税理士 向山裕純の税のなんだパンダ

創業44年を迎えました。難しいと思われがちな税金についてわかりやすい解説をしていきます。税金以外にも時事問題など取り上げていきます。

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消費税で変わるクルマ税制

消費税延期で変わる‘クルマ税制’の制度! 

 今回は消費税増税延期に伴う関税である自動車税の改定について述べてみる。
 平成28年度税制改正大綱では、自動車に関する税制の見直し項目として、‘自動車取得税については、延期になった消費税10%への引き上げ時の平成29年4月1日に廃止する’という内容が盛り込まれ、自動車にかかる税金のなかでも取得税は購入時にかかるもので、自家用車なら「車の取得価額×3%」、営業車や軽自動車なら「取得価額×2%」の税金が課せられている。
 政府はこの取得税を消費税の増税と同時に廃止し、新しく代わるものとして、車の取得時に燃費性能に応じて課税する‘環境性能割’の導入を決定していた。しかし増税の延期により、取得税の廃止と新税の導入は先延ばしになった。
 新たな環境性能割は、燃費性能に応じて税額が減免されるもので、すべての車種で現行の取得税より税負担が軽くなるわけではないのです。しかし現在主流となっているハイブリッドカーなどではおおよそ税負担減となることから、消費増税後確実にやってくる、であろう消費落ち込みへの‘対策’としての効果が期待されています。減免だけを先に実施してしまっては、反動減対策としての意味が薄れてしまう。取得税の廃止、新税の導入とともに、消費増税に合わせて2年半延期されることになった。
 取得税廃止等の‘延期’は、今回が初めてではない。自動車業界からの‘取得税は消費税との二重課税あり即座になくすべき’との長年の要望を受け、同税の見直しが税制改正大綱に盛り込まれたのは平成24年度のことである。その後平成27年10月の消費増税と同時に廃止することが決まったが、景気の低迷を懸念した政府によって増税は延期され、同税は当面存続されることになった。そして今回の再延期を受け、自動車業界の長年の宿願はまたもや先送りされることに。
 毎年のように見直しが行われる自動車関連税制ですが、近年の改正は‘エコ化促進’の流れに沿ったものだといえます。自動車税や軽自動車税では平成27年4月にエコカー減税の適用要件が改められ、燃費性能、排出するガスの量がともにより厳しい基準に引き上げられました。取得税の廃止と同時に導入される予定の‘環境性能割’でも新基準に従って税率を6区分することが決まっています。
 しかしこの性能基準に対しては、緩和を求める声もある。その背景にあるのは、最近世界的に相次ぐ大手自動車メーカーの不正の発覚である。
 ドイツのフォルクスワーゲン社は、平成27年上半期に販売台数でトヨタを抜いて世界一の自動車メーカーになったが、同年9月に特殊なソフトウェアを使って排ガス量を低く見せかけていたことが発覚した。該当車両は世界中でなんと1100万台にものぼり、同社の今年1~3月期の利益は前年同期比86%減まで落ち込んだ。
 今年4月には国内大手の三菱自動車の製品‘eKワゴン’と日産自動車に供給した‘デイズ’、‘eKスペース’と‘デイズクルーズ’の計4車種で燃費性能を偽装していたのは記憶に新しい。これらの該当車両は62万5000台になるという。ユーザーへの補償を待たずに、同社は日産自動車の傘下に入った。
 さらに5月には米GMでも、3車種で燃費性能を実際よりも優れた数値で表示していたことも分かった。意図的ではない誤表記と同社は説明しているものの、ユーザーに対する補償額は120億円に上るとみられている。
 これらの問題から、年々厳しくなる環境性能基準についていけず、技術開発競争から脱落するメーカーが出ているということ。本来ならばメーカーの技術の進歩に合わせて基準が引き上げられるべきところが、目標ばかりが先に立ち、技術が追いついていないのが現状といえる。だからといって不正を行い、ユーザーを騙すのは論外である。
 一部のメーカーしか達成できない基準にのみ税優遇を与えるというのなら、国による一部の企業への肩入れといえる。基準緩和を求める声を受けて、昨年4月に刷新されたばかりの‘環境性能基準’が見直される可能性は否定できないでしょう。
消費増税の延期は様々な税目に影響を与えている。この自動車関連税制も例外ではない。ますます複雑な税制が今後一層難解になっていくことでしょう。


