまえだという理屈による輸出免税である。
 輸出大企業は、消費税還付で優遇されているといった声も聞くが、制度として存在する以上‘優遇’というのにはあたらないが、輸出免税制度の存在理由が不明確なのである。
 インバウンド旅行業についても海外企業との取引で消費税は転嫁できない。冒頭のような結論で消費税が転嫁できないのに課税として扱え、というのはインバウンド旅行業の実態を無視したものである。
 いずれにせよ、消費税法は複雑化する一方であり、コストは増加する。本当に非課税、輸出免税の両制度の存在意義を明確にして本当に必要なのか、正しい課税方法は何なのか、という議論が必要なのはもっともである。

参考文献:2017年(平成29年)8月28日 納税通信 第3487号
スポンサーサイト

| 消費税法 | 09:59 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

>> EDIT

仮想通貨の消費税非課税化決定

   仮想通貨の消費税非課税化決定

 2017年(平成29年)度税制改正において、ビットコインに代表される仮想通貨の譲渡に関しては消費税法上非課税にすることが決められました。
(消費税法4.6.消費税法別表第二、消令8~16の2)
ビットコインに代表される仮想通貨については、インターネット上の決済取引なので近年その市場規模が急速に拡大しており、今後の金融市場において大きく広がる可能性があると期待されています。
しかし過去には、2014年2月28日に仮想通貨ビットコインの取引所「マウントゴックス」が経営破たんし、一瞬で顧客の資産が消えたという新聞記事と見た人も多いと思います。その当時の感想では、仮想通貨と言う非現実的な貨幣に関して一般の人が投資をしたことに批判が集まりました。
現在では、インターネット上で最も多く取引されている仮想通貨であるビットコインは、時価総額が100億ドル(1兆円)超の市場が形成され、世界での利用者が1300万人を超え、日本でも数十万人が利用されるまでに至っています。そしてこの流れを追うように三菱東京UFJ銀行など大手金融機関でも、仮想通貨の利用を検討しているところが増えて来ています。
このような状況下において政府では、消費者保護制度の確立やマネーロンダリングあるいは反テロ資金供与といった、反社会活動の抑制という観点からも法的な規制が検討されて来ました。
そしてこれを受けて、2016年5月25日仮想通貨に対する初めての法規制を盛り込んだ「改正資金決済法」が成立しました。この改正資金決済法では、仮想通貨が貨幣機能を有することを事実上認め、オンライン決済などにも利用可能な公的な決済手段と位置付けられました。さらに、仮想通貨の取引所を登録制にして監督強化することなども盛り込まれたのです。
2016年8月31日、金融庁による「平成29年度税制改正要望」において、事実上、支払い、決済手段としての機能を有することとなった仮想通貨について、外為法上の支払い手段等との比較や国際的な課税上の取り扱いの状況等を踏まえ、その取引に係る消費税の取り扱いを明確化するよう要望がなされました。
今回の税制改正で、仮想通貨の譲渡に関しては非課税とするとされたのです。その理由は、取引の対価の決済手段として利用される、外為法上の支払い手段や資金決済法上の前払い式支払い手段(プリペイドカード等)などの譲渡が非課税とされていること。また米国およびEUにおいても仮想通貨の譲渡に係る消費税は非課税とされていること。などが理由だそうです。
適用時期は2017年7月1日以後の取引から非課税取引になります。
従って適用前日の6月30日までは仮想通貨を単なる「モノ」とみなしていますので、消費税8%がかかっていますので注意してください。
また、実務上注意が必要なのが、仮想通貨の譲渡高が非課税売上高となるため、多額の仮想通貨の譲渡があった課税期間においては、課税売上割合が低下することになります。このため、消費税の納税負担が増加したり、仕入税額控除の対象となる消費税の計算の簡便法である、いわゆる「95%ルール」が適用できないことによる事務負担の増加が生じる可能性もあります。
 現在、フィンテック革命で金融取引が大幅に変化しつつあります。今後も仮想通貨を使った新商品・サービスも出てくるでしょう。これに税制を含めた法規制が追い付いていないのが現状です。
今後も仮想通貨の改正が出ましたら随時このブログで報告して行きます。

                                以上

      参考資料: 日本経済新聞2016.10.12 電子版
            日本法令:よくわかる平成29年度税制改正と実務徹底対策

| 消費税法 | 11:53 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

>> EDIT

免税の適用を受けるための証明

 『免税の適用を受けるための証明』についてまとめてみたいと思います。

 *消費税法第7条第2項(輸出証明)に規定する「財務省令で定めるところにより証明されたもの」または租税特別措置法施行規則第36条第1項(外航船等に積み込む酒類等の免税手続)に規定する「承認を受けた事実を証明する書類」は、以下に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ帳簿または書類になります。(規5、基通7-2-23)。

1.関税法第67条(輸出または輸入の許可)
A. 輸出許可証
① 輸出許可通知書、輸出申告控が該当

2.郵便による輸出の場合B-1.その輸出の時におけるその資産の価額が20万円超の場合
  (ただし、輸出の時におけるその資産の価額が20万円を超えるか否かの
      判定は、原則として郵便物1個当たりの価額によるが、郵便物を同一受取人に2個以上に分けて差し出す場合には、そ      れらの郵便物の価額の合計額による。)
① 輸出許可通知書、輸出申告控が該当