(参考:納税通信 第3425号、平成28年度税制改正大綱)


 
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| 財政・税務 | 19:57 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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消費税率引き上げ時期の変更に伴う対応

「消費税率引き上げ時期の変更に伴う税制上の措置」

 2016年6月1日、安倍首相がテレビ演説で消費税率10%への引上げ時期を2019年(平成31年)10月に変更する旨の表明をしたことを覚えているでしょうか?
皆さんも新聞・テレビ等で見たかと思います。
「法律」は、安倍首相が表明しただけでは変更になりません。
消費税率の引上げ時期の変更に合わせて各種関連法律に関して所要の法制上の措置を講じなければ進みません。
そこで8月2日、自民党・公明党は「消費税率引き上げ時期の変更に伴う税制上の措置」と題してA4 8ベージにわたり変更内容の取りまとめを発表したので、その概要を見ていきたいと思います。

■税率引上げ関係
(1)税率引上げ時期:
【現行】       【改正後】
平成29年4月1日 ⇒ 平成31年10月1日
(税制抜本改革法で規定)
(2)請負契約等に係る経過措置の指定日:
平成28年10月1日 ⇒ 平成31年4月1日
■軽減税率関係
(1)軽減税率導入時期:
平成29年4月1日 ⇒ 平成31年10月1日
(2)適格請求書等保存方式の導入時期:
平成33年4月1日 ⇒ 平成35年10月1日
(3)税額計算の特例の適用期間:
○ 売上税額の計算の特例(中小事業者向け)
4年(平成29年4月~平成33年3月末)
⇒ 4年(平成31年10月~平成35年9月末)
○ 仕入税額の計算の特例(中小事業者向け)
1年(平成29年4月~平成30年3月末)
⇒ 1年(平成31年10月~平成32年9月末)
○ 大規模事業者には措置しないこととする

■軽減税率財源確保関係
○ 歳入および歳出における法制上の措置等を講ずることによる安定的な恒久財源の確保:
平成28年度末までに ⇒ 平成30年度末までに

■転嫁対策
○ 消費税転嫁対策特別措置法の適用期限:
平成30年9月30日 ⇒ 平成33年3月31日

■住宅ローン減税
○ 住宅ローン減税(10年間合計で最大500万円の税額控除)等の適用期限:
平成31年6月30日 ⇒ 平成33年12月31日

■住宅取得等資金の贈与に係る非課税措置
(1)住宅の取得対価等に含まれる消費税の税率が10%である場合の
非課税枠の適用期間:
平成28年10月1日から平成31年6月30日まで ⇒ 平成31年4月1日から平成33年12月31日まで
※非課税枠を段階的に縮小させる時期も2年半延期

(2)上記(1)以外の非課税枠の適用期限:
平成31年6月30日 ⇒ 平成33年12月31日
※非課税枠を段階的に縮小させる時期も2年半延期
■車体課税の見直し
○ 自動車取得税(地方税)の廃止と環境性能割(地方税)の導入時期
平成29年4月1日 ⇒ 平成31年10月1日

■地方法人課税の偏在是正
○ 法人住民税法人税割の税率引下げ、地方法人税の税率引上げ、地方法人特別税・譲与税の廃止等の時期
平成29年4月1日 ⇒ 平成31年10月1日

なお、これら関連法案は9月中旬から始まる、秋の臨時国会の場に提出され審議がされる予定です。


                参照:総務省HP
                  :自民党HP

| 消費税法 | 09:22 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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企業版ふるさと納税

やっと動き出した「企業版ふるさと納税」

 平成28年度税制改正の目玉であった「企業版ふるさと納税」がやっと動きだしてきた。
個人版ふるさと納税では寄付の返礼品の豪華さがあらそわれたが、企業版ではまず、内閣府が地方創生につながると認可した自治体の事業が対象になる。従って全国全ての自治体が対象になるわけではない。
そして、その第1回目の申請受け付けが6月末に締め切られ、その発表が8月2日に行われたのである。今回、全体では6県81市町村が内閣府へ申請して102の事業が寄付の対象事業と認定されたという。
認定は今回が初めてで、それぞれの事業にいくらかかるかが確定した段階で寄付を募る。そこで法人が認定された自治体に寄付をした場合、従前の損金経理に伴う寄付金控除の他、別途税額控除が出来、企業の税負担が軽くなる制度である。
認定された102の事業の内訳は、「働く場づくり事業が74」「移住関連が12」「まちづくりが10」「働き方改革が6」であり、全体の事業費は現時点で323億円が見込まれているという。さらに内閣府は、11月と来年3月にも引き続き認定を出して行く方針だ。

具体的な内容としては、
青色申告法人であること。
② 企業が寄付しやすいように税負担の軽減効果を現行の「損金算入による軽減効果・・約30%」に加え「税額控除・・30%」と2倍にしている。100万円寄付すると法人関係税において約60万円の税軽減効果があらわれることとしている。
③ 寄付金額の下限は10万円からとし、少額寄付にも対応させることとした。
自社の本社が所在する地方公共団体への寄付は対象にはならない
⑤ 地方交付税の不交付団体であり、その全域が地方拠点強化税制の支援対象外地域とされている市町村として、  
 東京都
 東京都23特別区・立川市・武蔵野市・三鷹市・府中市・調布市・小金井市・国分寺市・多摩市・羽村市・瑞穂市
 埼玉県戸田市・三芳町
 千葉県市川市・浦安市
 神奈川県鎌倉市・藤沢市・厚木市・寒川町  などである。

⑥ 寄付企業に対する地方公共団体の行為の制限
地方公共団体は、寄付を行う企業に対し、寄付の代償として経済的利益を与える次のような行為を禁止している。
・寄付額の一部を補助金として供与する事。
・入札や許認可で便宜を図ること。
・有利な利率で融資する事。    

「企業版ふるさと納税制度」はまだ始まったばかりである。
今後の動向を見ないと個人版のように定着して行くかまだ不透明である。制度普及のためには、企業にとってのメリットを更に分かり易い形で発信して行くことが必要となろう。



            参考資料: 内閣府HP
                  2016.8.3付 日本経済新聞 朝刊

| 税制改正 | 10:44 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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相続手続きが簡素化

相続手続きが簡素化
-戸籍情報を証明書1枚に


前回(2016年7月12日掲載)は民法改正(相続編)に関しての見直し案が出ている事を述べましたが、今回は遺産相続の手続きを簡素化する改正案が検討されていることが、2016年7月5日法務省の発表で判明しました。
これは、税理士・司法書士・弁護士等実務家にとっては業務に関わる重要な改正内容でもあるので注目したい情報でもあります。
その内容は、煩雑だった相続手続きを簡素化する「法定相続情報証明制度」(仮称)の運用を2017年5月を目途に目指すとのことだ。
現在、親や配偶者が死亡した場合、相続人は不動産登記の変更や相続税の申告、銀行口座の解約などのため、大量の戸籍書類一式を相続対象となる不動産を管轄する各法務局や預金などのある金融機関ごとに提出する必要がある。そして提出を受けた法務局や金融機関も、申請者が正当な相続人であるかを審査し、さらに遺産が多岐にわたる場合は同様の手続きを複数の法務局や金融機関で行わなければならない。