B-2. その輸出の時におけるその資産の価額が20万円以下の場合     (次のイまたはロのいずれか)
  (イ)次の事項を記載した帳簿 
     a.輸出年月日
     b.品名並びに品名ごとの数量及び価額
     c.受取人の氏名または名称及び住所等
  
    (ロ)受取人から交付を受けた物品受領書等(書類)で次の事項が記載されているもの
     a.輸出者の氏名または名称及び住所等
     b.品名並びに品名ごとの数量及び価額
     c.受取人の氏名または名称及び住所等文字色
     d.受取年月日


3. 保税蔵置場の許可を受けた者が海外旅行者等に出国に際し携帯輸出する物品を譲渡する場合
   ① 輸出証明書 
    (注)この場合には、‘海外旅行者が出国に際して携帯する物品の購入者誓約書’も必要になります。
   

4. その他船舶等の貸付け・譲渡等である場合などがありますがここでは割愛させて頂きます。
  
特に輸出価額が20万円以下の場合について郵便物として出す場合には、帳簿または書類が承認を受けた事実を証明するものであることを再度確認しておきたい。


(参考・参照) 平成28年版 図解消費税
        消費税法、消費税法施行規則、消費税法基本通達、消費税法施行令
租税特別措置法
     

| 消費税法 | 19:46 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

>> EDIT

消費税率引き上げ時期の変更に伴う対応

「消費税率引き上げ時期の変更に伴う税制上の措置」

 2016年6月1日、安倍首相がテレビ演説で消費税率10%への引上げ時期を2019年(平成31年)10月に変更する旨の表明をしたことを覚えているでしょうか?
皆さんも新聞・テレビ等で見たかと思います。
「法律」は、安倍首相が表明しただけでは変更になりません。
消費税率の引上げ時期の変更に合わせて各種関連法律に関して所要の法制上の措置を講じなければ進みません。
そこで8月2日、自民党・公明党は「消費税率引き上げ時期の変更に伴う税制上の措置」と題してA4 8ベージにわたり変更内容の取りまとめを発表したので、その概要を見ていきたいと思います。

■税率引上げ関係
(1)税率引上げ時期:
【現行】       【改正後】
平成29年4月1日 ⇒ 平成31年10月1日
(税制抜本改革法で規定)
(2)請負契約等に係る経過措置の指定日:
平成28年10月1日 ⇒ 平成31年4月1日
■軽減税率関係
(1)軽減税率導入時期:
平成29年4月1日 ⇒ 平成31年10月1日
(2)適格請求書等保存方式の導入時期:
平成33年4月1日 ⇒ 平成35年10月1日
(3)税額計算の特例の適用期間:
○ 売上税額の計算の特例(中小事業者向け)
4年(平成29年4月~平成33年3月末)
⇒ 4年(平成31年10月~平成35年9月末)
○ 仕入税額の計算の特例(中小事業者向け)
1年(平成29年4月~平成30年3月末)
⇒ 1年(平成31年10月~平成32年9月末)
○ 大規模事業者には措置しないこととする

■軽減税率財源確保関係
○ 歳入および歳出における法制上の措置等を講ずることによる安定的な恒久財源の確保:
平成28年度末までに ⇒ 平成30年度末までに

■転嫁対策
○ 消費税転嫁対策特別措置法の適用期限:
平成30年9月30日 ⇒ 平成33年3月31日

■住宅ローン減税
○ 住宅ローン減税(10年間合計で最大500万円の税額控除)等の適用期限:
平成31年6月30日 ⇒ 平成33年12月31日

■住宅取得等資金の贈与に係る非課税措置
(1)住宅の取得対価等に含まれる消費税の税率が10%である場合の
非課税枠の適用期間:
平成28年10月1日から平成31年6月30日まで ⇒ 平成31年4月1日から平成33年12月31日まで
※非課税枠を段階的に縮小させる時期も2年半延期

(2)上記(1)以外の非課税枠の適用期限:
平成31年6月30日 ⇒ 平成33年12月31日
※非課税枠を段階的に縮小させる時期も2年半延期
■車体課税の見直し
○ 自動車取得税(地方税)の廃止と環境性能割(地方税)の導入時期
平成29年4月1日 ⇒ 平成31年10月1日

■地方法人課税の偏在是正
○ 法人住民税法人税割の税率引下げ、地方法人税の税率引上げ、地方法人特別税・譲与税の廃止等の時期
平成29年4月1日 ⇒ 平成31年10月1日

なお、これら関連法案は9月中旬から始まる、秋の臨時国会の場に提出され審議がされる予定です。


                参照:総務省HP
                  :自民党HP

| 消費税法 | 09:22 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

>> EDIT

軽減税率は本当に低所得者への救世主?