(新制度の内容)
相続が発生した場合、まず相続人の一人が全員分の本籍、住所、生年月日、続柄、法定相続分などを記載した申請書類を作り、相続人全員分の戸籍と亡くなった人の戸籍をそろえて法務局に提出する。
法務局が正当な相続人であるかを審査した後、提出を受けた相続人一覧を基にして証明書を完成させ、公的な証明書として法務局が保管し、相続人には「写し」を発行する。これによって相続人は、この「写し」を相続手続きを行う法務局や金融機関に証明書として提出するだけでよくなる。そしてこの証明書は別の法務局でも使えるため、地方の不動産などを相続する場合負担軽減につながると期待されている。
(今後の動き)
この制度は年内にパブリックコメント(意見公募)を実施して詳細を決めてから実施することになる。法改正を含め、早ければ来年5月に実施したいとの考えであるという。
その他、今年1月からスタートしたマイナンバー制度であるが、当初の大騒ぎから半年経ち、最近では余りマイナンバー制度の話を聞くことが無いようである。まだ我々の生活の中に浸透しきっていないからだろうか?
しかし行政側ではマイナンバー法の一部を改正するなどし、粛々と「国民総背番号制」への移行は進んで行っている。一例として、金融機関の預金口座とマイナンバーの紐付も2018年からは実行される方向で進んでいる。これなども、今後相続手続きの簡素化にもなろう。
ただし、国民の情報がIT化され便利になるという事は、反面「国」が国民の情報を把握してしまう事でもある。良し悪しは別にして、相続及び相続税の面では、利便性が高くなり、税の申告漏れも少なり税収増には役立つだろう。
                              

                  参照資料 日本経済新聞2016.7.6電子版
                       NP通信社「納税通信」第3431号

| 民法・商法・会社法 | 09:27 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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相続法の改正が検討中

             民法改正第二弾!!     
           ―相続法の改正が検討中―

 債権法の民法改正案が閣議決定されたのは、2015年3月31日のことでした。当時120年ぶりの民法改正案という事もあり、かなり注目があったことを思い出します。
あれから1年、民法改正は相続編に移行しています。
2016年6月21日、法務大臣の諮問機関である「民法の相続分野の見直しを議論する法制審議会」の部会が行われ、今度は相続法の改正について、中間試案をまとめ発表しています。
ここで注意していただきたいのは、相続法と相続税法との違いです。
民法上の相続法は第882条~1044条までで構成されています。その内容は、相続人とはだれか、相続の効用、相続の承認及び放棄、財産分離、遺言及び遺留分などの説明が体系的に条文化されています。
これに対し相続税法はあくまでも人の死亡に起因した、「相続」が発生した場合の国に納める「税」の計算を出すための法律です。
2015年1月からは相続税法の大幅な改正がありました。皆さんご存知の基礎控除額が5000万→3000万。1人当りの控除金額500万→300万。そして、相続税率の上限が全体で5%アップされ最高税率55%になるなど重税感がありました。

今回の民法相続編の改正ポイントは以下の通りです。
 配偶者の相続分の見直し
配偶者の法定相続分は1980年に3分の1から2分の1に引き上げられて以来36年間変更されていない。
 結婚して一定期間(20~30年)過ぎた場合、遺産分割で配偶者の法定相続分を2分の1から3分の2に引き上げる。
 結婚後に所有財産が一定額以上増えた場合その割合に応じて増やす。
2 配偶者に「居住権」の新設
 亡くなった夫が遺言で自宅を第三者に贈与しても、妻に住み続ける「居住権」の権利を与える。
 介護・看病に「見返り」
相続人以外の人が介護や看病で献身的な貢献をした場合、相続人に金銭を要求できる。
現行では、例えば長男の妻が介護した義父母の財産を相続する権利は無いが、妻が相続人である長男らに対して金銭の請求を出来るようにする。金額が協議で決まらない場合は家庭裁判所が決める。

4 自筆遺言の形式緩和
遺言制度の利用を促進する為、全文を自筆で作成する「自筆証書遺言」を緩和。財産目録はパソコンで作ることが出来るようにする。    
 
現在7月~9月にかけて行われるパブリックコメントを経て、さらに部会での議論を尽くすことになります。その経過の中で内容の変更削除もあると思われるが、来年の臨時国会には民法改正案を提出する見通しであるといわれています。
民法改正は我々の日常の生活と密接に関わっています。従って、今後の動向に目が離せません。

                                


                  参照:2016年6月22日朝刊日本経済新聞

| 相続税及び贈与税 | 12:29 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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