 消費税10%引上げ時の軽減税率導入目指し新たな動き

 自民党税制調査会は10月16日に会合を開き、消費税10%増税と同時に軽減税率導入に向けた具体的な制度設計に着手しました。
 増税時の消費税の軽減税率制度については、平成27年度税制改正大綱で、関係事業者を含む国民の理解を受けた上で税率10%時に導入することが今後の方針と記載され、平成9年4月1日からの導入を目指して対象品目、区分経理、安定財源等について、早急に具体的な検討を進めることとされています。

(1)消費税軽減税率のこれまでの動き
 これまで、自民党と公明党は与党税制協議会において、軽減税率の対象品目について、食料品を例に「全ての飲食料品」から「精米のみ」までの8案を示してきました。すべてが標準税率の場合に比べ、少なくなる消費税収は、1%軽減されるごとに6,600億~200億円と見込まれています。

 また、自民、公明両党は、5月22日に第2回目の軽減税率検討委員会の会合を開き、軽減税率対象品目について財務省が示した3案をたたき台に議論し、今秋の取りまとめを目指す方針を示しました。しかし、財政再建のための税収確保を重視する自民党と低所得者層の負担軽減効果を重視する公明党で対象の範囲について意見の相違がありますし、軽減税率導入時期についても、10%への引き上げと同時を目指す公明党と同時実施にこだわらない自民党というように与党間でも意見の取りまとめは難航することが予想され、今秋までの取りまとめは難しそうな様相でした。

 9月に入るとマイナンバーを利用した消費税還付金案が浮上しました。8%から10%の増税分の2%を「酒類を除く飲食料品」の購入時に「軽減ポイント」を付与し、消費者は関連サイトに申請して、消費者名義の口座に還付してもらうことになります。低所得者層の1年間に消費する飲食料品の金額(年間200万円)を参考にその2%の4千円を上限とする案が出されました。ただし、所得制限については今後の課題とした上で今回は設けられませんでした。

(2)当初の8案の再検討、インボイス導入見送り
 10月16日の自民党税制調査会は、阿部晋三首相が14日に2017年4月の消費税率10%への引上げと同時に軽減税率の導入を指示を受けての会合であり、税制調査会長が軽減税率導入に慎重な野田毅氏から宮沢洋一氏に代わってからの初会合でもありました。
 会合では以下の内容が話し合われ、会合後に宮沢税制調査会長は、「社会に混乱を起こすものであってはならない」ことを強調しました。
 ◎ 消費税増税分の還付制度案については検討を撤回したこと。
 ◎ 対象品目についてはいち早く決める必要があり、当初の8つの案立ち返って再         
   検討すること。
 ◎ 「インボイス」方式については今回の採用は見送り、数年後をめどに導入する方
   向で検討すること。
 ◎ 来週にも与党税制協議会を開き、軽減税率導入に向けた制度設計の議論を加速さ
   せること。

(2)軽減税率は本当は高額所得者の方が有利な制度
 エンゲル係数が生活水準を図る上で使われていますが、エンゲル係数は家計の消費支出総額中に占める食料費の割合で、一般的にエンゲル係数が高いほど生活水準が低いとされています。2014年サラリーマン世帯のエンゲル係数は年収200万円以下の世帯では28.5%もありますが、年収1,500万円以上の世帯では19.2%でした。パーセンテージのみを見ると一見数値が大きい低所得者層に軽減税率の恩恵がありそうにも見えるのですが...
 今度は金額で比較をしてみます。年収1,500万円以上の世帯の食費は毎月10万2,538円で、年収200万円以下の世帯では食費は3万7,978円です。食費に対して2%の軽減税率による減税額を計算すると、年収1,500万円の世帯では2万4,600円になるのに対して年収200万円の世帯だは9,114円にとどまることになり、金額で比較すると高額所得者のほうがより有利な制度なのです。

(3)逆進性だけを考慮すれば、マイナンバーの還付が効果的
 今回は上限金額のみが設けられ、所得制限は今後の課題として設けられませんでしたが、高額所得者がどれほど多くの食品を購入しても上限が決まっていますし、今後所得制限を設けて還付金額を減額したり、ゼロにすることで低所得者層に有利な制度となります。

 安倍首相の指示から軽減税率導入の動きが加速し始めました。
 対象品目について公明党は「酒類を除く飲食料品と新聞、出版物」か、そこから外食を除いた案を提案しており、与党間でも自民党はまず公明党との調整が必要となっています。
 また、対象品目の範囲を広げれば、税収が減りますし、狭めれば線引きが難しくなります。
 減税に対する代替財源をどうするか、消費税は社会保障に充てられるもの。消費税の減収は社会保障費の減額に繋がるのです。
 また、事務負担の面から事業者からの根強い反対の声もあります。
 このような状況の中でも、与党は11月末をめどに制度の詳細を固め、年末に取りまとめる28年度税制改正大綱に具体策を盛り込むことにしているのです。

     参考資料 産経新聞 2015年10月17日 7時55分配信
          SankeiBiz 2015年10月17日 8時15分配信           
          東洋経済オンライン 2015年10月17日 6時0分配信 

| 消費税法 | 09:47 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

| PAGE-SELECT | NEXT >>